カテゴリー「海外競馬」の52件の記事

2009.09.30

凱旋門賞展望 シーザスターズ母仔制覇へ高まる期待

圧倒的な強さで凱旋門賞を制するザルカヴァを目の前で観てから一年。ロンシャンの雰囲気があまりに幻想的だったのと、公私とも色々なことがありすぎたのとで、もう何年も経ったかのような錯覚に陥る。今年はブエナビスタが参戦を表明して、ディープインパクト以来の凱旋門賞フィーバーがやってくるのかと期待していたが、札幌記念惜敗で国内専念。がっかりしたファンも多いだろうが、ブエナビスタがいなくとも、今年の凱旋門賞(日本時間10月5日深夜)は胸ときめかす豪華メンバーが揃った。ついついフライングして、そんなヒロシに騙されたわけでもないのにヒロシTMの観戦ツアーに申し込んでしまった人々も、何も肩を落とす必要はない。仕事さえなければ、私もヒロシに抱きついて飛んでいきたいぐらいだ。

>>凱旋門賞リポート 最強牝馬が誕生したロンシャンの一日(08/10/08)

もちろん、お目当てはシーザスターズだ。英2000ギニー、英ダービーと20年ぶりに英クラシック二冠を制し、愛チャンピオンSまでG1を5連勝。母は凱旋門賞馬のアーバンシーで、英ダービー馬・ガリレオを含めて5頭のG1ホースを産んでいるのは凄い。アーバンシーは今年3月、出産直後に亡くなってしまったが、シーザスターズには母仔凱旋門賞制覇が賭けられている。この偉業、アーバンシーが勝った翌年の凱旋門賞で、カーネギーが母デトロワに続いて達成している。シーザスターズが勝てば史上2度目となる。同馬は父がグリーンデザート産駒のケープクロスということもあって、スタミナ不安が必ず囁かれていたが、前走は渋った馬場でフェイムアンドグローリー(英ダービー2着)を退けており、多少の雨が降っても優位は動かないだろう。

歴史的名馬の誕生に待ったをかけるライバルはいるのか? 前述フェイムアンドグローリーはモンジュー×シャーリーハイツ。馬場が泥田のように悪化すれば逆転の目が出てくる。その時は主役が回避している可能性も高いが。ヴェルメイユ賞は繰り上がり1着ではあったが、3歳牝馬・スタセリタは魅力的。鞍上はルメール。ザルカヴァと比べるのはかわいそうでも、無敗の6連勝は同馬を彷彿とさせる。ブエナビスタのライバルと日本の新聞では書かれていたが、確かに日仏オークス馬対決は見てみたかった。全87回の凱旋門賞のうち54勝をあげている3歳馬からは、他にヴァルリーマンが相性のよい前哨戦・ニエユ賞から参戦する。古馬ではBCターフを勝った異色のセントレジャー馬・コンデュイットだが、前々走ではシーザスターズに一蹴されている。個人的には去年、こっそり馬券を買い込んだチチカステナンゴ産駒のヴィジョンデオタに注目している。

お知らせ:
今月に入っても濁流の如き仕事の勢いは衰えず、ブログ更新も停滞しております。貧乏暇なし。この5ヶ月ほど、休日は十指に満たず、出張と徹夜の日々です。来月半ばには絶対に連休を取ってやると心に決めていますが、それまで更新はお休みさせていただくかもしれません。

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2009.03.29

速報:ドバイWCデー 日本勢は世界の壁を破れず

直線ダート1200メートルで行われたゴールデンシャヒーンは、ビッグシティマン(サウジ)が後半、力強く抜け出して快勝。去年の米最優秀スプリンターのインディアンブレッシング(米)は2着に敗れた。武豊騎乗のバンブーエールはスタート後、先手を取ることができず中団からの競馬。中盤のペースアップについていけずに置かれる形になったものの、武豊が外へ進路を取り直すと脚を伸ばして4着で入線した。2着馬と5馬身以上の差が開いたが、前評判を考えると大健闘と言って良い結果だろう。

日本からウオッカが挑戦したデューティーフリー(芝1777)は、グラディアトゥーラス(首)が圧倒的な強さを見せて、逃げ切り勝ちを収めた。武豊のウオッカは3番枠から好スタートを切ると、逃げるグラディアトゥーラスをマークして2番手につける。道中、逃げ馬は徐々にスピードをあげ、5馬身ほどの差をつけて直線へ。満を持してウオッカは追い出されるが、先頭との差は詰まらない。直線半ば、ウオッカは逆に手応えを失って馬群に飲み込まれ、7着に敗れた。ウオッカは折り合いを欠いた様子もなく、不利もなかった。

日本勢、最後の期待が賭けられたカジノドライヴはワールドカップ(ダ2000)に出走。安藤勝を背にした同馬は、まずまずのスタートを切ると、内ラチ沿いのおよそ5番手の好位置につける。しかし、他馬に接触するなどして、次第にポジションを下げていく。直線は伸びる気配なく、上位争いに加われず8着に沈んだ。勝ったのは去年3着のセン馬、ウェルアームド(米)。好スタートからハナに立つと、後続を大差離したままゴールした。今年の日本勢はバンブーエールの4着が最高成績となり、世界の壁の厚さに涙を呑む結果となった。

>>ドバイワールドカップ・レース映像(JRA)

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2009.03.26

ドバイWC展望 カジノドライヴ・ウオッカが世界へ挑む

WBC、ワールドベースボールクラシックで日本は大会2連覇。グラウンドには日の丸が大きく広げられ、私たちを歓喜の渦へと巻き込んだ。競馬界も負けてはいられない。日本時間28日深夜、競馬のWBCとも言うべきドバイワールドカップデーが開催され、日本からも3頭の有力馬が世界制覇へ挑む。最高峰のワールドカップに出走するのはカジノドライヴ。前走、フェブラリーSで勝ちに等しい2着と、早くからアメリカで活躍した素質馬が本格化の兆しを見せた。鞍上は安藤勝。強敵はアルバータスマキシマス(米)。昨秋、BCマイルを制し、年明けもドンHを勝って順調にきている。だが、例年のアメリカ代表に比べると一枚落ちの感は否めない。UAE三冠馬のアジアティックボーイ(首)は休養後、年明け3戦目となり復調気配。去年2着の雪辱を果たせるか。いずれにせよカジノドライヴは伏兵扱いで、マークは緩いほど好走の期待は高まる。思い切った先行策で、ほぼいきそうになるぐらいのレースを見せてほしい。

もっとも人気を集めるのは、デューティーフリーに参戦するウオッカだろう。鞍上は武豊。去年、このレースで4着だったコンビのリベンジとなる。牡馬一線級を相手に安田記念、天皇賞秋を勝ち、ジャパンカップでも3着と好走し、その後はデューティーフリーを目標にして調整が続けられてきた。前走のドバイ・ジェベルハッタでは直線でまったく前が開かずに5着に破れたが、本番前の一叩きと捉えれば悲観することもあるまい。ライバルは去年3着で、香港・QUE2世Cを制したアーキペンコ(首)。昨夏はアーリントンミリオンSでも2着するなど実力はトップレベルだ。昨秋、仏・フォレ賞でナタゴラを3馬身置き去りにしたパコボーイ(英)も強い。今季初戦だが仕上がってさえいれば。ゴールデンシャヒーンにはJBCスプリント馬のバンブーエール(武豊)が挑戦する。なかなか日本馬は上位進出が難しいレースだが、頑張ってほしい。

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2009.02.21

鼻出血発症 ブラックエンブレムは最下位に敗れる

20日、ドバイ・ナドアルシバ競馬場で行われたバランチーンS(首G3)に出走したブラックエンブレムは、レース中に鼻出血を発症。馬群から大きく離されて最下位9着でゴールした。鞍上をキネーンに好スタートを切ったブレックエンブレムは3番手を追走。上位争いをするかに思われたが、4コーナーで失速。直線では馬を止めるようにして、最後は歩きながら入線した。当初、同馬は今月5日のケープヴェルディSに出走する予定だったが、先月28日、調教中に鼻出血を発症。3週間の出走停止処分を受け、その後、調教再審査をパスしていた。ブラックエンブレムは鼻出血以外には馬体に問題はなく、今後は帰国して国内のレースをめざして再調整されることになりそうだ。

ブラックエンブレムが出走に漕ぎ着けるまでには、様々な苦労があったことが小島茂之師のブログに綴られている。薬やサプリメント、マイクロレーダーなどの使用可否の問い合わせから、ドバイ、経由地の香港におけるインフルエンザ予防接種の取り扱い。渡航前の段取りを組んだレーシングマネージャー、輸送から機内まで帯同した獣医、0泊3日で2度も現地に駆けつけた装蹄師、調教のため寄り添った池田騎手…。実に多くの人々の協力があって、海外遠征がなされることも良く分かる。日本ではレース24時間前まで投与できる鼻出血の薬が、ドバイでは48時間前までしか許されなかったそうだ。この影響もレース結果にあったかもしれないとのこと。忙しい中、ファンへこうした細かな情報を提供しようという小島茂師の姿勢はありがたい。

現在、ドバイでは他に2頭の日本馬がレース向けて調教を積まれている。前走、UAE1000ギニーで2着に好走したアースリヴィングは、今月26日のUAEオークスで勝利をめざす。ドバイデューティフリーを最大目標にするウオッカも、19日に無事に到着。来月5日のジュベルハッタSをステップに本番へ向かう。先日、開設された日本馬の海外遠征情報を提供する「Team Japan Keiba」でも、日々の出来事が詳しくリポートされていた。近い将来、有料化されるようだが、今はウオッカの機内での様子など、なかなかファンが目にすることができない映像も公開されている。新しい試みとして成功するのか注目してみたい。

>>バランチーンS・レース映像(2/20 7レースを選択)

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2008.11.06

カジノドライヴ最下位の敗因? 導入進むオールウェザー

今週、アメリカは歴史的な大統領選に沸いたが、2日、競馬界でもあるレコードが生まれた。ケンタッキーで開催されたファシグティプトン・ノヴェンバーセールにおいて、繁殖牝馬ベターザンオナー(12歳)が1400万ドル(14億円)で落札されたのだ。ベターザンオナーはベルモントSを制したジャジル、ラグストゥリッチズを産んだ名牝で、カジノドライヴの母親でもある。ところで、少し前の話になるが、そのカジノドライヴが挑戦したブリーダーズカップ・クラシック(サンタアニタ)を振り返ってみたい。ステップレースとして選んだ条件戦を勝ったカジノドライヴは、未知の魅力と血統が期待されて4番人気に推された。しかし、レースはスタートからハナに立つ予想外の展開を強いられると、3コーナーではライバルたちに飲み込まれ、結局、最下位の12着という惨敗に終わった。ひょっとしたらと淡い期待を抱いていた日本のファンには実に残念な結果だった。

今年のブリーダーズカップで最も注目を集めたのは、ダート最強馬・カーリンのクラシック出走だった。去年、BCクラシックを勝ち、返す刀でドバイワールドカップも制したカーリンは、一度は凱旋門賞挑戦を表明した。だが、初芝となったマンノウォーSで2着に敗れたカーリンは、ロンシャンではなく、再びダート路線へ舞い戻ることにした。馬場適性を考慮しての判断だった。 BCクラシックでは連覇確実と見られ、圧倒的な1番人気を背負ったカーリン。ところが、直線は先頭に立つ場面もあったものの、伸び脚を欠いて4着に敗れてしまった。 1、2着はヨーロッパから遠征して来たレーヴンズパスヘンリーザナヴィゲーター。ともにマイルまでしか出走経験がなく、G1勝ちはあるものの格下馬との評価を受けていた。それだけにカーリンが良いところなく交わされ、芝のスペシャリストである欧州勢のワンツーフィニッシュは地元ファンには大きな衝撃を与えた。

レース後、カーリンの手綱を取ったアルバラードは「オールウェザーが得意ではなかった」と述べ、馬場が敗因であると指摘した。今回、BCクラシックが行われたのは、ここ数年、急速に広がりを見せている人工素材を用いたオールウェザー(全天候型)トラックだった。クッション性に優れていて事故が少ないと、アメリカではダートの代わりにオールウェザーを使うべきだとの議論がなされ、カリフォルニア州では大きな競馬場には設置が義務付けられて、サンタアニタでも導入が図られた。日本でも去年、オールウェザーの一種であるポリトラックのコースが美浦トレーニングセンターにお目見えしている。一口にオールウェザーと言っても、どのような素材を使うかはメーカーによって異なっている。以前、サンタアニタはクッショントラックを試したものの、豪雨にで開催中止に追い込まれることが何度も起きて、今年、オーストラリアのプロライド社製のものに切り替えた。まだオールウェザーは手探り状態だ。

ダートの代替手段として脚光を浴びたオールウェザーだが、表面は砂が撒かれているとは言え、まったく違った適性が必要なのではないかとの見方が強くなっている。カーリンの敗戦はそれを裏付ける結果にもなった、一方、欧州の芝中距離で無敵を誇ったデュークオブマーマレードも大敗しており、芝馬だから走るとも一概には言えないようだ。カジノドライヴ陣営もオールウェザーは合わなかったと見ており、それがJCダート参戦の動機にもなっている。山本オーナーは次回、渡米する際にはオールウェザーは使わず、ダートに絞って出走させると明言している。来年、BCクラシックは同じサンタアニタで行われるが、事前に適性を判断できない日本馬にとっては、オールウェザーへの遠征は難しいものになった。今後、オールウェザー導入を巡って、世界でどんな動きがあるのか、しばらく注視する必要がありそうだ。

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2008.10.24

3戦3勝カジノドライヴ BCクラシックで頂点に挑む

日本時間、26日(日)朝7時45分、日本のカジノドライヴが出走する米G1・ブリーダーズカップクラシックが行われる。カジノドライヴは半兄にベルモントS勝ち馬のジャジル、半姉に同じくベルモントS、ケンタッキーオークス勝ち馬のラグズトゥリッチズがいる超良血馬だ。今年2月に京都で新馬戦を大差勝ちすると、国内のレースには見向きもせずに渡米。期待通り、5月のピーターパンSを快勝したものの、ベルモントS直前に挫石が見つかって出走回避を余儀なくされた。兄姉弟のベルモントS三連覇の記録はならなかったが、今秋、管理する藤沢和雄師はBCクラシックで雪辱を果たすことを決断。世界最高峰の舞台へ駒を進めることにした。

最大の焦点は馬場にある。芝でもダートでもない、オールウェザーという新しい馬場で施行されるのだ。オールウェザーはクッション性が良く、水はけにも優れた人工素材でできており、欧米を中心に導入する競馬場が増えている。日本でも美浦トレセンでオールウェザーのひとつである、ニューポリトラックの調教コースが去年、完成している。カジノドライヴは12日、本番と同じサンタアニタパーク競馬場のオールウェザーで行われた条件戦を楽勝しており、馬場に戸惑う心配はなさそうだ。オールウェザーはダートより芝に近いとも言われ、初体験となるダートチャンピオン・カーリン(去年の覇者・ドバイWC勝ち馬)がどんなレースを見せてくれるのかも楽しみだ。

今年、BCクラシックにはデュークオブマーマレードら、欧州勢が3頭出走する。デュークオブマーマレードは先の凱旋門賞では重い馬場と長い距離に苦しめられて惨敗したが、2000メートルの適距離に戻る今回は本来の強さが発揮できるのではないだろうか。枠順が発表されている。カジノドライヴは2番枠、デュークオブマーマレードは4番枠、カーリンは9番枠に入った。カジノドライヴは一部では「追い切りせず本番へ」と報じられたが、速い時計ではなかったもののオールウェザーで5ハロン70秒程度の最終追い切りをこなしており、イレギュラーな過程もなく順調に仕上げられたとみて良いようだ。カジノドライヴは4番人気程度。内枠と持ち前の先行力を生かした思い切った競馬を期待したい。

>>第25回 ブリーダーズカップクラシック(JRA)

