2008.05.31

王道か規格外か 稀に見る混沌ダービーは予想難解

今週も天候には恵まれなかった東京。ダービー当日は晴れるようだが、土曜の競馬は不良で行われている。内外のどちらにアドバンテージがあるとも、前が残るとも、後ろが届くとも言えないが、馬場状態には注意しておきたい。人気も割れている。前売りでは NHKマイルC勝ちのディープスカイと皐月賞3着のマイネルチャールズが1番人気を争い、3番人気がダート無敗のサクセスブロッケン、青葉賞馬・アドマイヤコマンドが続く。ダービーは1番人気に絶大な信頼を寄せることができるレースだったが、去年、ひさしぶりにフサイチホウオーが着外に敗れる波乱が起きた。混戦だったオークスは、その借りを全妹のトールポピーが返し、例年の傾向通りに桜花賞組が上位を占める結果になった。果たして、今年のダービーは皐月賞組が王道の強さを見せるのか、あるいは過去のデータを覆す結末が待っているのか。

データ的に視覚がないのがマイネルチャールズ。弥生賞から皐月賞を経てダービーというのは、由緒正しきローテーションだ。昔から弥生賞とダービーの相性は頗る高く、しかも皐月賞で惜敗していた弥生賞馬は、スペシャルウィーク、ナリタトップロード、メジロライアンなど良く連対している。去年もアドマイヤオーラが3着を確保しており、3連単、3連複の馬券からは決して外せない。一方、ディープスカイはNHKマイルCから、返す刀でダービーに臨むマツクニローテに準じた。近年、キングカメハメハ、タニノギムレットがダービーを制している新しい戦い方だ。ディープスカイは毎日杯、NHKマイルCを連勝しており、キングカメハメハと同タイプ。但し、最初からダービーを視野に入れていたキングカメハメハと違い、 NHKマイルCに全力投球したクチで、お釣りがあるかどうかは難しいところ。前走は荒れた馬場をこなしたものの、基本的には切れ味で勝負する馬だ。

サクセスブロッケンはダートで4連勝中。過去につけた着差の合計は31馬身というから、適性云々よりエンジンが違うということだろう。父はシンボリクリスエス、母はサンデー産駒のサクセスビューティーで 6年前のフィリーズレビューを勝っている。芝で走らないのがおかしい血統で、ダートを使われてきたのは脚元を気遣ってきただけ。ダート連勝で臨んだ馬と言えば、サンデー直仔のゴールドアリュールが思い浮かぶが、同馬はシンボリクリスエスとはコンマ1秒差の5着に好走している。血統的に問題ないとは言え、初芝のサクセスブロッケンにとって馬場が柔らかいのは大歓迎のはずだが、重が苦手というオチはありうる。アドマイヤコマンドはキャリア3戦。青葉賞とダービーを連勝した馬はいないが、近6年で3頭が連対している。キャリア4戦の青葉賞馬ではゼンノロブロイやレオダーバンが2着にきている。 3月デビューでダービーの栄冠に輝けば歴史に残る偉業になる。

他で穴人気になっている馬も見てみよう。意外にも?5番人気に推されているのが、皐月賞2着のタケミカヅチ。前6走にいずれも重賞に出走して掲示板を外していない堅実さが、混戦のなかで支持されているのだろう。ゴールドアリュール×マルゼンスキーの配合は荒れ馬場にも強そうだ。レインボーペガサスは4着だった皐月賞で脚を余したことと、安藤勝への信頼が印を厚くさせているようだ。NHKマイルCで2着だったブラックシェルは7番人気。前走で府中向きなのは明らかになった。人気薄の武豊は怖い。青葉賞2、3着のクリスタルウイング、モンテクリスエスは両馬とも重適性に欠けるか。折り合いに不安のあるショウナンアルバは外枠を引いたのがどう出るか。ステイヤーの底力が問われる展開なら、スペシャルウィーク×リアルシャダイのフローテーションも一発ある。とにかく頭を悩ませてくれる。

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2008.05.01

最多4頭出し アドマイヤ軍団に作戦の利はあるか

最近は朝青龍問題でもタニマチとして睨みを利かせるなど、何かとお騒がせの近藤利一。今年も重賞6勝とアドマイヤ軍団は絶好調だが、天皇賞春には個人馬主としては異例の4頭出しで挑む。アドマイヤモナーク(ダイヤモンドS)、アドマイヤジュピタ(阪神大賞典)、アドマイヤフジ(中山金杯)、アドマイヤメイン(ダービー2着)、参加することに意義があるのではなく、どの馬も勝つチャンスがありそうだ。サンスポによれば、84年のグレード制導入以降、4頭出しは同一馬主のG1最多出走頭数タイ記録となる。過去6度あるが、すべてクラブ法人によるもので、最高着順はホーネットピアス(97桜花賞)、ローエングリン(03安田記念)の3着。一昨年の天皇賞春ではサンデーレーシングが4頭参戦させたものの、アイポッパーの4着が最高着順だった。こうして見ると、多頭数出しを有利に働かせるというのは意外に難しいのかもしれない。

但し、4頭出しが最多というのは登録名義が同一だった場合ということであり、例えば社台グループという括りなら幾らでも5頭を超えるケースはある。しかし、近年の社台グループは巨大さ故に、総がかりで1頭の馬を勝たせに行くといったことは、少なくともファンに見える部分ではない。そんな手荒なことをやれば、信頼を失って自らの首を絞めることは自明だ。では、他の有力馬主の場合はどうだろうか。思い浮かぶのは4年前の皐月賞とダービー。それぞれ岡田繁幸総帥は、マイネル、コスモを併せて5頭を出走させた。コスモバルクを勝たせるためにマイネルマクロスで先行勢を潰し、予想外のハイペースになれば後方待機の別の馬が差す。大まかにはそんな作戦だった。だが、岡田総帥の策は見当違いに終わり、暴走、骨折、予後不良と散々な結果が待っていた。

多頭数出しでは、1頭はハナを切らせてペースを握りたいと考えるのは常のようで、今回、アドマイヤ陣営は菊花賞3着の実績もあるメインを前に行かせたいと思っているようだ。ホクトスルタン、アサクサキングスと楽にハナで流されると手強いライバルもおり、メインが牽制していくことになるだろう。理想的には先頭集団を見守る位置にジュピタを置いて、中団フジ、後方モナークに脚を溜めさせたいところか。アドマイヤ勢の盾制覇は可能性が高いように思えてくる。だが、ゲートが開けば、脳内と同じ展開にならないのが競馬。ジュピタのポジションにはポップロックがいるかもしれないし、後方一気の利を得るのはドリームパスポートかもしれない。ちなみに4年前の皐月賞では逃げ宣言のマイネルマクロスは出遅れて、ダイワメジャーが押し切ってしまった。さて、天皇賞春のアドマイヤ軍団は如何に?

