2008.07.01

宝塚記念回顧 二枚腰発揮させた内田博幸の勝利

予想は公開しないほうが良く当たる。過去10年、しょうもない予想をネットに晒してきた経験から言うと、これは確かに真理である。先週の宝塚記念、仕事にかまけてG1なのにブログにUPできなかった。本命はメイショウサムソン、対抗はエイシンデュピティ。この2頭の馬連を大本線に、アドマイヤオーラとカンパニーを加えたBOX。それにエイシンから薄めに流す馬券を持っていた。ゴール後は「何でこういう時に予想をあげてないんだー!」と呻いてみたが、これで「当たったんですよ、実は本線で」などとブログに載せても、嫌味なだけの後出しジャンケンでしかない。それでも、ハズレ馬券ばかりつかみ続けてきた私は叫びたい。たった10倍の馬連であっても。。。 大本線的中! ビクトリー(方式)!!!

勝ったエイシンデュピティは重馬場は鬼のフレンチデュピティの仔。雨が降ったら産駒はレインボアンバーに変化すると、覚えておいたほうが良い。内田博幸がジワっとハナに立つ、燻し銀の騎乗で勝利に導いたが、直線で二枚腰を使って粘りきったのは馬の勝負根性もあるが、地方で培った技術が大きかったのではないか。 2着、メイショウサムソンは中団からまくっていく競馬。状態は戻っていたし、武豊の騎乗も悪くなかった。アサクサキングスと接触した不利は痛かったが、不思議と勝てたのにという感情は沸いてこない。今年、高橋成忠厩舎は中央未勝利(交流重賞1勝)。早くトンネルから抜け出してもらいたい。

3着にインティライミが入り、復活の狼煙。ディープインパクトがいなければ、ダービーの栄光に輝いた馬。こちらも重は得意だったし、馬体が絞れたのも好材料だった。 4着に伏兵サクラメガワンダー。2歳時はラジオたんぱ杯まで3連勝を飾ったほどの素質馬が、ようやくG1で力を発揮してくれた。グラスワンダーの仔でもあるし、ひさしぶりにサクラ軍団の活躍を見たいもの。秋が楽しみだ。 5着にアサクサキングス。NHKマイルCも惨敗したが、重はからっきしダメだった。直線、苦しがってよれたのも、そのせいだろう。カンパニーは8着。安田記念を回避した影響が残っていた。 2番人気ロックドゥカンブは左後繋靭帯を断裂して12着。キングジョージ登録もあった馬だが、非常に残念。アドマイヤオーラは殿負け。道悪で走る気を失っていた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.10

ウオッカ復権 賞賛すべき岩田康”独断先行”の大胆さ

ひさしぶりに溜飲の下がるレースだった。もちろん、一介のファンである私よりも、ウオッカの関係者の喜びは一方ならぬものだったに違いない。64年ぶりにダービーを制した女傑が一年ぶりの美酒。しかも混合G1である。この勝利はテン乗りだった岩田康誠の手綱さばきによるところが大きい。これまで折り合いを欠くことを恐れて、後ろからの競馬が続いていた。ダービーの残像が強く残っていたせいでもある。今回も陣営の指示は「控えて後ろから」。ところが、岩田は何度もウオッカのレースをビデオで見返し、前日にインコースの馬場状態を確かめた末、積極的に前に行くことを決めた。前走と正反対の戦法でだ。その結果が最内から早々と2頭を抜きさって先頭に立ち、そこから加速して後続を3馬身半突き放す圧勝劇だった。上がり3ハロンは11秒4、11秒4、12秒0。付け入る隙もない。

追い切りに乗った岩田が感じたのは、ウオッカのストライドの大きさだったと言う。その長所を活かすためには、窮屈な競馬を避けて、伸び伸びと走らせられるポジションを獲る必要がある。馬群で脚を溜めれば、持ち味が消える可能性も高い。ああ見えて、岩田はなかなかの頭脳派ジョッキーである。ウオッカの状態もかなり前走より良化していた。きっちり追いきり、輸送してのプラス8キロ。ダービーのディープスカイと重なる。私も含め、休ませたほうが良いのではという外野の声に臆することなく、安田記念へ向かった角居厩舎のファインプレーだ。岩田の独断先行策もそうだが、仮に敗れていれば大きな非難を浴びていたはず。しかし、リスクを恐れて8割の競馬をしたのでは G1は勝てない。通算の勝ち星は変わらないのに、大舞台でなかなか勝てない騎手との差は、リスクを取れるかとうかにあるのではないだろうか。計算し尽くした上での賭けが前提なのは言うまでもないが。

2着は香港のアルマダ。この馬も2番手につける積極策。やはり、ホワイトの手綱さばきは侮れない。伏兵を日本で好走させたのは何度目だろうか。3着はエイシンドーバー。ウオッカの後ろで福永が良い競馬をした。4着はエアシェイディ。すでに7歳になったが衰えはない。 G1では一歩足りないが。5着スズカフェニックス。いつもの後方待機で、いつものように脚を伸ばし、いつものようにマイルG1は入着。距離の壁があるのは理解できるが、武豊だからこそ違う競馬を見せてほしかった。騎手のコメントと同じく、観ているほうも「歯がゆい」。 1番人気に推されたスーパーホーネットは8着。出遅れて予定していた先行策が取れなかった。どこか人気の重圧もあったか。香港の総大将、グッドババは17着と惨敗。馬体は軽い調教でマイナス15キロと、調子を大きく落としていた。直前で下げたとはいえ、3番人気の5.1倍。持ち上げていた予想家の方々は、ファンから恨めしく思われても仕方があるまい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.04

常識覆す大外一気! ダービーを制した神がかり的騎乗

今年もダービーが終わった。戦国ダービーと言われたが、栄冠を勝ち取ったのは1番人気、四位洋文ディープスカイ。NHKマイルC馬が G1を連勝したことで、「日本ダービー」の威光が霞むことはなかった。距離不安が囁かれたディープスカイにとって、スローペースは望む展開だったかもしれない。強めの調教でプラス体重で出走できたのは、前走の反動もなく上り調子だった証拠。それにしても、最内枠を引きながら、直線は大外を回して追い込んでくるという、とても1番人気を背負った馬とは思えない手綱さばきには驚愕させられた。 4角は15番手。ダービーポジションもヘッタクレもあったものではない。それだけ、この世代では能力が抜きん出ていたということだし、常識を覆した騎乗は神がかり的だった。史上二人目となる四位のダービー連覇の前に、私の予想は完敗である。

2着は完璧なレース運びで、ようやく折り合いもついた小牧のスマイルジャック。皐月賞以外は複勝圏を外れたことはなく、12番人気は評価を落としすぎた。 この馬の祖母はカイウンテンシ。私が競馬を始めた頃、良く馬券を買っていた思い出深い馬だ。ぜひ、種牡馬になって、血統表に祖母の名も残してほしい。3着は武豊ブラックシェル。1コーナーで同厩舎の福永モンテクリスエスに進路をカットされ、序盤で馬が燃えてしまったことが響いた。武豊は2週続けての不利に怒り心頭。

「先週のオークスもそうだったが、騎手のマナーが最近は悪すぎる。厳しい競馬とラフプレーは違う。緊張感がない のか、これではファンが本当に離れてしまう。今まで積み重ねてきたことが、あの一瞬で終わってしまった」とぶ然とした表情だった。(ZAKZAK)

