カテゴリー「気になるニュース&ブログ」の202件の記事

2012.04.24

顕彰馬選出なし 最多得票エルコンドルパサー2票に泣く

競馬界の発展に多大な貢献をした名馬の功績を讃える「顕彰馬」。23日、JRAは2012年度の選出はないと発表した。185人の記者による投票(1人2頭まで)が行われたが、選考基準となる4分の3(139票)に達した馬がいなかったという。最も票数の多かったのはエルコンドルパサーの137票で、 わずか2票足りずに涙をのむことになった。2位はスペシャルウィーク(82票)、3位はダイワスカーレット(40票)。以下は一桁の得票数で、該当馬なしは67票だった。 顕彰馬制度は1984年、JRA創立30周年記念事業の一環として制定され、野球などのスポーツでいう殿堂入りに相当する。これまで29頭が選ばれているが、記者投票へ選考方法が改められてから選ばれたのは4頭だけ。しかも、2004年のテイエムオペラオーとタケシバオーは特例として門戸を広げられたなかで選出されたもので、実質的に記者投票で選考基準に達したのはディープインパクトとウオッカのみである。どれだけ顕彰馬となるのが難しいか、よく分かろう。

2005年以降、そのディープインパクトとウオッカが選ばれた年を除いて、常に1位と2位を占めてきたのがエルコンドルパサーとスペシャルウィークだ。とりわけ、エルコンドルパサーは6度も最多票を獲得しながら顕彰馬になれずにいるのだから、何ともモドかしいと言うほかない。同馬が基準に届かない様はファンにとって春の風物詩であり、 まるで惜敗した凱旋門賞のゴール前を見ている気分にもさせられる。顕彰馬レースぐらい、すっきりと勝たせてやりたいと思うのだが。過去、エルコンドルパサーの得票は60%台に留まっていたが、今年は74%とハナ差まで脚を伸ばした。去年、ヒルノダムールやナカヤマフェスタがロンシャンの厚い壁に跳ね返され、13年前に彼の地で旋風を巻き起こした日本馬の偉大さが記者の脳裏に浮かんだのかもしれない。だからこそ、今年は本当に悔しい落選である。 来年以降、また登録を抹消されて1年経た馬が受賞レースに加わってくる。ブエナビスタ、ヴィクトワールピサ、オルフェーヴル…、票は最近の馬ほど流れやすい。エルコンドルパサーは最後のチャンスを逃したのではないか。

現在、顕彰馬は競走成績が優れているだけではなく、社会的ムーブメントにもなるほどの存在であることが求められている。そうでなければ75%を上回る票を得るのは困難なのだ。この点、顕彰馬制度が数年に1頭の名馬中の名馬を讃えるためにあるのか、あるいは歴史的、記録的な偉業を広く後世に伝えていくためにあるのか、どう趣旨を捉えるかによって現行の仕組みへの賛否も変わってこよう。前者ならばゼロ年代の10年に顕彰されたのがディープインパクト、ウオッカの2頭というのも不思議なことではない。一方、後者の見方なら、もう少し枠を緩くしたほうが良いと考えるだろう。1973年生まれからトウショウボーイ、テンポイントの両雄が選ばれているように、ウオッカの競走生活に欠かせないダイワスカーレットも顕彰馬とされるべきでないか。エルコンドルパサー、スペシャルウィーク、グラスワンダーの三強対決はTTGと同様、色褪せない物語として後世に刻む義務があるのではないか。 どちらが正しいということはないが、何を顕彰馬制度に求めるのか見つめ直すべき機会だと思う。

