カテゴリー「競馬日記」の7件の記事

2017.04.26

フローラSを終えて 混沌とする牝馬クラシック

「ことしの3歳牝馬は最強世代」なる下馬評は本当だったのか。フローラSを終えて、そ うした思いを強くしたファンは多いだろう。寒竹賞で牡馬を豪快に差し切り、この世代 の評判をいっそう強固にしたホウオウパフューム。スローペースに絡め取られたとはい え、見せ場もなく着外に敗れてしまった。前走の内容を考えれば走らなさすぎではある が、陣営も「横綱相撲で勝てるほど甘くなかった」と言っているように力負けとされて も仕方ない結果だった。レースは内を伸びたハービンジャー産駒のワンツー。長い芝丈 が合うのか、この時期が得意なのか。モズカッチャンの勝利は鮮やかで、ヤマカツグレ ースも血統的に魅力的ではあるが、勝ち時計は平凡でオークスにはつながらないと思う 。3着のフローレスマジックが本番までに調子をグッとあげてくれば怖いが、兄弟のよ うに本格化は秋以降だろう。

桜花賞の前は、絶対女王ソウルスターリングに、別路線を進んできたアドマイヤミヤビ とホウオウパフュームが挑むというのが、牝馬クラシックの構図だった。そして、フラ ワーCを制したファンディーナはダービーに向かうと。だが、すべての馬に土がつき、 皐月賞1番人気のファンディーナは樫に出走できるかも怪しい状態だ。もう1頭、一部 で注目されていたルヴォワールも、ミモザ賞を楽勝した後に脚元を腫らして、春を全休 せざるを得なくなった。ただ、新興勢力の台頭がないなかでは、オークスは例年通り、 桜花賞組が上位を争うことになると考える。順当ならソウルスターリング、アドマイヤ ミヤビ、リスグラシューが力は上だと思うが、牝馬は一度、体調面で躓くと、立て直し は容易ではない。中間、しっかりと負荷をかけられるか、調子を見極めなくてはならな い。つい先日まで、これほどオークスが混沌とするとは思っていなかったわけで、改め てクラシックは難しい。

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2017.04.18

皐月賞回顧 アルアインが叩き合い制す 
松山の“剥き出しの必死さ”ゆえに勝利は尊い

桜花賞に続いて皐月賞も馬場が勝敗をわける結果になった。 前週までの重い馬場とは打って変わって、中山は最終週には似つかわしくない高速馬場。 芝2000メートルでは土曜の未勝利が2分0秒4、日曜の1000万特別が1分58秒7の勝ち時計だった。 外を回さなければならない差し馬の勝機は、かなり低くなることが予測された。 レースはアダムバローズが逃げ、トラスト、クリンチャーが続いた。 注目の岩田ファンディーナはアルアインと併走しながら内の4、5番手を進む。 その直後にダンビュライト。1000メートル通過は59秒フラットと締まった流れに。 だが、この速い馬場を考えれば、ダンビュライトあたりまでが有利なポジショニング だったのではなかろうか。後方に位置していたデムーロのペルシアンナイトも向こう正面から 動き始めた。勝負所は3、4コーナー。武豊のダンビュライトはファンディーナに 外から並びかけて蓋をし、本命馬にプレッシャーをかける。 一方、松山のアルアイン。一瞬、馬場に脚をとられて手応えが怪しくなり、先団と距離が開いた。 しかし、松山の叱咤に応えて再加速。 内から上がってきた僚馬ペルシアンナイトに進路を譲らず、 馬体をぶつけるようにして4コーナーを回った。

この後の直線、ファンディーナはダンビュライトに交わされて失速。 ペルシアンナイトとアルアインはクリンチャーを挟んで内外から伸びるが、 人気薄のアルアインのほうが叩き合いを制した。前後半59.0-58.8の平均ペースで、 時計は1分57秒8と去年のディーマジェスティをコンマ1秒上回るレースレコード。 高速馬場での持久力勝負はステップにした毎日杯も同じで、 スピード、スタミナを併せ持つ馬だからこそ勝つことができたと言っていい。 それに松山のファイトあふれる騎乗も恐れ入った。4コーナー、同厩舎の人気馬に対して 外から被せに行くなど大レースであるほど躊躇するはず。 もしアルアインが負け、ペルシアンナイトも他馬に遅れを取ったならば非難されて仕方がない。 だが、クラシックで頂点に立ちたいと欲すれば、なりふり構わず、どこかでリスクを取らなくてはならないのだ。 松山は序盤から本命馬をマークし、勝負所では僚馬にさえ激しく競りかけた。 勝ちたい気持ちを剥き出しにし、馬の力が尽き果てるまで追い続けた。 その純粋な必死さ故に勝ち得た、初めてのG1タイトル。若き獅子の涙は尊い。

