カテゴリー「気になるニュース&ブログ」の178件の記事

2016.04.27

1700万円でネット落札 ダイワマッジョーレが岩手へ移籍

重賞勝ち馬として初めて楽天サラブレッドオークションに出品され、 1700万円で落札されたダイワマッジョーレが岩手競馬に移籍したことが明らかになった。 中央時代、ダイワマッジョーレは矢作厩舎に所属し、京王杯、阪急杯と重賞2勝をあげたほか、 2013年のマイルCSではトーセンラーの2着に食い込むなど、 長らく短距離戦線の一翼を担ってきた。しかし、7歳になってから3戦した今年はいずれも 二桁大敗を喫して登録を抹消された。今月7日、オークションに出品されたダイワマッジョーレは 100万円の価格からスタート。その実績が大いに注目されて激しい応札が繰り返されたが、 最後は139件目の入札で1700万1千円で競り落とされた。 これほど高額で落札されるのは想定外だったと言えよう。 地方競馬のレースで2000万円もの金額を獲得することは容易ではなく、 ダイワマッジョーレはダート実績もないからだ。

その後、ファンから消息を案じられていたダイワマッジョーレだが、 岩手の横川典視記者のブログにて近況が公表された。 落札後、栗東トレセンに隣接する島上牧場から出発し、 9日には瀬戸幸一厩舎に無事に到着したようだ。 ブログには飼葉をモリモリと食べていたり、 首を伸ばして隣の馬に鼻を近づけたりする、愛らしいダイワマッジョーレの写真が掲載されている。 オーナーは岩手で多くの馬を所有する鈴木雅俊氏。 具体的なデビュー戦はまだ決まっていないが盛岡競馬場には芝コースがあり、 中央と同じく芝で下ろすことになるのかもしれない。 一方でダートに活路を見出すことができなければ主戦場には立てず、 馬代金はとても回収できない。必ずダートは使ってくるだろうが、 能力は非常に高い馬なので適性があれば交流重賞を席巻する可能性もある。

ところで、ダイワマッジョーレがネットオークションに出品されたことに関して、 一部のファンからは元の馬主を非難する声があがっていた。 netkeiba掲示板には「これだけの功労馬が何故楽天市場でオークションなのか?」 「頑張ってきた馬をこのようなオークションという形は見苦しい」 「思い入れとか無いんですかね。悲しくて、悔しくて、残念でなりません」などの書き込みがなされた。 確かにオークションのページを見ると『商品状態:中古』といった、 およそ生き物には似つかわしくない表現があり、初めて訪れた人々が違和感を抱くのも当然だ。 ぞんざいな表現は配慮してほしいものだが、ネットオークションで取引されること自体は 競走馬の第二の人生を拓く歓迎すべきものだと考える。 繁殖入りの見込みがないのならば、ほとんどの馬は走ることでしか生きながらえないからだ。 とりわけダイワマッジョーレは高額馬であり、岩手で大切に扱われるだろう。 ちなみに最近は一口クラブも多く引退馬を出品して、売買代金を出資者に分配している。 かつては関係者に無償譲渡されるなど不透明な取引が常態化していたわけで、 そうした面でもネットオークションは良い効果をもたらしている。 ダイワマッジョーレの活躍次第では、さらにネットオークションの活性化が加速するかもしれない。

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2015.11.01

ローブティサージュが転倒 福永は大ケガで年内絶望

10月31日のスワンS、リーディングトップを走っていた福永祐一が直線で落馬。馬場に叩きつけられ、右肩鎖関節脱臼、右鎖骨剥離骨折の重傷を負った。年内復帰は絶望と見られている。だが、トップスピードで馬群の密集するゴール前で、馬が激しく転倒するほどの事故だったことを考えれば、もっとひどいケースになっても不思議ではなかった。このレース、福永が騎乗していたのはローブティサージュ。初めての手綱だった。私が一口、出資している愛馬であり、スワンSでは11番人気の低評価ではあったが、適距離に戻っての一戦とあって馬券も買って注視していた。