まったくの正論だと思うが、きちんと公の場で言い続けてほしい。別に福永に「福島に行け」と言う必要はないけれど。それにしても、怒りの対象が同厩舎の馬とは、多少はアドマイヤを見習うところもありやなしや。本命にしたマイネルチャールズ4着。成長力に欠けていた。仕上げの考え方にも拠るのだろうが、プラス体重にするために強めの調教を控えたのは、最高峰のレースを制するには物足りなかったのかもしれない。皐月賞と違って、今回は松岡の騎乗にも問題はなく、実力は出し切れたように思える。秋に期待しよう。

ディープスカイを除いて、5着レイボーペガサスまで皐月賞組が占めたわけだが、台風の目となった別路線組は厳しい結果が待っていた。青葉賞組はクリスタルウイング6着、アドマイヤコマンド7着、モンテクリスエス16着。アドマイヤコマンドは入れ込みも激しく、馬体も大幅に減った前走よりマイナス。青葉賞を激走した反動がありありだった。ゆっくり休養して再スタート、菊花賞は楽しみだ。京都新聞杯馬、メイショウクオリアはブービー。流れに乗れなかったが、現状はこの程度だろう。そして、3番人気に支持されたダート4連勝中のサクセスブロッケンは潔く18着。 4番手追走という正攻法の競馬ができたのだからスピードはある。先入観かもしれないが、パドックでは硬い芝を走らせるには怖い歩様に見えた。距離か芝適性か、敗因は分からないが、ダービーを盛り上げた陣営の挑戦には拍手を送りたい。

最後に触れておくべきか。場内の勝利インタビュー中、四位が観客に向けて「うるせえよ、おい」と発言したことが波紋を広げている。報道によれば、最前列にいた泥酔客が「しーい、しーい」とインタビューを遮るように大声を出し続けたことに、他のファンに迷惑になると四位がキレてしまったらしい。もちろん、公人として残念な行為であるし、テレビ中継で流れてしまったのは不幸だった。ダービーという特別なものを汚されたと憤るファンの気持ちも共感できる。ただ、擁護するつもりはないが、ダービーで1番人気馬に乗り、後方一気の大外ぶん回しという神業を繰り出した精神状態は、尋常なものではなかったのではと類推する。むしろ、インタビュアーの「みなさんのご迷惑になりますので少しお静かに願います」ぐらいの状況説明的フォローがあっても良かったのではと思う。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.27

オークス疑惑の裁決? 騎乗停止も降着処分はなし

疑惑の裁決。今年のオークスはそう競馬史で記憶され続けるかもしれない。 1着となったトールポピーは直線で内に切れ込んで4頭の馬を妨害。長い審議となったものの、降着処分はなし。一方、鞍上の池添には2日間の騎乗停止処分が下った。問題となったのは残り400メートル付近。馬場中央から内に進路を取った際、押しやったレジネッタソーマジックを接触させた。その余波で後ろにいたオディールは追えなくなってしまった。それでも、池添は左ステッキを連打。さらに右へと寄れて行き、レジネッタ、ソーマジックを押しやり、後方にいたマイネレーツェルにも被害を与えた。 JRAは「斜行による被害は走行妨害には至らないが、継続的かつ修正動作の無い危険な騎乗である」というコメントを発表した。ジョッキーは処分を受けているのに、着順変更はない。ルール上は問題なく、2度の前例もあることとは言え、多くのファンが違和感を覚え、JRAの裁決に不信感を持つ人々が出てきても当たり前である。

JRAの処分は妥当だったのだろうか。パトロールビデオを見れば、一歩間違えれば重大な事故につながる、非常に危険な騎乗であったことは一目瞭然。一度目の押圧で修正することもなく、右に寄れる馬を左鞭を使って大きく斜行している。気づかなかったでは済まされない、意識してのラフプレーだ。 JRAは斜行がなくとも着順に変化はなかったとの判断で降着には及ばないとしたが、レジネッタが2着になった可能性は皆無か、誰も自信をもってないとは言い切れないだろう。少なくとも9着のマイネレーツェルの着順は違っていたはずだ。トールポピーも内への斜行がなければ、行き場は失われていた。「通常のレースならば降着」と生放送で断言した柏木集保の見解は正しい。私もこれが平場のレースであったなら、懲罰的な意味合いも込めて降着になったのではないかと思う。G1では多少の荒っぽい行為は許される、という考え方に立てば妥当性は見出せるだろうが、そこは価値判断だ。

そもそも、審議は密室で行われ、処分基準も曖昧で委員個人に任される裁量は大きい。裁決委員もJRA職員。宮仕えの本能として、G1優勝馬を降着させる面倒な責任を負いたくないのは自然なことだ。「できることなら降着処分を下したくない」という心理が働いたのは容易に想像がつく。池添の加害行為は横から寄せていったもので、被害馬の前に出て進路を遮るものではなかった。メジロマックイーンの天皇賞秋での1着降着は進路をカットして、他馬に急ブレーキを踏ませたもの。100%アウトだった。逆に、「トールポピーはセーフ」と裁決が強弁できる余地が残されていたわけで、そこに判断が拠っていった気がしてならない。当の池添はゴールでは派手なガッツポーズをして、ウイニングランまでしていた。審議の対象が自分であることは感じていたはず。敢えてパフォーマンスに興じることで、裁決の判断を鈍らせようとしたのか。ゴール後と確定後の表情の落差から、被害の深刻さまでは認識していなかったように見えるが。

しかし、今回の問題は処分基準の曖昧さだけに留まらない。「社台の馬だから降着にならなかったのではないか」という公正性への疑念を生じさせてしまったことは大きい。トールポピーの生産牧場はノーザンファーム。馬主は社台系のクラブ法人、キャロットファーム。ここに飛ぶ鳥を落とす角居厩舎のブランドも加わる。最も被害の大きかったレジネッタは社台RH、ソーマジックは吉田照哉の持ち馬で、優勝馬の栄誉を貶める立場にはない。不毛な陰謀論は控えるべきだと思うが、裁決に騎手が呼ばれても被害を強く訴えることは考えにくい。少なくとも昨秋の天皇賞のように「福島へ行け」とは言うまい。実際、被害を受けた小牧や安藤勝が裁決にどう話したかは分からないが、「社台の機嫌を損ねるようなことは言わなかったはず」とファンに思わせたのは確かだろう。公正性が揺らぐとは、ファンの信頼が揺らぐということだ。

今年のオークスは半数が社台グループの関連馬だった。これからも「社台の運動会」は10年、20年と続くかもしれない。それだけに、裁決という競馬の公正性を担保する要となる部分については、ファンが納得して受け入れられるシステムを作ってく必要があるだろう。裁決委員を利害関係のない外部の人間に任したり、審議の過程をフルオープンにすることもひとつの案だ、少なくとも、どんな基準で降着や過怠金の処分を下しているのか、線引きはどうしているのか、細かなところまで含めて内規などを公開することが先決だと考える。付けたしのような形になるが、桜花賞で見せ場なく敗れたトールポピーを短期間で立て直した角居厩舎と山元TCのスタッフに敬意を表したい。ジャングルポケット産駒らしく、東京コースの適性も高かった。兄フサイチホウオーの幻影に評価を下げていたが、妹は妹。次走、アメリカンオークスも楽しみだ。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2008.05.21

