カテゴリー「事前見解」の90件の記事

2012.04.13

皐月賞展望 ワールドエースは社台対決を制するか?

牡馬クラシックの第一冠、皐月賞の枠順が発表された。人気を分けるのは2頭。スプリングSを制して世代最初の重賞2勝馬となったグランデッツァと、若葉Sを勝って4戦3勝としたワールドエースである。ともに社台グループのクラブホースだが、グランデッツァは本家社台産、ワールドエースはノーザンファーム産。日本競馬が「社台の運動会」と揶揄されて久しいが、いまや社台ファームとノーザンファームの兄弟同士しか切磋琢磨できる相手はいなくなってしまった。昨年はオルフェーヴルやブエナビスタを擁するノーザンファームが、マルセリーナやカレンチャンらを生産した社台ファームを賞金額で上回って、3年ぶりに生産者リーディングを獲得した。その一方、勝ち鞍では社台ファームがトップを保った。ノーザンファーム代表の吉田勝己は社台ファームこそがライバルだと言って憚らない。

「社台ファームの存在が、頑張れる要素になっていますね。このように全体としては社台ファームと競争し、牧場の中では厩舎がほかの厩舎と競争するなど、私以外の全員が常に競争しています(笑)」 「今後はクオンティティ(量)よりクオリティを高めていこうかな、と。ですが、繁殖牝馬の購入は一生つづけていきます。兄貴(吉田照哉)とぶつかり合いながら買うこともよくありますよ」 (優駿 2012/4)


ワールドエースはノーザンファームの至宝、ディープインパクトの仔として生まれた。「生まれたときから品があった。見かけもいいし、走っても美しい。こんな見事な馬、なかなかいない」(同)と吉田勝己は最高の賛辞を送る。実際、兄弟馬が走っているわけでもないのにサンデーレーシングで世代最高の1億円で募集したのだから、よほど馬体に確信を持てたのだろう。一方、グランデッツァは半姉マルセリーナが桜花賞馬となった後、吉田照哉をして「アグネスタキオンの最高傑作」(週刊Gallop) と言わしめた逸材。アグネスタキオンは社台ファームの生産馬だから、皐月賞は両牧場の威信をかけた一戦と捉えられなくもない。 枠順はワールドエースが5枠9番、グランデッツァが8枠18番を引いた。スプリングS馬が本番で好成績を残していることから人気はグランデッツァに軍配が上がると思っていたが、大外枠が嫌われてワールドエースのほうが支持を集めるかもしれない。ただ皐月賞は中山競馬場で施行された近9年、勝ち馬は不思議と4枠から6枠以外から出ており、8枠は連対数でトップを誇る。枠順で評価を下げるのは賢明ではない。

臨戦過程や脚質など死角が見出しにくいグランデッツァとは対照的に、ワールドエースには懸念材料が少なくない。最も大きいのはローテーション。12月の新馬戦を勝った後、2戦目に選んだ若駒S。追い込みの効かない重馬場でゼロスに逃げ切られて痛恨の敗戦を喫した。競馬を教えた福永を騎乗ミスと責めるわけにはいかないが、悔しさに任せて中1週できさらぎ賞に向かった陣営の判断は疑問符がつく。確かにきさらぎ賞の勝ち方、時計は非常に中身の濃いもので、ワールドエースのポテンシャルの高さを証明することになった。2着ヒストリカルは毎日杯を、3着ベールドインパクトはすみれSを、4着ジャスタウェイはアーリントンCを、それぞれ次走で制している。いかにハイレベルだったか分かろう。しかし、その分、疲労も蓄積することになった。 間隔を開けた若葉Sはマイナス8キロ。輸送のない関西圏でのトライアルを選択したのに馬体を減らしたのは誤算だった。皐月賞は初めての長距離輸送が待つ。当初の青写真通り、弥生賞をステップにできていれば要らぬ不安でなかったか。