8番枠のローブティサージュは好スタート。去年の京阪杯で起きた「逆ギレ誘導員によるムチ連打事件」のトラウマを心配していたが、福永は上手くゲートを出してくれた。緩みない流れのなか5番手につける。先頭集団を射程圏に捕らえて4コーナーを回った。手応えは十分。直線、福永がムチを入れると反応良く加速。勝ち負けになるとジョッキーも確信し、前を行くテイエムタイホーとリトルゲルタの間に馬を向けた。スペースは十分にあった。ところが次の瞬間、テイエムタイホーが外に寄れて接触。ローブティサージュはもんどり打ち、福永は投げ出されてしまった。人馬の最悪の事態が頭をよぎり、私は息が止まりそうになった。

幸いなことに馬は自力で起き上がり、検量室前まで戻って須貝師が捕まえた。診療所での検査では骨に異常はないが、全身打撲のような状態だった。福永は関係者に「期待に応えることができず申し訳ありません」と何度も謝っていたという。直線、ローブには突き抜けられる脚と進路があり、騎乗には何の問題もない。テイエムタイホーの松田大作も事前には寄れる馬を立て直そうとしており、直前の一瞬は御すことを怠ったにせよ、全体としては故意があったわけではない。ただ、それでも人馬の生命を奪いかねない大事故は、ちょっとしたレースのアヤ、騎手の動きで引き起こされるのだと改めて痛感した。

前週の菊花賞で福永はリアルスティールの手綱を取り、好騎乗ながら2着に惜敗していた。この秋、どんなレースを見せてくれるのか、期待を抱いていただけに残念である。ローブティサージュは厩舎に戻って経過を観察される予定だ。クラブの規定で遅くとも3月には引退することが決まっており、これまでの頑張りを思い返すと、もう牧場に帰って母親になる準備に入ったほうがローブのためではないかと感じる。もし事故がなければ勲章が1つ増えていたかもしれないが、言っても詮ないこと。命が助かったことに、ただただ感謝したい。

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2014.12.04

逆ギレ誘導員がムチ連打 ローブはパニックで大惨敗  

先週、京都競馬場で行われた京阪杯。 スタート前、正視できない映像が飛び込んできた。 とてもホースマンの端くれとは思えない、誘導員の行動だ。 この日、15番枠を引いたローブティサージュだったが、 追いきりでの好調さとスプリンターズSからの巻き返しを期待されて4番人気。 先入れの奇数枠で、厩務員に引かれてゲートに向かったのだが、入るのを嫌がって輪乗りの場所まで後ずさりしてしまった。 ローブはトレセンでも馬場入りを嫌がることがままあり、 その際は目隠しをして入れるようにしていた。 そのため、鞍上の三浦騎手は「目隠しをすればスッと入る」と進言したが、 聞き入れてもらえなかった。係員2人が力ずくでバックさせるが、 馬は興奮するばかり。そして、後ろから無理矢理入れようとしていた誘導員を蹴ってしまった。それ自体はアクシデントだが、 問題はその後である。誘導員は怒りに任せて、持っていた長いムチを連打したのだ。

もともと同馬は後ろ脚で蹴る癖があり、周囲に注意を促す赤いリボンが結ばれている。注意を怠らなければ、誘導員が蹴られることもなかっただろう。 だが、自らの不注意が原因だったことで却って逆上したのか、 馬を威嚇するようなステップで近づき、ムチを二度、三度と振り続けた。 三浦は「職員が蹴られて、それに怒ったのか余計に鞭を打ってきました」と述べている。 その後、騎手が下馬し、ようやく目隠しされたローブは素直にゲートまで引かれていった。 しかし、一度、パニック状態に陥った同馬の目は血走り、 「体も硬直していたし、ゲートを出てからは冷静さを欠いて走ってた」(三浦)。 結果は人気を裏切る14着。 レース後、調教助手は「なぜすぐに目隠しをしなかったのか」と聞きに行ったが、 「こちらにも順序がある」と突き放されたと言う。 最初から騎手の進言に従っていれば、逆ギレした職員が馬を興奮させなければ、 結果は違っていたはずだ。