ヴィクトリアM回顧 本調子欠くウオッカ2着に敗れる

ヴィクトリアマイルは上がり馬、エイジアンウインズが好位から抜け出す危なげない競馬で完勝した。手綱を取った藤田は「府中マイルG1は逃げ切れるほど甘くない」との考えで、前走の阪神牝馬Sを勝ったハナを切る競馬は絶対にしないと決めていたそうだ。騎手も巧かったし、馬も強かった。馬名の字面からはエイシン軍団の一員のような印象を受けるが、勝負服は懐かしい太田美實氏のもの。ウイニングチケットやロイヤルタッチでG1の常連だったが、最近はすっかり鳴りを潜めていた。G1勝ちは日本ダービー以来、15年ぶり2度目。もしかしたら、あの時のマサトコールを思い出したファンもいたかもしれない。フジキセキ産駒は去年のコイウタに続いてのヴィクトリアマイル優勝。今春、ドバイではサンクラシーク(南ア)が勝利したように、すばらしい種牡馬になった。 エイジアンウインズの次走は米・キャッシュコールマイル(7月5日)。好勝負できるはずだ。

1番人気に支持されたウオッカは4分の3馬身届かず2着。レースは1000メートル60秒通過のスローペースで、瞬発力勝負の差し比べとなった。武豊はウオッカの折り合いを気にして中団につけ、直線は坂を上ってから追い出した。かなり、待って待って、ゴーサインを出した感じだったが、勝ち馬を交わす脚は繰り出せなかった。この日の馬体は京都記念より16キロ少ない478キロ。ドバイ遠征の強行軍のためだろう、腹も巻き上がっているように見えた。フジのパドック解説、細江純子は「細い方が走る形かも」「決して状態は悪くない」と言っていたが、素人目にも調子を欠いていた。府中コース、マイルは、ウオッカにとって最高の条件ではあったが、厳しい状態で連を確保した実力は素晴らしい。ゆっくり休養させて、疲れを取ってほしい。 3着はブルーメンブラッド。一度は先頭に立つ競馬で、4着とは3馬身半差。すべてが向いたとはいえ、進化著しい。

さて、ファリダット、メイショウサムソン、ブラックシェルなど、春のG1で勝ちきれない武豊だが、ピーターパンSを圧勝したカジノドライヴ陣営から騎乗依頼を取り下げられていたことが明らかになった。「あまりにも強い勝ち方をしたので本当に乗せてもらえるのかと不安になるほどですが、どうやら大丈夫なようです。いまから、ドキドキしています」(武豊日記)と期待を公にしていただけに、ショックは大きいだろう。神懸り的な騎乗を見せられない今の武豊であれば、コースを熟知した地元の騎手に任せる方が勝利の可能性は広がるという判断か。せっかく凱旋門賞の名誉挽回の機会になるはずだったが、今となっては、前哨戦を乗らなかったことが悔やまれる。ライバルのビッグブラウンはプリークネスSを制して二冠を達成。ベルモントSはカジノとの無敗馬対決になるが、この歴史的なレースに出走する日本馬の背に、日本人騎手がいないのは少し残念ではある。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.12

NHKマイルC回顧 頭抜けたディープスカイの瞬発力

荒れた馬場で切れ味が武器の馬は不利になるのではと言われたNHKマイルC。その懸念から私もディープスカイ、ブラックシェルの印をひとつずつ落とし、先行力あるレッツゴーキリシマを本命にした。だが、結果は真逆。ゴスホークケンが果敢に先手を取り、ダンツキッスイ、エイムアットビップが追いかける展開。先行勢は壊滅した。スタートが今ひとつだったディープスカイは後方3番手。馬場の良い外に各馬が集中するのを予測して、4角では馬群の内をつく。同じようなコースを先に抜け出したブラックシェルを残り200で交わすと、まったく危なげない走りでゴールを駆け抜けた。四位の「追えば必ず伸びる」という確信に基づいた好プレーが勝利に導いた。それだけの自信を鞍上に与えたのは、毎日杯でアドマイヤコマンドらを千切り捨てた瞬発力の高さだ。皐月賞に見向きもせず、NHKマイルC一本に絞った陣営の仕上げも完璧だった。

2着ブラックシェルは早め先頭の競馬で能力を出し切った。クロフネ産駒らしく、府中も合っている。以前から感じていたが、マイラーだろう。例年の松国ローテでダービーをめざすことになるが、馬券の対象になるまではどうか。3着はファルコンSを勝っているダノンゴーゴー。この馬も上位2頭と同じようなコースを通って追い込んできた。展開が向いたのは事実だが、14番人気は少し人気を下げすぎたか。2番人気ファリダットは大外から伸びて5着。先約から武豊はブラックシェルではなく、こちらを選んだのだろうが、府中マイルG1を乗り切るにはまだまだ底力が足りない印象だった。レッツゴーキリシマは道中こそスムーズに進めたものの、直線はぱったり。血統のイメージに相反して、悪い馬場は良くないのかもしれない。力も足りなかった。勝ったディープスカイはダービーも視野に入れている。混戦の今年は充分にチャンスもあるだろう

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.05.07

アドマイヤジュピタが盾制覇 作戦失敗が功を奏す?

トップホースたちが持てる力を余すところなく発揮した天皇賞春。最強馬決定戦の名に恥じないレースになったのではないだろうか。私もライブ観戦のため東京から現地へと赴いた。まず、向かったのはライスシャワーの慰霊碑。劇的な復活を遂げた、あの天皇賞から13年も経ったとは感慨深い。この日は多くの供物が供えられ、ライスシャワーがファンの心に生き続けていることを感じさせられた。今年、レースの鍵を握るとされたのは、関係者による決起集会まで開いたアドマイヤ軍団の行方。ところが、ペースをつくるはずの福永・アドマイヤメインは出遅れ。そして、番手近くからの競馬を想定していた岩田・アドマイヤジュピタもスタートで失敗してしまった。一方、横山典・ホクトスルタンが好スタートを切り、思い切ってハナを叩く。ホクトスルタンは1000メートルを1分1秒1で通過。淀みのないラップが刻まれ、どこかで13秒台に落として息を入れたいところ。だが、後ろからアドマイヤイメインがプレッシャーをかける。2000メートルは2分03秒だったが、先行勢には数字以上の厳しい流れになった。

夏の日差しとなった淀 慰霊碑を訪れる人は後を絶たない

直線、粘ったホクトスルタンは、ラスト1ハロンでスタミナが枯渇。その後ろにいた1番人気、四位・アサクサキングスが交わしにかかるが、こちらも伸びを欠いた。代わって先頭に立ったのは3角過ぎから進出してきていたアドマイヤジュピタ。だが、武豊・メイショウサムソンも盛り返す。壮絶な追い比べは、アタマだけジュピタに軍配が上がった。G1初挑戦で盾を制する偉業。本来の先行する競馬ではなく、見事な差し脚で勝利へ導いたのは、後方で折り合わせることに腹をくくった岩田のファインプレーだ。アドマイヤメインは殿負け。結果的に先行勢が壊滅したことを考えれば、出遅れのために先行争いに巻き込まれなかったのは幸いした。ホクトスルタンが格好の目標となったのも有利だった。多頭数出しの余計な作戦は良績につながらないことが大半。今回、2頭の出遅れによる作戦失敗が図らずも最高の結果を生んだと言えないか。もちろん、自ら勝ちに行ってサムソンをねじ伏せたのだから、ジュピタが天皇賞馬に相応しい実力を持っていたことに疑いはない。