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2008.10.08

凱旋門賞リポート 最強牝馬が誕生したロンシャンの一日

10月5日、ロンシャン競馬場のあるブローニュの森は強い風と断続的な雨に見舞われていた。前日の青空と打って変わった悪天候。派手な帽子で着飾ったご婦人たちが少し可愛そうなほどで、どこか波乱を予感させる雰囲気もあった。1レースが始まるのは13時45分だが、 12時すぎから場内は人で溢れていた。すでにパブリックスタンドは立錐の余地もないほど。日本人の姿も多い。正面入り口の右脇に設けられた日本語ブースには、競馬ファンのみならず、普段は馬券を買ったことがない日本人も集まり、スタッフの女性が対応に追われていた。場内に数軒あるグッズを扱うギフトショップも盛況だ。Tシャツ、ジャンバー、双眼鏡、ペンに ストラップなど、様々な凱旋門賞グッズがファンを引き付けていた。場内の大型ヴィジョンには、次々と高級車で到着する要人たちの様子が映し出される。社台の吉田照哉、和子夫妻も登場。凱旋門賞のひとつ前のレースには 、武豊騎乗で持ち馬が出走する予定になっている。

第2レースは向こう正面の直線を走る1000メートル戦、アベイユド・ロンシャン賞。スタートで、1頭、ゲートが開かない。他の馬はあっ という間にゴールまで駆け抜けたというのに。このレース、日本で言うところのカンパイになった。最終レース後にやり直しになるという。もし、凱旋門賞で同じトラブルが起きていたら大変なことだっただろう。とはいえ、このレースも格式あるG1である。そうしたトラブルに目をつぶれば、凱旋門賞当日の雰囲気は非の打ち所がない。歴史の重みを思い起こさせる過去の優勝馬の紹介映像。さらにライブでは、20台以上はあるだろうカメラを使い、検量室、パドック、コースまで騎手、関係者、サラブレッドを追って、巧みに映像を組み合わせる。ドリー、アップ、煽り、ワンカットごとが映画のシーンのようで飽きない。レースを演出するクラシック調の荘厳な音楽も効いている。日本のマンネリ化したファンファーレが子どもじみているようにさえ思えた。この辺りは参考にすべきところではないか。

よくヨーロッパの競馬場は賭博場ではなく、紳士淑女の社交場だと言われる。確かに鈴木淑子のような帽子をかぶった婦人や、スーツにネクタイをした男性も多い。だが、一般スタンドを埋め尽くす、ほとんどのファンはジーパンにジャンパーといった普段着である。目の前のカップルは競馬そっちのけでキスに熱中。そうしたなかでフォーマルな格好をしているほうが、珍しかった。日本人はきちっとしたジャケットを着ている人もいたし、ラフな格好をした人もいたが、どちらも浮いているようなことはなかった。着物の女性がいたのは驚いたが。ディープインパクトの年と違い、日本人の数は知れたものだし、ミーハーなファンも少なかったのだろう。レーシングプログラムの争奪戦など皆無で(結局、余っていた)、パドックに武豊が出てきても、「がんばって」と遠慮気味に声がかかるぐらいだった。

パドックで大声をあげている初老の男性を見つけた。どうやら誰かへ声援を送っている様子だ。注意されるかなと見ていると、逆に関係者からシャンパンを受け取り、歌いながら乾杯。馬が出てくると男性は声を潜めた。阿吽の呼吸である。パドックや通路は、手を伸ばせば馬に届くほどファンとの距離が近い。騎手は気軽にサインに応じているし、声がかかれば答えることもある。考えてみれば、騎手もファンも同じ人間。互いに敬意を払う間柄なら自然なことだ。競馬場の外、ちょっとした買い物だって、店員と客は挨拶を交わして、別れるときはメルシーと言い合う。客だから神様ではない。店も売ってやるのではない。競馬場だって同じ。人間性を疑うような野次もなければ、ファンにうるさいと怒鳴るジッキーもいない。社交場とは、服装の話ばかりではない。ファンも関係者も、大人の振る舞いで競馬を楽しむということではないか。

凱旋門賞当日のロンシャン 優勝馬はパドックで祝福を受ける

勝者として称えられるのは1頭のみ 盛況だったグッズショップのパリジェンヌ

パドックと馬場をつなぐ通路 日本人優先窓口。英国人用もあり

第6レース、いよいよ凱旋門賞だ。少し傘が開いたパドックに、颯爽とザルカヴァが姿を見せる。ファンの関心は、この類まれな勝ち方をしてきた女傑が、26年ぶりに3歳牝馬として欧州一の称号を手にするかどうかに集まっていた。メイショウサムソンも落ち着いた様子だ。鞍上の武豊も淡々と周回を重ねる。大一番を前にして心を集中させているようだ。各馬、ターフへ向かうと、ファンも一斉にコース前に移動。本馬場入場で1頭ずつ紹介を受ける。去年、万全の体勢を整えながら、馬インフルエンザという災禍に襲われて遠征を断念したサムソン。だが、いくつものハードルを越えて、この舞台に立ったことを思うと、グッとこみあげてくるものがあった。フランスでのサムソンの評価は低いし、チャンスが少ないのも事実だろう。しかし、競馬は何が起きるか分からない。

予定と違って、ザルカヴァの次、最後にゲートへ誘導されたサムソン。準備する間もなく扉が開く。アウェイの厳しさか。タイミングを教えるように係員がザルカヴァの尻をポンと叩いた。両脇から挟まれたサムソンは先行する機会を逸し、思わぬ後方、内側からの競馬を強いられる。ザルカヴァは1馬身ほど斜め前方だ。向こう正面の長い上り、下り。フォルスストレートでも位置どりは変わらない。そして直線。武豊が進路を取ったのは内。激しく馬体をぶつけられる。必死に伸びようとするサムソン。「ユタカ、伸びろ!」声はあげないつもりだったのに、思わず叫んだ。しかし、サムソンの頑張りも半ばまで。中ほどから一気に差し脚を伸ばしてきたのはザルカヴァ。ゴール前では後続を突き放して、歴史的な勝利を飾った。サムソンは10着。これが競馬だ。これが凱旋門賞だ。

ザルカヴァの鞍上でスミヨンが何度もこぶしを突き上げた。全身で喜びを表現するジョッキーと勝ち馬に、観衆から惜しみない拍手が鳴り響いた。後ろを振り返ると、スタンドの全員が立ち上がり、尊敬のまなざしをザルカヴァに向けていた。どの顔も、まるで国を守った英雄を迎えるかのような表情だった。涙を浮かべている人々もいた。表彰式で掲揚されるトリコロールと、演奏されるラ・マルセイエーズ。この時、私は初めて凱旋門賞という価値の高さと、優勝馬の関係者が受ける栄誉の重さを痛感した。この栄光を手にすることは容易ではない。だからこそ、挑んでみたい。過去数十年、何度も壁に跳ね返されながら、異国からチャレンジを続けてきたホースマンの気持ちにも触れた気がした。いつか、あの場所に日の丸が掲げられる時、もう一度、ここに来よう。そう心に誓ってブローニュの森を後にした。

子どもたちも大勢来ていた 一番人気はハンバーガー?

帽子はファッションの華 VIPほど上の席

歴史的名牝となったザルカヴァ 日本代表・メイショウサムソン

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2008.10.07

凱旋門賞から一夜 ザルカヴァの強さに賞賛の声

ザルカヴァが圧倒的な強さで凱旋門賞優勝を果たしてから一夜。 ”Merci Zarkabva !””Zarkava I'imperatrince””Zarkava,I'invincible” フランスの各紙朝刊はこの3歳牝馬の歴史的偉業を一面で大きく伝えている。焦点はザルカヴァの今後の動向に移っており、来年、現役を続行するのか、どんなローテーションを取るのかが関心の的だ。もちろん、ジャパンカップに参戦するなどという言及は一切ないようで、出走の可能性があるのは敗れたデュークオブマーマレードやヴィジョンデオタだろう。メイショウサムソンについても、コメントがあったが原文を書いておこう。興味ある方は訳してみてほしい。

MEISHO SAMSON
Rapidement a l'arrie-garde,cote corde, a fini correctement en retrait,mais sans jamais pouvoir menacer les pre-miers. (France-Soir LUNDI 6 OCTOBRE 2008)

フランスの一般紙一面

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2008.10.06

遥かなり凱旋門賞 夢は次の世代へ引き継がれる 

強い風と断続的な雨のなかで開催された凱旋門賞。メイショウサムソンは最後にゲートへ誘導されると、すぐにスタートを切られるアウェイの洗礼を受ける。後方3番手からの苦しいポジション。乾坤一擲、内側から抜け出すことに賭けた武豊だったが、直線では激しく馬体をぶつけられた。サムソンも意地を見せる。そこから必死の伸びを見せようとしたのだ。しかし、タフなコースの前に力尽きて10着。タラレバは必要ない。これが最高峰の舞台で闘うことの厳しさだ。サムソンは良く走った。それ以上にライバルが強かったということだ。

去年、万端整えながら、災禍で遠征を断念。それでも、陣営は多くのハードルを乗りこえて、再びロンシャンの地をめざした。だから、大歓声の中、サムソンがトップホースたちとともに入場してきたときには、グッとこみあげてくるものがあった。優勝したのはザルカヴァ。何度もコブシを突き上げて歓喜を表現するスミヨン。そして、勝者に贈られる観衆のスタンディングオベーションと敬意の眼差し。この日、この場所に来て凱旋門賞の価値が初めて分かった気がした。そう易々と欧州最高の栄誉は手に入れられない。

ありがとう、メイショウサムソン、高橋成忠師、武豊騎手、遠征を支えた多くのスタッフの方々。日本のホースマン、ファンの夢は今年も叶わなかった。だが、ひとつひとつの挑戦が礎となって、いつか実を結ぶ時が来るだろう。バトンは次の世代へと引き継がれる。遥かなる凱旋門賞。きょう、その夢の実現にまた一歩近づいた。

歓喜のスミヨンとザルカヴァ

※ 凱旋門賞の観戦記は後日、改めて更新したいと思います。これからパリを発って陸路でワルシャワをめざし、帰国は14日になる予定です。 Tシャツ、ネックストラップなど凱旋門賞グッズをお土産に購入しました。希望する読者の方々にプレゼントできればと考えています。詳細はのちほど。

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2008.10.05

凱旋門賞当日のパリは曇り空 サムソンに勝機はあるか

パリは今、朝の8時半。窓の外から聞こえる雨の打つ音で目が覚めた。カーテンをあけると灰色に塗られた空が広がっていた。道路や屋根も随分と濡れている。ここから数キロ離れたブローニュの森も変わらないだろう。ほどなく雨はあがったが、陽は差さず外気は冷え込んでおり、柔らかく、重い馬場でレースは行われることになるのかもしれない。昨日、晴天のロンシャンを訪れたときには、また雨が落ちてくるとは思わなかったが。フランス競馬はスピードよりスタミナの勝負になるのは周知の事実だが、この雨で一層、持久力を求められるレースになるのではないだろうか。距離不安の囁かれるデュークオブマーマレードなどは歓迎できない馬場だ。

昨日、ロンシャンで帰り際に買ったパリ・テュルフ(PARIS TURF)では、一面から無敗のザルカヴァの写真を載せて、アキーダ以来、 3歳牝馬の凱旋門賞優勝なるかと大きく取りあげている。ヨーロッパのファンにとって、初めて一線級牡馬と対戦するザルカヴァの走りに最大の注目が集まっている。日本で言えば、無敗のメジロラモーヌやファインモーションがジャパンカップに出てきたようなものか、いやそれ以上か。対抗馬とされているのは、同期の仏ダービー馬、ヴィジオンデタ。自国贔屓というだけではない。凱旋門賞に強いフランス3歳牡馬、それに最も相性のよいステップ、ニエユ賞を勝ったことが評価されている。

一部に”SAMOURAI”の見出しも躍ったメイショウサムソンは、扱いは6、7番手というところ。フランスメディアはステップをパスしてロンシャンにぶっつけで挑むことに懐疑的だし、ディープインパクトやエルコンドルパサーではないという冷静な見方をしている。先日、武豊へインタビューしている様子を見たが、「本当にチャンスがあると思っているのか?」と、少し失礼な聞き方もしていた。但し、父はオペラハウス、母の父はダンシングブレーヴと、ヨーロッパゆかりの血統であることも紹介されており、難しいだろうが頑張ってほしいという思いも感じられる。重い馬場がどう影響するかは未知数だが、体調のよさと血統の力を信じたい。歴史的な一戦になることに胸を高鳴らせて、私もロンシャンへ向かおう。

当日のパリは曇天 一身に注目を集めるザルカヴァ

>>PMUオフィシャルサイト(凱旋門賞はLONGCHAMPの6レース)

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凱旋門賞直前リポ 手応えつかんだサムソン陣営

いよいよメイショウサムソンが挑戦する凱旋門賞が直前に迫っている。土曜日はサムソンより一足早く、僚友のファンドリコンドルが G2のマイル戦に参戦するとあって、日曜日を待ちきれない私もロンシャン競馬場に応援に駆けつけることにした。ロンシャン競馬場は凱旋門に近いポルトマイヨー駅からバスで15分ほどの距離にある。フランスの競馬は午後から始まるが、すでに昼過ぎのバスには日本人数人の姿もあった。この日のパリは快晴。入場料4ユーロを払い中に入ると、鮮やかなグリーンのコースが遠方からの客を出迎えてくれた。今年からフランスギャロはカタール競馬・馬術クラブと凱旋門賞に関して独占スポンサー契約を結び、賞金総額も400万ユーロ(6億4000万円)と倍増した。場内はスポンサーカラーの紫で彩られ、華やかなムードを演出していた。

気になる馬場状態だが、今週の雨の影響は多少は残ってそうだが、直線に設けられた仮柵が外されることを考えれば、まず問題ない馬場で行われるとみていいのではないか。これはもちろん、メイショウサムソンにとってという意味だが。本番は明日だというのに、いたるところで日本人ファンと出会った。少なくとも個人旅行者で50人、バッジをつけた団体客?を含めれば、 100人ほどはいたのではないだろうか。凱旋門賞グッズを扱う即席のテナントは飛ぶように商品が売れており、明日は買えないかもしれないと私も購入してしまった。一昨年のディープインパクトの印象が強いのか、日本人スタッフの常駐するテントもあって、日本語の馬券投票用紙を配っていた。これを窓口で渡せば買い間違いも起きまい。

青空のロンシャン競馬場 馬場状態は心配なし

この日は日本のファンにとって、見逃せない馬がG1に出走していた。短距離戦線の最終戦、フォレ賞のナタゴラだ。レーシングプログラムの父欄、 ”Divine Light(JPN)”の文字が燦然と輝いて見えるのは私だけだろうか。英1000ギニー以来、勝利から遠ざかっているものの、フランスダービーで牡馬相手に3着と好走するなど、その実力はトップホースのにも引けを取らない。私も単勝(シンプルガニャン)と馬連(カップルガニャン)を買って、ディヴァインライト産駒の好走を祈った。好スタートから番手で折り合うナタゴラ。直線では人気のパコボーイに差されたものの2着を死守。7倍の馬券をプレゼントしてくれた。 10年前、「ロンシャンのG1でディヴァインライトの仔から流して的中」なんて、誰が想像できただろう。本当に幸せなことだ。

そして、ファンドリコンドルが出走するダニエル・ウィルデンシュタイン賞。 500万で二桁大敗を繰り返してきた同馬にとって、家賃は高すぎるレースではある。それでも、父は凱旋門賞2着のエルコンドルパサーだ。その血は再びロンシャンへと帰ってきた。エルっ仔はグイグイとパドックで厩務員を引っ張り、強豪相手でも臆する様子はない。武豊を乗せると、パドックを半周ほど回ってコースへ。騎手にとっても、凱旋門賞の騎乗イメージを膨らませる大切なレースになる。やはり日本馬のゲートは速い。勢い良く飛び出した同馬だが、うまく落ち着かせて3番手を追走。フォルスストレートも慌てることなく、直線まで追い出しを待つ。結果、約6馬身差の6着ならば、予想外の大健闘。戻ってきた武豊と高橋成忠師も笑顔で言葉を交わしていた。本番は明日。日本代表、前日は充分な手応えを掴んだと見たい。