JRA職員も人の子だから、大観衆の前で失態すれば感情も高ぶるだろう。 発走時間の遅延を避けなければというプレッシャーもあっただろう。 だが、それらを差し引いても、今回のローブへの対応は看過はできない。 同馬の背後には多額の馬券を賭けているファンがいる。 丹念に世話をし、調教を重ねてレースに臨んだ関係者がいる。 職員が考えなくてはならないのは、どう馬を落ち着かせてゲートに導くかである。 個人的な感情に任せて不必要なムチを連打し、馬を興奮させるなど、 プロフェッショナルとして最低の振る舞いではないか。 JRAの唱える”公正競馬”とは対極にある行為である。 ローブには発走調教再審査が課せられたが、それより不安は精神面への悪影響だ。 繊細な牝馬、今後、レースで枠入りを怖がるようになれば、 競走生活そのものが終わってしまう。 JRAの誘導員は一時の感情に流されることなく、一つ一つの行動を慎重にしてほしい。

*騎手、助手のコメントはシルクホースクラブの公式サイトより引用した。

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2014.04.24

未解決のままの馬券課税問題 職場通報されるケースも

ハズレ馬券を経費として認めず、 実際の利益を大きく上回る金額を”脱税”したとして追徴する「馬券課税」。 依然として各地で国税局と馬券購入者との間で訴訟が相次いでいる。 詳しくは以前のエントリーを読んでもらえればと思うが、 これらは国税局が競馬での所得を「一時所得」と見做し、 年間を通じて損益通算が行える「雑所得」と認めないために生じている問題だ。先日、報じられたケースでは 6年間で72億7千万円の馬券を購入し、78億4千万円の払い戻しを受けた男性が、 所得5億7千万円、所得税額2億1千万円と申告したところ、 所得を超える税額を請求されたというものがあった。 ハズレ馬券が必要経費に参入されなかったため、 78億円から的中馬券の購入代を引いた額に対して課税が行われたものだと思われる。

去年5月、同様に1億4千万円の利益に対して5億7千万円の 納付を求められた男性の裁判で、大阪地裁は例外的にハズレ馬券代も経費と認めて脱税額は5千万円と算出し、購入者側の訴えを認めた。 しかし、国税局はこれを不服として控訴。大阪高裁は来月9日に判決を下す予定だ。 馬券課税をめぐる問題は、一部の高額購入者に限定すべき話ではない。 国税局の立場では、年間90万円以上の払戻金があった場合、 収支がマイナスでも確定申告の義務が生じる。 それぐらいのファンは掃いて捨てるほどいるが、彼らのほとんどは脱税者なわけだ。 週に1万円、2万円の馬券を買う普通のファンが、”犯罪者”に 仕立てあげられている、おかしな現実が横たわっている。 事実、そこを突かれたファンも出てきた。

広島県土木局の50歳代の男性職員が競馬で約360万円の配当を受けたのに確定申告をせず、 県から2度にわたって納税指導を受けていたことがわかった。 /昨年11月、職員を名指しし、「確定申告をしておらず、納税義務を果たしていない」 という匿名のメールが同課などに届き、確認したところ、職員は「納税する」と答えた。 だが職員はその後も確定申告をせず、今月に再び同様のメールが送られてきたため、 同課は21日、職員を改めて指導した。職員は、競馬でもうけたことを職場で自慢していたという。 (読売 4/23)

まったく以って馬鹿げた出来事だが、 馬券で大儲けしたことを吹聴したり、的中画面のスクリーンショットをネットで 公開しているようなファンは他人事ではあるまい。 本来、馬券は購入した時点で 10%を国庫に納付しており、国税局の行為は二重課税にあたり不当である。 それでも本気で国税局が課税したいのであれば、JRAは監督官庁とともに落とし所を探るべきだろう。 国税局とハズレ馬券が経費かどうかは議論するのは筋が悪い。 例えば、一度に一千万円以上の払戻を受ける場合には源泉徴収をかけるといった条件と引き換えに、 原則、馬券には課税されないことを認めさせなければならない。 ファンが安心して馬券を買えるよう国に働きかけるのは、JRAの責務に他ならない。 高配当のWIN5など、大々的に売り出し中なのだから尚更だ。 大衆競馬の根幹を守るために、JRAは汗を掻いてほしい。

>>外れ馬券裁判は実質無罪も ”脱税”のリスクは変わらず(2013/5/29)
>>追徴課税5億円! あらわにされた「競馬と税金」の矛盾(2012/11/30) 