アドマイヤ総帥、近藤利一は初めての盾制覇に人目を憚らずに涙した。本業は解体業。あくの強い馬主で好き嫌いの分かれるタイプだが、斜陽の競馬界に多額の資本と情熱を投下してくれていることは感謝せねばなるまい。ジュピタの父はスピード馬のフレンチデュピティ、母の父はライスシャワーを輩出したリアルシャダイ。母系が強く出たということか。天皇賞もステイヤーらしい戦いぶりだった。2着メイショウサムソンは不振から脱出。反動がなければ良い。 3着アサクサキングス、4着ホクトスルタンは展開次第では充分に勝てる力があるところを見せてくれた。とりわけ、メジロマックイーンから血の継承が期待されるホクトスルタンには、どこかでG1を獲得してほしい。来春の天皇賞まで待たなくとも、宝塚記念や有馬記念はチャンスがありそう。 9着ドリームパスポートは大型連休の渋滞に巻き込まれ、輸送に12時間もかかった影響が惨敗につながった。陣営のボーンヘッド。本命にしたポップロックは見せ場なく12着。敗因を教えてほしいものだ。

うるさい気性はいつものこと。アドマイヤジュピタ 復活を遂げたメイショウサムソン

決起集会を開いたアドマイヤ軍団 岩田は喜びを爆発させた

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.03

ドバイ・高松宮記念回顧 フジキセキの血が爆発

数日経って、ようやくドバイミーティングと高松宮記念のレースを観ることができた。二つのビッグイベントのキーワードは、予想もしなかった「フジキセキ」だった。残念ながらドバイに関しては、日本勢は結果を出すことができなかった。 UAEダービーはイイデケンシンが果敢にハナを切ったものの、直線入り口まで全力疾走させられて玉砕。気風の良すぎる負けっぷりだった。この時期、上位4頭を独占した南半球産馬との差は大きく、ドバイ諸競走で日本馬が最後まで勝てないのがUAEダービーかもしれない。イイデケンシンの次走はジャパンダートダービー。スピードに秀でたところは示せたので、国内に戻ればダート戦線を沸かせてくれる存在になるだろう。日本勢の出走がなかったシーマ・クラシックはフジキセキ産駒のサンクラシーク(南ア)が優勝。牝馬ながら先行押し切る強い競馬で、改めて世界にサンデーサイレンスの素晴らしさを伝えることになった。サンデー血脈還元を加速させるきっかけになれば。

最も金メダルが現実的だと言われたデューティ・フリーは、先行したウォッカが一旦は直線で先頭に立つ競馬で4着入線。道中、ポジションを取るために掛かり気味になったのが響いたのか、あるいは力負けだったのか分からないが、最後のひと踏ん張りが利かなかった。それでも、今後の光明を感じさせる好内容だったことは間違いなく、ダイワスカーレットとの宿敵対決第二幕が楽しみになった。同じレースに出走したアドマイヤオーラは後方のまま9着。閉じ込められて何もできなかった。ドバイ・ワールドカップに出走したヴァーミリアンは、まさかの殿負け。好スタートを切ったものの、途中からついていけなくなり、見せ場すらつくれなかった。精神的な脆さが出たのか、敗因を探すというレベルではないレースだった。勝ったカーリン(米)は他馬を寄せ付けない圧勝で、頂点の高さを仰ぎ見る強さに溜息が出た。

一方、中京で行われた高松宮記念は、1番人気のスズカフェニックスがスタートで躓いて落馬寸前の不利。スプリント戦の最内枠では致命的なアクシデントになった。レースはローレルゲレイロが下馬評通りハナを切り、前半33秒4の淀みないペースで引っ張る展開。直線、先に抜け出したのは4番手追走のキンシャサノキセキ。だが、それを目標にファイングレインが馬体を併せて追い詰める。ゴールではファイングレインがクビだけキンシャサノキセキに先着していた。両馬ともフジキセキ産駒。見事なワンツーフィニッシュだった。ファイングレインは1200メートルでは4戦無敗となり、名スプリンターの域に手をかけようとしている。高速馬場で追い込みは効かないと判断して前へつけた幸の好判断も光った。スズカフェニックスは32秒7の脚で追い上げて3着。鞍上の福永によると落鉄もしていたそうで、不運としか言いようがない。雪辱は秋のスプリンターズSでと言うことになる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.04

中山記念回顧 横山典のプロフェッショナルに脱帽

まったく横山典という男に驚かされたレースだった。戦前、カンパニーが楽々と2番手を追走するとは誰が予想しただろうか。私自身、カンパニーの力は以前から高く評価していて、 G1で単勝を買ったことも何度かある。しかし、いつもカンパニーは一歩足りないレースを繰り返していた。追い込み一辺倒の不器用な脚質が原因だ。だから、府中や新潟のような広いコースでは鮮やかな脚を炸裂させても、中山のようなコースでは勝ちきることが難しかった。とりわけ、中山記念は逃げ、先行馬が有利なレースで、本命を打つには躊躇せざるを得なかった。

横山典は馬場状態を考慮して、ゲートが開く前から積極策を取ることを決めていた。テン乗りにも関わらず、これまでと正反対の競馬をさせるのは勇気の要ることだっただろう。無理なポジション取りでリズムを崩して惨敗というケースも予測できたはずだ。リスクを恐れず、自らの責任で勝ちに行く競馬に挑んだ横山典は、真のプロフェッショナルと言えるのかもしれない。内田博幸の移籍が発奮材料になったか。新境地を開拓できたことで、カンパニーのG1優勝もグッと近づいた。 G2勝ち以上の収穫のあったレースになったのではないか。

2着は蛯名のエイシンドーバー。大外枠は不利かと思われたが、早めの仕掛けでしぶとく差してきた。こちらも騎手のファインプレー。逆に3着のエアシェイディは後方待機の位置取りが敗因になった。後藤は先行するつもりだったようだが、流れのアヤ、悲観する内容ではない。 5着には4角15番手から追い込んだアサカディフィート。前走の小倉大賞典勝ちはフロックではなかった。不向きな展開でこれだけの脚を使えるなら、10歳の今年もまだまだ活躍が続きそうだ。私が本命にしたコンゴウリキシオーは逃げて13着。状態が本物でなかった。馬体が減っていたのもマイナスだった。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.02.19

きさらぎ賞回顧 再び人気馬撃沈で期待の先は?