ナタゴラは2着 ファンドリコンドルのレース後、笑みがこぼれる

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2008.10.03

初的中はフランスの田舎町で 競馬の神様に導かれ

木曜日、パリのホテルを出て、有名な世界遺産、モンサンミッシェルを訪ねることにした。だが、生来の行き当たりばったりの性格で適当な時間に列車(TGV)に乗ったために、バスに乗り換えるはずのレンヌ駅で途方に暮れることになった。午後1時すぎに着いたのに、夕方5時半までバスがないというのだ。もう一本、早い列車に乗れば、きっちり目的地に到着できたのに…。限られた時間を無駄にしてもしょうがないと、ローカル線に乗って近くの駅を目指すことにした。時刻表を調べると次の列車でモンサンミッシェルの最寄り駅の一つ手前まで行けるらしい。そこからバスか何かあるかもしれない。まったく無計画な性格は何処かで直さなくてはなるまい。

ところが、降りた駅は観光客など来る由もない田舎町。ロータリーにはバスもタクシーもない。あいにく強い雨も降ってきて、体が凍える。駅前に唯一あった小さなカフェで温かい飲み物を取ることにした。悲しい気分に浸りながら、ここで2時間後の列車を待とう。カウンターでカフェオレを注文。席につく。だが、何か様子がおかしい。普通のカフェではないのだ。一心不乱に新聞を凝視する紳士。壁に貼られた馬のマークが描かれたポスター。テレビに映るサラブレッド。そして、店の隅に置かれた自動券売機。ここは馬券が買える競馬カフェか! テレビでは障害を飛越するサラブレッドたちと、下段にはオッズが流れている。こんなところで競馬とは、何と言う偶然、いや必然。競馬の神様の導きか。

この日は平地はないようで、それぞれ別の競馬場で障害競走と、車を引く繋駕競走が行われていた。発走はいわゆるゲートを使わず、合図をもとに一斉に走り出すか、先導する車の両脇から伸びた翼のような仕切りがパタンと閉じられてスタートとなる。見たことがないぞ! 早速、馬券の買い方を店のおばちゃんに教えてもらう。ガニャンが単、プラッセが複なのは知っている。カップルガニャンが馬連、カップルプラッセがワイドらしい。トリオは三連複か。 Cはレース番号、Rは競馬場名。これらをマークカードに塗るか、券売機のタッチパネルで選んで買う仕組み。最低単位は1.5ユーロだ。手元に新聞がないので、オッズで買い目を決めることにした。 1レース目、まず人気馬の単勝を買ってみるが、かすりもしない。店の奥からはオヤジたちの絶叫が聞こえてくる。

2レース目。馬連ボックスで勝負。しかし、そのうち1頭が最初に落馬だ。長い距離を走り、いくつもの障害を飛び越える度に、落馬するものも増えていく。まさにサバイバルレースだ。最後の飛越を終えて、ゴール前に2頭が抜け出した。 7番、1番。残った2頭で奇跡的な的中。初めてのヨーロッパでの当たり馬券、まさか名も知らぬ田舎町で手にすることになるとは思いもしなかった。1.5ユーロが7倍で10.5ユーロだ。カフェでは仕事を終えたオヤジたちが立ち寄り、ビールやエスプレッソを片手に一喜一憂。競馬が庶民の娯楽として根付いていることを実感し、残ったバウチャーをレジで換金してもらい外に出た。時には無計画な性分も悪くはないねと見上げると、雨も上がっていた。

田舎町の競馬カフェ 馬券はこんな感じです

※皆様、コメントありがとうございます。なぜかこちらから返信できません。ひとまず御礼まで。

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2008.10.01

凱旋門賞 3歳牝馬ザルカヴァが26年ぶり快挙なるか

昨日、JAL405便は定刻通り現地16時半ころ、シャルル・ド・ゴール空港へ到着した。パリの空は灰色に覆われ、時折、雨に見舞われる天気。肌寒く、コートやマフラーを身につけている人々も多い。すでに晩秋の気配だ。空港から列車のホームへと向かっていると、凱旋門賞のポスターを発見した。馬の頬に古の戦士たちの闘いの様子が彫られ、歴史の重みが表現されている。やはり、凱旋門賞は特別なレースなのだ。今週のパリは予報によっては不安定な天気が続くようで、あまり欧州特有の重い馬場で競馬をしたくないメイショウサムソンにとっては、晴れてくれることを祈るばかり。決戦は今週の日曜日に迫っている。

空港のポスター

今年の凱旋門賞に出走するライバルたちのプロフィールを確認しておこう。断然の1番人気に推されているのは、3歳牝馬のザルカヴァ。もともと3歳馬が斤量的に優位な凱旋門賞だが、無敗のザルカヴァは G1を4連勝中。仏1000ギニーでは同日に行われた牡馬の2000ギニーをコンマ4秒上回るレースレコードで快勝、仏オークスも3馬身差の圧勝で、鞍上のスミヨンをして「仏ダービーでも勝てた」と言わせたほどのポテンシャルを持つ。前哨戦のヴェルメイユ賞は出遅れて後方一気の競馬ながら、2分26秒0という勝ち時計を叩き出した。このタイムはニエユ賞より1秒、フォワ賞より2秒も速い。3歳牝馬が凱旋門賞を制せば、アキーダ以来、 26年ぶり、古馬牝馬と併せてもアーバンシー以来、15年ぶりの快挙となる。

古馬はキングジョージを含めてG1で5連勝を飾ったデュークオブマーマレード。オブライエン厩舎の所属馬だ。シーズンオフ、骨折した箇所に埋めていたボルトの再手術を行ってから馬が一変した。デインヒル産駒でクラシックディスタンスでは距離不安が付きまとっていたが、キングジョージはペイパブルをねじ伏せて優勝。それでも、1ハロン長いのではないかという声が人気を押し下げている。同じオブライエン厩舎からはガリレオ産駒のソルジャーオブフォーチュンも出走する。去年の凱旋門賞は2番人気の評価を受けたが、不利を受けて5着。本番一本に絞ったローテが怖い。ザルカヴァの陰に隠れているが、仏ダービー馬のヴィジオンデタもニエユ賞まで6戦6勝。単勝で買ってみたいタイプだ。

>>凱旋門賞オフィシャルサイト

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2008.06.07

カジノドライヴ挫石 出走か回避か迫られる判断

米クラシック、ベルモントS(現地時間7日)に出走するカジノドライヴは6日朝、左後肢の挫石を発症していることが判明した。現在、冷却と加温を繰り返したり、塩に浸すなどの治療を行うなどして、患部は回復に向かっているという。ブラッドホース誌によれば、多田信尊マネージャーは「スクラッチはしていない。出走することを予定している」と話しているが、最終的な決定は当日まで持ち越される。5日、カジノドライヴは激しい降雨のため前日に中止した最終追い切りを行い、順調な仕上がりをアピールしていた。しかし、翌朝、歩様が硬いことから馬場での調教を控え、検査したところ挫石が見つかった。挫石は何か踏むなどして、ひづめの裏に血豆ができるもの。去年、ウオッカも血豆(蹄球炎)のため馬場入りを数日間、中止して凱旋門賞挑戦を見送っている。

今年のベルモントSは二冠馬ビッグブラウンによる、30年ぶりの三冠制覇なるか大きな注目が集まっている。一方、カジノドライヴも姉ラグストゥリッチズ、兄ジャジルに続くベルモントS兄弟三連覇の記録がかかっていて、ビッグブラウンの三冠を阻止するライバルとして2番人気に支持されている。そのため、アメリカのファンにとって外国の馬というより、日本人が所有している内国産馬というイメージの方が強いようだ。前哨戦のピーターパンSを圧勝した後、陣営は本番で騎乗を依頼していた武豊に断りを入れ、プラードへの乗り替わりを決めたのも、現地のファンへの配慮が皆無だったとは言えまい。藤沢師と山本英俊オーナーが「武豊降板」の経緯を丁寧に報道陣向けに説明した異例のリリースは、複雑な事情を感じさせた。

馬優先主義を標榜してきた藤沢師。かつて、ヤマトダマシイという素質馬を故障させてしたった経験から「一勝より一生」と、どんな大レースでも万全の状態でなければ出走させないポリシーを貫いてきた。最後のチャンスかもしれない米クラシックの大舞台。藤沢師はカジノドライヴの状態を見極めながら、ギリギリの選択を迫られることになる。なお、6日、同競馬場のヒルプリンスS(G3)に参戦した帯同馬、スパークキャンドルは 7頭立て7着に敗れている。

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2008.06.06

ディヴァインライトの大出世 娘ナタゴラは仏ダービー3着

去年、日本では64年ぶりのダービー制覇を成し遂げたウオッカが競馬界に衝撃をもたらしたが、海の向こう、フランスでも 91年ぶりの仏ダービー優勝をめざした牝馬が大きな話題を呼んだ。芦毛のナタゴラ。日本から輸出されたディヴァインライトを父に持つ。ナタゴラは去年10月、チェヴァリーパークS(6F)を勝って、欧州の最優秀2歳牝馬に選ばれた。今年は距離不安が囁かれながらも1番人気で英1000ギニー(8F)に挑戦。見事な逃げ切り勝ちを収めて、日本産種牡馬の産駒として初めて欧州クラシック優勝を果たした。そして、今月1日、敢えて牡馬に挑んだ仏ダービー(芝2100)。デットーリを背にしたナタゴラは3番手で先行。残り300で先頭に立つと、後続との激しい叩きあいに応戦。スタミナ切れを起こしながらも差し返す勝負根性を見せる。最後は無敗馬ヴィジョンデタらに交わされ 3着に敗れたものの、1番人気ハイロックに先着する大健闘だった。

>>イギリス1000ギニー(youtube)
>>フランスダービー(youtube)

ナタゴラはディヴァインライトの仏初年度産駒。日本で繁殖を集めることができなかった同馬は、 2004年にアグネスカミカゼとセットでまとめ売りされた。だが、サンデーサイレンスの直仔とはいえ、極東のスプリントG12着の実績しかないディヴァインライトを種付けしようというフランス人は奇特だった。初年度の種付け数は8頭。その中の 1勝馬のレーナミクサという無名馬との間からナタゴラが誕生したのだから、馬産は本当に不思議なものだ。実はディヴァインライトだが、去年の暮れ、トルコナショナルスタッドからオファーを受けて、今春から新天地で種牡馬生活を始めている。トルコ競馬の認知度は低いが、欧米から数々の名馬を買い入れている新興国。ディヴァインライトの種付け料は破格の7000ドル、交配相手も80頭を超えるという(異端血統最前線)。日本に置いておけば廃馬になっていたかもしれず、まるで夢のようなサクセスストーリーではないか。

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2008.04.17

ミスターピンク・内田利雄 マカオG1を制覇!

13日、元宇都宮競馬のトップジョッキー、内田利雄が海外G1初勝利を飾った。現在、マカオに遠征中の内田利はタイパ競馬場で行われた「マカオホンコントロフィー」(芝1500)でシュプリームヒーローに騎乗。道中は中団で力を溜めると、直線では外から鋭い脚を爆発させて先行勢を差しきった。 12番人気(14頭中)の低評価を覆す見事な手綱さばきだった。日本人騎手でマカオ重賞を制しているのは、去年の内田利を含めて岡部幸雄、岡部誠と3人いるが、 G1を勝ったのは初めて。日本競馬史に残る記念碑となったが、 ミスターピンクの愛称通り、勝負服もピンクだったのはさすがだ。

内田利は宇都宮競馬廃止後、各地の地方競馬場で短期免許を取得して活躍の場を求めてきた。現役でいることにこだわり続ける、流浪のジョッキーだ。 3年前、宇都宮競馬で最後のレースが行われた際には、大粒の涙を流した内田利。当時、短期免許のような形で各地で騎乗する道はなく、引退も覚悟した。それだけに海外でのG1勝利は感慨深いものがある。オフィシャルブログでは「『Mr.PINK海外G1ジョッキー』と呼んで下さい(●^o^●)」と、本人もおどけながら喜びを表している。マカオでの騎乗は5月24日まで。凱旋帰国も楽しみだ。

>> ピンクなBlog(オフィシャルブログ)
>>レース映像(youtube)
>>>宇都宮競馬最後の日 その魂は消えることなく(2005.3)

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2008.03.27

日本勢のチャンスは? ドバイWC出走馬が確定

29日(土)に行われるドバイワールドカップ諸競走の出馬表が確定した。日の丸勢が参戦するのはシーマ・クラシックを除く3レース。このうち最も早くスタートが切られるUAEダービー(日本時間23:15)には全日本2歳優駿を勝ったイイデケンシンが挑む。共同通信杯で大敗するなど芝では能力の限界を見せたものの、ダートでは2戦2勝。もちろん、ドバイと日本のダートは異質のものだが、ハナに立てるスピードと気性はUAEダービーでは有利。オナーデヴィルロイヤルヴィンテージなど地元UAE勢の優位は揺るがないが、去年、5着だったビクトリーテツニー以上の成績を期待したい。 11頭立ての大外枠を引いたので、藤田は思い切ってスタートして押して押してハナを奪うか。多くが南半球産馬で59キロの酷量を背負うなか、北半球産馬の軽量55キロを活かせれば。

芝1777メートルのドバイ・デューティ・フリー(24:55)はウォッカ、アドマイヤオーラの大駒が参戦。両馬ともマイルより中距離に適性があるタイプだが、ドバイの芝はヨーロッパほどではないにしろ、日本より時計のかかる重い馬場。余分なスタミナを求められることを考えれば、シーマ・クラシックよりこちらを選んだ決断は間違っていない。ウォッカ陣営はある程度、先行させるつもりのようで、乗り替わった武豊の手綱さばきは要注目。アドマイヤオーラも目下の充実振りからは近藤軍団の連覇があっておかしくない。こちらは切れ味を大事にするレースが目標。ライバルは英1000ギニー馬・フィンスケールビオ、去年アドマイヤムーンの2着だったリンガリか。敵わないレベルではなく、ここが最も日本が金メダルに近い一戦になる。

メインレース、ドバイ・ワールドカップは総大将・ヴァーミリアンが2年続けての挑戦する。去年はインヴァソールから15馬身差の4着。石坂師は「もう二度とヴァーミリアンを連れてドバイに来ることはない」と世界の壁を痛感したそうだが、昨秋から馬が一変。それまでとは比較にならないほど強さを増して、師に再トライを決意させた。しかし、今年の相手もタフだ。カーリンはBCクラシックを制して年度代表馬にも選ばれた米最強馬。2月末にはドバイでステップレースを楽勝しており、体調、輸送面でも大きなアドバンテージがある。馬券発売があれば、単勝1倍台の本命というところだろう。この他では、前哨戦のマクトゥームチャレンジを勝ったゴドルフィンのジャリル、去年2着だったプレミアムタップらがいるが、カーリンとの実力差は開いている。どこまでヴァーミリアンがカーリンに肉薄できるのか。父の夢を継いで、悔いのない競馬をしてほしい。

>>「ドバイ・ワールド・カップ」出馬表確定(JRA)

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2007.10.04

あの狂乱から1年 ひっそりと凱旋門賞展望

去年、6000人ものファンが日本から駆けつけ、日本中が歴史的瞬間を見ようとテレビの前に陣取ったフランス・凱旋門賞。あの狂乱から一年。今年、ディープインパクトのリベンジを果たすはずだったウオッカは外傷のアクシデントで計画を白紙に戻し、メイショウサムソンは馬インフルエンザという想定外の不運に見舞われて渡航を断念した。日本馬の出ない凱旋門賞は、多くの国内のファンにとっては関心のない異国のレースに過ぎないようだ。それでも、目を向けてみれば、今年も欧州を代表する名馬が激突する屈指の好レースになりそうだ。もし斤量の軽いウオッカの差し脚が炸裂していたなら、もしメイショウサムソンが先行力を活かしてロングスパートをかけていたら。そんなことを想像しながら、レースを観てみるのも面白いかもしれない。