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2008.04.28

メジロと社台の執念 ホクトスルタン4代盾制覇なるか?

春の盾、最大の見所は、「父子四代天皇賞制覇」なるかどうかであると言ったら過ぎるだろうか。前走、準オープンのサンシャインSを勝って臨むホクトスルタンはメジロマックイーン産駒。その父系を辿ると、マックイーン、ティターン、アサマとメジロの天皇賞馬がズラリと並ぶ。メジロアサマはシンボリルドルフらを輩出したパーソロンの仔で、1970年の天皇賞を勝った。種牡馬入りしたものの、受胎率が極めて低くシンジケートは解散。「種無しスイカ」と揶揄された。だが、メジロ総帥の北野豊吉は大金を注ぎ込んで良血の肌馬を用意し、生涯19頭の産駒を誕生させた。その1頭が1982年の天皇賞馬・メジロティターンだ。気ムラな馬でとても種牡馬としても人気を博するタイプではなかった。それでも、ティターンにこだわり続けたのは、「ダービーより天皇賞を勝ちたい」というメジロのポリシーだ。北野が「父子三代で天皇賞を獲れ」と遺言を残して世を去って6年後、マックイーンが1991、92年の天皇賞優勝。武豊は表彰式で北野の遺影を掲げた。

メジロの執念が誕生させたマックイーンというミラクルホース。血統の墓場と言われる当時の日本で、こうした偉業が達成されたのは万にひとつの奇跡だった。アサマやティーターンとは対照的に、人気サイヤーとして社台SSに鳴り物入りでスタッドインしたマックイーン。環境の恵まれたマックイーンからG1ホースが出現する可能性はアサマらと比べると非常に高かった。ところが、エイダイクイン、タイムフェアレディ、ヤマニンベルメイユと言ったG3級の牝馬しか活躍馬を出せないまま、一昨年に心不全のため死亡。父子四代天皇賞制覇は幻に終わったかに見えた。そこに現れたのがホクトスルタンだった。夏の札幌で1000万円特別を勝つと、神戸新聞杯に参戦して4着と好走。距離が伸びた菊花賞はハナに立って6着に踏みとどまり、大いにファンを沸かせてくれた。正直、この時点では力負けの感は否めなかったが、もともとが晩成血統。半年の休養を経た前走は後続に1秒差をつける圧勝で、春の盾に名乗りを上げた。

淀の三千二百を乗り切るスタミナは父系から文句なしに受け継いでいる。かたや、現代競馬に必須のスピードだが、こちらは社台ブランドで固められた母系に埋め込まれている。母の父は言わずと知れたサンデーサイレンス。そして、リアルシャダイ、ノーザンテーストと、リーディングサイヤー三代が連なる。メジロの古き血の力は、社台の血と掛け合わせられることで再び力を呼び覚ましたかのようだ。また、サンデーはスペシャルウィークら、リアルシャダイはライスシャワー、ノーザンテーストはアンバーシャダイと、3頭とも天皇賞馬を出している心強さ。ちなみに、もう一代前にあるシーホークは、モンテファスト、モンテプリンスの2頭の天皇賞馬の父だ。こうして見ると、ホクトスルタンは天皇賞春の系譜が、もっと言えば日本の競馬史そのものが体現されているのかもしれない。大混戦の第137回天皇賞、父子四代制覇に願いをかけて単勝馬券を手に応援してみたい。

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2008.04.16

つれづれに 皐月賞の有力馬をおさらい

徒然だが、順を追って皐月賞の有力馬をおさらいしていきたい。実績的にトップを走っているのが、弥生賞を勝ったマイネルチャールズ。ホープフルS、京成杯に続いて、中山二千で3連勝したことで、皐月賞に最も近いポジションにいると見られている。だが、押し出された形の1番人気馬になることは否めず、本番でも徹底的にマークされることになるだろう。ラフィアン、悲願の牡馬クラシック制覇の気負いも引っかかるところ。一方、見方を変えれば、決定的な不安材料はなく、他馬に人気が分散するようなら、お買い得な1番人気になるかもしれない。というのも、意外に弥生賞2着のブラックシェルが支持を集める気配を見せているからだ。課題だったゲートも毎週、訓練を積んで解消してきたと報じられているし、何より手綱を取るのは武豊。桜花賞でポルトフィーノが直前で出走取り消しの憂き目にあったこともあり、皐月賞で悔しさを晴らすといった記事が踊りそうだ。ブラックシェルの父はクロフネ。母の父はウイニングチケット。ともに二千メートルを得意とした馬で、これまでのレースぶりからブラックシェルも皐月賞は適距離のようだ。とは言え、この2頭で決着するほど堅いG1になるはずもなく、伏兵の台頭は必至だ。

もうひとつの重賞トライアル、スプリングSはもどかしいレースを続けていたスマイルジャックが優勝。しかし、同馬が急に強くなったわけではなく、勝負付けが済んだミドルクラスの馬が展開や相手関係に恵まれて1着で入線したと見るのが妥当だ。言うまでもなく、スプリングS組の最大のポイントは1番人気だったショウナンアルバが巻き返しを図れるかどうかにある。共同通信杯を先行抜け出す競馬で勝ったショウナンアルバは、ウォーエンブレム産駒らしく燃えすぎる気性が両刃の剣。折り合ったときの爆発力や勝負根性は目を見張るものがあるが、スプリングSのように抑えが利かず暴走してしまったときは後続馬の餌食になるのは目に見えている。だが、共同通信杯も口を割りながら勝ってしまったように、ゼロか百か、二者択一の結果にならないところが難しい。速いペースで流れに乗れるのが理想だが、買うか切るかは購入者の展開予想に拠るか。2 着のフローテーションは嵌れば鋭脚を繰り出せるタイプ。昨秋は新馬、萩Sを連勝して注目を集めた。すみれSを一叩きされて状態が上向いていたが、前走は上手く乗られすぎた感じもある。それなら勝負どころで外を回らされた7着、きさらぎ賞勝ちのレインボーペガサスの方に食指が伸びる。安藤勝の手綱も怖い。

他の路線も見てみよう。阪神で行われた若葉Sはアグネスタキオン産駒のノットアローンが制覇。この馬は素質の高さは以前から話題になっていたが、オープンクラスで際立った結果を残せないでいた。若葉Sは少頭数とはいえ、ブラックシェルらと接戦してきたキングスエンブレムなども出走しており、低レベルと切って捨てるわけにはいかない。2着だったダンツウィニングを含めて、穴気配が漂うのはこの組かなという気はしている。新興勢力では新馬勝ち、毎日杯2着のキャリア2戦、アドマイヤコマンド。アグネスタキオン×カーネギーは、スピードもスタミナもバランスよく伝えている印象がある。ただ、毎日杯もディープスカイの離された2着だったように、底力という点では物足りないように思える。キャリア2戦というのも経験不足。触れていない馬で、前哨戦で敗退した重賞勝ち馬はドリームシグナル(シンザン記念)、キャプテントゥーレ(デイリー杯)、フサイチアソート(東京スポーツ杯)、サブジェクト(ラジオNIKKEI杯)など。軸に据える魅力はない。

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2008.04.11

あり余るスピード ポルトフィーノは一族の無念晴らす?