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2012.02.24

名伯楽・鶴留明雄師らが引退 ラストウィーク来る

競馬界は世間より一足早い卒業シーズン。今年は4人の調教師と4人のジョッキーが惜しまれつつターフを去る。栗東の鶴留明雄はGⅠ7勝、重賞32勝の名伯楽。去年、オルフェーヴルで三冠を達成した池添謙一は鶴留師が育てた弟子である。管理馬スイープトウショウとのコンビでは秋華賞、宝塚記念、エリザベス女王杯を制している。ちなみに池添の父である謙雄(現調教師)も騎手を引退後、 調教助手として鶴留厩舎で働いていた。私が初めて鶴留厩舎の華々しい活躍に感嘆させられたのは1991年の牝馬クラシックだった。ノーザンテースト産駒のノーザンドライバーは若き岡潤一郎を鞍上にしてデイリー杯、ペガサスSを連勝し、桜花賞ではイソノルーブルに次ぐ2番人気を集めた。このレース、最大のライバルは蹄鉄を履かずに走り、直線で後退。絶好のチャンスが訪れたかに見えたノーザンドライバーだったが、その3馬身先を橙色の帽子が駆け抜けていた。同じ鶴留厩舎、角田晃一の操るシスタートウショウであった。

シスタートウショウはオークスでイソノルーブルにハナ差負けるのだが、3年後の樫で鶴留は雪辱を果たすことになる。ブライアンズタイムの仔、チョウカイキャロルだ。デビュー前から距離適性を見抜き、桜には目もくれず フラワーC、忘れな草賞をステップにして3歳牝馬の頂点へと押し上げた。手綱を取っていたのは先日、自死した小島貞博。戸山為夫厩舎の解散後、乗り鞍を失って窮地に立たされていたベテランジョッキーに鶴留は手を差し伸べたのだ。翌年、小島貞とともにタヤスツヨシで悲願のダービー制覇も成し遂げた。鶴留は騎手時代、戸山に師事していたから、小島貞は弟弟子にあたる。体重増加に悩まされた鶴留は障害レースへ転身したが、戸山の勧めで調教師をめざすようになったという。他人の恩と心の痛みを知る人であるのだろう。 岡、角田、池添ら若手を積極的に起用し、ベテランも丁重に扱う姿勢は「馬づくりは人づくり」なる戸山の信念を体現したものだった。

ラストウィーク、鶴留厩舎は14頭もの攻勢をかける。注目は土曜の新馬戦でデビューするジュエルトウショウ。あのスイープトウショウの娘であり、母の主戦を務めた池添が跨る予定だ。有力馬には一流の外国人ジョッキーを起用するのが当たり前の風潮になっている昨今、 鶴留のような義理人情を重んじるやり方は流行らないのかもしれない。 だが、行き過ぎた振り子は必ず戻るもので、いずれ人を育てていく大切さが再評価される時期が来るのではないかと思う。この他、ラフィアンとのタッグで数々の活躍馬を送り出した稲葉隆一師、チョウサンで毎日王冠を制した清水利章師、親子鷹の高橋隆師と騎手の高橋亮、スマートボーイとのコンビが強烈な伊藤直人、現役最年長の安藤光彰らがムチを置く。 第二の人生が素晴らしきものになるよう拍手をして送り出したい。

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2012.02.03

未勝利・500万に出走制限? 狙いは東西格差の是正か

2日に発売された東京スポーツによれば、JRAは主要4競馬場で行われる未勝利、500万条件のレースで「地元馬が最優先で出走できるシステム」を導入するという。関東馬は東京、中山での優先出走権を、 関西馬は阪神、京都の優先出走権を持つことになる。新制度の最大の狙いは東西トレセン格差の是正とみられている。現在、強い関西馬が東上して勝ち星をさらって行くのは日常的な光景だが、地元馬に優先出走権が与えられるようになれば、フルゲートのレースでは除外対象となる。出馬ラッシュ続く昨今、関西馬を下級条件から締め出そうという、事実上の「出走制限」だ。

昨年の主要4場で3歳未勝利は栗東=236勝、美浦=200勝。 3歳上&4歳上500万下は栗東=182勝、美浦=145勝。合計では栗東所属馬が73勝も上回った。この出走制限が施行されると、JRAの試算では73勝中50勝は美浦に勝ち星が移り、東西格差の有効な緩和策となる。(東スポ)