さらに4つのコーナーを回る中山2000メートルでは、出遅れ癖は致命傷になりかねない。 若葉Sは先行勢が有利な馬場状態にも関わらず外から力でねじ伏せてしまったが、皐月賞はライバルが断然強くなる。ディープインパクト譲りの末脚とも評されるが、父が格下のアドマイヤジャパンにクビ差まで迫られたのは同じコースだった。鞍上も十全の信頼が置けるとは言いがたい。福永は根岸Sから高松宮記念、桜花賞まで1番人気で跨った重賞は8連敗中だ。それでも、吉田勝己が過剰とも思えるほど福永を重用しているのは、競馬界を背負わねばならないプリンスに勲章を与えたいという意図を含むはず。 去年、初の全国リーディングに立ったとはいえ、牡馬クラシック、天皇賞、有馬記念などは未だ勝利なし。大舞台を人気馬で勝ち切ってこそ、ジョッキーは一流である。何よりワールドエースがこれまで見せてきた実力は世代トップのもの。第一関門さえクリアすれば、2年連続三冠馬の可能性は大きく開けてくる。今年の皐月賞はデータ的にはグランデッツァ有利と認めつつ、心情はワールドエースに寄せてしまう。馬券は悩みどころだ。


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2012.04.06

桜花賞展望 関東馬旋風は本番も吹き上がるか?

史上初めて関東馬が3つのトライアルをすべてを制した桜戦線。関東馬による旋風は本番でも吹き上がるのか。最終的な結論を下す前に、各ステップレースを振り返っておきたい。 最重要トライアルのチューリップ賞はハナズゴールが外から鮮やかな差し切り勝ちを収めたが、この日は内が伸びない馬場。チューリップ賞は1000メートル60秒2、逃げ馬から離れた後続集団にとっては、かなり遅い流れになった。好位から競馬を進めたジョワドヴィーヴルは窮屈なレースを強いられて伸びを欠いた。最内枠のジェンティルドンナも同様だ。例年、チューリップ賞はスローになることが多いが、桜花賞は追い込み馬の台頭する速い流れになりやすい。必然、求められる能力は違ってくる。となれば、一叩きされて体調上向きのジョワドヴィーヴルの巻き返しは自然と予想される。また、前走は熱発で完調さを欠いていたジェンティルドンナもしっかり追いきられており、 これ以上、馬体が減っていなければ浮上してくるだろう。勝ち馬ハナズゴールが追い切り後、洗い場で 右後肢の蹄球を負傷するアクシデントで回避したのは残念だ。

チューリップ賞とは対照的にハイペースになったのがフィリーズレビュー。直線、早め先頭から押し切ったアイムユアーズは着差以上に強い競馬だった。だが、桜を距離不安でスキップしたビウイッチアスが2着したように、レースはスプリンター向きの流れ。アイムユアーズは阪神JF2着の実績を持つが、本質的にはスタミナよりスピードを活かすタイプであり、底力が問われる内容になると決め手を発揮できないかもしれない。このレース1着は鬼門になっているのも気がかりだ。むしろ、この組からは3着プレノタート、4着イチオクノホシといった無欲の追い込み馬による複勝崩しが面白い。不良馬場のアネモネSはパララサルーが3連勝で1番人気に応えた。外から一気に交わし去った脚は際立っていたし、菜の花賞も荒れ馬場を苦にせずに差してきた。時計がかかるようなら軽視はできない。桜と相性の良いフラワーCも関東馬のオメガハートランドが勝ったが、レースレベルには疑問符がつく。 それならば相手関係は弱くても、紅梅Sを楽勝したサウンドオブハートの余力に期待したい。関東馬ならこの馬という気がする。 クイーンCから直行するヴィルシーナはオークス狙いだろう。