かつて、桜花賞は「魔のハイペース」という言葉とセットで語られるものだった。だが、フルゲート頭数の削減で先行争いは激しさを潜めるようになり、その傾向はコース改修によって強められたかのように思える。今年、ペースの鍵を握るのは、武豊が操るポルトフィーノ。エルフィンSではフィリーズレビューを制するマイネレーツェルに4馬身差をつけて逃げ切り勝ち。圧倒的な能力の高さを見せ付けた。ところが、前走アーリントンCでは抑える競馬を試みて大失敗。折り合いをつけられず、道中でエネルギーを使い果たしてしまった。桜花賞は控えず、馬の気のままに行くことになりそうで、ハナか、ハイラップを刻む馬がいれば番手につけることが予想される。

今年の牝馬戦線はレベルの高さ疑問視されるなか、ポルトフィーノはエルフィンSは一杯に追わず、上がり34秒4で後続を完封。ライバルより力が抜けている可能性もある。最終追いきりはテンションが上がってオーバーワークになるのを防ぐため、単走で行われた。桜花賞の枠は4枠7番。大外を引いた前走は最悪の展開になったが、今回はうまく内に入れてなだめられるかもしれない。姉アドマイヤグルーヴ、母エアグルーヴ、祖母ダイナカールはG1勝ち馬だが、3頭とも桜には縁がなかった。母は優勝確実と言われながら熱発で回避。姉は1番人気ながら出遅れて3着に敗れている。血は争えないのか、それとも一族の雪辱を晴らすのか。武豊の技量に注目だ。

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2008.04.08

フラワーCとクイーンC 混戦に拍車かける別路線組

今週からクラシックが開幕。今年の牝馬戦線は重賞2勝馬が1頭もおらず、大混戦の様相を呈している。チューリップ賞などトライアル組を検討すれば事足りる年とは違って、別路線組も人気の一角を占めることになる。中でも、フラワーCを制したブラックエンブレムと、クイーンCを勝って臨むリトルアマポーは単勝10倍を切るオッズになりそうだ。かつて、両レースとも桜花賞には鬼門のレースだったが、フラワーCはダンスインザムード、シーザリオ、キストゥヘヴンなどがステップにして、重要レースへと性格を一変させた。ブラックエンブレムはウォーエンブレム産駒らしく気性の激しさは課題としてあるものの、前残りの展開になったときには逃げ粘ってしまうシーンもあるかもしれない。マイル戦への距離短縮は折り合いを考えると、好材料とみていい。

一方、アグネスタキオン産駒のリトルアマポーラは4戦3勝。負けた京成杯も脚を余してのもので、勝った弥生賞馬・マイネルチャールズからコンマ2秒差に踏みとどまった。その潜在能力の高さはクイーンCを直線一気で楽勝したことで証明された。だが、過去の成績からはクイーンC直行組は買える要素が見出せない。96年にイブキパーシヴが連対を果たしているものの、過去10年ではエアデジャヴー、シャイニンルビー、コイウタ、カタマチボタンと 3着までが精一杯。但し、もう少し能力が足りさえすれば連対圏内までは十分に手が届くと好意的に解釈することもできる。血統的にマイルはベストで、カワカミプリンセスのスイートピーSがそうだったように、臨戦過程の相性など簡単に引っくり返しても驚きはしない。むしろ、前走で12キロ減っていた馬体をどう捉えるのか、そちらのほうがデータ的には鬼門になる気もする。

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2008.03.28

高速の高松宮記念 先行ローレルゲレイロに期待

6ハロンの電撃戦、高松宮記念。例年、この時期の中京は馬場が渋る傾向があり、 G1にしては遅めの1分8秒台の決着になることが多い。ところが、今年は馬場状態が良好のようで、500万クラスでも1分7秒台が計時されているほど。過去のデータでは差し馬が絶対的に有利だが、高速馬場なら違った展開になるかもしれない。前残りを予想するのであれば、前哨戦の阪急杯を逃げ切ったローレルゲレイロに注目してみたい。マイルG1で2着2回の実績からマイラーズC→安田記念のローテが予定されていたが、阪急杯の勝ちっぷりから急遽、高松宮記念への参戦が決まった。東京新聞杯→阪急杯のステップは前2年の勝ち馬と同じでゲンは良い。思えば、父のキングヘイローも距離不適と言われながら、 G1の勲章は中京であげたスプリント戦だけだった。ローレルゲレイロも念願のG1をここで獲ることができるか。

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2008.03.20

フラワーC もう1頭の「奇跡の血」が桜女王へ名乗り

3つの桜花賞トライアルが終わり、残りの切符は今週のフラワーCで賞金を加算できた馬だけに与えられることになった。もっともレベルの高かったチューリップ賞では阪神JF組のトールポピー、オディールが好走し、本番でも中心視される結果を出した。一方、フィリーズレビューは人気のエイムアットビップが熱発の影響で大敗。 11番人気のマイネレーツェルが同タイムに4頭が並ぶ混戦を制したものの、内田博幸が手綱を取るという材料を除けば、桜でも軸にできるようなパフォーマンスにはとても届かなかった。アネモネSも人気のブーケフレグランスが右回りを苦にして着外に終わり、勝ったソーマジックは魅力的ではあるが、アネモネS勝ち馬と桜花賞の相性は悪い。

前走のアーリントンCで脆さを見せたポルトフィーノ含めて、桜花賞ではクイーンCを制したリトルアマポーラ、トールポピーの三強が形成される可能性が高い。だが、そこに楔を打ち込めるとすれば、フラワーCでブラックエンブレムが勝ったときだ。同馬は馬名の通り、「奇跡の血」と言われるウォーエンブレムの希少産駒の1頭。前走のきんせんか賞(芝1600)では4馬身差の大楽勝を演じているが、その前の葉牡丹賞(芝2000)で皐月賞有力候補のマイネルチャールズとクビ差の接戦をしているのだから、牝馬相手では当然のレースだったかもしれない。ショウナンアルバやエアパスカル同様、父は少ない子どもたちに激しい闘争心を伝えており、充実期には気で走る血統なのだろう。

かつて、フラワーCはクラシックでは用無しのステップだったが、スマイルトゥモローがオークスを制してから重要な前哨戦へと変貌している。 04年から06年にかけては、ダンスインザムード、シーザリオ、キストゥヘヴンが連続して桜花賞で連対。一昨年、きんせんか賞から臨んで2着だったフサイチパンドラもオークスで2着している。今年のフラワーCには新馬、特別を連勝してきたシングライクバードも出走してくる。直線一気型のタイプで中山は取りこぼしがあるかもしれないが、こちらも潜在能力は高そう。ブラックエンブレムともども、桜か樫か、どちらかは連絡みしそうな雰囲気で、桜の最終上京便に要注目だ。

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2007.12.19

名手の揃った有馬記念 KYなんて関係ねー!?