7日に行われる凱旋門賞で、ブックメーカーの1番人気となっているのが英ダービー馬・オーソライズド。去年、ディープインパクトを差しきったレイルリンクも3歳馬だったが、凱旋門賞は兎角、斤量に恵まれる3歳馬が非常に有利だ。オーソライズドの前走は英・インターナショナルS。ここで古馬最強のディラントーマスに1馬身差をつけて勝利した。ディラントーマスはキングジョージを圧勝、先月の愛チャンピオンSも連覇を果たしており、これを降したオーソライズドの強さは本物だろう。死角があるとすれば、地元イギリス以外で出走したことはなく、凱旋門賞がアウェイ初体験となるところ。但し、父はエルコンドルパサーを破って凱旋門賞を勝ったモンジュー、鞍上はデットリーだけに杞憂に終わる可能性も高い。 ディラントーマスは条件的に巻き返しは厳しいか。

オーソライズドのライバルは、やはり3歳馬。愛ダービー馬のソルジャーオブフォーチュンとパリ大賞典を勝ったザンベージサンの2頭だ。ソルジャーオブフォーチュンは本番と相性の良いニエユ賞を2分25秒6の好タイムで勝利。硬い馬場にも適性があることを証明した。一方、人気を集めながら3着に敗れたザンベージサンは、あくまでひと叩きの感が強く、逆転の目は十分にありそうだ。サムソンが出走を予定していたフォワ賞からは欧州最優秀3歳牝馬のマンデシャが参戦する。勝ち馬のマンデュロはレース後に骨折が判明、引退する残念な結果になっただけに健闘を期待したい。ここに日本の2頭の姿がないのは悔やまれるところだが、両馬ともジャパンカップをめざす予定で、ぜひ凱旋門賞馬には府中に来てもらって頂上決戦といきたいものだ。

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2007.05.04

ユートピア カムズバック! 強豪蹴散らす米重賞制覇

去年5月、現役G1馬として初めて海外へトレードされたユートピアが、今月2日に米・ベルモントパーク競馬場で行われた G3ウエストチェスターH(8ハロン)に出走。ゴドルフィンマイル優勝以来、一年以上の休み明けもものともせず、後続に1馬身差をつけて復帰緒戦を飾った。勝ちタイムは1分33秒23。ユートピアは好スタートで2番手につけると、直線では一旦は3番手に後退したものの、再び内から盛り返して先頭でゴールした。ゴドルフィンのロイヤルブルーの勝負服と"Utopia comes back"の実況が実に心地よかった。ユートピアは 02年に全日本2歳優駿を勝ってから、6年連続の重賞勝利を成し遂げたことになる。

今回、人気を集めていたサンキングは、ドバイWCを圧倒的な強さで制したインヴァソールとハナ差の競馬をしたことがある強豪。前哨戦とはいえ、こうしたG1級のライバルをユートピアが降したことは、日本競馬にとっても非常に価値のあることだ。馬場への適性さえ間違っていなければ、ある程度のレベルに達した馬なら米ダートでも高レベルで互角の戦いができることが証明されたのではないか。ドバイで素質と適性を見出し、アメリカへと運んだゴドルフィンの相馬眼にも敬服するばかりだ。ユートピアは28日に行われるG1メトロポリタンHに参戦する予定。米G1戦線で旋風を巻き起こして、現役日本馬のトレードを活性化させてほしい。

>>レース映像・ウエストチェスターH

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2007.03.29

展望・ドバイWCデイ 再び起きるか日の丸旋風

世界の祭典、ドバイ・ワールドカップデイの季節がやってきた。去年はハーツクライ、ユートピアが勝利をあげて日の丸旋風を巻き起こしたが、今年も日本代表の8頭が世界の強豪と対決する。既に枠順も発表されており、 31日夜(日本時間22時40分~26時30分)に行われる6レースが非常に楽しみだ。日本馬5頭を載せた貨物機が輸送トラブルのため、7時間遅れて到着するハプニングもあったが、これは恒例行事のようなもの。 JRAのリポートによれば、最終追い切り後、どの馬も好調さを維持していると報じられており、日本馬を中心に簡単なレース展望をしながら祭りの始まりを待つとしよう。
>>「ドバイ・ワールド・カップ・デイ」~出馬表~(JRA)

メインのドバイワールドカップ(ダ2000)にはエルコンドルパサーの遺児、ヴァーミリアン(ルメール)が参戦する。前走の川崎記念では一昨年のドバイWCで6着だったアジュディミツオーに6馬身差をつける圧勝劇。エル基地ならずとも期待は高まるが、今年は怪物2頭が大きく立ちはだかる。 BCクラシックを含めGⅠ4連勝を記録した米年度代表馬インヴァソールと、同馬に去年のUAEダービーで土を付けたディスクリートキャットだ。現地ではキャットが出走回避するとの噂も流れているそうだが(東スポ)、これはゴドルフィンがブラフをかけているだけだろう。このレースが歴史に残る、世紀の一騎打ちになるのは間違いない。ヴァーミリアンは7頭立ての少頭数を活かして何処まで食い込めるか。

ハーツクライが逃げ切ったシーマクラシック(芝2400)に挑むのは、メルボルンC2着のポップロック(ペリエ)。有馬記念でディープインパクトの2着、京都記念でアドマイヤムーンの2着と好走して、メルボルンCが決してフロックでなかったことを証明した。鞍上のペリエにとっても、ポップロックは愛着のある馬に違いない。若き日、ペリエは同馬の父、エリシオの手綱を取って凱旋門賞を制しているからだ。エリシオ自身はドバイWCのために現地入りしながら、レースが延期されたため出走を取り消した因縁もある。父の雪辱を果たすことができるか。シーマクラシックには南アフリカからスシサンという日本語っぽい馬が出走しているが、実はフジキセキ産駒。この馬の健闘も祈りたい。

今年、日本勢が最も金メダルに近いと言われているレースがデューティフリー(芝1777)アドマイヤムーン(武豊)、ダイワメジャー(安藤勝)の2頭が参戦する。去年の暮れの香港C、ムーンは凱旋門賞2着だったプライドに及ばず2着に敗れたが、猛然と追い込んでの短頭差は内容的には勝ち馬を上回っていた。もし、ここにプライドの名前があれば不動の本命だろうし、距離短縮はスピード能力の長けたムーンにとって大歓迎。あとは武豊の手綱次第か。天皇賞秋、マイルCSを連覇し、距離不向きの有馬記念3着に踏ん張ったダイワメジャーが最大のライバル。だが、日本馬ワンツーを願うのは贅沢すぎるか。 BCマイル馬のミエスクズアプルーヴァル、サンタアニタHを連覇したラヴァマン、ジェニュイン産駒のポンペイルーラーとライバルたちは骨っぽい。

ゴールデンシャヒーン(ダ1200)アグネスジェダイ(武豊)、シーキングザベスト(福永)の森厩舎の2騎だが、さすがに家賃が高い。このレース、ジェダイは去年6着と好走したが、今年はどちらかの入着があれば両手をあげて喝采しよう。 UAEダービー(ダ1800)は現地の前哨戦で2着だったビクトリーテツニー(武豊)が駒を進めた。相手関係はともかく、叩いた上積みはありそう。こちらも入着すれば御の字。ユートピアがあっと言わせたゴドルフィンマイル(ダ1600)にはフサイチリシャール(スミヨン)。相手関係は他のレースと比べると格段に楽に見える。京都金杯13着からの参戦となるが、型にはまったときの強さは折り紙付きで、気分良く行ければ好勝負になろう。クロフネの仔がドバイの砂を走るというのも感慨深いではないか。

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2006.12.11

弱り目に何とやら ほろ苦かった香港遠征

10日に行われた香港国際競走4レースは、日本勢にとってはほろ苦い結果になってしまった。最も惜しかったのが香港カップ(2000メートル)。凱旋門賞2着のプライドを猛然とアドマイヤムーン(武豊)が追い詰めたものの、わずかハナ差だけ届かなかった。あとゴールが数メートル先であったらと悔やまずにいられない。ムーンは直線入り口で進路がなくなったものの、外の福永がコースをあけ、数テンポ遅れの追い出しになった。ディープインパクトのリベンジならず。しかし、やはりムーンは2000は相当強い。来年へとつながるレースになったのではないか。

ウィジャボードが取り消して、チャンスと思われたヴァーズ(2400メートル)は、ソングオブウインドが最後方から追い込んで4着。逃げたアドマイヤメインはブービー負け。その後、ソングは右前脚屈腱を負傷していることが明らかになった。世界の壁は厚い。香港勢を軽視しすぎたのではないか。マイルのダンスインザムードは全く伸びを欠く12着。馬場が合わないのか。スプリントのシーイズトウショウは追走いっぱいで大敗。メイショウボーラーは馬体に異常はないのにスタートから走ろうとせず競走を中止した。

怪我に競走中止とツキにも見放された感じの日本勢だったが、弱り目に祟り目とはこのことか。6日のインターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップに参戦した武豊が落馬事故の審議対象となり、騎乗停止処分を受けることになった。制裁期間の先送り措置で有馬記念の騎乗は可能になったが、後味の良くない香港遠征になってしまった。また、スプリントで本命視されていたテイクオーバーターゲットは薬物が検出されたため、出走することが叶わなかった。今年の香港は何とも慌しかったようだ。

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2006.12.09

香港国際競走 世界のトップに胸を借りる4レース

10日、香港の沙田競馬場では4つの国際GⅠが行われる香港国際競走を迎える。メルボルンCを制したデルタブルースが出走を希望しながら、 JRAから検疫の便宜が受けられず断念するという一騒動もあった。それでも菊花賞馬ソングオブウインド、ダービー2着アドマイヤメイン、天皇賞秋3着アドマイヤムーンなど、有馬記念に参戦すれば人気になったであろう馬が遠征を選んだのは、香港の価値が高まっていると解することもできる。凱旋門賞でディープに先着したプライドもジャパンカップをパスして、こちらを選択した。もう少し日本は危機感を募らせるべきかもしれない。

まずは香港ヴァーズ(2400メートル)から見てみよう。まともな競馬になれば、ジャパンカップでも3着した女傑ウィジャボードの圧勝だろう。だが、9日に左前脚に痛みを発症し、出走取り消しとなるアクシデント。思わぬチャンスが巡ってきたのが、日本馬ソングオブウインド(武幸)、アドマイヤメイン(武豊)の2頭。ソングは前々日の計量で468キロと馬体を減らしているのが気がかりだが、ラジオNIKKEI賞は同じ体重で2着している。メインは菊花賞と同じような逃げを打つと思われる。武豊がどんなラップを刻むのか、追い込みにかけるソングとの武兄弟の戦略が見所だ。

香港カップ(2000メートル)には凱旋門賞2着、英チャンピオンS圧勝と波に乗るプライドが人気を集める。このレースは去年もクビ差で2着しており、本格化した今なら他馬を寄せつけまい。ハリケーンランをことごとく打ち負かしてきたのだから、比較で言えばハーツクライ以上。去年の覇者、香港のヴェンジャノブレインにリベンジを果たす。日本からはアドマイヤムーン(武豊)とディアデラノビア(福永)がプライドに胸を借りる。弥生賞、札幌記念を快勝しているようにムーンにとって、この距離はベスト。平坦コースも合っており、世界のトップにどこまで迫れるか。

香港マイル(1600メートル)はダンスインザムードに期待がかかる。長く活躍してきた同馬も、ここが引退レース。米GⅢ勝ちとGⅠ2勝は、いずれもマイル戦だった。国内ではダイワメジャーに煮え湯を飲まされてきただけに、天敵のいない海外で有終の美を飾りたいところ。実力的には充分なチャンスがある。但し、香港勢のマイル層も厚い。安田記念1、3着のブリッシュラックジョイフルウイナーに加え、新興勢力のアルマダ、フサイチペガサス産駒のフローラルペガサスも侮れない。イタリアのラモンティは時計に対応できるか。安田記念のラフプレーで悪名を轟かせたザデュークの走りも注目。

最後に香港スプリント。これまで直線1000メートルで施行されてきたが、今年から1200メートルの周回コースとなる。アベイユドロンシャン賞を勝ったデザートロードは直線競馬に慣れているし、北米で連勝してきたファーストパレードは右回りに戸惑わないか。となれば、スプリンターズSを優勝して転戦してきた豪州の賞金稼ぎ、テイクオーバーターゲットがここでも大威張りできる。復調気配のサイレントウィットネスが地元の意地を見せられるか。最近の国内スプリント路線のレベル低下からメイショウボーラー(福永)、シーイズトウショウ(池添)は難しいかもしれない。

香港国際諸競走の出馬表(JRA)

☆3R 香港ヴァーズ(芝2400メートル)
 14:00(日本時間15:00)
☆5R 香港スプリント(芝1200メートル)
 15:10(日本時間16:10)
☆7R 香港マイル(芝1600メートル)
 16:20(日本時間17:20)
☆8R 香港カップ(芝2000メートル)
 17:00(日本時間18:00)

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2006.12.04

フジキセキ産駒 南アフリカでクラシック制覇

幻の三冠馬と評されたフジキセキが種牡馬として初クラシック制覇を成し遂げた。しかも、舞台は南アフリカだというから驚きだ。 2日、ケニルワース競馬場で行われた同国のクラシック第一弾、ケープフィリーズギニー(3歳牝・芝1600)は、フジキセキ産駒のサンクラシーク(Sun Classique)が人気に応えて差しきり勝ちを収めた。サンクラシークはフジキセキがシャトル種牡馬として供用されているオーストラリア産馬。母の父は日本でもお馴染みラストタイクーンという配合だ。このような馬が遥か喜望峰を臨む異国で走っていると思うと、実に不思議な気分になる。

フジキセキだけでなく、サンデーサイレンス系の種牡馬は世界に広がりつつある。同じくオセアニアに供用されたバブルガムフェロータヤスツヨシは、現地でGⅠ馬を輩出している。一方、フランスにはローゼンカバリーアグネスカミカゼディヴァインライトが輸出されており、アメリカでも現地で競走生活を送ったフサイチゼノンエイシンマサムネが種牡馬入りしている。この他、ダーレーが日本に繁殖を移送して誕生させたレイマン(米国産)が来年からフランスで種牡馬入り。現役馬サイレントネームもアメリカで種牡馬となる予定だ。

かつて、名馬の墓場と揶揄された日本から、サンデーのネームヴァリューに助けられているとはいえ、日本産馬が輸出されて血を還元できるのは素晴らしいことだ。だが、例えば欧米に輸出されたサンデー産駒は競走成績は今一歩で、現地でも繁殖牝馬に恵まれているとは言い難い。国内でサンデー系が飽和状態になっていることを考えれば、競走成績や母系に恵まれたサンデー産駒を譲り渡しても良い頃ではないか。ハーツクライなど最適なケースだったと思う。ディープインパクトがスタッドインすれば、サンデー系サイアーのパイはさらに狭まるのだから。

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2006.12.03

9531勝 ラッセル・ベイズが歴代最多勝樹立

世界の歴代騎手、最多勝記録と言えば、ラフィット・ピンカイ・ジュニアが持つ9530勝が不滅の金字塔だった。しかし、アメリカは広い。 1日、カリフォルニア州ベイメドウズ競馬場で、ラッセル・ベイズ騎手がレコードとなる9531勝をあげた。ベイズは48歳。父ジョー・ヘイズもジョッキー。 74年にデビューして、4万2570回目の騎乗での記録達成だった。これまでベイズは7度の全米リーディングを獲得しているものの、米三大クラシックなど大レースに縁がないこともあって、日本での知名度は高くない。

評論家のアンドリュー・ベイヤー氏は「レベルの低い地方競馬場だから達成できたこと」(東京スポーツ)と辛口のコメントを出したそうだが、今年も350勝をあげている強靱な肉体と精神は、レベル云々を凌駕して賞賛されるべきだろう。日本の最多勝記録は鉄人・佐々木竹見の7153勝、中央所属では岡部幸雄の2981勝であることを考えてみればいい。ちなみに記録を破られたピンカイ(引退)は、世紀の瞬間を現地観戦して新記録を讃えたという。イチローとシスラー遺族の関係のようで清々しい。いつもスポーツの記録やタイトルは正々堂々とありたいものだ。