尤も、皐月賞は激戦だったわけで、毎日杯から速い時計で連勝したアルアインが 万全の体調でダービーに向かえるかは冷静に考える必要があろう。 易易と二冠とはいかない。2着ペルシアンナイトは道中で脚を使いながら、 直線で一度は完全に抜け出した。能力は相当に高く、皐月賞の反動がなければダービーでも有力候補だ。 3着ダンビュライト。長く脚を使える特徴を武豊が最大限、活かした。 4着クリンチャー。すみれSの好内容がフロックでないことを証明した。 5着にホープフルS以来だったレイデオロ。道中は16番手。後方から追い込んだだけで、 最初から勝負に参加する気はなかった。使われて本番は良化する。 6着スワーヴリチャードも皐月賞は視界になかったよう。 これまでのレースぶりから右回りは苦手で、今回もずっと右手前で走っていた。 得意の左回りに変われば、レースぶりは見違えるものになるだろう。 皐月賞を流した分、ダービーでは最有力候補になるのかと思う。 7着はファンディーナ。初めてのハイラップ、牡馬から与え続けられたプレッシャー、 年明け4戦目のローテなど、厳しい状況が重なったなかで良く走っている。 完成するのはまだ先で、次走はどこであれ、体調を第一にじっくり成長を促してほしい。

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2017.04.13

ファンディーナとソウルスターリング 強すぎる牝馬に悩む

桜花賞は単勝1.4倍の1番人気に推されていたソウルスターリングが敗れ、 波乱の結果となった。過去5年、1番人気で連対したのはハープスターだけだが、 去年のメジャーエンブレム(1.5倍)、一昨年のルージュバック(1.6倍) と3年連続で圧倒的人気馬が“飛んだ”ことになる。 阪神JF、チューリップ賞と同じ舞台で快勝してきたソウルスターリングに死角はないはずだった。 だが、前日からの雨が馬場を湿らせ、同馬はいつもの差し脚を繰り出すことができなかった。 大跳びのベタ爪で滑るような馬場はからっきし下手だったのだ。 振り返れば、雨の影響が残っていた札幌のデビュー戦はクビ差の辛勝と、 ソウルスターリングが最も苦戦したレースだった。しかし、単勝3000万円の大口投票があったとの情報や、 「母はモンズーンの仔だから重馬場でも問題ない」との陣営コメントから、 リスクを過小評価してしまったように思えてならない。 馬場の読み方が難解だったこともあって、こうした正常性バイアスに私も絡め取られてしまった。 それでも、完全に勝負付けの済んでいたレーヌミノルを上位に取ることはできなかっただろう。 わずかに一口馬のリスグラシューから流していた馬券があたったが、予想は完敗だった。

ソウルスターリングはオークスに向かう。樫は距離延長を欲すリスグラシューと好勝負になるはずだ。 桜花賞のリスグラシューはエンジンのかかりが遅く、 勝負所で置かれてしまったのが痛かった。アルテミスSを快勝を見れば分かるように、 パフォーマンスは府中でいっそう上がるだろう。 2番人気のアドマイヤミヤビも大跳びで、馬場にまったく対応できなかった。 オークスは桜花賞で大敗していても巻き返し可能なレースで、 アドマイヤミヤビも立て直してくるのではないか。さて、今週は皐月賞。 1番人気が予想されるのは牝馬のファンディーナという前代未聞の事態である。 前回、牝馬が皐月賞を制したのは1948年のヒデヒカリまで遡らねばならない。 入着も1991年のダンスダンスダンス(5着)以来ない。 まして1月22日の年明けデビューで、これより遅いデビューで皐月賞を勝ったのは現代では 1988年のヤエノムテキぐらいだ。だが、フラワーCまで3連勝したレースの中身を鑑みれば、 常識やデータなど些末な揚げ足取りにしか見えないのも事実。 今週、重馬場の坂路での追い切りも好時計をマークし、仕上げに抜かりもないようだ。 「1番人気の年明けデビューの牝馬が勝てるわけがない」のか、 「規格外の勝ちっぷりから皐月賞も負けるわけがない」のか。正常性バイアスもダブルバインドで馬券は悩ましい。