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2013.07.08

参院選 「馬券課税」「競馬振興」各政党の見解を読む

参議院選挙が公示され、街頭やテレビ討論で激しい戦いが繰り広げられている。 競馬と選挙は馬産地を除いては結びつかないイメージがあるが、「netkeiba.com」では各党に競馬に関連した アンケートを行い、その回答を公開している。大変、おもしろい試みだと思う。具体的な質問は外れ馬券裁判で大きな話題になった払戻金への課税についてや、競馬産業に関する政策など。 詳細はリンク先で確かめてもらいたい。 回答は自民、公明、民主、共産、みんなの党、社民からのものが掲載されている。

>>競馬に関する政党アンケート、注目の回答を大公開

課税問題については自民、公明、民主は、課税の公平性や従来から原則、 裁判の行方などを踏まえて、適切に対処すべきとする立場。 少し踏み込んでいるのが社民党とみんなの党。 社民党は「『経費』を認めたうえでトータルの損益で課税していくべき」として、外れ馬券も必要経費に見做すべきという裁判の被告側に立った意見を明らかにしている。みんなの党は柿沢未途議員の見解と注釈したうえで、既に売り上げから国庫納付金が徴収されおり 「宝くじやtotoの当選金と同様に非課税とすべき」とする。 この両党の考え方は競馬ファン寄りと言えるのかもしれない。 一方、共産党は「中央競馬会が“ギャンブル性を高めて売り上げを増やそう”という方向性を強めていることは、競馬の健全な発展を阻害する」という。 そして、多額の資金を投入する特別な事例で課税非課税の議論はなされるべきではないとする。 応能負担の原則に言及してはいるが、 課税問題のポイントからは焦点がずれているように感じた。

競馬産業の振興策については、各党とも活性化するべきという方向性では一致している。 公明党は持続的な生産基盤を確保するため、生産農家への支援、人材育成が重要とし、さらに中国などへ「競走馬輸出の環境整備を推進することが必要」としている。 各党の主張のなかでも具体的な記述だと思う。 自民と民主は払い戻し率を主催者が変更できるようにした改正競馬法に言及。自民は「主催者の意欲を高めて収支改善」につなげる、 民主は「ファンにとっての競馬の魅力」を高めるという。 共産は「労働者としての問題も大切」と騎手、厩務員や従業員の雇用面を強調している。 競馬場廃止に伴う補償や再就職の問題は深刻であり、 各党ともこうした視点を以て存廃議論はしてほしい。 みんなの党は 「レースコンテンツをライセンス化。海外で馬券販売し、コミッション収入を得るべき」 と記す。ライセンス化は法的にできるのか、もう自由に日本の馬券を売っているブックメーカーが同意するのか。実現可能性を知りたいと思った。

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2013.05.29

外れ馬券裁判は実質無罪も ”脱税”のリスクは変わらず

3年間で馬券で得た利益を申告せず、 約5億7千万円を脱税したとして元会社員が所得税法違反に問われた裁判。 いわゆる「外れ馬券訴訟」の判決が23日にくだされた。 今回、最大の争点とされたのは外れ馬券が必要経費として認められるか否か。 元会社員は3年間で28億7千万円分の馬券をPATで購入。 払戻金として30億1千万円を受けた。実際の利益は1億4千万円。しかし、検察は直接的中した買い目以外は経費と認めず、5億7千万円を納付すべきだと主張していた。大阪地裁は「娯楽の範囲を越えて資産運用を目的に馬券を繰り返し購入した場合、外れ馬券の購入費も必要経費とすべきだ」と述べ、国税庁とは異なる判断を示した。そして、納税すべき額は5千万円余だとして、懲役2ヶ月、執行猶予2年の”実質無罪”を言い渡したのだった。 もし国税庁の主張に従えば、元会社員は一生かかっても払いきれない税金を負わされることになる。担税力の観点からも、裁判所は現実に即した判決を出したと言っていいだろう。 元会社員は地方税を含め10億円の課税処分を受け、処分の取り消しを求める民事訴訟も起こしている。