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2006.11.07

メルボルンC 歴史的な日本馬ワンツー

7日、フレミントン競馬場で行われたオーストラリア最大のレース、第146回メルボルンCは、岩田康誠騎乗のデルタブルース(栗東・角居)が優勝した。デルタブルースは好スタートを切ると、道中は2番手、3番手につけ、直線入り口では先頭に立った。ゴール前、外から同厩のポップロックが追い込んだものの、半頭差だけ抑えてゴールした。 3200メートルの勝ちタイムは3分21秒42。日本調教馬の海外GⅠ制覇は南半球では初めて。

デルタブルースは一昨年の菊花賞を制した生粋のステイヤー。だが、今春の天皇賞は10着に敗れるなど精彩を欠いていた。前哨戦のコーフィールドCは僅差3着に好走したものの、当日は7番人気。ポップロックが1番人気に推されていたのに対し、伏兵の域を出ていなかった。凱旋門賞のショックで、暗い雰囲気に覆われていた日本競馬にも元気を与えてくれる勝利になろう。

>>メルボルンCレース映像

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チベット競馬祭 民族の心を次の世代へ

チベットと聞いても、すぐに版図を思い浮かべることができる人は多くないだろう。現在、チベットという国は国際法上、存在していないからだ。だが、7世紀初頭にソンツェン・ガムポ王がチベットを統一して王国(吐蕃)を築いてから、ダライ・ラマ法王政権が中国政府の"平和解放"によって実権を失うまで、独自の文化と宗教で隆盛を誇ったチベットは北はモンゴル、南はネパールまで、強い影響力を与え続けてきた。今、そうしたチベット文化圏は中国ではチベット自治区、青海省、四川省など、インドではカシミール州などに分割、支配されている。

チベットは大部分を標高4000メートル以上の草原が占めている。夏は強烈な紫外線を含んだ日光が降り注ぐ一方、冬は氷点下20度を下回る凍てつく世界となる。厳しくも豊かな生命を育む大地で、人々はヤクを放牧し、大麦を栽培しながら、営みを続けてきた。高山植物が花を咲かせる6月から8月、あちらこちらの草原では祭りが開かれる。普段、広範囲に住む人々が年に一度、一堂に会して、数日間に渡って民族舞踊や音楽を披露する。祭りは昔から大切な出会いの場でもあった。その中で最も喝采を浴びるのが競馬だ。男たちは村の名誉を賭けて、馬に跨り勝負を決する。

私がチベット族の競馬祭を観たのは雲南省・香格里拉(シャングリラ)。標高3276メートル、チベット東部に位置する。シャングリラとは映画化された小説『失われた地平線』(ジェームス・ヒルトン)の舞台となったチベットの理想郷のこと。長らくデチェンと呼ばれた地域だったが、観光客を呼び込もうと自分たちの土地こそシャングリラだと宣言して、県名まで変更してしまった。旧暦の端午の節句、ここで競馬祭が開かれる。元々は吐蕃時代に騎兵隊の閲兵式として行われたものだという。政府は97年に競馬場を完成させ、観光の目玉にしようと考えた。

競馬祭の開幕を彩る少女たち 競馬場はたくさんの人で埋まった
カタを持って行進 内馬場からスタンドを見る

祭り当日、競馬場には遠く離れた地域に住むチベット族が、色とりどりの衣装を着飾って集まってきた。その数、数千人。芝生のスタンドは埋め尽くされた。共産党書記の開会宣言とともに、祭りが始まった。チベット女性たちの鮮やかな歌と舞踊が馬場で繰り広げられる。行進時に両手に掲げているのは『カタ』という薄いスカーフ状のシルクの布。祝いや別れの席で相手の幸せを祈って肩にかける神聖なものだ。近代化のなか、祭りの形は変わっていっても、民族の伝統を守ろうという人々の思いは強い。

そして、いよいよ競馬だ。馬はポニーのように小柄。大の男が乗ると可哀想にすら見えるが、タフさはサラブレッドを凌ぐようで力強く駆けていく。トラックを走って着順を争う普通の競馬のほか、流鏑馬など技を競うものなど数種類ある。最も誉れ高いとされるのが『カタ拾い』。直線走路の左右、地面に置かれたカタを騎手が大きく身を乗り出して拾っていく。自らバランスを崩しながら、片手で手綱を操って真っ直ぐに走らせるのは相当な技術が要される。息が合わなければ馬が寄れて、一枚も拾えない。優勝はタイムと拾えた枚数で決まる。

カタ拾いの優勝者は隣町から参加した青年だった。落馬の危険も顧みず、見事な手綱さばきで左右90度に身を傾けて多くのカタを拾い上げた。青年の勇気と技に人々から賞賛の拍手が巻き起こった。今、中国政府の西部大開発はチベットの姿を大きく変えようとしてる。各地へ中国人の移住が推進され、伝統的な街並みは中国風の近代的ビルになりつつある。だが、チベットの人々は、じっと民族の思いと信仰心を胸に秘めて、したたかに生き抜いていこうとしていた。きっと彼らは万難を排して、次の世代へと文化を受け継いでいくことだろう。

トラックを走る馬 カタを拾った瞬間
チベット茶を振る舞う 祭りにやってきた少女

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2006.10.04

2分26秒3 凱旋門賞のタイムは5秒速かった? 

近年で希に見る少頭数、ペースメーカーの不在、2番手で先行したディープインパクト、レース後の「スローになることを予想していました」という武豊と池江泰郎師のコメント、そして2分31秒70と発表された公式タイム。 2日の東京スポーツ一面で清水成駿は敗因についてこう分析している。「好天に恵まれたとはいえ、勝ちタイムは2分31秒70。ダービーを2分23秒3の速いタイムで楽勝したディープに、この深く重いロンシャンでも『跳びなさい』という方が、やはり無理難題であった」と。

凱旋門賞については、「上がりの速い直線だけの決着」(柏木集保)というのが衆目一致した評価だったし、それ故にディープは実力を出し切れずに終わったのではないかと指摘されもした。私自身、まったく疑うことはなかった。しかし、一夜明けて、レーシングポスト紙のサイトに掲載されたタイムは違った。 " Rail Link 2m 26.30s " なんと5秒以上も速いではないか。ディープが敗れたショックで気づかなかったが、映像を見直すとゴールした瞬間の時計は2分25~26秒だ。手元のストップウォッチで計測しても同じ。ラップの取り方が違っても5秒は狂わない。

ハナを切ったアイリッシュウェルズ、途中でディープの前に出たシロッコはともに馬群に沈んでいる。 1、2着のレイルリンク、プライドは後方で脚を溜めていた馬だ。先行勢で残ったのはディープだけ。京都の倍以上の高低差があり、芝も深いロンシャン。確かに時計の出る馬場だったが、スローと言えるだろうか。前後半とも1000メートル1分01秒ぐらいか?息の入らない厳しい流れだったようにも思える。その中をフォルスストレートで順位を上げ、ラスト400から追い出したとしたら、3キロの斤量差のある差し馬に交わされたのも不思議ではない。

フランスの主催者が発表した公式タイムは2分31秒70のまま。訂正されるのかどうかは知らないが、私たちがこの時計を頼りにしてレース結果をあれこれ批評することは避けた方が良さそうだ。負けたという事実は何も変わらないし、フランスのファンは時計など意味がないと言うのかもしれない。だが、同じ位置にいたBCターフ勝ち馬が惨敗を喫したレースで、最後まで踏みとどまって差し返す場面さえみせとすれば、日本のファンも少しは溜飲が下がるのではないだろうか。

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2006.10.02

再び世界へ歩みだそう ディープの挑戦を誇りにして

3着。残念な結果だったというのが素直な感想だろう。その上でディープインパクト陣営と武豊騎手には感謝の意を表わしたいし、ディープが日本代表として恥じぬ走りを見せてくれたことに誇りを持ちたい。レース後、武豊は相当なショックを受けていた様子だった。中継では合田直弘氏の質問に答える余力もなかったが、オフィシャルサイトにはまもなくコメントが掲載された。

最後の競り合いの場面、いつものディープインパクトなら、あそこからもう1枚の超トップギアが出てきて突き放していたはずですが、今日はそれがありませんでした。馬場や展開は思っていた通りでしたし、ディープの力を100%引き出せていたら、決して負けることはなかったと思うのです。本当に悔しいです。勝ちたかったです。(武豊日記)

レースは予想通り、少頭数でスローな流れ。ディープは普段より良いスタートを切ったため、アイリッシュウェルズの2番手を進むことになった。追い込みが身上のディープにとって、初めての正攻法の競馬だったが、先行することは陣営は想定していたようだ。坂の途中でシロッコを先に行かせ、3番手に下げる。課題とされていた折り合いはフォルスストレートでも欠くことはなく、 4角も充分な手応えでまわってきた。これまでにない優等生的なレースぶりは、違う馬を見ているようだった。

直線ではシロッコを前に見ながら、最大のライバルとされたハリケーンランを内に閉じこめる格好。武豊としては最高の形になったと思ったのではないか。この2頭を負かすには、ラスト400を過ぎて追い出したのも好判断だった。だが、解説の岡部幸雄が「まだまだ、まだまだ」と叫んでいたのは、ディープを徹底マークしていたレイルリンクが視野に入っていたからだろう。スローの上がり勝負なら、マークして仕掛ける馬の方が圧倒的に有利だ。斤量差もある。一度は差し返すファイトは見せたものの、ゴール前は脚があがった。

直線で追いだした時に突き放せなかったのは、武豊の敗戦の弁のように「ギアが出てこなかった」のか、スローで差がつかなかったのか、相対的な能力の問題なのか、断言はできない。但し、天皇賞春で発揮した驚異的なスタミナを引き出させられることなく、ロンシャン400メートルの瞬発力勝負に敗れたとは言えるだろう。そして、まるでシービーがルドルフとの対決で採った先行策と同じく、破天荒な競馬をしてきた馬が他馬を意識して"常識に適った"乗り方をしたことに、一抹の不完全燃焼感は求められるのかもしれない。

日本競馬界にとって、ディープ敗戦は大きな挫折となることは認めねばなるまい。ディープの超えられなかった世界の壁に、一から挑戦しなくてはならないのだ。しかし、5年、10年、20年の歳月をかけてでも、彼の地にスーパーホースを連れて行く気概を忘れずに歩んで行こう。ディープの偉業を糧にして…。最後につまらない繰り言になるが、重圧を背負った騎手に静かにするようたしなめさせたり、パドックで無神経にフラッシュを焚いていたファンは、何のためにフランスまで出かけたのか、良く考えてほしい。

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2006.09.30

ディープに熱狂する日本列島 国民的祭典を楽しもう!

一般メディアも巻き込んで、ヒートアップしていくディープインパクト報道。当初の「もしかしたら勝てるかもしれない」という控えめな評価が、「勝って当然」という興奮気味の雰囲気に変わりつつあるのは、ワールドカップのような国民的祭典になった証左。しかめ面をして憂う必要はなく、競馬ファンとしては喜ぶべきことではないか。過剰な期待は大きな落胆を引き起こすかもしれないが、そこはコアなファンがしっかり受け止めよう。どのような結果でもディープが歴史的な名馬であることには違いないのだから。日本中の関心を集める未曾有の海外挑戦を、勝利を信じて楽しんだ方が良いと思う。ディープと同時代にファンであったことに感謝しよう。 こんな出来事は人生で二度とないだろうから。

枠順も確定した。ディープは2番枠。ハリケーンランは1番枠、シロッコは6番枠だ。先行勢が外枠に入ったことで、ディープは先行集団を前に置きながら内々を進むことになりそうだ。ハリケーンランも同じような位置取りか。どちらが先のポジションを取るかは気になるところ。 28日の調教はリードホースを追いかける形で行われ、最後まで追い抜かずに我慢させる訓練を課した。勝負は時の運とはいえ、折り合いさえつけば実力は出し切ることができるはず。結果は自ずとついてくる。 30日にはダニエルウィルデンシュタイン賞(仏G2)に帯同馬のピカレスクコートが出走予定。武豊は同馬を含めて、凱旋門賞まで数鞍の騎乗機会があり、しっかり馬場の具合も確かめることができる。

28日から旅行会社の凱旋門賞ツアーも続々と出発している。当日、ロンシャンには数千人規模の日本人が押し寄せるとみられており、こうした現象は世界でも希有な出来事ではないだろうか。日本人向けマークカードも用意されたという。ロンドンのブックメーカーでは日本人男性がディープの単勝に360万円を投じて話題になっている(フサローなら平場で突っ込む程度の額かもしれないが)。 さらにAmazonでは 「ディープインパクト凱旋門賞制覇」 なる大型本の購入予約も始まった。出版元は日刊スポーツ。値段は950円。無事に発売されることを願って、今からレビューを書いておくのも悪くないかもしれない。

幻となった優勝記念本。予約した人はいた?

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2006.09.29

革命の時は来た 世界を決する武豊のゴーサイン

8頭立ての少頭数で行われることになった凱旋門賞。これで内ラチ沿い5頭分に敷かれるグリーンベルトを通ることも、難しいことではなくなった。だが、"紛れ"の可能性が低くなったのとは裏腹に、ディープインパクトが折り合いを欠かずに競馬ができるだろうかという心配は大きくなった。あからさまなラビットの出走もなく、今年はスローペースに落ち着くことは必至だ。レースは一団となって進むだろう。ロンシャンの難コースで武豊はどうディープの折り合いをつけるのか、そして、いつディープにゴーサインを出すのか、勝負を決する最大の見所になる。

ディープはどんなペースでも折り合いをつけられるタイプではない。菊花賞で口を割って手綱に抵抗した姿は覚えているファンも多いと思うが、古馬になってからも気性的な問題は完全に解消されたわけではなかった。圧勝した天皇賞春のレースぶりを思い出してほしい。出遅れて後方2番手につけたディープはがっちりと手綱を抑えられたものの、1コーナー過ぎで持って行かれポジションをあげていった。そして、ラスト1000メートル付近、坂の上りから凄い勢いで加速していくと、ラスト800で先行集団に取りつき、4角手前では先頭に躍り出た。

淀の坂は「ゆっくり上って下る」のがセオリー。坂下から一気に仕掛けると、どんな強い馬でも残り1ハロンで脚があがってしまう。武豊はレース後、「3コーナー手前で一気にペースが遅くなり、どうしようか迷った」と述べている。定石ならペースに合わせて抑えるのだろうが、武豊は無理に手綱を引くことより、ディープの気分を害さずにロングスパートさせる選択肢を採った。これが暴走にみえたリンカーンの横山典は「もらった」と思ったそうだ。ところが、ディープはラスト1000を57秒を切る驚異的なレコードで快勝してしまったのだ。スタミナも心肺能力もこれまでの一流馬とは桁が違った。

天皇賞春の勝利は数字的にも史上最強馬と確信させる、超弩級のパフォーマンスだった。その一方、能力任せのレースこそ、ディープの潜在能力を最大限に発揮する術だと証明することにもなったのではないか。では、凱旋門賞で武豊はどうディープを操るのか。京都とロンシャンは形状が良く似ていることが知られている。だが、高低差は京都の倍以上の10メートル。深い芝と相まって、要するスタミナはずっと大きい。上りから仕掛けていくのは論外だし、坂の頂点からゴールまでも1400メートルある。ここは馬をなだめて、じっと動かずにおらねば勝負すらできない。

坂を下り終えると、待っているのがフォルスストレート(偽りの直線)。この偽りの直線で加速の誘惑に負けてはならない。馬なりで徐々に順位をあげるのが理想的だ。しかし、ロンシャン初体験のディープが、一息つかせたい鞍上の思惑に従うことができるだろうか。それまで抑えられてきたディープは擬似直線で加速しようとする可能性が高いと思う。その時、武豊は我慢させるのか、ロングスパートに耐えられると信じて手綱を放つのか。もし、天皇賞春で底知れぬスタミナはロンシャンでも通用すると感じたのなら、タブーとされるロングスパートに賭ける判断をするのではないかと思う。