またしても本命馬が沈んだ牡馬クラシック戦線。きさらぎ賞で単勝2.3倍の1番人気に推されたブラックシェルは、出遅れで最後方からの競馬を余儀なくされた。そのまま4コーナーでは大きく外に振られ、良く追い上げてきたものの7着が精一杯。スローペースの展開では武豊も為す術がなかった。また、この日はプラス10キロと馬体も締まっておらず、入れ込むところも見せていた。ブラックシェルにとっては不完全燃焼の競馬で、実力を評価することは難しい。ポンと出れば、あっさり押し切る力はありそうだが、行き脚のなさと気性面の幼さは今後の競馬に不安を残すことになった。

勝ったのはアグネスタキオン産駒のレインボーペガサス。前走は地方交流の全日本2歳優駿で、3走続けてダートを使われていた。荒れた馬場を息の長い脚を繰り出して、直線は横一線の状態から 3/4馬身だけ抜け出した。馬の力もあるが、ペリエの腕で勝たせた方が重いだろう。 2着は東京スポーツ杯3着など相手なりのレースをしてきたスマイルジャック。この馬が連対しているというのが、レースレベルを推し量る材料と言えよう。 3着に単穴に指名したヤマニンキングリー。広いコースで末脚を生かすのが向いている。本命にしたメイショウクオリアは先行して10着。切れ負け。

これで共同通信杯に続いて、 2週連続で1番人気馬が馬券圏内にも絡めず、牡馬クラシックは混迷を深めることになった。そうなると自然と下級条件に目が行くが、今週の府中では注目したい馬が出てきた。 1頭はセントポーリア賞(芝2000)を勝ったファビラスボーイ。名前からも分かる通り、母は秋華賞馬・ファビラスラフインで、父はジャングルポケット。まだ中身はしっかりしていないが、それで2戦2勝の素質は今後に期待を持たせる。もう1頭はオークスTRを勝ったサイレントハピネスの仔で、シンボリクリスエス産駒のサイレントフォース。新馬戦(芝1600)を持ったまま快勝した。父母と同じ藤沢和厩舎の管理馬。ポリトラック効果で関東馬の巻き返しがあるかもしれない

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.12

共同通信杯回顧 大本命が消えクラシックは混沌

雪のため、2週連続の開催中止に見舞われた東京開催。共同通信杯は翌日、月曜日に行われることになった。私事ながら、去年から土日が基本的に出社しなくてはならない勤務になり、なかなかリアルタイムではテレビ観戦すら覚束ない競馬ライフになってしまった。今年のクラシック戦線もライブで見ることは難しいだろうと思っていたが、休日の月曜日にダービーを占う共同通信杯が施行されるのは幸いとばかり、府中へと出かけることにした。もちろん、目的は断然の1番人気に推されたサダムイダテンの圧倒的強さを生で体感するためである。懸命の除雪作業が功を奏して、芝は良馬場。結果に言い訳はできない府中の千八となった。

サダムイダテンはピリッとしない感じでパドックを周回していたが、安藤勝が騎乗するとグイグイとリズムよく歩いていく。騎手が乗ると変わるタイプなのかと、不安を吹き消した。これまで雪の影響を受けた年の共同通信杯では、順延になった94年にナリタブライアンが、ダート変更になった98年にはエルコンドルパサーがレースを制している。「雪+共同通信杯=歴史的名馬」の方程式ができあがっていたわけだ。マイリーに祖を持つ華麗なる一族のサダムイダテンも、もしかしたら競馬史に名を刻む一頭かもしれないなどと、期待も高まってくる。単勝は1.5倍。続くスマートファルコンが6.7倍、サブジェクトが11.6倍だから、不動の一本かぶりである。

除雪、おつかれさまでした 人気のサダムイダテンだったが

レースは深いブリンカーをつけたショウナンアクロスが後続を離してハナを切り、番手に逃げ宣言をしたイイデケンシン。まずまずのスタートだったサダムイダテンは前走と同じく後方から。安藤勝は「不利のないように外目へ出せば勝てる」(ラジオNIKKEI)と考えていた。その言葉通り、4角は馬群の外を回して直線へ。先に抜け出したショウナンアルバらを捕らえようと、残り300で安藤勝は必死に追い出すが、サダムイダテンはジリジリとしか伸びない。内を突いたタケミカヅチマイネルスターリーらにも先着を許し、何とも期待はずれの5着に終わってしまった。今年のダービー馬の勝利を青田買いで見ておくという私の目的も雲散霧消である。

こうして負けてしまうと、やはりフォーティナイナーの血かと現金にも落胆してしまう。バテてはいないが、少なくとも芝G1を勝つようなギアが全くなかったからだ。ラジオNIKKI杯も道悪で時計がかかったのが実はプラスに働いていたのかとか、サブジェクトの惨敗を見るとレースレベルが低かったのかと…。まだ見限るには早計だが、牡馬クラシックは再び混沌としてきた。優勝したショウナンアルバは牝馬に興味を示さず種牡馬を退いたウォーエンブレム産駒。それでも去年、デビューした4頭はすべて勝ち上がるなど非凡な成績を残していたが、産駒数を考えると重賞勝ちは奇跡的だ。ショウナンアルバは気性面の荒さがネックのようだが、ぜひ種牡馬入りできるぐらいの成績を残してほしい。

マイネルスターリーは3着健闘 勝ったのは蛯名ショウナンアルバ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.26

有馬記念回顧 出涸らしメンバーの古きよき凡戦?

祭りだ、マツリだ、マツリダゴッホ。鞍上の蛯名正さえ勝てるとは思わず、レース後は「“CKY”(超空気が読めない)ですいません」とコメントした 2007年の有馬記念。それでも、デルタブルースやコスモバルクより上の 9番人気だったのは、この馬の中山巧者ぶりをファンが覚えていたからだろうか。中山でG2を2勝。とりわけ、直線入り口で先頭に立って、5馬身差をつけて圧勝した AJCCは笑ってしまうほど強かった。しかし、春秋の天皇賞では二桁大敗を喫し、 G1では用無しとの評価が定まりつつあった。居並ぶG1馬のなかで、食指を伸ばせなかった自分を責める気にはならない。予想は完敗である。内でロスなく乗ったこと、落ち着いた流れで早め先頭に立ったことなど、蛯名の騎乗は非の打ち所がなかった。血統的にはスタミナの不安があるゴッホだが、ごまかしの利く中山2500は十分にこなせるコースだった。日経賞の敗戦で目を曇らされてしまった。ゴッホはサンデーサイレンスのラストクロップ。血の力、恐るべしだ。

この10年、ディープインパクト、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエス、スペシャルウィークなど、天皇賞秋、ジャパンカップで好走した馬が、そのまま有馬記念でも連対するケースが多かった。だが、もともと有馬記念は出涸らし状態の馬たちが集まって、疲弊した人気馬が飛んで波乱になるのがディフォでさえあった。調教技術の進化や、血統レベルの向上によって、この辺りの傾向が解消されたように感じていたが、サンデー黄金期を過ぎて、再び一昔前に戻ったのだろうか。レースレベルは高くなくとも、それがオグリキャップが奇跡を起こしたような古きよき有馬記念の姿なのかもしれない。 8着のメイショウサムソンは好枠の利を全く生かせず、先行することもできなかった。 4コーナーで16番枠のウオッカより外を回ってくるなど、誰が予想しただろうか。秋2戦の反動としか言えない。ウオッカは前2走の反省から、中団で競馬をしたものの伸びを欠いて11着。大外枠も堪えたが、そもそも中山2500は適距離ではない。調子を取り戻して、来年はヴィクトリアマイル、安田記念を目指してはどうか。