今年の有馬記念は面白いメンバーと、それを引き立てる国内外の名手が揃った。メイショウサムソン武豊を中心にして、来年のことを考えて妹・ダイワスカーレットを選択した安藤勝。兄・ダイワメジャーのラストランを任されることになったのはデムーロポップロックには引き続きペリエ。そして、菊花賞で1番人気に推されたロックドゥカンブは柴山からキネーンに乗り代わりとなった。思い起こせば一昨年、追い込み馬だったハーツクライを果敢に先行させてディープインパクトを破ったのはルメールだった。外国人ジョッキーは例え”KY”と罵られようと、 ”そんなの関係ねぇ”とばかりに遠慮なしのレース振りでファンを驚かすことがある。南半球産のアドバンテージで53キロで出走できるロックドゥカンブは、キネーンがどんな競馬を見せるのか、最大の惑星馬になろう。どこかリードホーユー的な穴馬感を醸し出している気がしてならない。

これら並み居る名手たちを敵に回し、ファン投票1位の重みを背負って走るのがウオッカ。鞍上は四位。秋華賞、ジャパンカップは後方待機策を取ったため、その位置取りを批判されることも少なくなかった。私自身、秋華賞は宝塚記念のショックを引きずらないためという正当な理由があったと考えたものの、ジャパンカップはもう少し積極的な騎乗をしてほしかったと感じていた。しかし、四位はウオッカについて騎乗批判されたことについて、激しい憤りを持っているようだ。福永との対談のなかでも、四位は怒りをぶちまけている。

「ある雑誌に秋華賞の俺の騎乗を批判してる記事が載ってたんだけど、読んでガッカリした 。馬のことも俺の考えも全然判ってない。評論家ってまずは批判ありきといったスタンスの 人種が多い。馬のことを深く理解しようと努力もせず、ただ批判のための批判を書く。… 憶測記事を書くぐらいなら直接聞きにくるか、それが無理ならせめて電話をかけてきて欲しい。ウオッカには宝塚記念みたいなレースを経験させたくなかった。あの馬の将来を考えつつ、なおかつあの秋華賞で勝ちに行くためにはあの乗り方しかなかった。俺はいまでもそう思っている」(競馬ブック 編集員通信)

また、四位はジャパンカップについても、「前走は中間にいろいろあったし、有馬記念のことも考えて後ろのポジションで競馬をした」(Gallop)と述べている。前2走の競馬は先を見据えた故の戦法だったというのだ。となれば、秋3走目となる有馬記念はその集大成を見せるべきところ。その発言から四位にとっても、ここがラストチャンスという覚悟はできているだろう。広い府中コース向きと見られいるウオッカ。中山2500の舞台で、一線級の牡馬相手にどんな手綱さばきを見せるのか。よもや最後方待機ではあるまい。64年ぶり、牝馬のダービー優勝という金看板にこれ以上、傷はつけられない。

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2007.12.06

2歳女王に快勝 ヤマニンキングリーの激走はあるか

POGの良いところのひとつは、デビュー前から新馬、条件戦、オープン戦と、馬柱を縦読みするように1頭の馬を注視し続けられることだ。その馬の特徴や敗因を把握できれば、馬券にも当然、影響が出てくる。先週、ポインセチア賞を勝ったイイデケンシンはPOGで指名した馬だったが、ハナを切れる展開、ダート替わりなら一変できると考えて単複を購入。 9番人気ながら期待に応えて好配当をプレゼントしてくれた。今週の朝日杯FSにも、ヤマニンキングリーという指名馬が出走してくる。新馬でセンスのある勝ち方をしたものの、札幌2歳S、萩Sで大敗。ところが、新馬と同じ藤田が手綱を取った黄菊賞は見事な差し脚を繰り出して快勝。 2着は阪神JFを勝ったトールポピーだった。良馬場で脚を溜めることさえできれば、重賞級の能力があることを証明したのである。

ヤマニンキングリーの父は新種牡馬アグネスデジタル。祖母はケンタッキーダービー馬のティファニーラスという良血。サンデー産駒の母はPOGで息子より人気を集め、新馬、クローバー賞を連勝している。姉に牝馬重賞で活躍するメジロマックイーン産駒・ヤメニンメルベイユがいるが、母系のベースは仕上がり早やのマイラーと見るべきではないか。もし、今回、同馬が勝てば、武豊の朝日杯初優勝、河内厩舎、アグネスデジタルにとっては初G1と記録ずくめ。2歳リーディングの可能性も出てくる。去年、ウオッカはトールポピーと同じく、黄菊賞2着から阪神JFを制した。この時の勝ち馬は休養中のマイネルソリストだが、同馬は次走、ラジオNIKKEI杯でアサクサキングスに先着して力のあるところを見せている。2歳女王を打ち負かしたヤマニンキングリーも、馬場さえ恵まれれば恥ずかしくない競馬ができるはずだ。

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2007.11.20

ディラントーマス出走断念 外国馬にチャンスはあるのか

エリザベス女王杯に続いて、また直前で非常に残念な出走取り消しがあった。バゴ以来、3年ぶりの凱旋門賞馬の挑戦として注目を集めたディラントーマスが、ジャパンカップを回避することが発表された。同馬は競馬学校の国際厩舎で輸入検疫を受けていたものの、届出伝染病に指定されている馬ウイルス性動脈炎(EVA)の抗体検査で陰性確認ができなかったという。これにより入国が認められず、出走も叶わなくなった。同馬はブリーダーズカップ出走後にアメリカでEVAワクチンを接種したことが確認されている。一般的にワクチンは弱めた病原体を体内に注入することで抗体をつくるものだが、今回の抗体検査との関係は明らかではない。日本で種牡馬入りするわけでもない同馬の電撃的な参戦は世界的な話題となっていたし、渡仏ならなかったメイショウサムソンウオッカとの対戦が幻となってしまったのは、返す返すも惜しいことだ。

他の外国馬にはチャンスはあるのだろうか。ディランに替わって大将格を任されるのが英・ペイパブル。父は99年に来日して4着に敗れた凱旋門賞馬モンジューで、 2400メートル前後のG2、G3を転戦してきた。一線級相手に力は見劣り、馬場適性にも疑問符がつくとなれば狙いは立てづらい。独・サデックスもサドラーズウェルズの直仔。日本の馬場は微妙と言わざるを得ないが、 3連勝後、一息入れた凱旋門賞が不利があって6着。どこかJCに照準を合わせたようなローテは不気味な感じがする。 95年のランドのようにドイツ産馬は遠征に強いイメージがある。米・アルティストロワイヤルはデインヒル産駒。BMSもマニラで軽い馬場は合いそう。前走は強敵を破って久々の勝利をあげ、JCが叩き3戦目。従来の詰めの甘さが解消されていれば、あっと言わせるシーンもあるかもしれない。英・ハリカナサスは2400メートルは未経験。春から既に10戦を消化しており、上積みは難しい。馬券はもう少し検討して結論を出したい。