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2017.04.04

G1大阪杯は貫禄勝ち キタサンブラックが初代王者に

G1に昇格して初めての大阪杯は、王者キタサンブラックが完勝。まざまざと力の差を見せつけた。戦前、マルターズアポジーがハイラップで引っ張り、ライバルたちもキタサンブラックを目標にして早めに仕掛けられるのではないかとの見方があった。雨が残るかもしれないという思いもあって、私もキタサンブラックを負かすチャンスのありそうな馬を探した。しかし、すべては徒労だった。マルターズアポジーは1000メートル59秒6の平均ペースを刻み、キタサンブラックはロードヴァンドールを挟んで離れた3番手。まったく楽なペースで追走していた。その後ろにいたサトノクラウンは動かない。マカヒキ、アンビシャスは後方待機だ。そんな展開を見越していたのか、武豊は格が違うのだといわんばかりの横綱競馬。直線、悠々と先頭に立つと、危なげなく先頭でゴールし、付け入る隙を与えなかった。

すべて流れがキタサンブラックに向いたのは確かだが、それは実力差が大きくライバルたちが何ら策を講じられなかった結果だ。貫禄勝ちとは、こういうことを言うのだろう。晴天で馬場の乾きが早かったのも、強者が運を引きつけたからのように感じる。次走は天皇賞春。サトノダイヤモンドに挑むキタサンブラックにとって、大阪杯は例年と同じく、勝つことが当然のステップレースだった。圧倒的な強さに北島三郎オーナーが年内引退を撤回したのも頷ける。2着はステファノス。キタサンブラックをマークして積極的に勝負に行ってのものだけに価値がある。3着ヤマカツエースも力をつけてはいる。4着マカヒキは鞍上のルメール曰く「もし内枠だったら2、3着はあった」。勝ち負けを期待したファンにとっては満足いかないコメントだろう。本来のデキを取り戻すには、もう少し時間がかかりそうだ。5着アンビシャス。乗り方の難しい馬で、先へ出していくとかかってしまう。去年、先行してキタサンブラックを降した大阪杯は神がかり的騎乗で、今回は追い込みに賭けたが展開頼みだった。6着サトノクラウンはマイナス12キロ。気負いが目立った。

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2017.03.28

ドバイWC回顧 世界最強馬の勝ち方は“ハリウッド”

「これで勝つようならハリウッド映画じゃないか」、そうアメリカの バファート師は思ったという。 ゲートで出遅れ、挟まれて最後方に押しやられたアロゲート。 それでも速脚を使って馬群に取り付くと、3コーナー手前から一気に加速する。 泥だらけになりながら隙間を縫うように中団まであがっていく。 勢いは衰えることなく、4コーナーは外を回して先団へ。 内から膨らんできた相手を弾き飛ばし、直線は粘り込みを図る2頭をめがけて襲いかかった。 残り200メートル、ガンランナーを外から捻じ伏せると、あとは独壇場だった。 2馬身のセーフティーリードを広げると、手綱を抑えて悠々とゴール。 何たるエンジンの凄さ。信じられないパフォーマンス。まさにハリウッドな勝ち方だ。 第22回ドバイワールドカップの覇者となったアロゲートは、アンブライドルズソング産駒の4歳牡馬。 BCクラシックではカリフォルニアクロームを破り、 前走は世界最高賞金のペガサスワールドカップを圧勝していた。 世界一のダート馬の勝ち方とはかくなるものか。 アロゲートのような馬を生み出す、アメリカ競馬の深遠さを感じずにはいられなかった。

アロゲートと対戦した日本勢は、アウォーディーの5着が最高だった。 一昨年、オールウェザーからダートに戻ったワールドカップは 日本馬が好走するには厳しいレースになった。その中で最後まで食らいついていったアウォーディー、 最後方から8着まで追い上げたラニの兄弟は大いに健闘したと言えるだろう。 一方、去年はラニが制したUAEダービー。国内無敗のエピカリスがハナを切り、ゴールまでサンダースノーと一騎打ち。 わずかに短頭差だけ交わされたが、世界レベルの実力があることを証明できた。 次走は渡米し、プリークネスSかベルモントSに挑むという。 キャロットクラブの出資者にとって夢のようなクラシックシーズンになるだろう。 そして、日本馬が得意とするドバイターフ。リアルスティールに続く日本馬の優勝は 難しかろうという大勢の見方を覆し、4歳牝馬のヴィブロスが海外初遠征で大金星をあげた。 鞍上のモレイラは強風を嫌って他馬を風よけに、後方3番手にポジショニング。 4コーナー、内を回って順位を押し上げる。直線では残り400メートルから外へ持ち出し、 ディープ牝馬らしい鋭い脚で差し切ったのだった。佐々木主浩オーナーの強運と名手の戦術が 栄冠を引き寄せた。秋はアメリカ遠征も視野にあるというから楽しみだ。