ライバルのウオッカとは対照的に、ここでも連対を確保したのがダイワスカーレット。初めての関東遠征、2500も動じず、牡馬相手に善戦したのには驚かされた。最優秀3歳牝馬争いでも、ウオッカを完全に引き離してしまった。 3着はスカーレットの兄、ダイワメジャー。引退レースということもあって、安藤勝はスカーレットを選び、メジャーにはデムーロが騎乗。共倒れを防ぐため、いつもより後ろからの競馬になったが、早めのスパートで脚を伸ばした。もし、遠慮ないポジションを取れていれば、勝ったのはこちらだったかもしれない。菊花賞1番人気のロックドゥカンブは中団から差してきて4着。メジャーにクビ差なら来年が楽しみになった。距離の不安はなく、春の天皇賞でも十分に戦えると感じさせられた。 5着にポップロック。追い出してから反応がなかったとペリエ。この馬も出涸らしだったのだろう。 1000万すら勝ったことのないレゴラスは大健闘7着。「出遅れも想定内」との善臣の自信あふれたコメントが頼もしい。

一方、直線入り口で転倒寸前のシーンがあったのがドリームパスポート。必死に立て直して6着に食い込んだ。このアクシデントは他馬に影響されたものではなく、行き脚のついたドリームパスポートを高田がコントロールできず、前の馬に自ら追突してしまったことが原因。高田はこの御法について戒告処分を受けた。今年、高田はケガもあって0勝と不振に喘いでいたが、ずっと調教をつけてきたことや、これまで人気以上の着順に持ってきていた相性の良さもあり、大一番で松田博師から手綱を任された。だが、この起用は馬主のサラブレッドクラブセゾンの反対を押し切ってのものだったようだ。レース後、同馬は美浦・稲葉厩舎へ転厩することが明らかになった。同クラブはジョイ・サラブレッドクラブを譲り受けたセゾングループが運営しており、経営陣の中心には岡田繁幸総帥がいるとされる。高田-ドリパスのコンビを支持するファンは多かったが、残念ながら見納めとなりそうだ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.11.27

アドマイヤムーンJC制覇 ダーレーに初勝利もたらす

下馬評どおり、スローペースとなったジャパンカップ。前半6ハロンは1分12秒8だったが、これは今年のダービーとほぼ同じラップだ。勝ったアドマイヤムーン、2着のポップロックはいつもと違う前々での競馬で、内をロスなく立ち回った。岩田ムーンは追い出しを我慢して、一瞬の切れ味を最大限に活かすことができた。決して得意とは言えなクラシックディスタンスでG1制覇を成し遂げたことで、天皇賞秋の敗戦で落としていた評価を再びあげることができた。これで引退となるが、500万円の種付け料に恥じないラストランになったのではないか。ポップロックはペリエの好騎乗。レース前から穴気配を漂わせていたが、お陰でメイショウサムソン本命の私も馬連3660円を抑えることができた。そのサムソンは中団から外々を回る競馬。武豊は安全策を取ったのだろうが、上がり勝負の不向きなサムソンは差しきることは難しかった。天才と言えど、人気の重圧はあるものか。内容は最も強かったが、虎穴にいらずんばという奴である。

4着には最後方から追い込んだウオッカが入った。秋華賞での待機は理由があったが、今回の四位の位置取りには首をひねらざるを得ない。直線もサムソンのさらに外で、上がり33秒6は能力をフルに発揮できたと見ていい。府中は間違いなく合っているだけに、もう少し考えた騎乗をしてほしかった。 5着にはデルタブルース。使われて体調が上向いており、距離延長も良い結果につながった。有馬記念では馬券圏内に入ってくるかもしれない。角居厩舎は2、4、5着と3頭とも掲示板に乗ったことになる。外国馬はペイパブルの7着が最高。人気もなかったが、日本馬との実力差は歴然としていた。来年以降、どれだけの馬が来日してくれるのか、ディラントーマスの件も含めて心配になってしまう。 3番人気インティライミは伸びず10着。次はダービーのような先行力復活を試す競馬を見てみたい。天皇賞秋で斜行したコスモバルクは13着。今回は真っ直ぐ走った。乗り替わった松岡の「乗りやすい馬です」というコメントはどう理解しようか。

一方、土曜日に行われたジャパンカップダートは人気のヴァーミリアンがレコードで完勝。 JCとは対照的にエイシンロンバードキャンディデートらがハイペースで飛ばし、武豊のヴァーミリアンは中団で先行勢を眺めながら追走した。直線半ばでは横山典が内で完璧な競馬をしたフィールドルージュが先頭に踊り出るシーンもあったが、武豊はまったく慌てなかった。追い出しのタイミングを待って、ライバルを捻じ伏せる横綱競馬。馬に凄みが生まれてきた感じで、ドバイワールドカップ再挑戦が本当に楽しみになった。これでエルコンドルパサー後継として、繁殖にも恵まれるのではないか。離された3着にはフェブラリーS勝ち馬のサンライズバッカス。府中巧者の面目躍如か。 2番人気の3歳馬、ドラゴンファイヤーは6着。3角からヴァーミリアンを追ってあがっていったが、直線では詰め寄るだけの脚はなかった。今後の成長に期待したい。距離もマイルぐらいがいいか。

ところで、アドマイヤムーンのジャパンカップ優勝は、馬主登録後、ダーレー・ジャパン・ファーム(DJF)にとって記念すべき初勝利となった。DJFは高橋力代表が90%出資した生産法人だが、 11月1日に高橋氏は本家ダーレーからダーレー・ジャパンの代表解任通告を受けたことが話題になった。高橋氏は競馬ブックのインタビューのなかで、アドバイザーであるジョン・ファーガソン氏との方針の食い違いが背景にあることを示唆している。日本での急激な発展を望むファーガソン氏と、慎重に事を進めてきた高橋氏との間の溝は広がっていて、外国人スタッフが送り込まれるなど高橋氏の権限を弱める動きが進んでいるという。解任通告との関係性は不明だが、40億円で購入したムーンの天皇賞敗戦がひとつの引き鉄になっていたならば、 JCの同馬の勝利は高橋氏を勇気付けるものになっただろう。距離不向きのJC出走を強く推したのは高橋氏で、惨敗していれば責任を追及されていたからだ。そういう意味では高橋氏が大博打に勝ってダーレー内の影響力を回復したとすれば、今年のJCは競馬史の意外な部分も左右することになったのかもしれない。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.11.12

エリザベス女王杯回顧 アンカツの術中に全馬策なし

エリザベス女王杯の当日、ファンの多くはがっくりと肩を落としたのではないだろうか。1番人気に支持されていたウオッカが取り消し。ダイワスカーレットとの再戦は持ち越されることになってしまった。原因は右後肢の蹄踵部に発生した違和感。ウオッカは脚を地面につけない状態だったという。夏、ウオッカは同じ右後肢に蹄球炎を発症、凱旋門賞遠征を断念している。その時との関連性は不明だが、今回の異変も外傷性のものであるとすれば、何とも不運としか言いようがない。取り消し時点で発売額の6割がウオッカ絡みの馬券だった。馬連や単複は返還されるが、枠連の購入者は背筋が凍っただろう。前日の京王杯、私はイイデケンシン流しの枠連を買って代用で的中。すっかり枠連の良さに目が行っていたが、取り消しのリスクを改めて思い知らされた。軽症ということなので、ジャパンカップで巻き返しを期待したい。