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2007.11.10

選択したのは背水の陣 ウオッカが期す三度の正直

※ウオッカは出走取り消しとなりました。

ダービー馬・ウオッカを桜花賞、秋華賞で破ったダイワスカーレット。チューリップ賞でウオッカの後塵を拝した後は、完璧なレースを続けている。前日売りでは秋華賞と同じく人気はウオッカに軍配が上がった。それだけ人々に印象付けたダービーのパフォーマンスは衝撃的だったということだろう。本来なら休養明けの秋華賞を叩いた後、世代頂点に立つダービー馬として、ジャパンカップをめざすのが王道ではあった。しかし、ダイワスカーレットに敗れたままでは済まされないと考えたのか、陣営は敢えてエリザベス女王杯での再戦を選択した。だが、三度負ければ、最優秀3歳牝馬の座を失うことになりかねず、 64年ぶりの牝馬ダービーがノンタイトルとなる可能性さえある。どこかの放送局の陳腐な台詞を借りれば、ウオッカ陣営にとって「絶対負けられない戦い」に間違いない。

宝塚記念、秋華賞の連敗でウオッカに力の陰りがあるとする見方もあるが、私は正しくないと思う。不運が重なった宝塚記念もそうだが、秋華賞もとても地力だけで勝つことは難しい展開になった。 G1レベルでは考えられない中盤13秒6のスローラップが出現、 2番手で追走していたダイワスカーレットに勝って下さいと言わんばかり。対するウオッカはタメていくことを決めていたため、縛られたように後方に待機するしかなかった。結果として、上がり33秒2という限界に近い脚を繰り出したものの、先に抜けたダイワスカーレットを捕らえられなかったのは当然としか言いようがない。今回、舞台は京都内回りから、直線で内の開きやすい外回りに変わる。ひと叩きされたウオッカが前走のような不完全燃焼の競馬に終わるとは考えづらい。G1での三度目の正直。ウオッカか、ダイワスカーレットか。個人的には背水の陣を期すダービー馬の雪辱を観たい。

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2007.10.27

見どころ満載の天皇賞 この秋いちばんの一戦!

今年の天皇賞秋は何処からでも馬券を買いたくなるような、そそられるメンバーではないか。それぞれに興味深いストーリーもあるし、前々日の1番人気が伏兵アグネスアークというのも面白い。最も印を集めるだろうアドマイヤムーンは、ダーレー・ジャパン・ファームに 40億円でトレードされて初めてのレースになる。ダーレーにとって、ムーンは日本のファンにドバイの名を知らしめる大切な広告塔。しかも、ムーンは年内限りで引退、ダーレー・ジャパン・スタリオンコンプレックスで種牡馬入りすることが決まっている。秋のG1戦線でダーレーサイドは距離適性のある天皇賞秋に照準を絞っており、休養明けもここは全力勝負とみていい。種牡馬の価値を下げかねないジャパンカップや有馬記念の参戦は積極的ではなく、本来なら出走するはずだった香港Cも検疫期間が延びた関係で遠征を取りやめている。つまり、天皇賞秋がラストランになる可能性も低くない。追い切りの遅れは気になるが、ダーレーの輝かしい船出を傷つけるわけにはいかないだろう。

そのムーンに宝塚記念で敗れたメイショウサムソンは、なんと鞍上に武豊を迎えて秋を戦うことになった。燻し銀、石橋守を降板させての乗り替わり劇だけに、浪花節好みのファンからオーナーサイドは批判に晒されたという。もともと、馬インフルエンザのために遠征を中止した凱旋門賞では、海外経験の豊富な武豊が手綱を取ることになっていた。武豊はサムソンの滞在先厩舎の手配など、さまざまな労を惜しまずに動いていたことから、そのお礼という見方が強かった。だが、メイショウの松本好雄オーナーは「ユタカが乗るサムソンを見たい」(Number 689)と、能動的な騎手指名であったことを明言している。以前、CSの番組で「乗ってみたい馬は?」と聞かれて、石橋を隣に「メイショウサムソン」と半ば冗談で答えた武豊。実際、敬愛する兄弟子のお手馬を奪う形になったが、オーナーの期待ともどもプレッシャーが圧し掛かる。臨戦過程の狂いから100%の仕上げとはいかないだろうが、武豊がどんな位置取りでレースを進めるのか、楽しみにしたい。

この2頭に対峙するのが、順調にひと叩きされた馬たち。毎日王冠では3着に敗れたダイワメジャーだが、休養明けでハイペースを追走した結果なら悲観する内容ではない。、宝塚記念の大敗は滞在厩舎の騒音で精神的なダメージを受けていた故で、その影響を引きずらなかったことは喜ばしい。外枠を引いたのも大歓迎だ。毎日王冠を8番人気で差しきったのは上がり馬、チョウサン。ダンスインザダーク×サッカーボーイは4年前の天皇賞秋で連対したツルマルボーイと同じ。府中のスタミナ勝負は得意とする血統で、極端なハイペースで流れるようなら再度、浮上する余地がある。京都大賞典2着のポップロックは来日したばかりのペリエに手綱を託した。同厩のデルタブルースとも狙いは次走、次々走かなという気はする。関屋記念を豪快に追い込み勝ちしたカンパニー。G1では不完全燃焼のレースが少なくなく、実力発揮で一発あるなら今回ではないか。何処となくオフサイドトラップの薫りも漂う。盛岡のOROカップをステップにしたコスモバルク。全盛時の勢いはないが、中央G1は今秋がラストチャンスだろう。

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2007.10.18

無敗ロックドゥカンブ 南半球産馬が菊の大輪を咲かす?