だが、これを以て外れ馬券が経費と認められたと一般に解釈するのは間違いだ。 あくまで裁判所は「金額も多額で、娯楽の域にとどまらない利益を得るための資産運用の一種」 と、例外的なケースだと見做したがゆえ、偶発性に由来する「一時所得」ではなく、 FXなど資産運用と同じ「雑所得」と判断したからだ。 原則は一時所得。当然、国税は競馬収入が90万円以上あった場合、年間収支がマイナスでも確定申告の義務が生じ、外れ馬券は必要経費に含まれないという 立場を変えていない。払戻金が年間90万円以上あるファンは星の数ほどいる。 「一般的な競馬ファンの“救済”までは至らなかった」 (デイリー)のである。 そもそも馬券は購入した時点で 10%を国庫に納付しているわけで、国税の行為は二重課税ではないか。 今回の裁判は馬券と税金の矛盾を曖昧なまま放置してきたツケが招いた結果だ。

JRAは売り上げ増のみを求め、課税リスクをきちんと説明しないまま高配当馬券の発売を推し進めてきた。三連単やWIN5で90万円以上の払い戻しを受けたファンのうち、 どれだけが正直に確定申告したのか。 ほとんどが”脱税者”の可能性だってある。彼らは潜在的な犯罪者であり、いつでも起訴されうるリスクを負っているわけだ。JRAは6か月を経過すると、払い戻しに関する個人データを消去している。 だから、JRA自身が国税に踏み込まれることはないと、タカをくくっているのかもしれない。 責任は申告しなかった個人にあると。 裁判に前後してJRAには「自分が受け取った払戻金が課税対象のケースにあたるのか」といった問い合わせが相次いでいる(産経)。そのため、今月からウェブサイトにFAQを掲載したというのだが、内容は…

Q.払戻金に税金はかかるのですか?
A.勝馬投票券の払戻金は税法上、課税対象となるケースがあり、 確定申告を要する場合があります。詳しくはお近くの税務署にお問い合わせください。 (JRA公式)

これほど人を小馬鹿にした解答はないだろう。 「誰でも100円で最高2億円を手にするチャンス」 「競馬初心者でもインターネットで簡単」と大々的に煽りながら、同時に生じる法的義務については 「詳しくはお近くの税務署に」と豆粒ほどの警告を記しているだけなのだから。 実際に刑事告訴されるファンが現れているなか、その原因となる ”商品”を売る公的機関としては極めて不誠実ではなかろうか。今回の件は競馬の根幹に関わる問題だ。 JRAも払戻金に対する課税を見直すべく、水面下で動き始めてはいるだろう。 だが、法改正までには時間を要する。 JRAは早急に今回の判決に関するステートメントを発表し、 これから上部機関にどのような働きかけをしていくのか、 ファンにどのような説明をするのか、明らかにすべきである。 都合の悪いときだけ「役所だから」と、ダンマリを決め込むのはあまりに格好が悪い。ファンが安心して馬券を買えるよう、心を砕いてほしい。

>>追徴課税5億円! あらわにされた「競馬と税金」の矛盾(2012/11/30) 

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2012.11.30

追徴課税5億円! あらわにされた「競馬と税金」の矛盾 

競馬で利益を得ていたにも関わらず、3年間で5億7千万円を脱税したとして、大阪市の会社員が起訴された。しかし、現実に儲けていた額は1億4千万円。それがなぜ4倍もの追徴課税がなされることになったのか? 各紙報道によれば、男性は3年間で28億7千万円分の馬券を PATで購入。払戻金として30億1000万円を受け取っていた。予想ソフトを制作して、ほぼ土日の全レースを買っていたとようだ。尤も、男性がウン十億円を一度の賭け金にしていたわけではない。競馬ファンなら分かるだろう。例えば1万円を最初のレースにつぎ込み、2万円の配当を得たとする。次のレースに2万円を投じたが1万円しか払い戻しがなかった場合、トータルの儲けはゼロでも、2度の的中で得た3万円は利益とみなされる。そして税法上、ハズレ馬券は経費として計上できず、認められるのは直接の的中馬券の原資だけ。 つまり、1点あたり1000円の馬券が10倍の配当で1万円になったときは、9千円が課税対象、1000円が必要経費になる。ほかに何点買っていようが、経費には認められない。現行の運用では経費を除いて年間で合計90万円以上、払い戻しを受けた場合は 申告義務が生じるのだという。