ドバイ国際競走の翌日、国内では高松宮記念が行われた。 私は凖メインに出資馬が出走することもあって、初めて中京競馬場に遠征することにした。 あいにくの雨模様で、午前中は内の逃げ馬が有利な馬場状態だったが、 レースが続くに連れて芝は掘り返され、傾向は読みづらくなった。 この馬場をまったく苦にしなかったのがセイウンコウセイ。 好発4番手から競馬を進めると、絶好の手応えで直線へ。馬場の真ん中に持ち出されると、 内でもがくライバルを悠々と追い抜き、先頭でゴール板を駆け抜けた。 これが初重賞勝ちとは思えない、威風堂々たる完勝であった。 ニシノ・セイウン軍団としてはセイウンスカイの菊花賞以来のビッグタイトルだが、 西山茂行オーナーの名義としては初G1制覇になる。桜井牧場(静内)は家族3人と従業員1人で 繁殖12頭を世話する小さな生産者。こちらも初めてのG1勝ち。 名門オーナーと家族経営の牧場の栄誉は、競馬界に彩りを与える。心からお祝い申し上げたい。 私が本命にしたレッツゴードンキは内を突いて2着。今回もプラス体重だったが、昨夏から30キロも馬体は大きくなった。 スプリンターとして本格化している。シュウジ、メラグラーナ、ソルヴェイグあたりは悪馬場に 対応できなかった。

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2017.03.22

フラワーC圧勝の衝撃 ファンディーナの次走はどこに?

種牡馬としてシンザンを繋養していたことでも知られる谷川牧場。 数多の名馬を輩出してきた日高の名門である。 古くはタケホープ、ミナガワマンナから、近年はサクセスブロッケン、インカンテーションなど枚挙にいとまがない。 ヒシアマゾンと競ったオークス馬・チョウカイキャロルも生産馬で、 いまも彼女は功労馬として牧場で余生を過ごしている。 23年前、チョウカイキャロルは1番人気に推されたフラワーCで3着に敗れたが、 同じ牧場で生まれた後輩は衝撃的な強さで快勝し、ファンの度肝を抜くことになった。 ファンディーナは500キロを超える、ディープらしくないディープ牝馬だが、 柔らかく、大きなストライドで飛ぶように走る姿は父を彷彿とさせる。 レースではスピードの違いでハナに立とうとするところ、 鞍上の岩田が宥めると2番手で折り合った。道中は楽々と弾むように走っている。 ゾクッとしたのは4コーナーだ。わずかに手綱をしごかれると、次の瞬間、ヒュンと加速。 あとは持ったまま差を広げていく。直線では岩田がターフヴィジョンをマジマジと見る余裕があった。 まるでファンディーナだけが、他馬と異なる時空にいるかのような光景だった。 時計は問題ではない。ただただ強さが違っていた。

ファンディーナはターファイトクラブの所属馬で、1口9万円の500口、 総額4500万円で募集された。フランス産の母・ドリームオブジェニーは タタソールズ・ディセンバー繁殖セールを経て導入され、1つ上の兄・ ナムラシングンを産んでいる。一族にはバゴらがいる。 ディープインパクト×Pivotalの配合はダノンジェラート(セントライト記念3着)、 ワールドインパクト(青葉賞2着)の兄弟と同じ。やはり芝の中距離以上で真価を発揮するタイプだろう。 レース後、メディアの関心はファンディーナの次走に集まっている。 普通ならば桜花賞ということになろうが、デビュー3戦とも1800メートルを使ってきており、 いずれもスローペースの競馬だった。速いラップの刻まれる多頭数の桜花賞で、 リズムを崩すようなことになれば将来に影響が出る。 マイルがベストに思えるソウルスターリングという強敵もいる。 初めてのG1欲しさにクラブが桜参戦を強硬に主張しなければ、日本ダービー、もしくはオークスを目標にして 次走が決まるのではないか。管理する高野師はショウナンパンドラを エリザベス女王杯でなくジャパンカップに向かわせて勝利した成功体験もある。 いずれにせよ、ひさしぶりに日高の名門が輩出した女傑の未来が楽しみでならない。