64年ぶりに牝馬が優勝したダービー、初めて外国産馬がクラシックを制することになったオークス、重賞レース史上で970万円という最高額の配当が飛び出したNHKマイルC。今年の3歳G1は記録ずくめとなるならば、菊花賞も「初の南半球産馬による制覇」なる偉業が達成されても不思議ではない。牝馬に世代の頂点に立たれ、プライドを引き裂かれてしまった2004年産の牡馬たち。本来なら最強馬決定戦になるはずの菊花賞も、ウオッカへの挑戦権を獲得する予選のような状況だ。クラシックで本命視されていたフサイチホウオーの体たらくもあり、低レベルと揶揄されることも多いが、やはり菊花賞も軸馬不在の混戦模様。その中で無敗の4連勝を飾り、一躍、京へと上ってきた南蛮生まれの若武者に期待がかかるのは無理からぬところか。負け犬根性は知らぬうちに身につくものだそうだが、ロックドゥカンブだけは勝利の喜びしか味わったことしかない。

ニュージーランド産のロックドゥカンブは北半球の同世代より半年遅く、9月29日に生を受けた。競走馬の1年は人間の4年に該当すると言われるが、育ち盛りのロックドゥカンブは 2歳も3歳も上級生のライバルたちと戦ってきたことになるのかもしれない。 3月に1800メートルの新馬戦を番手から抜け出す危なげない競馬で勝利を収めると、一息入れた6月には小回りの中京で届かないと思われた後方から差しきり勝ち。非凡な能力を見せ付けた。初めてオープン級と対戦したラジオNIKKEI杯は早め先頭で初重賞制覇。そして、セントライト記念も外から被せられても動じることのない大人のレースぶりで、好位から楽に抜け出してのゴール。1馬身1/4の着差以上の完勝だった。鞍上の意のままに動くセンスの良さはピカ一と言えよう。他馬より2キロ軽い55キロの斤量で出走できるのは鬼に鉄杖、ライバルからすれば盗人に追い銭か。

もちろん、不安材料はいくらでも指摘できる。父・レッドランサムは日本ではユノペンタゴンやアポインテッドデイなど、早熟のマイラー色が強い。海外ではドバイWCを勝ったエレクトロキューショニストなど中距離G1馬も輩出しているものの、スピードの勝ったタイプであることは間違いない。セントライト記念の勝ち馬がシンボリルドルフ以降、菊花賞を制していないのも嫌なデータだ。歴代の優勝馬を眺めてみると、中距離ホースばかりが名を連ねており、ロックドゥカンブも例外ではないだろう。鞍上の経験のなさも取捨の大きな要因になる。柴山雄一は笠松競馬の出身。 1次から騎手試験を突破した異色の地方ジョッキーだ。中央入りした一昨年は80勝をあげる大活躍を見せたが、去年は52勝、今年は35勝と尻すぼみの成績。一時期は極度の不振に陥ったこともあった。美浦所属の柴山は京都3000メートルは未体験で、長距離のキャリアは一歩も二歩も劣る。

シンボリルドルフ以降、ロックドゥカンブのように無敗で菊花賞に挑んだ馬は3頭しかいない。春の二冠を制したミホノブルボン(2着)、ディープインパクト(1着)は別格。あとは未勝利、400万、900万と3連勝していたマチカネイワシミズ(7着)。ダビスタの"種付け料無料"で有名になったが、同馬は13番人気での挑戦で比較対象外にすべきか。ロックドゥカンブとイメージが重なるのは、無敗でも春クラシック未出走でもないが、夏から馬が変わったように3連勝して菊まで勝ってしまったマチカネフクキタルか。この馬もクリスタルグリッターズ×トウショウボーイとスピード色の強い配合だったが、スローペースを味方につけて33秒9の電撃的な差し脚で距離を克服した。自在性あるロックドゥカンブ、やはり淀の三千を乗り切れるかは柴山の手綱次第となるのだろう。

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2007.10.13

脚部不安?鉄砲駆け? 2番人気ウオッカの大きな誤解

8月2日、凱旋門賞に向けて順調に調整されていたウオッカに起きたアクシデント。坂路調教後、右後肢に蹄球炎を発症してしまったのだ。蹄球炎とは、蹄の後ろ側にある蹄球部が何か硬いものを踏んだり、ぶつけることで腫れて血がたまるもの。馬はチクチクとして痛みを感じるが、数日で症状は治まる一過性の外傷で、人間で言えば足の裏に血豆ができたようなものだ。通常なら発表するほどのものではない軽傷だが、ウオッカへの注目度は大きすぎた。わずか4日間とはいえ馬場入りできなかったこと、まるで大きな故障でも発症したかのような扇情的な報道がなされたこと、もともと宝塚記念を惨敗したことに批判も起きていたこと。挑戦するからには無様な結果に終わることは許されなくなっていた角居陣営は、さまざまな状況やレース後の影響まで考えて「遠征中止」という苦しい判断をしたのではないだろうか。

すぐさま秋華賞に目標を切り替えたウオッカにとって幸運だったのは、栗東トレセンに在厩していたため、8月末には坂路入りを再開したことだ。 8月15日に馬インフルエンザの発生が確認されると、翌月に入るまで民間牧場とJRA施設との移動が禁止された。もし、ウオッカが放牧に出されていれば、帰厩ままならず調整に大きな遅れが出ていた可能性もあった。現実、秋華賞に出走するザレマ、ローブデコルテらは予定通りに帰厩できず、少なからぬ影響を受けている。前日昼の段階でウオッカはダイワスカーレットに次ぐ 2番人気に留まっている。64年ぶりに牝馬として日本ダービーを制したように能力の高さは言及するまでもない。「脚部不安」「鉄砲駆け」という馬柱の文字だけで配当があがっているのなら、大いなる誤解と言うべきではないだろうか。

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2007.06.22

宝塚記念 裸同然51キロのウオッカの取捨は?

並み居る牡馬を打ち破り、64年ぶりに牝馬として日本ダービーを制したウオッカ。それだけでも桁外れの偉業なのに、続けざまに宝塚記念で古馬まで斬って捨てようというのだから恐れ入る。私は正直、ウオッカの宝塚参戦を手放しに歓迎していたクチではない。秋に凱旋門賞という大きなレースをめざすつもりがあるのならば、ダービー激走の疲れを癒して海外遠征に備えてほしいと考えていたからだ。報道によれば(nikkan)、今回のローテーションを提案したのは谷水雄三オーナーだという。参戦の理由は春のグランプリを盛り上げることと、古馬との対戦を経験させておくことだそうだ。市井のファンとしては、どちらも決定的な要素には感じられない。

とはいえ、現実にウオッカが出走してくれたことで、宝塚記念が例年にない注目を集めているのも事実。春の天皇賞を制して名実とも古馬チャンプと認められたメイショウサムソンとの勝負は、果たしてどんな結末が待っているのか。ポイントは斤量になる。ウオッカとサムソンの斤量差は7キロ。ウオッカの51キロは裸同然だ。96年、同じく3歳牝馬ながら果敢に宝塚記念に挑んだヒシナタリーという馬がいた。フラワーCや若駒Sを勝ったものの外国産馬ということで、クラシック路線を歩むことはなかった。前走は白百合Sで7着に敗れていたものの、宝塚記念は52キロの恵量もあってマヤノトップガンとコンマ3秒差の4着と大健闘した。その後、ヒシナタリーは小倉記念、ローズSを連勝して実力を証明したが、ウオッカのようにダービーを勝つほどの力はとてもなかった。