これまでも馬券で儲けた所得は税金を払わねばならないのかと、議論の俎上に載ることはしばしばあった。今年の天皇賞春当日、須田鷹雄は2500万円のWIN5を的中したことを公にし、600万円余りを納税することを明らかにした。だが、有名人が高配当を得たことを喧伝する場合を除いて、ファンが自発的に納税することは極めて稀だろう。税を納める義務があることを知らない人もいよう。3連単、WIN5と100万馬券が飛び出すのが、そう珍しくない昨今、潜在的な犯罪者が続々と 生産されているのが現状なのかもしれない。そうでなくとも、90万円以上の払い戻し(トータルでは赤字でも)を受けているファンなど掃いて捨てるほどいる。JRAは2億円のリターンある馬券を売る一方、厳密に法を適用すれば脱税となる実情に目を瞑ってきたわけだ。もともと馬券は25%ものテラ銭が差し引かれているわけで、払戻金を対象とするのは二重課税である。市井のファンが安心して馬券を楽しめるよう、政治や行政に働きかける努力をすべきだったのだ。

馬券による脱税として思い出すのが、3年前に発覚したニュース。イギリス人が経営する香港の会社が3年間で160億円も稼ぎ出し、法人税法違反に問われた。結局、社長は海外へ逃亡してしまったが、このグループも独自のソフトを使って大量に馬券を購入していた。 160億円は純益なのか、ハズレ馬券を差し引かない額なのかは不明だが、足のつかない場外馬券場で投票していたと言われている。馬券ベタな私には想像もつかないが、コンピューターソフトを利用して予想をし、生計を立てている人は現れてきているようだ。「ほはてい一直線」というブログを運営されている男性もその一人。公開されている2009年のPAT成績では、1億6千万円の購入に対して 回収率113%、1億8千万円の払い戻しを得ている。購入レース数は2800余り。趣味ではなく、立派な仕事である。男性は事業所得として正直に申告したそうだ。 ところが、税務署は一時所得であるとして、 1千万円の追徴を求めてきたという。税務署からの通知に記されたの理由とは

競走馬の着順に係る予想は、必ずしも的中するとは限らないため、 馬券を購入する行為と購入馬券の的中との間には相関関係がなく、 予想の結果がどのようなものになるかは、偶発性のみに由来すると 認められる上、競馬については、いわゆる必勝法はないとされている ことからすると、競馬に営利性があるとは認められません。 …当該行為から生じた所得について、営利を目的とする 継続的行為から生じた所得ではなく、事業所得には該当しないこととなります 。(「ほはてい一直線 2012/7/12」より)

税務署にとって、予想が的中するかどうかは賽の目を振って 当てるのと同じもののようだ。不確実性という観点からは株式投資やパチプロと変わらないと思うのだが、競馬だけは事業性が認められていない。男性は国税不服審判所への審査請求など係争を続けていく構えで、冒頭の事件とともに競馬と税金を巡る矛盾をあらわにし、根本から揺り動かす事態になりそうだ。裁判所などには社会通念に照らして、ごくごく常識的な判断を下すよう願いたい。

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2012.09.14

タップダンスシチー行方不明騒動 生きていた幸運活かせ

あるブログ記事から波紋を広げたタップダンスシチーの行方不明騒動。競走馬のふるさと案内所のサイト内、タップダンスシチーのページに「現在個人の牧場さんにけい養されており、見学等はできませんが、馬は元気にしているとのことです」との文章が掲載され生存が確認された。友駿ホースクラブの会員専用ページにも消息が伝えられた模様だ。最悪の結末も覚悟していたファンには胸を撫で下ろしたのではなかろうか。しかし、ジャパンカップ優勝馬といえど、なかなか所在すら把握できず、また今後の余生も決して保障されているわけではないという事実は、引退馬の厳しい環境をあらわにしたと言えよう。もとよりサラブレッドは経済動物であって用途がなくなれば処分せざるを得ないのは、競馬産業を維持していくうえで受け入れられねばならない現実だ。それでも競走馬を単なる博打の駒として扱うのではなく、馬に個性や物語性を帯びさせ、ロマンやスポーツ性を強調して馬券を売っていく以上、競馬場から姿を消したアイドルホースにファンの目が向けられるのは当然の成り行きでもある。ところが、生存が確認された今も、未だに一般のファンにはタップダンスシチーがどこの牧場で過ごしているのかすら知る手段すらない。