近年、美浦では経営難から厩舎の廃業が相次いでいるが、「勇退」に追い込まれた調教師はまだ栗東にはいない。 新制度に対しては栗東から反発の声があがるのは間違いないが、苦境にあえぐ美浦に賞金を分配しなければ、壊滅的状況に陥るとJRAは危惧しているのだろう。また、美浦所属のほうが稼ぎやすいとなれば、関西で頭打ちになった馬を転厩させるオーナーも出てこよう。馬房を埋められない下位厩舎や新規開業するトレーナーにはプラスになる話だ。しかし、こうした保護主義的施策は、互いに競い合って質を高めてきた競馬界には似つかわしくないのは確か。結果的に東西のレベル差を固定化する懸念もある。JRAにとっては長距離輸送費のコストカットにもなるという新制度。「早ければ今秋から」と報じられているが、まだ時間があるだけに喧々諤々の議論が起きそうだ。

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2012.01.22

地方競馬 払戻率引き下げは経営安定をもたらすか?

今月招集される通常国会で競輪、オートレース、地方競馬の3つの公営競技について、払い戻し率を現行の75%から70%まで引き下げることを可能にする法案が提出されることになった。売り上げ低迷に苦しむ公営競技の経営を改善するのが狙いだ。大雑把に言うと、今は売り上げの75%が的中者への払い戻しに当てられ、残りの25%が賞金や経費など主催者の取り分になっている。これを払い戻しを70%に抑え、主催者が30%まで得られるようにしようというのだ。例えば笠松競馬の場合、「1%の引き下げで約1億円の増収が見込まれる」(岐阜新聞)との試算もある。仮に下限の70%に設定して年間5億円多い利益が出ることになれば、経営は非常に安定しよう。その分、切り下げの続いてきたレース賞金を上積みして、そうなれば質の高い馬が戻ってきてエキサイティングな番組を組めるかもしれない。笠松競馬ならオグリキャップ記念を再び交流重賞へと格上げするチャンスも生まれてこよう。岐阜県の古田肇知事は「笠松競馬存続に向けた命綱となりうる」(同)と強く制度改正を主張している。監督官庁の農林水産省も後押しする姿勢を示したという。

一方、こうした動きを不安視する声もある。払い戻し率の引き下げでオッズは下がり、ファンが得られる額は少なくなる。たかだか5%、当たれば誰も気に留めない。確かに750円でも700円でも的中の喜びに大きな差はない。しかし、地方競馬はオッズが低い、当たっても儲からないと人々の心理に広く浸透してしまうことで、中長期的にファン離れを引き起こす可能性は否定できまい。あるビギナーに、地方と中央、どちらで馬券を買ってみたいか問うたら後者を選ぶのではないか。また高額購入者によっては、より中央の馬券を買う比率を高める選択をするかもしれない。 さらに地方競馬同士がシェアを争う場面も想定される。法案では払い戻し率を一律70%に固定するのではなく、75%までの間で主催者が自由に設定できることになるようだ。とすれば、笠松や高知が70%にしても、比較的余裕ある南関東は75%に据え置く ことも考えられる。結果、払い戻し率を下げた競馬場は固定客を持っていかれ、売り上げを大きく減らすリスクがあるのだ。馬券販売にどれだけ影響があるのか、メリットはデメリットを上回るのか、半年や一年で見極められるものではない。今後、法案が可決されたとしても、 それぞれの地方競馬は難しい判断を迫られることになりそうだ。

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2012.01.07

骨折アドマイヤコスモス 上村洋行が完走の理由を説明

中山金杯で単勝2倍の圧倒的人気に支持されたアドマイヤコスモス。結果は大きく離されたシンガリ負けだった。スタートして5番手の好位を追走していたものの、3コーナーを過ぎてからズルズルと後退をはじめ、大きくスピードダウンして4コーナーを回った。直線は歩くようにしてゴール。勝ち馬からは9秒近く離されていた。レース後、馬運車で診療所に移送されたアドマイヤコスモスは右第3中手骨複骨折を発症していることが判明し、ウェブでは故障した馬を完走させたことについて批判が巻き起こった。もっと早く下馬するべきではなかったかというのだ。鞍上の上村洋行が異変を感じたのは2コーナーあたり。突っ張るような仕草をしたという。中山は例年より馬場が固く、それが原因ではないかと様子を見ることにした。しかし、3コーナー。上村は故障を発症したと確信する。