ロンシャンの直線は東京より長い533メートル。真の攻防はラスト300メートルで繰り広げられる。ディープは初めて潜在能力を限界まで引き出すことを求められることになる。トップジョッキー・武豊にとっても、一世一代の大舞台。12年前、1番人気のホワイトマズルに騎乗して、何もできないまま凱旋門賞を終えた屈辱を晴らす最後のチャンスだろう。馬群に包まれるような、悔いの残る中途半端なレースだけはしないはずだ。スピードシンボリの挑戦から37年。日本のホースマンの夢であり続けてきた凱旋門賞制覇は、現実のものとなると信じている。革命の時は近い。

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2006.09.28

凱旋門賞は8頭立て 史上2番目の少頭数に

10月1日にロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞の出走メンバーが発表された。出走馬は8頭。9日にセントレジャーを勝ったシックスティーズアイコンは、追加登録料の6万ユーロ(約888万円)を支払って参戦する。 8頭立ては1941年(ルパシャ)の7頭に次ぐ史上2番目の少頭数。最近では2000年(シンダー)が10頭立てで施行されたが、出走馬が一桁だったのは1946年(カルカラ)の9頭まで遡らねばならない。今年は三強のレベルの高さから、各陣営が自重したためとみられている。

  • ディープインパクト(宝塚記念・天皇賞春・菊花賞)
  • ハリケーンラン(凱旋門賞・キングジョージ)
  • シロッコ(BCターフ・コロネーションC)
  • プライド(サンクルー大賞)
  • ベストネーム(プランスドランジュ賞)
  • アイリッシュウェルズ(ドーヴィル大賞)
  • レイルリンク(パリ大賞典・ニエル賞)
  • シックスティーズアイコン(セントレジャー)

登録のあったヴェルメイユ賞馬・マンデシャはオペラ賞へ、英ダービー馬・サーバシーは英チャンピオンSへ向かう。なお、これによりスミヨン騎手はシロッコに、デットーリ騎手はシックスティーズアイコンに、ファロン騎手はハリケーンランに騎乗するものとみられている。枠順と騎手は29日に発表される。

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凱旋門賞 知っておきたいロンシャンのコース

凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場の芝2400メートル。コースは右回り。その形態を頭に入れておけば、ディープインパクトとライバルたちの駆け引きや仕掛けもグッと楽しむことができるはず。きっちり予習しておきたい。 2400メートルのスタート地点は2角手前の風車下。ここから大外を回って、トラックをほぼ一周する。スタートから400メートルは平坦な直線だが、そこからゆったりした上り勾配が続き、3角過ぎから逆に下り坂になる。高低差は10メートル。 3-4角の中間点からゴールまで1000メートルはほぼ平坦だ。

ロンシャン外回りコースの最大の特徴は3-4角の中間にあるフォルスストレート。訳せば『偽りの直線』。本当の4角はまだ先にあるのに騙されて、直線と勘違いした馬が行きたがってしまうと、ゴール前で失速することになる。上って下って、長い平坦というコースは、京都競馬場と良く似ている。ロンシャンも淀と同じく、「ゆっくり上ってゆっくり下る」のがセオリーだ。4角まで一団で進んで、直線の叩き合いになることが多い。だが、私は追い込み脚質のディープに騎乗する武豊は、セオリーを無視するのではないかと密かに期待している。話の続きは翌日以降に。

ロンシャン競馬場コース図解

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2006.09.27

凱旋門賞 ディープの命運を握るロンシャンの馬場

今週末に迫ったディープインパクト凱旋門賞挑戦。ここまで順調に追い切りをこなし、ほぼ万全の体勢でレースに臨めそうだ。去年、BCターフを勝ち、今年はフォワ賞まで3連勝を飾っているシロッコが最大のライバル。キングジョージでハーツクライを降したハリケーンラン、3歳馬必勝パターンのニエル賞勝ちレールリンクまでが優勝可能性を秘めた馬になろう。ディープとの力関係を推測するのは極めて難しいが、完調のハーツなら何とか負かせただろう今年のハリケーンランよりは上、シロッコと同等、と評するのは判官贔屓が過ぎるだろうか。確かに下馬評は百家争鳴。しかし、陣営も専門家もブックメーカーも、走ってみなければ分からないというのが本音のところではないか。

能力的な比較を除いて、最も勝負を左右するファクターは馬場だろう。凱旋門賞は道悪で行われるケースが少なくない。良と不良では勝ちタイムが 10秒以上の差がついてしまう、まったく異質な競馬場となる(仏は欧州では軽い部類だが)。レースレコードは97年パントレセレブルの2分24秒6(良)。いちばん遅かったのは 99年モンジューの2分38秒5(不良)。後者はエルコンドルパサーが2着に敗れたレースだ。もし、良馬場であれば、7年前に日本馬は最高峰に到達していたと私は思っている。長期滞在して馬場にあった走りを体得し、日本では道悪は得意だったエルコンでさえ敗れたのだから、ディープにとっても当日までの天気が命運を左右すると言っていい。今週のパリの天気は予報会社によってまちまち。できれば一滴も降ってほしくない。

もうひとつ忘れてならないのは、ロンシャンは凱旋門賞当日、初めて馬場が全面開放されること。内の仮柵を撤去するため、新しい芝生、いわゆるグリーンベルトが出現するのだ。今年の凱旋門賞は10頭立て前後。折り合いを欠くのが怖い武豊は、いつもと同じようにディープを後方につけるだろう。直線、運良く内が開くことを想定することはできず、外を回すのは覚悟せねばならない。逆にフォワ賞で2番手から競馬を進めたシロッコはグリーンベルトの利を活かせる可能性が高い。但し、速い時計の決着にシロッコが対応できるかは未知数だ。いずれにせよ、こうしたファクターを克服して勝ってしまえば、ディープは文句なしの世界チャンピオンであり、その可能性も充分にあると思わせてくれる。凱旋門賞のゲートが開くのが待ち遠しい。

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2006.08.17

米・バーバロ 粉砕骨折と蹄葉炎から奇跡の快復

5月の米・プリークネスSのレース中に右後脚を骨折したバーバロ(Barbaro)が奇跡的な快復をみせている。バーバロはケンタッキーダービーを6馬身半差で圧勝。無傷の6連勝を飾って三冠確実と言われ、秋には凱旋門賞挑戦のプランも明らかにされたほどだった。しかし、プリークネスSでは発走後まもなく右後脚粉砕骨折を発症して競走中止。普通なら安楽死処分されるほどの重傷だったが、すぐにペンシルヴァニア州立大学ニューボルトンセンターに搬送され、長時間に及ぶ手術を受けて一命を取り留めた。27本のボルトと金属プレートを埋め込むオペだった。

だが、本当の闘いは術後から始まる。手術が成功すれば、馬は快方に向かうわけではない。最大の難敵は蹄葉炎だ。蹄は血液のポンプの役目を果たしている。骨折などで四肢の何れかの蹄に体重の負担がかかりすぎると、蹄内部の血液循環が悪化して壊死してしまう。かつて、術後のテンポイントは蹄葉炎を発症したため、苛酷な闘病生活の末、全身衰弱して死に至った。 7月、恐れていたことが起きた。バーバロは左後脚に重度の蹄葉炎を患い、生命の危機に陥ってしまった。しかし、懸命な加療と最新の獣医学、それに自身の強い精神力が、不治の病からバーバロを救った。バーバロは自らの脚で立ち上がり、蹄葉炎を克服したのだ。

現在、バーバロは順調に快復して、外に出て青草を食むまでになっている。もちろん、予断を許すことはできないが、一時と比べると未来は明るい。プリークネスS、プラド騎手は返し馬で後ろ脚の運びの不自然さをいぶかしがった。そして、バーバロはゲートでフライングをしたにも関わらず再スタートとなった。もし、という言葉は禁句だが、誰も予兆に対処しなかったのは残念なことだ。関係者は今後の教訓としてほしい。バーバロは経過が良好に推移しても、後ろ脚に負担のかかる種付けができるようになるまでには相当な時間が必要だろう。だが、いつかバーバロの子どもが父の果たせなかった三冠制覇に挑む姿を見てみたい。

>> "Barbaro walks outside, grazing on grass"(AP Sports)
>> 「バーバロ、右後脚骨折から順調に回復」(サンスポ)

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2006.07.30

欧州馬の底力 気を引き締めさせられた一戦

悔しいというよりは、良くやったという感情の方が上回ったキングジョージVI&クイーン・エリザベスDS。 3着という結果そのものは手放しで喜べるものではないが、欧州のチャンピオンとガチンコで勝負をして、決して恥ずかしくないレースができたことは素直に評価したい。と同時に、改めて欧州勢の底力を見せつけられたのも事実。アメリカンオークス、シーマクラシック、シンガポール国際Cと世界を席巻した最近の日本勢だったが、やはりGⅠの中のGⅠは簡単に手が届くものではなかった。

直線、ハーツクライが先頭に立った時は勝ったかと思ったが、残り100メートルで脚が上がった。内からハリケーンランが伸び、エレクトロキューショニストとの叩き合いにも後れをとった。敗因は幾つもあるだろう。休み明け、初コース、慣れない環境での体調不良、早仕掛け…。だが、アウェイとはそういうもの。ジャパンカップなら逆転できるだろうが、アスコットで勝つことに価値がある。最後に息が切れたのはスタミナを必要とする厳しいコースに負けたということだ。

それでも、何か歯車が上手く回ってさえくれれば、勝てない相手ではなかった。敗戦のなかに希望を見出せた遠征だったのではないか。橋口師はジャパンカップで再戦したいと言っているが、ハーツクライにとって意義があるのは凱旋門賞でリベンジすることだろう。この後、ジャパンカップ、有馬記念を連勝しても、歴史的な評価には付け足しにしかならない。凱旋門賞ではハリケーンランの他、斤量の有利な3歳勢も出走してくる。アウェイのディープインパクトにとっても、国内の下馬評ほど易しい勝負とはなり得ない。重ね重ね、気を引き締めさせられた一戦だった。

>>キング・ジョージ結果とレース映像(JRA)

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2006.07.29

キングジョージ展望 ハーツクライの勝機十分

いよいよ今夜(24:20発走)に迫ったキングジョージ。世界最強馬の1頭、ハリケーンランに日本代表ハーツクライが挑む。レースは女傑ウィジャボードが三強に恐れをなして回避、6頭立てで行われる。もちろん、三強とはハリケーンランエレクトロキューショニスト、そしてハーツクライの3頭だ。出走馬はいずれも古馬のため、斤量は全馬60.5キロを背負うことになった。これまで日本馬のキングジョージ参戦はスピードシンボリ(5着)、シリウスシンボリ(8着)、エアシャカール(5着)。アウェイの闘いは厳しいが、ハーツクライには日本馬初制覇の偉業を期待したい。

英王室が所有するアスコット競馬場は400億円を投じて、今年、大改修を終えたばかり。だが、直線の坂が少し緩やかになった程度で芝丈は長く、パワーとスタミナが必要になる馬場には変わりない。 2400メートルはおにぎり型コースの左下からスタートする。三角形の頂点まで緩い下り坂、その後は頂点から最終コーナー、直線と上り坂となる。ポイントは前半をきっちり折り合ってスタミナを温存すること、直線までに良いポジションを確保することだ。ハーツクライはドバイの馬場も克服しており、今回も適応できるだろう。直前の散水は勘弁してほしいが。

アスコット競馬場コース図解

最大のライバル、ハリケーンランは去年の凱旋門賞馬。その父、モンジューはエルコンドルパサーを凱旋門賞で2着に降した馬だ。前走のサンクルー大賞典は2着に敗れたが、初めての左回りに戸惑ったのかもしれない。この一戦で評価は落ちることはなく、今回はハーツクライを見ながら残り3ハロンで仕掛けてくるはず。ゴドルフィンのエレクトロキューショニストは去年、ゼンノロブロイを破った馬。それがフロックでなかったのは、ドバイワールドカップを制したことで証明済み。前走2着はドバイ帰りで本調子でなかった。叩いた上積みは大きい。

輸送直後のハーツクライは入れ込んで馬体減りも激しかったようだが、滞在2週間で調子を取り戻してきた。26日にはニューマーケットのロングヒルで最終追い切り。先導馬が先に行きすぎたために併せる格好にはならなかったが、同馬自身の動きは良く、後ろから追いかける調教ができたのも収穫だ。レースはゴドルフィンのペースメーカー、チェリーミックスが先手を取り、ハーツクライは2、3番手から早めに動くことが予想される。直線は3頭の叩き合いになるのは間違いなく、ハーツクライの勝機も充分だ。日本代表の実力を信じよう。

>>トラセンPodcast/ハーツクライ海外遠征(マニア向け編)
>>JRA/日本馬海外遠征特集

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2006.07.26

イギリスでジダン騒動 騎手が馬に頭突き!?

ワールドカップ決勝のジダンの頭突き騒動が、とうとう競馬界にも飛び火した。23日、イギリスで騎手が馬に頭突きを食らわせたことが大きく報道され、監督機関も調査に乗り出す事態になっているのだ。事件が起きたのはストラット・フォード競馬場。ポール・オニール騎手シティアフェアー号に騎乗してスタートを待っていると、同馬が暴れて振り落とされた。オニールは馬を引き寄せると、ヘルメットを被ったまま鼻面にヘッドバットを一撃、食らわせた。このシーンはテレビ中継されていたため、波紋を呼んだようだ。レースで同馬は4着となったが、オニールは「ファンにこんなところを見せて申し訳ない」と謝罪した。

気になる原因だが、専門家によるとシティアフェアーが「お前の母ちゃん、未勝利馬に種つけされたんだってな」「エゴイストの息子め」などと、侮辱的な発言をしたとかしないとか。だが、実際の映像を見てみると、オニールの頭突きはジダンとは比べものにならないほど軽微な様子。鞭の使用に回数制限があるお国柄とはいえ、これで騒がれるのは少し可哀想な気もする。名古屋JBCで座り込んだナイキアディライトに係員が蹴りをいれて非難されたことがあったが、見苦しさという点でも名古屋のほうが上か。その後、オニールとシティアフェアー号が出走停止や社会奉仕活動への参加が義務づけられるかは定かでない。

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2006.07.16

再録: 戦火からの復興 レバノン競馬観戦記

「イスラエルがレバノンのベイルート国際空港を空爆した」 今週、ニュースを聞いて10年前、ベイルートを訪れた時のことを思い出した。私にとって初めての海外旅行だった。隣国のシリアから乗り合いタクシーでレバノンへ入国。まだ戦火の傷癒えぬ街並みに、少なからぬ衝撃を受けた。ベイルートにはパレスチナ難民キャンプがあり、国連軍が治安維持に当たっていた。そんな準戦時下、宗教、宗派の垣根を越えて、人々が集っていたのが競馬場だった。今、競馬場がどのような状況にあるのか私には知る術はないが、当時の記事を加筆の上、現地の観光用雑誌に掲載されていた写真も含めて紹介しようと思う。一刻も早く彼の地に平和が訪れることを祈りたい。


「ヤッラー、ヤッラー!」観客の声がスタンドを揺らす。長い直線を馬群が駆け上ってくると、馬券を片手に買った馬、騎手へ声援をおくるのは万国共通だ。ヤッラーはアラビア語で「行け、行け」ぐらいの意味だろうか。もう12月も間近だというのに、競馬場に注ぐ陽差しは強い。地中海に面し、古くからヨーロッパとアジアを結ぶ交易都市として発展してきたレバノン。かつて、世界各地の避暑客が押し寄せて中東のスイスと呼ばれたが、度重なる内戦とイスラエルの侵攻により瀟洒な街は瓦礫と化した。首都・ベイルートに競馬場が建設されたのは1923年のこと。だが、フランス統治下に完成したスタンドも、1982年にイスラエル軍の戦車部隊により甚大な被害を受けた。

日曜日は週に一度の開催日(通年)。午後1時から8レース行われる。安ホテルの集まる西ハムラ地区でタクシーを捕まえ、競馬場の隣にある「国立博物館まで」と告げる。博物館は休館中だとドライバーは怪訝そうな顔。だが、馬を御す真似をすると、ニッコリと微笑んでアクセルを踏んだ。競馬場には10分とかからなかっただろうか。2等の入場券を買って先に進もうとすると、入り口で軍服を着た兵士に呼び止められた。肩には重厚な機関銃をかけている。「場内は撮影禁止だ。カメラは預かる」と言う。物言いは丁寧だが、引換証をくれるわけでもない。戻ってこないかもしれないと思いつつ、フィルムを抜いて兵士に渡すことにした。