過去、繰り返し書いてきたので詳細は避けるが、優れた成績を収めた馬に対してはJRAが余生を担保する仕組みが必要だと私は考えている。現行のいわゆる年金制度(引退馬繋養展示事業)では、重賞勝ち馬のうち申請が認められた14歳以上馬について、所有者に月額2万円が助成されている。今年度は230頭が対象で、この中にはメジロライアン、ウイニングチケット、ダイユウサクなどG1馬も多くいる。しかし、養老牧場への預託料は少なくとも月5万円程度が必要とされ、その他に医療費など出費もかさむ。仮に6歳で引退すれば、助成を得られるまで8年の空白期間も生じる。年間60万円以上の経費がかかるのだから、馬主の懐次第で処分に至るのは自然なことだ。すべての重賞勝ち馬に余生を保障するのは理想にすぎるが、せめてG1勝ち馬だけでも救うことはできないだろうか。例えば優勝賞金の1割をJRAが預かって引退後に後払いしていくなど、個々の馬主やファンの善意に頼らない、安定した制度を導入する時期にあると考える。今回、もしタップダンスシチーが処分されていたらファンの大きな失望を招いたはず。生存していた幸運を競馬界は活かしてほしい。

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2012.09.06

タップダンスシチー安否は? 乗馬転用後に行方不明か

*競走馬のふるさと案内所のサイト内、タップダンスシチーのページに「現在個人の牧場さんにけい養されており、見学等はできませんが、馬は元気にしているとのことです」との文章が掲載。生存が確認された。(9/7追記)

ジャパンカップ、宝塚記念を勝ち、凱旋門賞にも挑戦するなどGⅠの舞台で息長く活躍したタップダンスシチー。その外国産馬初10億円ホースの行方が分からなくなったと、ウェブで波紋が広がっている。タップダンスシチーは引退後の2006年、日高町のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入り。初年度163頭、2年目は127頭の繁殖牝馬を集めたが、産駒は準オープンまで出世したドリームピーチ、秋華賞に出走したアンティフリーズらの活躍に留まり、種付け頭数は激減した。そのため、2011年のシーズンを以て種牡馬を退き、去勢されてノーザンホースパークで乗用馬として第三の馬生をスタートすることになった。そして昨秋、タップダンスシチーは福島県のノーザンファーム天栄に移動した。ここまでが公の情報なのだが、先月末、ライターの臼井隆宏氏が個人的に同馬に会いに行こうと滞在先を探した顛末をブログに掲載したところ、思わぬ結果に騒ぎが拡大した。

タップダンスシチーに会いに行くべく、いつなら見学しても問題ないのかを問い合わせてみた。すると、電話口の相手はこんなことを言った。「もういません」…どういうことなのだろう? とたんに、胸騒ぎがした。「4月に関東の●●ファームへ移りました」それ以上のことは知らない、という。「●●ファーム?」その牧場名自体は聞き覚えがあったので、電話を切ってからいろいろと検索してみた。すると、美浦(茨城県。競走馬のトレーニングセンターがある)の近くの牧場であるらしい。

私「はい、JRAでGIを勝っているタップダンスシチーがそちらにいたことがあると伺いまして」 先方「今はいません」 私「●●ファームさんには来たことがない、ということですか?」 先方「そうではないです。すぐに出ました。あと私も●●ファーム本体ではなく、関連会社の者なのでよくわかりません」/ 私「わからないって、連れ去られたわけではないでしょう? どこに、まではわからなくても、誰が連れて行ったくらいは…」 先方「……言えません」 私「言えない?」 先方「あの馬もいったん乗馬に下りたわけですよね、乗馬には乗馬の人生…いや人じゃないから馬生か(軽く笑う)、あるじゃないですか。おわかりですよね」 (takahiro.com『GI馬・タップダンスシチーは、どこへ?』)