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2011.06.25

宝塚記念データ 人気馬も穴馬も欠かせない重賞実績

 上半期の総決算、宝塚記念。09年ドリームジャーニー、08年エイシンデュピティ、02年ダンツフレームのように天皇賞やクラシックでは一歩足りなかった馬が、宝塚記念で古馬G1を初めて制するといったケースも多い。古くはマヤノトップガン、マーベラスサンデーもそういうタイプだった。ネオユニヴァースやウオッカなど3歳有力馬の挑戦もあるが、連対したことはない。
【コース適性】
 阪神2200メートルは内回りコースを使って行われる。ゲートが設けられるのは4コーナー奥のポケット。1コーナーまで500メートル以上の直線を走るため、スタートからペースが早くなることが多く、仕掛けも内回りを意識して早めになる。瞬発力を生かして追い込んでくる馬よりは、持続的に脚を使える先行馬、差し馬が有利。安田記念をステップに連対した05年スイープトウショウ、02年ダンツフレームはすでに2000メートル以上のG1でも連対経験があった。純粋なマイラーには酷なコースだ。
【人気馬の成績】
 1番人気は【3313】、2番人気は【2116】、3番人気は【1234】。上位3番人気が 連対できなかったのはヒシミラクルが勝った03年だけ。軸は3番人気以内から選ぶのが妥当だろう 。着外からの巻き返しは困難で、前走はG2以上で3着以内であることが条件になる。
【好走馬のデータ】
 10年こそオープン特別とヴィクトリアマイルを使った2頭がワンツーだったが、それ以前は天皇賞春、安田記念、金鯱賞の3レースをステップにした馬しか連対していなかった(海外遠征馬を除く)。優勝馬は主要3レースで3着以内馬ばかり。2着馬もG1連対経験か2勝以上の重賞勝ちと いうハイレベルのキャリアがあった。ナカヤマフェスタも例外ではなかった。この傾向はしばらく変わらないだろう。
【穴馬のデータ】
 人気馬がほぼ連対している一方で、5番人気以下も7頭が2着以内に突っ込んできている。人気馬を軸に穴馬に流す、あるいは穴馬を軸に人気馬に流すのが的中への近道だ。ただ、これら7頭のうちナカヤマフェスタを除く6頭は、いずれも前2走でG1かG2で連対していた。06年ナリタセンチュリー、04年シルクフェイマスは前々走で京都記念を制していた。人気馬も穴馬も好走するには実績が必要だ。

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2011.02.11

共同通信杯展望 2011年の牡馬クラシックを占う一戦

まだまだ混戦の続いている牡馬クラシック戦線だが、今週の共同通信杯は春を占う重要な指標となるレースのように思う。年明けの京成杯ではホープフルSの3、5着馬がそれぞれ1、3着に入り、レースレベルの高さを示した。その京成杯を制したフェイトフルウォーはホープフルSでハナ差の接戦を演じたペルシャザールナカヤマナイトに3馬身差をつけられて完敗している。キングカメハメハ産駒のペルシャザールがホープフルSに挑んだのは皐月賞を想定してのこと。陣営の思惑通り、2番手先行から後続を交わさせない粘りの競馬で1着。ごちゃつきやすい皐月賞を勝つ、お手本のような乗り方だった。松田国師と言えば、クロフネ、キングカメハメハ、ダノンシャンティなど皐月賞をパスするローテを好むイメージが強いが、ペルシャザールにクラシック2冠を託す本気度が高いのかもしれない。ナカヤマナイトは逃げ、先行、差しと自由自在な脚質が武器で、追って長く使える脚は東京向き。いずれにしても、この2頭のワンツーで決まるようなら本番までライバルを引っ張っていく存在になろう。

一方、王道であるラジオNIKKEI杯を制したダノンバラード。ディープンパクト産駒として初のステークスウイナーとなり、しかも父と同じ池江郎厩舎、武豊のチーム。池江郎師は今月で定年退職するとあって、ダノンバラードの共同通信杯制覇を花道にするのではとの見方は強い。ラジオNIKKEI杯はホープフルSとは対照的に、勝ち馬とコンマ1秒差だった3着コティリオン、4着ウインバリアシオンが期待を裏切る内容で先週のきさらぎ賞で敗れており、今回が改めて実力を測る試金石になる。ダノンバラードは血統構成が非常に去年のNHKマイルC馬のダノンシャンティに似通っているが、後方から切れ味を生かす競馬が最も力を発揮できるところも共通しているのかもしれない。これに続くのが2戦2勝のサトノオー。前走は大きな不利を受けて繰り上がり1着。進路を妨害して降着になったレッドデイヴィスはすぐにシンザン記念を勝ったが、フェアな競馬ならサトノオーが先着していたはず。重賞級なのは間違いないが、クラシック級なのかは共同通信杯の結果次第だ。

不気味なのはホープフルSで1番人気ながら、まったく競馬をせずに殿負けしたディープサウンド。百日草特別ではナカヤマナイトを降している。敗因はリズムが合わずに嫌気を差してしまったとのことだが、本当のところは良く分からない。気性に問題があり、マジメに走らない癖が出たのであれば競走馬としては失格。実際、精神面の幼さゆえに出世できない馬はゴマンといる。力はあるのだから、ここで前走の裏切りを帳消しにする競馬をすれば再び展望が開ける。ディープサウンドにとっても、運命を左右する一戦だ。ほかでは若駒Sでリベルタスにクビ差迫ったユニバーサルバンクが注目を集めるのだろうか。だが、この馬が勝つようであれば、中心馬不在の牡馬クラシック戦線はいっそう混迷を深めることになる。ちなみにデータ的にはラジオNIKKEI杯や東京スポーツ杯の好走馬が良績を収めている。そうなるとダノンバラードが浮上するが、ギリギリまで頭を悩ませることになりそうだ。