コンクリート剥き出しの殺風景なスタンドに入るには、レースの合間に馬場を横切らねばならない。馬場は土に近いダート。コースは右回りだ。ゴール板は1コーナーのすぐ手前、直線の長さを目一杯、活用している。パドックはスタンドの裏側にある。レース直前になると、パドックからゴール前に人々が一斉に移動する。当然、ターフヴィジョンなどというものはなく、スタートして向こう正面を走る様子はスタンドの中のモニター前に陣取らなくては分からない。この日の勝ちタイムは2000メートルのレースが2分33秒4、1000メートルが1分8秒6だった。外国産馬ということだが、サラブレッドではないようだ。

海外初体験で語学も不出来な私。下調べもしなかったので(調べようもないが)、馬券の買い方が分からない。とりあえず、パドック横の窓口で「ナンバーセブン、ウイン」と言ってみる。だが、相手は「買えない」と身振り手振りを交えて応えるばかり。フランス植民地だったレバノンでは英語より仏語のほうが通用する。大学の教養課程で仏語を履修したものの、"アンドゥトロワ"以上の数は知らない私は不明を恥じるばかりだ。こういう時はハズレ馬券を拾ってヒントを探ってみよう。馬券にはアラビア語と仏語が印字されている。「PLACE(プラッセ)」の文字。これは英語と同じ、複勝だ。「GAGNANT(ガニャン)」は単勝。2つの数字が並んでいるのは連勝らしい。

コースは粘土に近いダート もぎり馬券。写真は単勝と連勝

ともかく、馬券の種類は分かったが、疑問が残った。馬券の上半分に大きく書いてある数字が、何を意味しているのかが分からないのだ。きちんと馬番号は「GAGNANT」などの下に印刷されている。その答えはスタンド1階の馬券売り場で見つかった。馬券は壁に日めくりカレンダーのようにかけられてた。客が買いたい馬券を告げると売り場のおじさんが、その番号の馬券をちぎってきて渡す。この時、めくるに従って、問題の数字も大きくなっていくではないか。数字が大きい馬券ほど売れている、つまり人気があってオッズが低いということなのだ。 トータリゼータなどというコンピューターはなく、手売りだからこそ求められるシステム。思わず唸ってしまった。

競馬場にいる物好きな東洋人は私だけ。パドック、スタンドと、せわしなく動き回っていると、気のよさそうなレバニーズがアラビア語で声をかけてくる。込み入った話などできるはずもないのだが、彼らは異国人がどんな馬券を買っているのか興味が沸くらしい。しきりに購入した馬券をみせろと言ってくる。ところが、いざ馬券を披露するや否や、「おお神よ。この阿呆な日本人がトンでもない馬券を買っています」と冗談まじりに、オーバーアクションで両手を広げて仰ぎ見たりするのだ。凄惨な戦争、厳格な戒律、強い信仰心…。旅を通して、私の先入観は崩されていった。なんと物事を画一的にしか見ていない、井の中の蛙だったかと。

アラビア語のレーシングプログラムなど理解できない私にとって、馬券を当てる唯一の手段はパドック診断しかない。「毎週、ここより格段にレベルの高いレースで勝負してるんだぞ」と無頼派を気取って馬を凝視する。だが、いかんせん母国でも負け組の素人。馬体が太いんだか細いんだかも分からない。発見したのは、外国の馬もパドックでボロするんだということぐらいだ。 馬券は1枚で5000レバノンポンド(LL)。日本円で400円ほど。レストランでレバノン料理をフルコースで食べたが2万5000LLだったことを考えると、鉄火場といわれた国営時代の日本競馬に似ているのかもしれない。

スタートするや、騎手は出鞭をバンバンとくれて、激しい先行争いを繰り広げる。4コーナーを回って直線を向くと、場内は歓声に沸いてファンは拳を振り上げる。こちらも負けずに「差せー! 交わせー!」と日本語で叫ぶ。 結局、払い戻しを受けたのは複勝2倍だけだったが、的中した時は周りのファンとガッチリ握手。競馬場の楽しさを感じさせられた一日だった。戦火からの復興するベイルート。建設中のビルからは新しい息吹が聞こえてくる。競馬場でもスタンドを建て替え、馬券販売にコンピューターシステムを導入する計画があるそうだ。だが、笑い声を響かせて競馬を楽しむファンの姿は、いつまでも変わらないに違いない。

※この文章は1997年に書いた記事を加筆・修正しました。競馬場内の写真はレバノンの"OFFICIAL TOURIST MAGAZINE(VISITOR No.3 '96)"に掲載されていたものです。

ゴール前。後ろにはスタンドがみえる スタートはゲート式

昔のベイルート競馬場

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2006.07.02

ダンスインザムード キャッシュコールマイル楽勝

日本時間2日早朝に行われた米G3・キャッシュコールマイル(ハリウッドパーク競馬場)は、エスピノーザ騎乗のダンスインザムードが1番人気に応えて快勝した。レースは8頭立て。フラインググリッターがハナを切り、ダンスは後方2番手で折り合いをつける。ダンスは3角で外を回ってスパートすると、馬群を一気に交わして直線入り口で先頭へ。そのまま脚色は衰えず、1分33秒33で後続を寄せ付けなかった。

ダンスの米遠征は3歳時のアメリカンオークス以来で、当時は消化不良まま2着に惜敗したが、今回の楽勝劇は溜飲を下げるのに充分なものだった。古馬になってからの気性面の成長は本当に著しい。良い流れの続く日本馬は今年、海外重賞4勝目。明日のアサヒライジング(アメリカンオークス)、ハーツクライ(キングジョージ)、そしてディープインパクト(凱旋門賞)と、日本馬の海外遠征にとってエポックメイキングな年になるのかもしれない。

>>キャッシュコールマイル映像(JRA)

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2006.05.14

大金星コスモバルク 地方馬初の海外GⅠ制覇

14日夜、シンガポール・クランジ競馬場で行われた国際GⅠ、シンガポール・エアラインズ・インターナショナル・カップ(芝2000メートル)は、ホッカイドウ競馬所属・コスモバルク(田部和則厩舎)が優勝した。鞍上は五十嵐冬樹。地方競馬所属の馬、ジョッキーとも海外GⅠ制覇は史上初めてとなる。

レースの主導権を握ったのはヴルームヴルーム(豪)。 1番枠のコスモバルクは2番手につけ追走。 4角で外を回すと、直線半ばでは先頭に立ち、そのまま後続を寄せ付けずにゴールした。五十嵐は馬上で腕を突き上げて喜びを表わした。勝ちタイムは2分6秒56。 2着は地元のキングアンドキング。高岡秀行師(元・道営)のダイヤモンドダストは5着。

コスモバルクの勝利は一昨年のセントライト記念となるが、長い長いトンネルを抜けたようで陣営の嬉しさもひとしおだろう。今回は折り合いも欠くことなく、2番手から理想の競馬ができた。こういうパターンになれば、この馬は強い。やはり距離も2000メートルあたりがベスト。今度はGⅠホースとして、宝塚記念を沸かせてほしい。

>>レース映像(YouTube)

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2006.03.28

ドバイミーティング回顧 日本勢の活躍に喝采

日本から9頭が挑戦した2006年のドバイミーティング。総大将カネヒキリはワールドカップで5着と敗れたものの、シーマクラシックをハーツクライが、マイルをユートピアが制して、日本勢は過去最高の大活躍となった。改めて日本調教馬が世界水準にあることを認識させられる結果だったのではないだろうか。日本勢のドバイミーティングでの優勝は2001年のステイゴールド(シーマクラシック)以来となる。なお、当時は格付けはGⅡで、GⅠ勝利は初。 フィギュアスケート、WBCに続く日本の世界一に喝采を贈りたい。

今回、ハーツクライは意表を突く逃げで勝利を収めたが、先行有利の馬場を考えてのことのことだった。もともと追い込み馬のハーツクライに騎乗したルメールは、天皇賞秋、ジャパンカップの敗戦で脚質に限界を感じた。そのため、有馬記念では一転して先行させ、ディープインパクト相手に大金星をあげさせたのは記憶に新しい。思い切ったドバイでの戦法も、昨秋の日本での経験が下地になっているのは感慨深い。順調にいけば、ディープインパクトと再戦となる次走のキングジョージも楽しみだ。それにしてもハーツクライからこれだけの自在性を引き出したのは驚きだ。

ユートピアは長い直線を先頭に立ち、そのまま後続を寄せ付けずに完勝。南部杯のように型に嵌ると圧倒的なレースを見せるが、今回は速い馬場が合っていたのと、トルコ馬が2着だったように相手に恵まれたのが勝因か。好スタートを決めた武豊の手綱も完璧だった。 日本所属馬の海外ダート重賞制覇はこれが初だった。UAEダービーに出走したフラムドパシオンは3着。中団からの競馬で窮屈なところもあったが、 6馬身差で勝ったディスクリートキャットがバケモノだった。 3歳でこれだけやれるのだから、フラムドパシオンも並の馬ではない。

ワールドカップで5着に敗れたカネヒキリだが、力は出し切っている。 2番人気に推され、ドバイの砂にあったスパイク鉄も履いたが、直線ではエレクトロキューショニストに歯が立たなかった。勝ち馬はインターナショナルSでゼンノロブロイを破り、ドバイへトレードされていた。ゴドルフィンとしては絶対に落とせないレースで、速い馬場も同馬にアドバンテージを与えるためだろう。日本のダート実績のある馬を何度連れていっても、勝つのは難しいのではないか。地味だがゴールデンシャヒーンでアグネスジェダイを6着に健闘させた金沢の吉原寛人騎手も忘れずに労いたい。

毎年、盛り上がるドバイだが、グリーンチャンネル視聴者以外はライブ映像を見るのが非常に困難だ。今年は関西テレビが中継番組を組む画期的な出来事があったが、他の地域のファンは必死になってネット配信を行うサイトを探した人も多かったのではないだろうか。フジテレビは同時間帯に通常内容の「うまっち」を放送していたが、ドバイについてはテロップすらなし。お笑い芸人の替え歌予想を流しているのは見るに耐えないほど情けなかった。JRAはホームページからネット配信を行う意思はないだろうか。本当のファンサービス、馬事文化の振興はそうしたところから始まると思うのだがいかがだろう。

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2006.03.25

速報 ドバイワールドカップ2006

ドバイワールドカップ諸競走一覧
 ・ゴドルフィンマイル(22:40)    ユートピア
 ・U.A.Eダービー(23:15)     フラムドパシオン・ガブリン
 ・ゴールデンシャヒーン(23:55) アグネスジェダイ
 ・シーマ・クラシック(24:50)      ハーツクライ
 ・デューティーフリー(25:30)     アサクサデンエン・ハットトリック
 ・ワールド・カップ(26:20)        カネヒキリ・スターキングマン

中継は関西テレビ、グリーンチャンネル、MBS(ラジオ)。オフィシャルサイトでネット中継がある模様だが、サーバーが重く接続は極めて厳しいようだ。

>>ドバイワールドカップ公式サイト(ストリーミング)

速報
ゴドルフィンマイル ユートピア優勝
UAEダービー    フラムドパシオン3着

ゴールデンシャヒーン  アグネスジェダイ6着
シーマ・クラシック   ハーツクライ優勝
ワールドカップ    カネヒキリ5着

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2006.02.05

シービスケットの故郷 いざサンタアニタ競馬場へ

旅はふとしたきっかけさえなくても、始まることもある。遅い正月休みをもらうことになり、その3日前、シャッターの下りた旅行代理店でエイヤと手にしたのがロサンゼルス行きの航空券とホテルがセットになったツアーパンフレット。メジャーリーグやマリンスポーツのシーズンでもない。ましてネズミの国へ喜び勇んで独りで出かける酔狂でもない。何をしに行くんだよ? 自分でも分からないまま飛行機に乗り、ロスへと旅立った。だが、そこにはやっぱりあれがあった。

ガイドブックの片隅にロスには有名な競馬場が3つあるとの記述を見つけたのは滞在最終日の前夜。ハリウッドパークデルマーサンタアニタ。ハリウッドでユニーバーサルやワーナーのスタジオを見学に訪れていたのに、なぜハリウッドパークの名がすぐに思い浮かばなかったのだろう。競馬ファン失格。ともかく、ネットカフェで調べてみると、この時期はサンタアニタで開催が行われているという。もう行くしかない。ホテルのあるダウンタウンからサンタアニタまではハイウェイを北東へ飛ばしておよそ40分。タクシーを捕まえて、一路、競馬場に向かった(片道60$ほど)。

何万台のスペースがあるか分からない駐車場を進むと、ライトグリーンの明るいスタンドが現われた。入場料を払い場内へ。何とも牧歌的な雰囲気。カウボーイハットを被ったオヤジたちがビール片手にパドックを囲む。 4ドル50セントの詳しいレーシングフォームを手にしている人は少数派で、簡単な出馬表やレーシングプログラムを眺める人のほうが多い。馬は装鞍所、パドック、馬道とファンの手が届きそうなところにいる。騎手もファンと談笑しながら歩いている。日本なら中央より地方に近い感じだが、カラッと乾燥した気候のなせる技か、賭博場特有の臭いがしない。

明るいイメージのスタンド入り口 1周1609m。雄大なサンガブリエル山脈を臨む

レースは序盤からガンガン飛ばす ビールを飲みながら観戦も最高

サンタアニタ競馬場は1934年につくられた。最近、サンタアニタの名前を世界中に思い起こさせたのが映画「シービスケット」だ。無名のシービスケットが挑んだのがサンタアニタハンデだった。今でもパドックの中央では威風堂々としたシービスケットの銅像が後輩たちを見守っている。馬券は単複、馬単、3連単、4連単、それに重勝式がある。バウチャー式の券売機が主流だが、門外漢の私はキャッシュの窓口のお世話になった。マークカードを差し出しても、口頭で伝えても良い。「10番はスクラッチになってるけど、他の馬にする?」など、親切に教えてくれるのが嬉しい。

第1レースの発走は午後1時。最終の第8レースが4時40分だ。英語も堪能でなければ、海外競馬通でもない私が直面したのが、レーシングフォームの難解さ。着順がどれかすら分からない。図々しく見知らぬ人に訊ねながら、どうにか目を通す。しかし、基準タイムも脚質も分からなくては予想のしようがない。 Wild Again とか Gulch とか、とりあえず知ってる種牡馬から買ってしまう次元の低さだ。数字はからっきしで、オッズも慣れない。我が国風に直せば、1は200円、1-5は120円、 7-5は240円…といった具合。1、2レースとかすりもせず、 3レースは休憩。何とか一度は払い戻しを受けたいものだ。

迎えた4レース。人気頼みで3番 Paddy Murphy の単と馬単流しで勝負。このフォレストキャンプ産駒は、ガンガンとスタートからアクセルを踏んでいく。アメリカ競馬は飛ばしまくってゴールまで持たせるか、ガソリンが切れたら終わりという、ある意味、至極明快な競馬だ。私の3番馬は失速しながらも、ハナだけ差し馬の猛追を凌いだ。アメリカ競馬初的中! 馬単(EXACTA)は10倍強、単は9-5で280円ほど。超弱気の1ドル勝負だったが、6ドルの投資で17ドルの払い戻し。さあ、これからガンガンいきましょう!