ウオッカ取り消しとなれば、ダイワスカーレットの敵はいない。それでも、モヤモヤした気分を晴らしたくなって、馬券はフサイチパンドラの単勝と連勝を買うことにした。レースはハナに行くと思われたアサヒライジングが出遅れ。ついている馬はどこまでもツキがある。ダイワスカーレットは楽にハナを奪うと、前半3ハロン36秒2という超スローのラップを刻む。そして後半、十八番になった早めペースアップ。この必殺技が決まると、少なくとも同性のライバルに付け入る隙はない。前年の覇者、フサイチパンドラが完璧なルメールの騎乗で並びかけようとするが、切れ味では勝負にならなかった。アサヒライジングの出遅れを最も恨んだのは、スタミナ勝負に持ち込みたかったフサイチ陣営ではないか。柴田善の責任ではないだろうが、レースの面白みも半減させた。

3着には一昨年、このレースを制したスイープトウショウが入った。気難しさから追いきりも満足にできなくなり、往年の力はなかったが良く健闘した。鶴留師はパドックで池添に「これが引退レースになる」ことを伝えたそうだ。角田を主戦として阪神JFまで戦った2歳戦、秋華賞での悲願G1奪取、ハーツクライを差しきった宝塚記念など、本当に息長く思い出深いレースを残してくれた馬だった。ウオッカのステイブルメイト、ディアデラノビアは4着。自分で動けない馬では仕方がない。デアリングハートは距離だろう。アンカツの術中に嵌った今年のエリザベス女王杯。どんな展開になってもダイワスカーレットの勝利は動かなかったと思える内容だったが、秋華賞の強さを知りながら、誰も鈴を付けに行こうとしなかったのも、不完全燃焼感が残ったG1だった一因かもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.30

天皇賞秋回顧 己との闘いに克ったサムソン陣営

三強対決と注目を集めた天皇賞秋だったが、終わってみればメイショウサムソンの強さばかりが目立ったレースになった。前日の土砂降りで痛んだ馬場は予想外に回復し、荒れたラチ沿いを走らされる内枠の馬も不利はなくなった。むしろ、府中二千は外枠は不利という定石が活きたことで、絶好の位置に陣取ったサムソンは、最短コースを回って直線も思い通りに進路を取ることができた。兄弟子、石橋守から譲り受けた手綱とあって、武豊には些細なミスも許されない重圧がかかっていたはずだが、これ以上ない完璧な騎乗で優勝に導いた。馬インフルエンザにかかり、凱旋門賞を断念せざるを得なかった高橋成忠師にとっても、サムソンの仕上げには一方ならぬ心労を抱えていたはず。だが、サムソンは調子を崩すどころか、瀬戸口厩舎時代より馬体に身が入りパワーアップしていた。表彰式での高橋成師のはち切れんばかりの笑顔に観ているほうも嬉しくなった。ライバルに勝ったというより、自分自身との闘いに克った喜びではなかったか。春秋盾連覇で名実ともにサムソンは高橋成厩舎の馬となり、サムソンを託した松本好雄オーナーの決断は間違っていなかったことが証明された。来年の凱旋門賞に意欲を見せる陣営にエールを贈りたい。

反面、直線で少なくない馬が進路を妨害されて、力を出し切れなかったのは残念なことだった。きっかけは五十嵐コスモバルクがゴーサインを出されると、大きく外側によれたこと。コスモバルクは過去にも府中でこういう癖を見せている。直接、被害を蒙ったのは福永のカンパニー。結果は3着だったが、確かに不利がなければ2着はあったかもしれない。サムソン-カンパニーの馬券を持っていた私も悔しい思いをしたが、この程度の不利は競馬では珍しくない。コスモバルクの斜行に最も驚いたのは柴山エイシンデピュティだった。コスモバルクとは間が開いていたものの、馬が過剰に反応して外によれてしまった。そのため、岩田アドマイヤムーンや安藤勝ダイワメジャーは進路をカットされ、三強対決の二強が存分に力を発揮できない結果を招くことになった。もし、スムーズな競馬ができていれば、2着争いは混沌としていたかもしれない。だが、この日のムーンやメジャーにはサムソンを打ち負かすような雰囲気がなく、逆転するまでには及ばなかっただろう。実際、2着に来たアグネスアーク(前々日1番人気!)も同じく不利を受けていたこともある。すっきり負かせたはずのサムソンにとっても、せっかくの歴史的レースにケチがついてしまったのは惜しいことだ。

この斜行のお陰で、レース後の検量室は騒然とした雰囲気に包まれていたようだ。スーパー競馬では東原亜紀が「安藤勝がバカじゃないのかと怒っていた」と異例のリポート。岩田も「トップギアのときにガーンやもん。競馬にならん」と激怒。福永に至っては「五十嵐さんはG1に乗る騎手じゃない。(ローカルの)福島にでも行っていればいい」(時事ドットコム)と発言。批判の矢面に立たされたのは柴山でなく五十嵐だったが、裁決は柴山は降着の上、4日間騎乗停止。入着を果たした五十嵐は戒告と、罪の軽重は明暗を分けた。確かに一連の出来事の端緒はコスモバルクにあるが、エイシンに馬体をぶつけたわけではなく、被害馬との直接的な関係性を辿って処分を決めていくのならば納得できない判断ではない。かたや、安藤勝や岩田の怒りは理解できるが、福永のコメントは行きすぎだろう。地方騎手へ敵意を剥き出しにするのは構わないが、ローカル開催を見下す発言を公にしてしまうのはプロ失格ではないか。激昂して口走ってしまったにせよ、一流のプロ選手なら表向き弁えるべき姿勢があるはずだろう。それにコスモバルクの斜行癖を分かっているなら、武豊がしたように位置取りも違えたはずではなかったか。分かっていて不利を受けたことが、さらに腹立たしさを増したのかもしれないが。いずれにせよ、後味の悪さを残したことを福永は考えてみてほしい。

※補足:一部に意図が伝わっていない方がいるようだが、福永発言の問題点は実際に福島開催が人馬のレベルが低いかどうかということは全く関係ない。例えばイチローが「あのヘボピッチャー、アイランドリーグで投げてれば良い」という発言をした場合、プロとして時と場に相応しいコメントかどうか、置き換えてみれば分かることだ。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.10.23

菊花賞回顧 クラシカルな正攻法、スタミナ勝負が決め手

強い馬が勝つ淀の三千メートル。今年の菊花賞を制したのはアサクサキングス。ダービー2着馬が菊の大輪を咲かすのは珍しいことではないが、順調なダービー馬が他のレースを選び、菊花賞不在となったのは史上初ではないか。レースはホクトスルタンが積極的にハナに立ち、上がり勝負には持ち込みたくない横山典がスローに落とさせない展開。折り合いを欠いたヴィクトリーらが先頭集団を形成するなか、アサクサキングスは離れた後続集団の先頭に。位置取りは理想的だったし、何より気分を害さずにレースを運べたのは良かった。直線入り口では寄れる場面もあったものの、アルナスラインの追撃をしぶとく振り切ってゴール。決してバテてはいなかった。菊花賞の伝統的な正攻法で挑み、持続的な脚を繰り出した馬が勝った昭和的なレースだったのではないだろうか。ダービーで武幸に、宝塚記念で福永に捨てられ、菊の鞍上はウオッカ主戦の四位とは不思議なもの。