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2010.07.02

笠松のラブミーチャン 北海道で再び中央に挑む

初夏の北海道は本当に気持ちが良い。どこまでも広がるパッチワークの畑作地帯には、涼風にそよぐ男爵イモの白い花が揺れている。私が北の大地を離れて8年になるが、しばしば思い出すのは今の時期の光景だ。ドクターコパ氏が所有する笠松のアイドル・ラブミーチャンも、本州の梅雨とは無縁の北海道に5月から滞在して競馬を続けてきた。桜花賞の切符をかけて、無敗の6連勝で臨んだフィリーズレビューは果敢に逃げて12着と大敗。ほろ苦い中央デビューとなった。その後、体調が整わず浦和桜花賞を取り消したラブミーチャンは、門別競馬場に移送され再起をかけることが決められた。初戦のエトワール賞はアタマ差の辛勝。しかし、この勝利を起点にして調子は上向いていった。続く交流重賞・北海道スプリントCでは歴戦の古豪相手にハナを一歩も譲らず飛ばしていく。ゴール前はさすがに脚が上がったものの、競りかけてきたダイワディライトらを抑えて地方馬最先着の3着に好走した。今週、ラブミーチャンはフィリーズレビュー以来、2度目の中央参戦を函館SSで果たす。別定重量は51キロ、時計のかかる洋芝も歓迎。主戦の浜口に手綱が戻り、得意のスプリント戦で何処まで中央勢と戦えるか。今後を占う試金石の一戦に注目したい。

>>桜の切符を賭けて 笠松の期待を背負うラブミーチャン(2010/3/14)

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2010.05.26

ダービー展望 横山典が静かに燃える7年前の雪辱

先週のオークスは史上初のG1での1着同着。サンテミリオンの横山典とアパパネの蛯名が満面の笑みで抱き合うインタビューも非常に印象的だった。横山典は去年、ロジユニヴァースで初めてダービーを制覇したほか、カンパニーでG1を2勝、ワールドスーパージョッキーズシリーズで優勝するなど、華々しい活躍を収めた。破竹の勢いは今年になっても衰えず、全国リーディングをブッチ切りで快走し、すでに重賞11勝。ハナ差のブエナビスタ、同着のサンテミリオンの2週連続G1優勝などは、まさに横山典の腕によるものと見るべきだろう。以前、横山典と言えば、職人気質ではあるが、インタビューは仏頂面でメディアを頑なに遠ざけるといったイメージがあった。だが、年を重ねることで角が取れ、今は自然体で競馬を楽しんでいるように感じる。それがノリの強さの源になっているのかもしれない。今週、ダービーで横山典は打倒ヴィクトワールピサの一番手にあげられているペルーサに騎乗する。

ペルーサはオークスで手綱を取ったサンテミリオンと同じゼンノロブロイ産駒だ。7年前、横山典はゼンノロブロイでダービーに挑戦。果敢に2番手先行から抜け出しを図ったものの、内を突いて差してきたネオユニヴァースに半馬身、遅れをとってゴールした。この時、内で馬を併せず、外に進路を取った騎乗に藤沢和雄師は大いに怒り、再びゼンノロブロイに横山典が跨るのは2年以上待たねばならなかった。ペルーサは皐月賞に出走せず、青葉賞を勝ってダービーに臨む父と同じローテーション。過去、青葉賞馬は本番では2着が最高だ。勝てない理由のひとつは皐月賞組とのレベル差にあるが、ペルーサは若葉Sを勝ったにも関わらず、皐月賞を敢えてパスしたもの。若葉Sで降したヒルノダムールは皐月賞2着に好走しており、格の差は全くない。もうひとつの心配はトライアルで2400メートルを激走した反動。2分24秒3のタイムは出色だ。追い切りは順調だったが、あとは走ってみなくては分かるまい。今回、藤沢和師とともに7年前の雪辱を果たすことができるか、横山典の手綱さばきが楽しみである