と、そうは問屋が卸さないのは日本と同じ。欲をかいて3連単(TRIFECTA)を狙うが、必ず何かに邪魔をされて外れていく。 4連単(SUPERFECTA)なんて、とんでもないな。英語の場内実況はよく分からないが、私の馬券を粉砕しながら突っ込んできた馬とともに発せられた、この雄叫びだけは聴き取れた。「ケント・デッザーーーッモ!!」ここで会ったが地獄のサンタアニタ3丁目。中山の仇はサンタアニタで返せよ。と、思っていたのに、 6レースで出走していたのを見忘れ。私の3連単3頭BOXが並んで入線するのを嘲笑うかのように、先頭をぶっちぎる「ケント・デッザーーーッモ!!」。

結局、最終レースまで当たることはなく、夕暮れの美しいサンタアニタ競馬場を後にすることになった。この日は金曜日ということもあって、観客の混み具合もそれほどでなく、ゆっくりしながらアメリカ競馬を楽しむことができた。人も雰囲気もアットホームという表現がぴったりだった。日本人の姿はなかったが、ディズニーランドやユニバーサルスタジオといった定番の観光スポットだけでなく、ロスを訪れた際はぜひ競馬場にも足を向けることをお奨めしたい。開催は年間を通して、3場の持ち回りで行われている。

落ち着かせるため帯同馬が必ずつく パドックのシービスケット像

唯一の当たり馬券。なさけなや。。。 口頭&マークシート窓口

ケント・デザーモはこの日2勝 ファンの間を通ってコースへ

※ささやかなお土産としてサンタアニタのネーム入りボールペンを買ってきました。もし、ご所望の方がいらっしゃれば、拙サイトへのご感想をお書き添えの上、メールでお知らせください。進呈いたします。応募者多数の場合は抽選にさせていただきます。(2月15日〆切)

>>メール

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2005.10.03

凱旋門賞レース映像 1番人気ハリケーンランが快勝!

現地時間2日夕方(仏・ロンシャン)に行われた凱旋門賞は、 1番人気の3歳馬ハリケーンラン(仏)が内ラチ沿いを鋭く伸びて快勝しました。ハリケーンランは愛ダービー、ニエル賞と、これで3連勝。父は99年にエルコンドルパサーを降して凱旋門賞を制したモンジューで、管理するA・ファーブル調教師は6度目の優勝、K・ファロン騎手は初制覇となりました。 2着はデインヒル産駒のウエスターナー(仏)、 3着に昨年の覇者バゴ(仏)。

去年はタップダンスシチーの参戦で、大いに盛り上がった凱旋門賞でしたが、今年は国内での注目度はイマイチ。しかし、世界最高峰のレースというのは見応えがあるものです。ハリケーンランがジャパンカップでディープと対決なんて実現したら最高なんですけどね。欧州戦線では英ダービー、セントレジャーもモンジュー産駒が勝利していて、この2頭は凱旋門賞でもハリケーンランに次ぐ有力候補にあげられていました。ぜひ残り少ないエルコン産駒にも、モンジュー産駒と勝負できるような馬が出てきてほしいですね。

>>凱旋門賞出馬表(JRA)
>>レース映像(7th Race・PRIX DE L'ARC DE TRIOMPHE LUCIEN BARRIÈRE)
凱旋門賞は第7レース。右下の「next」から次頁へ。

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2005.08.27

失踪ドバイエクセレンス ウクライナに?

先日、このブログでお伝えした「ドバイエクセレンス失踪事件」 。イギリスからオーストラリアへ種牡馬として輸入されたものの、 DNA鑑定で別馬だと発覚した騒ぎです。その後の調査の結果、ドバイエクセレンスはなんと旧ロシアの ウクライナにいる可能性が高いことが判明しました。

>>Stallion Dubai Excellence Believed to be in Ukraine(Blood Horse)

ドバイエクセレンスだと思われていた馬は、カーリアン産駒のサムード(兄ケープクロス)という馬らしい。。。って、父親すら違ってましたね。この2頭はイギリスで同じパドックに繋養されていたため、 取り間違えてしまった ようです。で、本物のドバイエクセレンスはサムードとして、ウクライナに輸出されてしまったとか。まあ、最悪の事態は免れたようで、何よりです。

この後、ウクライナの馬がはっきりとドバイエクセレンスと確認されれば、交換ってことになるんでしょうか。サムードの兄、ケープクロスは非常に人気の高い種牡馬で、ヨーロッパで種付け数が増えたために、去年はニュージーランドでのシャトル供用が中止されたばかり。こうなれば、オーストラリアの牧場は、 サムードをつけまくる ってのもありやなしやと。。。

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2005.08.18

蒸発した輸入種牡馬 ドバイミレニアム半弟はどこに?

鳴り物入りで輸入したはずの種牡馬が、どこの骨とも知らない馬だと判明したら、そりゃビックリするでしょうねぇ。こんなことがオーストラリアで起きてしまったらしいのです。問題になっているのはドバイエクセレンス。あのドバイミレニアムの半弟で、ハイエストオナー産駒という良血です。今年2月、繋養先のイギリスから、西オーストラリア州のヴァーグリーンロッジに迎え入れられました。種付け料30万円で、すでに80頭の申し込みが寄せられていたとか。ところが…

到着当初から「体が(聞いていたより)大きい」「(引退の原因となった)腱の故障の痕跡がない」「(馬体に)埋められているはずの個体識別用のマイクロチップが発見できない」など疑わしい点が続出した。毛によるDNA検査を実施したオーストラリアスタッドブックは「父はハイエストオナーかもしれないが、母は(ドバイエクセレンスの母であるはずの)コロラドダンサーではない」とし、「99.9%、本物のドバイエクセレンスではない」とコメント(8/18付け東京スポーツ)

どうやら、イギリスからオーストラリアに来るまでの間に、馬を取り違えてしまったらしいのです。そんなバナナ! だったら、輸入された馬はいったい誰なんでしょう? それに本物のドバイエクセレンスはどこに行ってしまったんでしょう?交配シーズン前に気づいたのは幸いだったのでしょうか。孕ませてから発覚したんじゃ、※日吉丸が80頭も誕生しちゃうことになりますから。しかし、ドバイエクセレンスの行方を考えると、喜劇のようで実は悲劇なのかもしれません。

日吉丸…身重のままデビュー、3勝をあげたモリケイの仔。血統不詳のため乗馬となった。

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2005.08.16

インターナショナルS・レース映像 ロブロイ2着

現地時間16日、イギリス・ヨーク競馬場で行われたインターナショナルSで、日本から出走した武豊騎乗のゼンノロブロイは2着に敗れた。直線でいったんは先頭に立ったゼンノロブロイだったが、ゴール前で最後方に待機していたイタリアのエレクトロキューショニストに差しきられた。 3着はイギリスのマラーヘル。インターナショナルSは距離2080メートル。勝ちタイムは2分7秒47、良馬場だった。

>>インターナショナルS・レース映像(JRA)
>>MBSによるレース実況

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2005.07.04

シーザリオ 4馬身差独走で米GⅠ制覇!

現地時間3日、米ハリウッドパーク競馬場で行われた アメリカンオークスは、日本から参戦したシーザリオが 2着に4馬身差をつけて圧勝した。大外13番枠から好スタートを切ったシーザリオは3番手で先行。抜群の手応えで3角手前で先頭に立つと、独走態勢に入り、そのまま後続を引き離してゴール。鞍上の福永騎手は「いい形で最初のコーナーを回ることができた。3角前で先頭に立ったが、この馬のペースだったし、手応えも十分だったので問題なかった」と話している。

シーザリオは父スペシャルウィーク、母キロフプリミエール(その父サドーラーズウェルズ)。日本所属馬の米GⅠ勝ちは初めて。また、父内国産馬として、日本のクラシックホースとしては初の海外GⅠ制覇となった。牝馬の海外GⅠ制覇はシーキングザパールの98年モーリスドゲスト賞以来7年ぶり。角居調教師は今後についてブリーダーズC参戦も視野に入っていることもあげ、「輸送などの条件をクリアすることができれば前向きに出走を考えたい」と語った。

>>アメリカンオークス・枠順とレース映像

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2005.04.06

9億円のストームキャット産駒 やはり落札者はあの人

去年9月、キーンランド・セレクトセールで同セールの最高価格、 800万ドル(約9億円)ストームキャット産駒が落札された。購買者の名前は長らく伏せられたままで憶測を呼んだが、落札者はやはりあの御仁、関口フサロー氏であることが明らかになった。これはフサイチネットで公式発表されたもので、同馬はボブ・バファート調教師のもと米クラシックに挑戦することになる。なぜ、フサローは落札したことを隠していたのだろうか?

これまで敢えて名前の公表を控えておりましたのは、今まで必ず自分の目で見、触り、感じ、自らがセリ落とすスタイルを貫いてきた馬の購入を、今回はさまざまな原因により現地到着が間に合わず、他人に依頼して記録的な高額で落札したことが、「常に正々堂々と勝負する自分のポリシーに反する。またセリの競合相手に対し失礼にあたる」と言う本人の強い意思によるものです。 …春のクラシックシーズンを前に競馬ファンの皆様にエキサイティングな話題を提供するにはピッタリな時期だと言う、関口独特のパフォーマンスから、今回の正式発表に至りました。 (フサイチネット)

つまり、入国トラブルでセリに間に合わず落札を任せたが、ほかのオーナーなどから「安く買おうと戦略的に、裏から隠れて競ったように思われる」ことにプライドが許さなかったということらしい。 9億払ったのに誰が買い叩いたと思うのだろうか。金持ちの考えていることは分からない。フサローはストームキャット産駒に特別の思い入れがあるようで、ここ数年、眼鏡に適う若駒を探し続けてきたという。

ミスタープロスペクターに代わって、北米のみならずヨーロッパでもストームキャット産駒の活躍を目の当たりにしてきました。 …どうしてもストームキャット産駒を手に入れたくて、この4年間、世界中のあちこちで探し回りましたが、トップクラスのストームキャット産駒がマーケットに出ることはありませんでした。なぜならそれらの産駒を所有する誰もが、必ず走る!と確信しているからです。 …同馬の写真がメールで送信され、それを見たとたんに「これは間違いない!」と電撃的に直感しました。そしてその場で秘書に電話をし、「今からケンタッキーに飛ぶぞ!」と一言。数時間後にはアメリカ行きの飛行機の中いたわけです。

この9億円馬、ウェルカムサプライズ03は近親にエーピーインディやサマースコールのいる超良血。母自身もG3を勝っているシーキングザゴールド産駒。フサローはこのセールで同馬のほか、もう一頭のストームキャット産駒、ブレス03を落札している。ブレスはフサイチペガサスの全妹。こちらは栗東・森厩舎に入厩予定で、今月11日に来日することになっている。落札価格はお安く3億7400万円。とはいえ、日本における外国産馬の史上最高額なのだから恐れ入る。内外タイムスによれば、森師はこの馬で06年のケンタッキーダービーをめざすとのこと。

フサローがこれだけ派手なことをしても世間から恨みを買わないのは、金を持っていることを隠し立てせず、パッと大枚をはたいてしまうからだろう。「金庫に金貯め込んで毎晩数えるような大人になったらアカンで。お金は使うものや。数えたいだけなら新聞紙でも入れときゃエエんやわ」は至言か。「ギャンブルは金持ってるもんが勝つようになってるんやて」というのは貧乏人には悲しすぎる摂理だが。 金を使わない金持ちほど社会悪なものはない。今後とも国内外で高額馬を買い漁って、競馬を盛り上げてほしい。渦中のホリエモンもフサローに見習うべきところは多い。

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2005.03.27

速報・ドバイWC結果&映像 アジュディミツオー健闘6着

日本時間27日未明に行われたドバイワールドカップ(UAE・ナドアルシバ競馬場)で、日本から挑戦したアジュディミツオー(船橋・川島厩舎)は6着に入線した。内田博幸騎乗のアジュディミツオーは先行力を活かして積極的に 2番手グループでレースを進めたものの、直線では伸び脚を欠いて敗れた。

勝ったのはアメリカのローゼズインメイ。先頭でレースを進め、4コーナーでは1馬身のリードをつけて直線へ。後続馬が押し寄せたものの、ここから驚異的な二枚腰を使って圧勝した。 2着はダイネヴァー、 3着はチョクトーネーション。(レース内容はネット中継を見てのものです。不確かな部分もあるかもしれません)

2005 Race Results - Dubai World Cup (Group 1)
1 ROSES IN MAY (USA)
2 DYNEVER (Saudi Arabia)
3 CHOCTAW NATION (USA)
4 JACK SULLIVAN (United Kingdom)
5 CONGRATS (USA)
6 ADJUDI MITSUO (JPN)

>>ドバイWC-2005 レース映像(HKJC)

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2004.10.04

速報・凱旋門賞 タップ清々しい敗戦!

3日、フランスのロンシャン競馬場で行われた 凱旋門賞に挑戦したタップダンスシチーでしたが、残念ながら17着の大敗という結果になってしまいました。タップはハナを切った英ダービー馬のノースライトを内に見る形で2番手追走。4角ではいったんは先頭に立つ勢いでしたが、直線で馬群に飲み込まれてしまいました。
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やはり前々日入りの強行ローテが響いたんでしょうか。前半、外から競りかけられて息を抜けなかったのも敗因のひとつになるのでしょう。それでも、堂々の番手競馬を見せてくれた佐藤哲三に感謝。中途半端な競馬で負けるより、ずっと清々しい騎乗でしたよ。ファンは楽しめたのではないかな。佐々木晶師は「4角ではいい感じだったので力が入ったが、残り300メートルで力尽きてしまったようだ。(輸送の遅れ等による)調整の遅れなどが原因かもしれない」と語っています。

勝ったのはパリ大賞典勝ち馬で、前走のニエル賞では3着だったバゴ (父ナシュワン)。2着にはドーヴィル大賞典馬のチェリーミックス(父リナミックス)が入りました。ともに3歳のフランス調教馬です。やはり凱旋門賞では3.5キロの斤量差がもらえる3歳が有利なんだなぁ。タップと併走していたノースライトは5着。時計はよく分からないけど、この馬がいちばん強い競馬をしたのかも(自信なしですが)。とにかく、果敢に世界へ挑戦した陣営とタップの馬主の皆様、ありがとうございました。クラブは違えど、一口馬主の夢を見せてもらった気がします。また、来年、再来年と、日本からチャレンジする馬が出るといいなぁ。

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2004.09.29

凱旋門賞 タップダンス5番人気に!

輸送機の故障という信じられないような理由で、一度は凱旋門賞回避に追い込まれた タップダンスシチーでしたが、一転、本番の2日前(10月1日)に日本を出発する強行スケジュールでの参戦が決まりました。「二度とないであろう機会をここで諦めてしまうことは大いに悔いが残る」とは友駿ホースクラブの塩入代表の言葉です。最大の広告塔であるタップを出走させるだけでも、クラブにとっては意義があるわけで、ウルトラCを使ってでも渡仏させたかったのは間違いありません。 現地でまともな調整もできないスケジュールで馬は走れるのか という疑問は大いにありますが、とにかく前代未聞の出来事ですから、良い結果が生まれることを信じてみたいものです。

で、その凱旋門賞ですが、タップダンスシチーはトラブルがあったにも関わらず 5番人気に推されているようです (netkeiba) 。キングジョージ勝ち馬のドワイエンに続き、同じゴドルフィンのスラマニが回避することになりました。代わって1番人気は3連勝で英ダービーを制したノースライト。 2番人気にそのノースライトを愛ダービーで破った グレイスワローが支持されています。凱旋門賞は負担重量が3歳56キロ、古馬59.5キロと、非常に3歳に有利な設定がされています(過去20年で勝ち馬12頭が3歳)。ノースライトもグレイスワローも活きのいい3歳馬で、やはりこの2頭がタップの行く手を遮るライバルになりそう。ただ、ノースライトは脚部不安でキングジョージを回避した後で、不安がないわけでもありません。

3番人気はヴァリキシールワールサン。ヴァリキシールは近年、凱旋門賞に最も相性の良い ニエル賞の勝ち馬。父トランポリーノも秋に成長して凱旋門賞で優勝しており、10倍のオッズなら個人的には単勝を買い占めてみたい馬ですね。ワールサンは日本でもお馴染みのカーリアン産駒で、独バーデン大賞を勝っての参戦になります。タップはその後、英愛オークス馬のウイジャボードらと並ぶ 11倍の5番人気です。先行勢が圧倒的に有利なコースだけに、いつものタップの競馬を心がけてほしいものです。ライバルたちは強力ですが、とにかく最高峰のレースに挑む我らがタップの健闘を応援しましょう!

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