向正面で手前を変えだして「やはり何かが違う」と思いながら3コーナーに入った。 そして、右手前になった瞬間、完全に異常を感じてスピードを落とすことにした。 /おかしいと思った時点ですぐに止めることにしたものの、急に力一杯に手綱を引っ張れば後続に迷惑をかけて事故につながる恐れもあったし、一気にスピードが落ちたら追突される可能性もあったので、レース全体を壊さないようにするために、一気には引かずゆっくりとスピードを落とすことにした。 (「うえちんのひとりごと 上村洋行公式ブログ」より)

上村は決してゴールまで走らせようとしたわけではなかった。3コーナーは各馬が仕掛け始めてペースアップするところ。そこで急ブレーキをかければ、後続馬の転倒を招くかもしれない。それにアドマイヤコスモスの 「故障した脚にさらに負担がかかってさらに重傷になってしまう」(同ブログ) とも考えた。上村自身、少しずつスピードを落としてから止めたことが正しかったかどうかは分からないと、正直に述べている。素人目に見れば、直線は馬群から遙か後方に置かれ、馬を止めるのにも十分に減速しているように思えた。だが、そこはプロの判断を尊重するしかないだろう。今回の件は06年、ゲートで脳震とうを起こして大量に出血しながら1分遅れで完走した*「ウインレジェンド事件」とは異なる。このときは騎乗した長谷川浩大が気が動転し、明らかに止めるべきケースで下馬しなかったわけだが、上村の場合は止めるタイミングを探りながら走らせ、結果的にゴール板を過ぎてしまったのだった。

レース当日、上村は公式ブログで 簡単に事故の経緯を説明した。そこに多くのコメントが寄せられ、ファンたちが疑問を持っていることを知ると、より詳しい事情を次回の更新で明らかにした。ウェブを通じて当事者が直接、ファンへ説明する機会が設けられたのは歓迎すべきこと。なぜアドマイヤコスモスを完走させたのか疑念を持っていたファンも、上村の言葉に氷解させられたのではないか。辛辣なコメントも少なくなかっただろうが、冷静に対応した上村に敬意を表したい。最近、ツイッターで多くのフォロワーを集めていた後藤浩輝や福永祐一などのジョッキーたちが相次いでアカウントを停止している。福永はファンからの誹謗中傷を目にして 「なんでここまで言われなあかんわけ?」と反論。その10日後、ツイッターをやめることをアナウンスした。

今まで2ちゃんねるとかで色々書かれてるとか聞いても、名前も顔も分からん奴に何言 われても気にしなかったし、実際確認することもなかったんですが、Twitterだと直接送 られてくるんでついつい見てしまうし、見ると気になってもっと見てしまう。 /気にしなければいいんだけど、死ねとか辞めろとか言われるのはやっぱり気分の良い もんじゃない。お金がかかってるから仕方のないことかもしれないけど・・。 (@yuichi_fukunaga)

当然のことだが、ジョッキーも人間。心ない言葉を投げられては、わざわざ情報発信しようとは思わなくなる。素直な疑問や根拠を示した批判をぶつけることに臆するべきではないが、ファンの側も関係者の感情を汲み取って発言することが求められよう。ただ、そんな当たり前のことは大部分のファンは心に留めているのも事実だから、こうした問題の解決策も見出しにくいのだが。

*記事内でリンク先を貼り間違えていました。手直ししました。

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2011.12.17

JRAのギャルゲー「ウマドンナ」 プレイヤーは馬!

今月11日に公開されたJRAのブラウザゲーム 「My sweet ウマドンナ~僕は君のウマ~」が話題を呼んでいる。 JRAがリリースしたゲームと言えば、 昨年の「JAPAN WORLD CUP」を思い出すファンも多いはず。 手作りサラブレッドのハリボテエレジーなど、奇想天外な馬と騎手による アニメーションは一大ブームを巻き起こし、 キャラクターがフィギュア化されたり、高い作品性が評価されて数々の賞を獲得するなどした。今回のウマドンナはシュールさを押し出した前作とは違い、美少女キャラクターが登場する「ギャルゲー」なるジャンルに属する。 オールドファンには「プリンセスメーカー」や「ときめきメモリアル」といった 一世を風靡したシミュレーションもギャルゲーだと言ったらイメージしやすいか。 有馬記念を目前に控えた歳末、JRAが競馬に興味ないオタク層をギャルゲーを通じて引き入れたいと開発したウマドンナ。もともとアニメファンと競馬ファンは重なりあう層も多いとされ、新規顧客開拓のターゲットとしては的を射ていると言えるのかもしれない。