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2010.05.20

オークス展望 新種牡馬ゼンノロブロイが6頭出し快挙

今週のオークスには新種牡馬・ゼンノロブロイ産駒6頭出走する。オークスにおける同一種牡馬の多頭数出しの記録は、 2004年、サンデーサイレンスの9頭。翌年もサンデーは8頭を出走させているが、今年のロブロイはこれに次ぐもので、初年度産駒による6頭出しはグレード制導入後のクラシック競走としても初めての快挙のようだ。青葉賞を無傷で制したペルーサを含めて、ロブロイ産駒の活躍は下馬評を大きく上回る。ロブロイはサンデーとローミンレイチェルとの間に生まれたアメリカ血統。ローミンレイチェルの父はミスプロ系のマイニングで、母父はクレヴァートリックだから、ダートのスピード馬というイメージが強い。実際、ロブロイも現役時代は2000メートル前後がいちばん安定してポテンシャルを発揮できていたように思う。種牡馬としての配合では、スタミナを補ってくれるような母系との相性が良いようで、サンテミリオンはラストタイクーン、コスモネモシンはシングスピール、ギンザボナンザはトニービンなど、芝の中長距離を得意とするBMSが目につく。逆に言うと、そうした配合でないロブロイ産駒はスピード色が濃すぎるということになろう。

ロブロイ産駒で最も人気を集めるサンテミリオン。フラワーCではレース前から苛立ち、スタートで後手を踏んで黒星を喫したものの、フローラSは完勝だった。同じロブロイ産駒、アグネスワルツを2番手で大名マークすると、上がり34秒6の脚で楽々と差し切ってしまった。鞍上の横山典はデビューからダービーまでロブロイの手綱を取った騎手でもあるが、ノリをして「父に似ている」と言わしめたほど。この時期にグッと上昇してきたことだけでなく、レース中の折り合い、反応など競馬センスの良さが父譲りなのだろう。気になるのはオークストライアル勝ち馬が本番では 22年間、負け続けていること。3年前にはベッラレイアがハナ差で勝利を逃しており、そろそろジンクスは打ち破られても良いころだが。阪神JF2着、桜花賞では8着に敗れたロブロイ産駒、アニメイトバイオも巻き返しの可能性はある。桜花賞は輸送で大きく馬体を減らしてしまい、栗東滞在のアパパネとは明暗を分けてしまったが、調教後の体重はプラス19キロとしっかり体を戻してきた。 BMSはフレンチデュピティだが、母系はレインボーアンバー、ファーストファミリーと重ねられ、祖母は天皇賞秋で2度2着のセキテイリューオーを生んでいる。データ的にも問題なく、後藤との新コンビは人気の死角になるようなら侮れない。

オークスに出走するゼンノロブロイ産駒:
アグネスワルツ、アニメイトバイオ、ギンザボナンザ、コスモネモシン、
サンテミリオン、ニーマルオトメ

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2010.04.16

皐月賞展望 ピサとローズの2強を崩す穴馬は?

金曜日、箱根では雪が積もったと言うから、4月半ばにしては異常な寒さだ。関東では土曜の午前中まで雨が降り続き、その後、天気は回復へ向かうよう。先週の桜花賞では高速馬場がレースを決定づけたが、皐月賞も馬場状態が勝敗の鍵を握ることになりそうだ。1番人気はヴィクトワールピサ。前走、重馬場で行われた弥生賞を快勝。落馬負傷中の武豊に代わって岩田が手綱を取るが、追い切りも悪くなく視界は良好だ。唯一、不安があるとすれば、皐月賞と相性の良くない”弥生賞勝ち馬”になってしまったこと。過去10年、弥生賞と皐月賞を連勝した馬はディープインパクト、アグネスタキオン、という図抜けた2頭だけ。グレード制導入後まで範囲を広げてもサクラスターオー、シンボリルドルフの名があがるぐらいで、要は三冠馬、準三冠馬レベルの馬でなければ連勝は覚束ないということか。ちなみに過去4年、1番人気はいずれも弥生賞馬だったが、連対すら外している。去年のロジユニヴァースは大敗だった。