皐月賞トライアル、スプリングSはウインブライトが制した。 拙ブログでは本命を打っていたが、単勝8倍の5番人気は美味しい配当だった。 中山1800メートルをマクって勝ち切ったのは前走と同じ。 このコースは滅法得意なのだろう。ただ、馬体は仕上げられていた分、 ここがピークという気がする。皐月賞で上位に食い込むのは難しかろう。 むしろ、2着のアウトライアーズの方が上積みがある。1番人気の2歳王者・サトノアレスは4着に敗れた。 スタートダッシュつかず追い込みにかけたが、差し切るだけの脚はなかった。 朝日杯で2着だったモンドキャンノがブービーだったのは負けすぎにしても、 同レース組のレベルに疑問符がついたのは認めざるを得まい。 ワールドインパクトの半弟、トリコロールブルーは5着。府中で見直したい。 西の阪神大賞典はサトノダイヤモンドが有馬記念以来の勝利。 直線では先に抜けたシュヴァルグランに狙いを定め、1完歩ずつ追い詰めて交わしさった。 これで神戸新聞杯から4連勝となったが、王者の風格を纏うようになった。 天皇賞春でのキタサンブラックとの再戦が待ち遠しい。

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2017.02.28

中山記念回顧 賢兄賢弟・ネオリアリズムが制す

中山記念は3番人気ネオリアリズムが勝利し、1番人気アンビシャスは4着、 2番人気リアルスティールは8着に大敗した。 勝ち時計は1分47秒6。ロゴタイプがハナを切ったが、スタートから 【12.6-12.2-12.6-12.9】と前半800メートルは50秒3という遅い流れ。 マイネルミラノ、クリールカイザーの相沢郁厩舎の2頭が控える作戦を取ったことで、 予想外のスローペースとなった。最内からの発走だったネオリアリズムは2番手での競馬。 持って行かれそうな気配を見せていたが、ミルコ・デムーロがガッシリと手綱を抑えて 折り合わせた。この豪腕こそが勝利を決定づけるものだった。向こう正面を過ぎ、マイネルミラノが たまらずに先頭を奪っても、ネオリアリズムは番手をキープ。 後半戦はゴールまで【11.1-11.6-11.3-11.7】と転じた急流をリズムよく泳がせ、 坂上で先頭に立って後続を封じ込めた。2着のサクラアンプルールとは4分の3馬身差だったが、 まるで教科書に載るかのような隙きのない騎乗だった。 昨秋はマイルCS、香港マイルと使われてきたが、この馬の適性は札幌記念でモーリスを退けた 中距離にあるのだろう。スピードが勝っていたアイルラヴァゲイン、リアルインパクトら賢兄とは違うが、 弟もまたG1級の能力を秘めた賢弟である。

私が期待したアンビシャスは道中、後方3番手のポジショニング。 スタートで少し寄れてヒラボクディープと接触し、先に進路へ入られたのも痛かった。 上位馬が内をすくう前残りの展開で、外から差してきて届かなかったのは馬のせいではない。 去年よりパフォーマンスが落ちていると指摘する向きもあるが、 次走で人気を落としてくれるならありがたいことだ。 最近まで気が付かなかったが、ディープインパクト産駒は年が明け、まだ重賞を勝っていないそうだ。 その雰囲気にアンビシャスも呑まれたわけではあるまいが。 同じくディープ産駒のリアルスティールは全く良いところがなかった。 馬体ができていなかったとはいえ負けすぎで、うるさい馬が道中でハミを噛むこともなかったというから、 “走る気”が戻っていないということか。サクラアンプルールは未勝利で道営に転出し、 再び中央入りして500万から階段を上がってきた馬。 横山典の好騎乗もあったが、体質が強化されてきたのだろう。 ロゴタイプは本調子にはなかったが、とにかく展開が向いた。

土曜に行われたアーリントンCは1番人気のペルシアンナイトが重賞初制覇。 平均ペースを後方から追走し、直線は次元の異なる脚で突き抜けた。 前走のシンザン記念は道悪に殺されて連対も外したが、 その鬱憤を晴らすには十分なお釣りのくる勝ち方だった。 以前、同じようなシーンを観たなと記憶をたどると、 15年前の勝ち馬、タニノギムレットの強烈な差し脚が重なった。 先日、急逝したゴールドアリュールは、ペルシアンナイトの母オリエントチャームの全兄にあたる。 父ハービンジャーはどこか鈍重なイメージがあるが、同馬の斬れはサンデーサイレンスのそれ。 この後は皐月賞に直行するようだが、血統的にスタミナは豊富で距離の限界を見せることはないだろう。 2番人気のミラアインストーンはスプリンターなのか、折り合いをつけられずに惨敗した。 鞍上はラストウィークだった武幸四郎。20年間の騎手生活には浮き沈みもあったが、 ソングオブウインド、メイショウマンボでのクラシック制覇は「武」の七光が薄れた後半生のものだっただけに、 ジョッキー「幸四郎」として輝き放つ勲章になった。調教師として進む道に偉大な兄の背中はないが、 新たな活路を切り拓いていってほしい。

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