一方、ダービーを勝った刀で宝塚に矛先を向けた馬としては、ネオユニヴァースが記憶に新しい。ヒシミラクルが勝った03年、2億円を同馬の単勝で儲けた"ミラクルおじさん"が話題をさらったレースだ。ネオユニヴァースはスタートで行き脚がつかず、後方からの競馬を余儀なくされて4着に敗れている。しかも、その秋はすっかり体調を崩してしまったから、3歳クラシックホースの宝塚挑戦にトラウマを残すことになってしまった。この年は36秒9とレースの上がりがかかる持久力勝負となった年。ウオッカの身上はダービーで見せたような閃光走る瞬発力にある。スタミナの求められる戦いになれば、一日の長のある古馬、とりわけ、そうしたレースが得意なサムソンに分が出てくる。今年はアドマイヤメイン、インティライミ、コスモバルク、シャドウゲイト、ローエングリンと脚の早い馬が揃った。かと言って、必ずしも厳しいペースにならないのが競馬。ペースをどう読むか、ウオッカの取捨は予想者の真価が問われる一手にもなりそうだ。

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2007.04.28

大混戦の春の盾 穴のセオリーは人気薄の逃げ馬?

かつて、天皇賞春と言えば、超一流馬が人気に応えて強い競馬を見せる鉄板レースの代表であった。ところが、2003年から3年間は様相が異なり、人気薄の馬が激走、波乱を起こして万馬券が炸裂する間逆の傾向が続いた。 7番人気ヒシミラクルが勝ったときは「さすがは菊花賞馬」と納得したものだが、交流重賞やオープン特別で負けていたイングランディーレ、スズカマンボに勝たれては、理由の後付けすら考えられなくなってしまった。オールドファンに言わせれば「春の盾は死んだ」のである。去年は怪物ディープインパクトがその流れを断ち切ったが、今年は飛びぬけた人気馬もなく波乱ムードが漂っている。天皇賞春は再び荒れるレースへと戻るのだろうか。

本来、ディープ後継となるべきメイショウサムソは大阪杯で復活の勝利をあげたものの、過去10年、同レースの勝ち馬が天皇賞春を制した例はなく、相性の悪いステップであることは否めない。昔話の域かもしれないが、トウカイテイオーやメジロマックイーンが大阪杯で強い勝ち方をしながら、本番で敗れ去った印象も強い。菊花賞で離された4着に敗れているメイショウサムソンも、中距離に距離適性があるのは間違いないようだ。父オペラハウスはテイエムオペラオーやアクティブバイオなどステイヤーを輩出しているが、母系のダンシングヴレーヴ、サンプリンスはスタミナよりスピードを伝えている。もちろん1番人気の二冠馬だから優勝すれば、従来のような盾の格が復活となるのかもしれないが。

今週の週刊プレイボーイで蛯名正はイングランディーレを引き合いにして、騎手のメンタル面から人気薄の逃げ馬が要チェックだと述べている。「簡単に言えば、人間は見えるものには安心するが、見えないものには不安を感じるということだ。 …自分の後ろにいる馬たちは視界に入らないから、その分、どこで仕掛けてくるか、仕掛けてきたらどう対応するかと神経過敏になる」。騎手の注意が後ろへと働くだけ、視界にある格下の逃げ馬への関心は低くなるというわけだ。とはいえ、過去10年、天皇賞春を逃げ切ったのはイングランディーレだけ。複勝に絡んだのもセイウンスカイだけの苦戦が続く。だが、2番手あたりで競馬をしたビッグゴールド、シルクフェイマスは好走しており、先行勢という括りなら波乱の目はそこに見出せるかもしれない。

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2007.04.05

Jpn1・桜花賞 二強はウォッカを逆転できるか?

いよいよクラシックシーズンが到来。今週は初の"Jpn1(ジーワン)" 桜花賞が行われる。巷ではウオッカダイワスカーレットアストンマーチャンの三強対決とも言われているが、各紙の予想オッズを眺めるとウオッカ一強の感も否めない。 4日には有力馬の最終追い切りが敢行されたが、3頭とも順調な調整ぶりをアピールし、ほぼ100%の状態で本番を迎えることができそうだ。ここまで桁違いの強さを見せているウオッカは、桜花賞次第ではダービーに向かうことも検討されている。十年に一度の名牝とも噂されるウォッカの戴冠は揺るぎないのだろうか。

ライバルとなるダイワスカーレットは、前走のチューリップ賞でハナを切り、ウォッカが来るのを待って直線で追いだした。結果的には着差以上の完敗だったわけだが、陣営には完調ではなかったとの思いも強いようだ。いつもよりイラついていたこと、あくまでトライアル用の仕上げだったのは間違いなく、今回は坂路で連日の猛稽古を積んでいる。「馬の後ろに入れて気を抜かせるような調整」(松田国師)というから、本番では好位で抑える競馬をすることになるだろう。弥生賞馬アドマイヤオーラを完封した実力は、例年なら桜の1番人気に推されているはず。ウォッカが馬群を割るのにもたつく場面があれば、ダイワ→ウォッカの馬単はある。

アストンマーチャンはウォッカと阪神JFで対決して、クビだけ差されてしまった経験を持つ。マイルより1400の方が良いのは確かだが、こうしたスピードに勝ったタイプも桜では数多く連対している。前走、楽勝したフィリーズレビューは準オープンの時計に肉薄しており、この馬もクラシックホースの及第点は充分に得ている。今年、気に留めておきたいのは、阪神が改修されて外回りコースで行われるということ。直線が長いためか追い出しを待つケースが多く、往年の「魔の桜花賞ペース」にはなりづらい。距離ロスのない内枠を引けば、俄然、差は縮まってくる。

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2006.12.21

ラジオNIKKEI杯展望 クラシックの主役は誰だ?

ディープインパクトの引退レースとなる有馬記念は非常に楽しみだが、それに負けず劣らず注目したいのがラジオNIKKEI杯2歳Sだ。朝日杯は東スポ杯3着だったドリームジャーニーが勝ち、1番人気3着だったオースミダイドウは戦線を離脱。さらにクラシック候補の呼び声高かったアドマイヤオーラは 2戦目とはいえ、牝馬ダイワスカーレットに完敗してしまった。となれば、残るはラジオNIKKEI杯。例年、ハイレベルなメンバーが揃うレースだが、今年もクラシック勢力図を決める面白い闘いになりそうだ。 6年前のアグネスタキオン、クロフネ、ジャングルポケットのような名勝負を期待したい。

1番人気は東スポ杯をモタれながら直線200メートルだけで快勝したフサイチホウオーか。2、3着馬とは決定的な実力の違いがあったが、その馬が朝日杯を制してしまったのだから、同馬の非凡さが分かろうというもの。父はダービー馬・ジャングルポケット、 BMSはサンデーサイレンス。3代母は仏クラシック二冠馬で、配合にも奥深さを感じさせる。追い切りも古馬に2馬身先着して好調をアピールした。但し、父もこのレースで2着に敗れているように、広々とした府中、京都向きの血統であることは確か。まだまだ荒削りな部分も多く、取りこぼす可能性は低くない。