上述のブログでも触れられているが、フジテレビの福原直英アナは4月、ノーザンファーム天栄でタップダンスシチーに跨り、「大学の馬術部に移籍するらしい」(新・馬、そしてそれ以外も)との話を聞いていた。ならば、どこかの大学に譲渡されているはずだが、ここまで騒ぎが広がっても安否情報が寄せられないことが、すでに殺処分されてしまったのではないかという懸念を増幅させている。しかし、これほどの有名馬、安易に手をかけるとは考えがたく、どこかで大切に世話されていると信じている。万が一、処理業者の元へ送られていたとしたら、功労馬の余生について議論が巻き起こるのは必至だろう。折しも今年1月、競馬界の年金制度と言える「功労馬繋養展示事業」において、予算の制約から交付金が従来の月額3万円から2万円に減らされ、支給開始年齢も14歳まで引き上げられていた。公的機関がジャパンカップ優勝馬の余生すら担保できない、所在すら把握できない現状は再考されるべきではないか。

引退馬の余生問題に対して正面から向き合っているのは民間団体が中心だ。年老いた元競走馬の多くが処分されるなか、養老牧場をつくる動きは各地で出てきているが、どこも厳しい資金状況にある。15年近く活動を続けているNPO引退馬協会は「フォスターペアレント制度」を収入の柱にしている。ナイスネイチャ、トウショウフェノマ、セントミサイルなど6頭のフォスターホースに、それぞれ里親となる会員を募って月2千円程度を寄付してもらう。1頭の馬をたくさんの人で支えようというのだ。この他、特定の馬を決めずに月1千円の会費を収める一般会員の仕組みもあり、私はこちらの方に登録している。日頃、競馬を楽しませてもらっている一ファンとして、わずかな一助にもなれればという思いだ。今回の行方不明騒動で功労馬の余生に問題意識を持った方がいれば、将来的に大きな枠組をつくるのとは別にすぐにできることとして、民間団体に寄付をする選択肢も検討してはどうだろうか。ともあれ、タップダンスシチーの無事を祈りたい。

>>”引退馬の年金”が大幅減額 支給年齢も引き上げ (2011/10/31)
>>シンコウフォレスト安楽死 割り切れぬ感情こそ大切に(2007/09/27)

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2012.08.04

史上最高2900万馬券の立役者 ミルファームと嘉藤貴行

暑い夏の新潟をさらに熱くする史上最高配当が飛び出した。驚く無かれ。2900万馬券である。4日5レースの新馬戦、嘉藤貴行が操るミナレットは14番人気の単勝万馬券ながら、最後まで粘ってクビ差の勝利。2着には12番人気ヘイハチピカチャンと10番人気ファイヤーヒースが同着で入線したため、3連単は2983万2950円と1491万6520円の高額配当が炸裂した。的中票数は前者が1票、後者が2票だったとされる。これまで1レースあたりの最高配当は中央競馬では1950万7010円(去年2月)、 公営競技全体では大井競馬の2488万7200円だったが、いずれの記録も上回ることになった。今回は2着同着で配当が割れたにも関わらず、これだけの配当がついたわけだが、もしヘイハチピカチャン1センチでもファイヤーヒースに先着していたら5000万円を超える馬券になっていた。WIN5が登場して2億円の払い戻しも現実になってはいるのだが、改めて3連単の破壊力を認識させられるばかりだ。

こうした馬券、常人には一生獲れないもの。 それでも、もしかしたら買えていたかもしれないという要素がある。ミナレットを所有しているのは、2歳戦で多くの活躍馬を送り出しているミルファーム。その方針は安く馬を仕入れ、徹底的に鍛えて早くから稼がせること。ミナレットも北海道オータムセールで、わずか84万円というお値打ち価格で落札されたスズカマンボ産駒だった。開幕週の新馬戦で単勝30倍をつけ、今日のダリア賞に出走したインティワタナもミナレットと同じセールで105万円で購入されている。中央に入厩させることすら躊躇われる価格だ。ほかにアイサレジョウズトルークマクトが未勝利を勝っており、ミルファームは2歳戦だけで今年4勝をあげているのだ。しかも、そのうち3勝は嘉藤の手綱によるもの。キャリア13年で重賞勝ちもない地味な存在だが、逃げ、先行させたらゴールまで粘らせる技術がある。3勝はいずれも似たような競馬だったから、十八番と言えるかもしれない。ミルファームと嘉藤の組み合わせ、 2歳戦で見かけたら要注意だ。

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