さて、そのウマドンナ。JRAが豊富な資金を注ぎ込んだとあって、声優、原作、CG制作にはその世界では名の知れたスタッフが担当しているらしい(私はまったく分からないが)。そして、何よりユニークなのがプレイヤーは騎手でも調教師でもなく「ウマ」であること。プレイヤーは遅れてトレセンに入厩してきた3歳馬。厩務員の松田あすかに共に有馬記念をめざそうと励まされ、調教師の夢路寿には厳しいトレーニングを課される。人参が欲しいとねだると、あすかが口でくわえて食べさせてくれたり、 プール調教を選ぶと夢路がセクシーな姿を披露してくれたりする。一歩、間違えればエロゲーになってしまいそうな展開。JRAとしては踏み込んだ内容ではなかろうか。 ともあれ、プレイヤーは「ウマドンナ」たちと会話し、成長しながら、 レースでの勝利をめざすことになる。3人目のウマドンナ、騎手の藤沢紅莉栖は18日(日)に登場することになっている。ギャルゲーには興味ない競馬ファンも、あちらの世界を垣間見る機会と、楽しんでみることをお勧めしたい。

>>「My sweet ウマドンナ~僕は君のウマ~」

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2011.10.31

”引退馬の年金”が大幅減額 支給年齢も引き上げ

いま政府は年金の支給開始年齢を68歳まで引き上げる見直し案を検討中。そうなれば45歳以下の世代は払い損となり、 老後の安泰のためにはWIN5で2億円当てることも大真面目に考えなくてはならなくなりそうだ。一方、競走馬の世界では一足早く”年金”の大幅減額と支給年齢の引き上げが決まって、引退した功労馬たちが厳しい状況に置かれている。 日本では引退馬のうち繁殖にあがれるのは一握りで、残りの多くが屠殺されているのが実状だが、1996年、せめて活躍した馬だけでも命を救おうという働きかけがなされて「引退名馬けい養展示事業」が始まった。これは繁殖や乗馬に供されていない重賞勝ち馬に対して JRAが関連団体(軽種馬育成調教センター)を通して月額3万円を 所有者に交付する制度。2007年には「功労馬繋養展示事業」と改称され、支給範囲も地方ダート重賞の勝ち馬まで広げられた。

しかし、対象馬が200頭以上に増加するなどしたため、 来年1月から交付金が月額2万円に減らされ、支給開始年齢も14歳まで引き上げられてしまったのだ。70頭の引退馬を繋養しているNPO・ホーストラスト(鹿児島)では、制度を利用してタイキブリザード(安田記念)、エイシンワシントン(セントウルS)、 ハギノリアルキング(日経新春杯)、オースミロッチ(京都大賞典)といった功労馬が飼われている。月3万円は預託料としてはギリギリで、 減額されれば赤字になってしまう。そのため、ホーストラストではファンから功労馬スポンサーを募る事態に追い込まれている。 同様の現象は各地で起きていると予想され、また支給年齢の引き上げによって今後は重賞勝ち馬でも行方不明とされるケースが増えるかもしれない。従来、競馬界では引退馬の余生から目を背ける風潮が強く、2002年には種牡馬として輸入されたケンタッキーダービー馬・ファーディナンドが屠殺されて国際的な批難を浴びたこともあった。来年度、中央レース賞金の26億円 カットが決まるなど財政状況は芳しくないが、年間1億円に満たない功労馬の助成金は何とか確保してもらいたい。そう言えば、最近はこんなニュースもあった。