ライバルとして浮上してくるのは札幌2歳Sを勝ったナムラマース。 6月から9月までに7戦を闘ったタフネスホースで、今回は3ヶ月ぶりの実戦となる。キャリアを重ねながら強くなっていくのはメイショウサムソンと通じるところがあり、こちらも血統は地味。負かしてきた相手も強いとは言えないが、手綱がペリエというのは侮れない。キャリア6戦のマイネルソリストも軽視はできない馬。何と言っても前走では阪神JFを好タイムで制したウォッカを破っている。かかり癖があるだけに思い切ってハナに行かせてしまうだろう。自分のペースに持ち込めればしぶとさを発揮する。

半姉にローズバドらがいる薔薇一族、ローズプレステージも本命候補の1頭。兄ローゼンクロイツは一昨年の本レースで1番人気2着している。父がダンスインザダークに代わって早熟性が後退したように思えるが、京都2歳Sは最後方待機で勝ち馬に逃げきられるミスでの敗戦。今回はもう少し前につけることになりそう。不思議と京都2歳S組は相性が良い。新馬、特別を連勝してきたアサクサキングスは最大の惑星馬。父はホワイトマズル、叔父にジェニュイン。意外性に溢れていそうな馬だ。1戦1勝ヴィクトリーはリンカーンの半弟。多士済々の好メンバー、どんなレースが待っているのだろうか。

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2006.10.19

菊花賞か天皇賞秋か 悩み深きマルカシェンク

メイショウサムソンの三冠がかかった今年の菊花賞。しかし、ディープインパクトやナリタブライアン、あるいはルドルフ、シービー、シンザンと比べて、ライバルたちと絶対的な能力の開きがあるように感じられないのも事実だ。サムソンがアタマひとつ抜けていることは認めても、付け入る隙も充分にあると各陣営は踏んでいるのではないか。吉凶は分からないが、トライアルで勝利に導いた高田を降ろしたドリームパスポート陣営も、その勝負への非情さは不気味なまでだ。

一方、出走すれば上位人気になりそうながら、未だに菊参戦に迷いを見せているのがサムソンと同僚のマルカシェンク。ようやく間に合ったダービーでは馬群が捌けず4着と敗退したものの、 2歳時から評価されていた能力の高さを証明するレースになった。そして、秋初戦に瀬戸口師が選んだのは毎日王冠。 BMSが全欧2歳チャンプで母は伊1000ギニー馬ということもあり、マイルから2000メートルがベストと判断したのではないか。毎日王冠の結果は4着。予想以上の健闘で天皇賞秋へ、ということになるはずだった。

ところが、天皇賞秋の出走優先順位は19位(フルゲート18頭)。登録全馬が出走すれば、除外されてしまう。マルカシェンクの命運を左右するのがディープの選択。府中で調整は続けられているものの、「出否は未定」と相変わらず池江師は態度を保留している。天皇賞秋に出走したいマルカシェンクだが、除外対象のままなら菊花賞へ向かうことにしている。陣営は追い切りを木曜日に遅らせて、ディープの不出馬宣言を待っている。もし菊を勝つようなら、僚馬の三冠阻止という複雑な状況になる? ひょっとしてオグリキャップの瀬戸口厩舎だけにGⅠ連闘もありうるか?

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2006.08.30

酷量62キロ コスモバルクが札幌参戦を敢行

ホッカイドウ競馬所属のコスモバルク札幌日経オープンに出走する。今回、バルク参戦が話題になっているのは、62キロという酷量を背負うことになるため。 62キロの平地勝利は平成2年・武蔵野Sのダイナレターまで遡らねばならない。 29日、バルクは門別競馬場で最終追い切りを行った。長め7ハロンから95.5-65.0-39.9-13.3でフィニッシュ。騎乗した田部師は「宝塚では淋しく見えた馬体も、トモの張りが良くなっているし、これなら復活なるでしょう」(サンスポ)と及第点を与えた。バルクは夏場もビッグレッドファームで乗り込まれており、相変わらずのハードトレーニングをこなしているようだ。

通常なら使う必要のないオープン特別に62キロで出走してきたのは、地元ファンへの顔見世興行的な意味合いが強い。当初、バルクは旭川でのブリーダーズゴールドカップやオープン戦を検討していたが、「不得手のダートでファンに迷惑はかけられない」との陣営の判断で回避した。一昨年、バルクがセントライト記念を前に北海優駿(旭川)に参戦した際には、当年の入場者数レコードを更新し、交流重賞と変わらない売り上げをあげている。今回はホッカイドウ競馬への経済的な貢献がないことを考えると、それほど無理をして地元に義理立てしなくてもと感じるところではある。

外厩馬のバルクは調教方法、ローテ、騎手への指示、乗り替わりなど、岡田繁幸総帥の意向を全面的に受けてきた。シンガポールでのGⅠ勝利まで成績が伴わなかったこともあり、岡田総帥の過剰な"介入"を批判する声も良く聞かれた。前走の宝塚記念も不十分な調整で臨んだが故の惨敗だった。市井の一ファンとしてはプロが組むローテにご意見を申し上げる立場にないが、まずは今回も無事にレースを終えてくれることを祈りたい。最後の国内GⅠ制覇のチャンスになりそうな天皇賞秋を狙うには、オールカマーで2着以内に入って権利を取ることが前提条件だ。札幌参戦が吉か凶かは、秋の成績次第ということになる。

もう一頭、岡田総帥が期待をかけているのがクローバー賞を圧勝したイクスキューズだ。こちらはバルクとは対照的に、中央リーディングトレーナーの藤沢和雄厩舎所属。岡田総帥は札幌2歳Sまで一気呵成に3連勝を狙いたかったようだが、藤沢師からにべもなく断られたという。「ほかの調教師なら口を出したくなるんだけど、あの人は不思議と出す気がしない。今後? う~ん、阪神JFぐらいは使うんじゃないかと思うんだけど…」(大スポ)と弱気の様子。レース前、藤沢師は「ビッグレッドファームでやらないでくれ」と進言していたそうで、こちらの馬は総帥も思うがままにはいかないようだ。

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2006.06.04

ブリッシュラック1番人気 清水成駿がオッズを動かす?

安田記念の単勝オッズに異変が起きている。前日17時30分時点での1番人気は5.5倍のオレハマッテルゼが推され、以下、10倍を切る馬が5頭もひしめく混戦になっていた。ところが、窓口の販売が終ってから、香港馬ブリッシュラックの人気が急騰。午前4時現在で3.7倍の1番人気の支持を受けている。どうやら、PATを通じた数百万円単位の大量投票があった模様だ。とい