アサクサキングスはホワイトマズル×サンデーという配合。母系から距離延長は歓迎できないのではないかとの見方もあったが、イングランディーレ、スマイルトゥモローを輩出したホワイトマズルのスタミナが十二分に伝わっていたようだ。来年の古馬路線を引っ張っていく存在に成長してくれるだろう。アサクサキングスの馬主は田原慶子氏。アサクサ軍団を長らく率いた夫の源一郎氏は今年1月に死去しており、最後の一冠で弔い合戦で勝利を果たしたことになる。すでに生産者である吉田照哉総帥が共同馬主になっていて、実質的には社台の馬ではあるが。アサクサキングスはクラシック二冠で3歳牡馬の頂点に立ったわけだが、牝馬のウオッカやダイワスカーレットを超えるパフォーマンスを見せなければ世代のトップとは認められない。ダービー2着馬が新興勢力を抑えたことは、ウオッカが依然として世代頂点にいることを意味し、次走のジャパンカップで文字通り雌雄を決することになる。

2着のアルナスラインはアタマ差の無念。春は骨折で戦線離脱したが、京都大賞典で3着に好走した力は本物だった。父はアドマイヤベガ、母の父はブルードメアサイアーとして優秀なエルグランセニョール。アサクサキングスと配合は逆だが、この馬もサンデーの瞬発力と欧州のスタミナを受け継いでいる。春の天皇賞で再びあっと言わせそうな予感がする。1番人気、南半球産のロックドゥカンブは後方から動いてきたものの3着まで。もう少し前に行ければ良かったのだろうが、マークされる立場では良くがんばったのではないか。上位2頭とは違って、明らかに距離は不向きだったことを考えると、先々が楽しみな結果になった。逃げたホクトスルタンは6着。マックの遺児ということで注目を集め続けるだろうし、何とか盾を取らせてあげたいというファンの思いが叶うと良いが。フサイチホウオーは8着と復活の兆し。適鞍で観てみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.16

秋華賞回顧 勝負を分けた中盤 ”13秒6”の緩ペース

三強対決で盛り上がった秋華賞。だが、終わってみれば、桜花賞馬・ダイワスカーレットの横綱競馬だった。勝負は3コーナー過ぎで決していた。5~6ハロンのラップは超鈍足の13秒6。この時、ウォッカは後方12番手。ベッラレイアは17番手のポジションだった。どんな鬼脚を繰り出しても、京都内回りで2番手から楽にスパートをかけたダイワスカーレットを捕らえられるはずもない。ダイワスカーレットのゴールまでの 3ハロンは、11秒3、11秒1、11秒5。安藤勝の仕掛けのタイミングも完璧としか言いようがない。スタートしてヒシアスペンが強引にハナに行ったため、テンだけ速くなり、馬群が縦長になったのもダイワスカーレットに味方した。中盤でラップが緩んでも、後続は動けない。一団の展開で、上がりだけの勝負になるのは、ダイワスカーレットにとって最も忌むべきところ。自ら動いて競馬をつくることができる脚質と柔軟性が、優勝をもたらしたと言って良いだろう。もちろん、それを生かした安藤勝の頭脳があればこそ。ヒシアスペンの中盤でのスローダウンも、番手に控えた瞬間に計算済みか。

結果的に3着に敗れたウオッカだが、力負けではない。鞍上の四位は自分に競馬を任せてくれるよう陣営に伝えていたそうだが、四位が何よりも優先したのは宝塚記念の敗戦ショックを払拭することだった。宝塚記念ではスタートから折り合いを欠いて惨敗に至った。秋華賞では外枠で前に壁がつくれなかった分、同じように口を割る素振りも見られたが、程なく折り合いをつけて道中を進むことができた。それと引き換えに位置取りは後方になり、最後は大外を回って進出してきたものの、格下のレインダンスに先着を許すことになった。ウオッカの上がりは33秒2。休み明けで反応が鈍かったと陣営はコメントしていたが、同馬の能力は発揮できたと見ていいのではないか。敗因は折り合いを第一にして、勝負は二の次にした四位の考え方にある。それも一つの選択であるから、非難するものではあるまい。四位にしてみれば、凱旋門賞で離れる可能性が高かった手綱が戻ってきたのだから、先を見据えた乗り方で陣営にアピールしたかったのかもしれない。

戦前より、自分の競馬に徹すると武豊が広言していたベッラレイアは4着。こちらは4角最後方から32秒9の上がりを繰り出した。返し馬から入れ込み気味で、武豊としては勝つか負けるか、乾坤一擲の競馬をしてみたというところだろう。だが、勝算はあまりに薄い舞台だった。外回りに変わるエリザベス女王杯なら、大きな上積みがあるはず。ナリタトップロードの娘だけに、何とか大きなところを取ってほしい思いはあるが、父同様、大一番で勝ちきれない馬になってしまいそうだ。三強以外に言及すると、2着レインダンスは武幸四郎も巧く流れに乗せたし、何より夏を越して馬体に身が入った。血統通りか。オークス馬・ローブデコルテは10着。馬インフルエンザの入厩制限で久々になったのが全て。NHKマイルC馬・ピンクカメオは14着。距離もコースも合わない。気になる次走だが、ウオッカはジャパンカップが有力視されている。秋華賞をステップレースにした成果を、大舞台での勝利につなげてほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.26

宝塚記念回顧 天は3歳牝馬に味方せず

勇気を持って宝塚記念に挑んだ3歳牝馬に天の祝福はなかった。前日から降り続いた雨は、切れ味勝負を得意とするウオッカにとって致命的な敗因をつくるものになった。前回のエントリーにも書いたように、スタミナ勝負になればメイショウサムソンらが俄然、有利になる。しかも、馬場のよい外に馬群が寄ったため、内枠のウオッカはスタートして壁をつくることができず、折り合いをつけることもかなわなかった。それでも直線半ばまで格好をつけたのは能力の非凡さの表れだろう。ダービー後の宝塚参戦はオーナーサイドの意向で調教師は想定外だったと聞く。凱旋門賞への影響を考えれば、使ったのは残念という感想にならざるを得ないが、前人未到の記録へ挑戦するオーナーの心意気があればこそ、牝馬のダービー制覇も成しえたわけで後から外野がとやかく言っても仕方がないというところだろう。

そのウオッカの渡仏日程が発表された。来月18日に栗東から美浦へ移動、検疫終了後の25日に成田空港から出発する。ステップレースは9月16日に行われるヴェルメイユ賞かニエユ賞になる予定で、その後、10月7日の凱旋門賞へと向かう。ディープインパクトのようなぶっつけではなく、現地で前哨戦を叩くことは馬にとっても陣営にとってもプラスになるはず。ダービー、宝塚と連戦した疲れが癒えてくれることを祈るばかりだ。同じく凱旋門賞へ参戦が決定しているメイショウサムソンは2着。ハイペースのなかでも、早めに仕掛けて行くいつもの競馬を見せてくれた。ゴール前は岩田が完璧な位置取りとタイミングで操ったアドマイヤムーンに遅れを取ったが、世界トップレベルの実力が証明されているムーンと内容的には互角以上の競馬をしたことに意義を感じる。負けて悔いなく凱旋門賞へと向かえるのではないか。