会計検査院は21日、日本中央競馬会(JRA)が全国の競馬場などに設ける 自動販売機や売店の運営に、子会社を介在させる不要な随意契約を結び、 2009年と10年に計約4億5千万円が子会社のもうけになっていた、と指摘した。東京競馬場など8カ所の競馬場と29の場外馬券売り場で、子会社のJRAファシリティーズ( 東京)が随意契約でJRA施設の一部を借り、運営している自販機や売店の収支を検査院が調査 。同社は実際の運営を飲み物や競馬新聞などを販売する会社に委託していた。 (時事通信)

天下り先に利益を落とすため、毎年、膨大な支出が無駄になされているJRA。 飯の種であるサラブレッドに、もう少し敬意が払われてもよくないか。

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2011.10.25

”ベルシャザール敗因は持病” 後出しコメントはズルい? 

菊花賞、皆さんの期待に応える事が出来ず、すみませんでした…。彼の抱えているDDSPという病気、舌が喉に詰まってしまう症状なんですが、それが前半力んだせいで出てしまい呼吸がうまく 出来ず、向正面ではもう余力がありませんでした。(@510gotty)

レースが終わって1時間余り、後藤浩輝がツイッターで呟いたファンへのメッセージが波紋を広げている。後藤が騎乗したのは松田国英厩舎のルシャザール。 日本ダービーで3着に好走し、前哨戦のセントライト記念でも4着に健闘した同馬は6番人気と伏兵の一角に支持されていた。しかし、直線では良いところなく後退し、 勝ち馬から5秒以上離されたブービー負けを喫した。 この大敗の原因は「DDSP」だと、後藤は明かしたのだ。 ツイッターだけではなく、マスコミに対しても同様のコメントをしていた。 例えば週刊ギャロップには「DDSPなので前半にリキんだぶん、下を巻き込むような感じになって 呼吸困難を起こしていました。それで、向こう正面ではガス欠になって…」と、ほぼ同じ内容が掲載されている。後藤としては 「敗因を隠す方がおかしい」(@510gotty)と考え、ファンが知りたいと思ったことを誠実に伝えたのだろう。しかし、一部のフォロワーから 「病気持ちなら先に言え」などと厳しいツイートが寄せられ、 さらには評論家からも失望したとの声があがった。

凡走して後だしのように実はDDSPでしたとか言われても、ファンは納得しないだろう。いや 、後藤は別に悪くない。騎手の立場では分かっていても言えないだろう。問題は松田国調教師である。/ そりゃ調教師にしても、馬主に対しての遠慮や、あるいは多少の症状では走ってしまうこともあ るから事前に言わなかったという判断をしたのかもしれないが、それでも敢えて言いたいのは、 こんなことをするからファンが逃げるのだということだ。 (水上学「白線の内がわ」より)

この後、水上は2006年のジャパンカップでハーツクライを管理する橋口弘次郎師が、レース前にノド鳴りを発症していることを公開したことを引き合いに出し、「それに比べれば、今回の後出しコメントはただただ、残念だったというしかない」 と批判している。確かにファンにとって、競走能力に影響ある情報は知っておきたいところだ。一方、限界まで調教される競走馬の多くは何らかのトラブルを抱えているのが常。また水上も述べているように、症状があっても走ってしまうケースは少なくない。どこまで何を事前に公開すべきか、線を引くのは難しいのだ。それに理想はマイナス情報もすべて開示されることだとしても、現実的な方策は思い浮かばない。現状、99%のケースは黙って見過ごされているなか、橋口師が立派なのは違いないが、とても松田国師を卑怯だと責める気にはなれないのだ。勝負事ゆえレース前に弱みを見せたくないのは自然な心理であり、今後も重賞、条件戦を問わず、 こうした情報は当事者からは漏れてこないだろう。かつて、桜花賞やオークスの前には 有力牝馬がフケになっていないか、血眼になって観察する記者がいたもの。日々、馬を見ているトラックマンたちに重大な変化を見ぬく取材力を発揮してもらいたい。