弥生賞馬が皐月賞と縁の薄い理由は、主に2つ考えられる。ハイレベルの激戦になりやすい弥生賞を勝つにはスタミナを消尽すること、中山開催の最終週に行われる皐月賞は弥生賞と違って馬場が荒れること。もう一つ、補足的に挙げれば、ダービーを目指すには皐月賞は十全に仕上げられないということもあるかもしれない。一時期、「弥生賞勝ち→皐月賞惜敗」はダービー確勝のフラグと見做されていたこともあったほどだ。果たして、ヴィクトワールピサは1番人気の期待に応えることができるだろうか。弥生賞は残り100メートルまで前が壁になり、追い出せない苦しい競馬。それでも、わずかなスペースが開くと、エイシンアポロンを捕える電光石火の差し脚を繰り出した。道中はスローペースで、脚を使ったのも最後だけ。それほど負荷はかからなかったように見える。準三冠馬のレベルにあるかどうかは神のみぞ知るだが、後は人気とジンクスとの勝負。逆に考えれば、ここをパスすれば三冠が見えてくる?

一方、スプリングSの敗戦で株を下げてしまったローズキングダム。トライアルで負けたこと自体は減点ではないが、気がかりなのは臨戦過程と陣営の消極的姿勢だ。近年、クラシックを狙える大器は、マイルの朝日杯を使うことは良しとされてこなかった。過去10年、朝日杯馬の皐月賞成績は【0025】で、勝ち馬はナリタブライアン以来、出ていない。また当初、ローズキングダムは弥生賞から始動するとしていたが、ヴィクトワールピサとの対決を避けるため、テレビ番組のスタジオで橋口師自ら「楽しみは本番まで取っておきたい」と、ステップ変更を宣言したのだ。そうした弱気の姿勢を示すかのように、スプリングSは成長のないマイナス体重で惜敗。レース後、橋口師は「今の中山の馬場では自信がない」とダービー直行を示唆し、新聞で「皐月回避」と報じられた。買いたくない材料満載のローズキングダムだが、留めおかねばならないのは橋口師の”泣き”のコメントは日常茶飯事で、泣いた時ほど良く走ると言われていること。今週も猛追い切りをかけながら、「上積はない」と泣いている。橋口師の泣き、どう受け止めるか。

上記2強がネオユニヴァース、サクラプレジデントのようにワンツーを決める可能性はあろうが、皐月賞は4年連続の馬連万馬券となっているように波乱がディフォルト。ディープインパクトでさえ、12番人気のシックスセンスをヒモに連れてきた。単勝7番人気以下の穴馬を探そう。皐月賞は先行勢が基本的に有利だが、去年のトライアンフマーチのように追い込みが決まることもある。ペースと馬場状態如何により、どの馬にもチャンスが生まれてくる。先行馬ではスプリングSを逃げ切ったアリゼオが大外枠に入ったことで、内枠の馬がハナを取るかもしれない。ハンソデバンドゲシュタルトあたりは馬場を味方につければあっと言わせる粘り強さを持つ。大外一気ならレーヴドリアンダイワファルコン。ともに、後方待機の決め打ちで、イチかバチかの競馬。穴はこの4頭を考えておく。また、穴ではないが、データ的、レースレベル的にはヒルノダムールが2強崩しの最右翼。ラジオNIKKEI杯、若葉Sは敗因が明確で、外枠を克服できれば上位争いは必至だろう。いずれにせよ、今週は土曜の馬場状態を確かめて印を打ちたい。

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2010.04.07

咲き乱れる桜戦線 波乱を演じる乙女を探せ!

今週は桜花賞。いよいよ春のクラシックシーズンが開幕する。去年の牝馬戦線はブエナビスタ、レッドディザイアというはっきりした中心馬がクラシックを引っ張ったが、今年は一転、力の抜きんでた女傑の姿はない。3つのトライアルレースで、阪神JFの上位組みが揃って脚元をすくわれたのが主要な原因だ。2歳女王・アパパネは道悪というマイナス条件があったものの、チューリップ賞では折り合いを欠き、伏兵馬に差し切られた。アニメイトバイオはアネモネSで伸びきれず2着。ラナンキュラスもフィリーズレビューで詰めの甘さを露呈する、ハナ差の2着に。どの馬も休養明けのトライアルとしては悲観的な内容ではなかったものの、それ故に人気も落ちないだろうし、本命に推しづらい気分にさせられる。こうだから◎を打ちたいという積極的な理由が見つからないのだ。