ところで、ツイッターで辛辣な言葉を浴びせられた後藤。 「はっきり言って今日の絡んできたやつはFU○Kです」 「ばーーーーーーか( ´Д`)y━・~~」 「俺はもう酔ってるから何を言ってもムダ(^O^)/」 と、酒の助けも借りて言いたい放題リプライを返している。 呆れる発言が並ぶが、これは後藤のキャラクター。武豊や福永が同じことをすれば週刊誌ネタにもなろうが、多くのファンはいつものことと受け止めているのではなかろうか。 優等生ばかりの言動では競馬界はつまらない。今回の発言に軽率な面はあるだろうが、後藤のようなジョッキーがいるのはプラスになると思う。自ら本音を発信することを関係者に求めるなら、ファンの側も多少の寛容性を持って受け取るべきではないか。今回も後藤がコメントしなければ不可解な敗戦で片付けられていたはず。あとはJRAや調教師から後藤がお灸を据えられないことを祈る。

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2011.10.20

JRA騎手免許 戸崎圭太は学力試験で門前払い

デイリースポーツによれば、20日、来年度のJRA騎手免許の第1次試験の結果が発表されたものの、大井所属の戸崎圭太は不合格だったことが明らかになった。 戸崎は南関東のリーディングジョッキー。 中央遠征で09年は21勝、10年は22勝をあげ、リアルインパクトで今年の安田記念を制している。 しかし、過去3年間に20勝以上を2回収めた者は学力試験が免除される ”アンカツルール”は一昨年に廃止されており、 戸崎は一次試験のペーパーテストから臨むことを余儀なくされていた。 ルール改正後、合格者は出ていなかったため、 地方から騎手を流入させないようにする方針転換ではないかという指摘もあった。 こうした保護主義的な措置は、地方や外国人に活躍の場を奪われているJRA騎手の不満を汲んだものと見られる。だが、国内最高レベルのジョッキーである戸崎が学力テストで門前払いされたことは、 騎手免許のあり方が再び問い直される契機になるかもしれない。 なお、1次試験では騎手1名が通過している。

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2011.10.11

南部杯の悲劇 岩手の星・ロックハンドスター安楽死

競馬界が心をひとつにして、岩手競馬を支援した10月10日。 東京競馬場で岩手のファンファーレが鳴り響いた直後、悲劇は起きた。 マイルCS南部杯、ロックハンドスターは芝コースからダートコースに入る際、芝の切れ目に驚いて転倒。右上腕骨を骨折して予後不良となり、安楽死の措置がとられた。 落馬した菅原俊吏騎手は 「芝の切れ目でジャンプしてしまった。返し馬でその部分は見せたのですが…。申し訳ない」 (日刊スポーツ)と肩を落とした。 ロックハンドスターはマーベラスサンデー産駒の4歳馬。 去年、岩手ダービー、不来方賞、ダービーグランプリを制して 岩手三冠を達成。文句なしの年度代表馬に選ばれていた。 馬名の由来は「ロック=岩」「ハンド=手」「スター=星」、岩手の星となることを願ってつけられた。 その通り、苦境にある岩手競馬の核となりファンの期待を背負ってきた。 今年はシーズンが開幕してから調子が上がらず、3戦して負けが続いていた。 それでも岩手代表の矜持と責任を携えて臨んだのが、府中で行われることになった南部杯だった。

府中のダート1600メートルはスタートに難のあるコース。 競馬場の形態から芝に発走地点が置かれ、内枠の馬は150メートル、 外枠の馬はさらに30メートル余計に芝を走らなくてはならない。そのため、芝でのダッシュの巧拙がレースに少なからず影響し、ダート王決定戦の舞台としては適切ではないとする見方もある。また、今回のロックハンドスターのように芝とダートの境目に驚いたり、バランスを崩すケースは散見される。コース取りの制約から芝スタートは現状はやむを得ないものだが、改善を求める声は強くなるかもしれない。競馬はサラブレッドの事故から逃れられないものである。しかし、競馬界が被災地復興に力をあわせる記念碑的なレースで、 最悪のアクシデントが岩手のスターホースに起きてしまったことは無念としか言いようがない。今年の南部杯の売り上げは70億2941万円と去年の14倍を記録した。このうちの一部が岩手競馬へ拠出されることになる。中央や他場のファンができることは、折に触れて岩手の馬券を買うこと。決して荒尾の後を追わせてはならない。岩手の星よ、安らかに。

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