一方で、今年は例年と違って1番人気は別路線組から現れることになるかもしれない。クイーンCを楽勝したアプリコットフィズ。これまで3戦2勝のパーフェクト連対、小島太厩舎の所属馬だ。デビュー戦から高い能力を示し、レース内容から世代トップレベルにあることは間違いない。しかし、臨戦過程はいただけない。年があけて、厳寒期のフェアリーS、クイーンCと重賞を2戦。そのまま桜へというローテだが、クイーンC直行組の成績は芳しくない。過去10年で【01313】と、連対したのはクイーンCを大敗して15番人気だったエフティマイアだけ。アプリコットフィズと似たステップで記憶に新しいところでは、リトルアマポーラが京成杯惜敗、クイーンC勝ちときて、本番で2番人気5着に敗れている。この馬も3戦2勝だった。手綱を手放した蛯名は、アプリコットフィズは桜よりもオークス向きと見ていたようだ。

阪神JFの上位2頭とアプリコットフィズは、西高東低が当たり前の牝馬戦線にあって、珍しく美浦所属。しかも、全馬とも関東の騎手が予定されている。桜花賞を関東の騎手が勝ったのは 25年前、エルプスの木藤隆行まで遡らねばならないというのだから古典の域。関東馬の成績が良くないのは、長距離輸送が若い牝馬に酷だからだと言われるが、栗東滞在はアパパネのみだ。関西の実績馬では、フラワーCを勝ったオウケンサクラは魅力的ではあるが、前哨戦を2度叩いて本番を好走するのは酷なこと。トライアルを制したショウリュウムーンサウンドバリヤーは一発屋の気配が漂う。敢えて印の薄いところで狙いたいのはシンメイフジ。阪神JFは出遅れ5着、フラワーCはブリンカーが効きすぎてハナに立つ参考外の競馬。馬場改修後、外回りに変更された過去3年、毎年18番枠が絡んでいるように、とにかく外枠の差し馬が好走している。シンメイフジが外枠を引くようなら波乱を演じられる面白い存在になると思うが、直前まで予想は悩みそうだ。

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2010.03.14

桜の切符を賭けて 笠松の期待を背負うラブミーチャン

「不思議の国、笠松」というフレーズを聞いたことがあるファンも少なくないのではないだろうか。フェートノーザン、オグリキャップ、オグリローマン、ライデンリーダー、レジェンドハンターなど、この小さな地方競馬場は不思議と全国区の名馬を誕生させてきた。一説には毎日、厩舎から競馬場へと至る坂道を歩かせることで、馬が鍛えられるのだとも聞くが確かではない。だが、トモが緩くて中央では満足に調教時計も出せなかったコパノハニーが、笠松に移って2歳ダートの頂点を極めるラブミーチャンに変身したのを見ると、不思議の力の存在を感じずにはいられないのだ。そのラブミーチャンが桜花賞への切符をかけて、初めて中央の芝に挑むフィリーズレビュー。話題性ほど記者の印は集めなかったが、前日売りでは単勝3.8倍前後の1番人気に推されている。父サウスヴィグラス、母の父アサティスともダートで圧倒的な良績を残しているだけに、芝の走りに懐疑的になるのが当然だが、3歳春までなら能力差で芝を克服するケースも見られること、そして何よりラブミーチャンが持つ強運に乗ってみようというファンの期待が人気を押し上げているのではないか。

馬主のドクターコパ氏は風水の方位で笠松への移籍を決断し、画数の良い馬名へ変更することにしたそうだが、その効果か、ワイドショーを含めてテレビ局が押し寄せたり、阪神への応援バスツアーが組まれたりと、プチハルウララ現象が起きつつある。新たなスターの出現は、存続の瀬戸際に立たされ続けている笠松競馬にとって願ってもないものでもある。今月、懸案の一部地主による土地明け渡し訴訟で和解したものの、賃料の支払いによって5年ぶりの赤字に転落。さらに厳しい経営状態に直面した。それでも、来年度、プラス予算を編成することにしたのは、ラブミーチャン効果による増収を見込んでのこと。笠松競馬は同馬の広報活動を強化することで、新規ファンの獲得につなげたいとしている。オグリの時代と違い、地方に在籍したまま中央のG1に参戦できる今、同馬が息長く活躍するほど売上面にも影響をもたらそう。しかし、そのためにはG1級の能力を発揮するのが大前提。ラブミーチャンは諸先輩より少し重い期待を背負って、初めてのターフを駆けることになる。何としても切符を取りたい。

>>ラブミーチャン公式サイト

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