カテゴリー「競馬日記」の2件の記事

2017.03.22

フラワーC圧勝の衝撃 ファンディーナの次走はどこに?

種牡馬としてシンザンを繋養していたことでも知られる谷川牧場。 数多の名馬を輩出してきた日高の名門である。 古くはタケホープ、ミナガワマンナから、近年はサクセスブロッケン、インカンテーションなど枚挙にいとまがない。 ヒシアマゾンと競ったオークス馬・チョウカイキャロルも生産馬で、 いまも彼女は功労馬として牧場で余生を過ごしている。 23年前、チョウカイキャロルは1番人気に推されたフラワーCで3着に敗れたが、 同じ牧場で生まれた後輩は衝撃的な強さで快勝し、ファンの度肝を抜くことになった。 ファンディーナは500キロを超える、ディープらしくないディープ牝馬だが、 柔らかく、大きなストライドで飛ぶように走る姿は父を彷彿とさせる。 レースではスピードの違いでハナに立とうとするところ、 鞍上の岩田が宥めると2番手で折り合った。道中は楽々と弾むように走っている。 ゾクッとしたのは4コーナーだ。わずかに手綱をしごかれると、次の瞬間、ヒュンと加速。 あとは持ったまま差を広げていく。直線では岩田がターフヴィジョンをマジマジと見る余裕があった。 まるでファンディーナだけが、他馬と異なる時空にいるかのような光景だった。 時計は問題ではない。ただただ強さが違っていた。

ファンディーナはターファイトクラブの所属馬で、1口9万円の500口、 総額4500万円で募集された。フランス産の母・ドリームオブジェニーは タタソールズ・ディセンバー繁殖セールを経て導入され、1つ上の兄・ ナムラシングンを産んでいる。一族にはバゴらがいる。 ディープインパクト×Pivotalの配合はダノンジェラート(セントライト記念3着)、 ワールドインパクト(青葉賞2着)の兄弟と同じ。やはり芝の中距離以上で真価を発揮するタイプだろう。 レース後、メディアの関心はファンディーナの次走に集まっている。 普通ならば桜花賞ということになろうが、デビュー3戦とも1800メートルを使ってきており、 いずれもスローペースの競馬だった。速いラップの刻まれる多頭数の桜花賞で、 リズムを崩すようなことになれば将来に影響が出る。 マイルがベストに思えるソウルスターリングという強敵もいる。 初めてのG1欲しさにクラブが桜参戦を強硬に主張しなければ、日本ダービー、もしくはオークスを目標にして 次走が決まるのではないか。管理する高野師はショウナンパンドラを エリザベス女王杯でなくジャパンカップに向かわせて勝利した成功体験もある。 いずれにせよ、ひさしぶりに日高の名門が輩出した女傑の未来が楽しみでならない。

皐月賞トライアル、スプリングSはウインブライトが制した。 拙ブログでは本命を打っていたが、単勝8倍の5番人気は美味しい配当だった。 中山1800メートルをマクって勝ち切ったのは前走と同じ。 このコースは滅法得意なのだろう。ただ、馬体は仕上げられていた分、 ここがピークという気がする。皐月賞で上位に食い込むのは難しかろう。 むしろ、2着のアウトライアーズの方が上積みがある。1番人気の2歳王者・サトノアレスは4着に敗れた。 スタートダッシュつかず追い込みにかけたが、差し切るだけの脚はなかった。 朝日杯で2着だったモンドキャンノがブービーだったのは負けすぎにしても、 同レース組のレベルに疑問符がついたのは認めざるを得まい。 ワールドインパクトの半弟、トリコロールブルーは5着。府中で見直したい。 西の阪神大賞典はサトノダイヤモンドが有馬記念以来の勝利。 直線では先に抜けたシュヴァルグランに狙いを定め、1完歩ずつ追い詰めて交わしさった。 これで神戸新聞杯から4連勝となったが、王者の風格を纏うようになった。 天皇賞春でのキタサンブラックとの再戦が待ち遠しい。

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2017.02.28

中山記念回顧 賢兄賢弟・ネオリアリズムが制す

中山記念は3番人気ネオリアリズムが勝利し、1番人気アンビシャスは4着、 2番人気リアルスティールは8着に大敗した。 勝ち時計は1分47秒6。ロゴタイプがハナを切ったが、スタートから 【12.6-12.2-12.6-12.9】と前半800メートルは50秒3という遅い流れ。 マイネルミラノ、クリールカイザーの相沢郁厩舎の2頭が控える作戦を取ったことで、 予想外のスローペースとなった。最内からの発走だったネオリアリズムは2番手での競馬。 持って行かれそうな気配を見せていたが、ミルコ・デムーロがガッシリと手綱を抑えて 折り合わせた。この豪腕こそが勝利を決定づけるものだった。向こう正面を過ぎ、マイネルミラノが たまらずに先頭を奪っても、ネオリアリズムは番手をキープ。 後半戦はゴールまで【11.1-11.6-11.3-11.7】と転じた急流をリズムよく泳がせ、 坂上で先頭に立って後続を封じ込めた。2着のサクラアンプルールとは4分の3馬身差だったが、 まるで教科書に載るかのような隙きのない騎乗だった。 昨秋はマイルCS、香港マイルと使われてきたが、この馬の適性は札幌記念でモーリスを退けた 中距離にあるのだろう。スピードが勝っていたアイルラヴァゲイン、リアルインパクトら賢兄とは違うが、 弟もまたG1級の能力を秘めた賢弟である。

私が期待したアンビシャスは道中、後方3番手のポジショニング。 スタートで少し寄れてヒラボクディープと接触し、先に進路へ入られたのも痛かった。 上位馬が内をすくう前残りの展開で、外から差してきて届かなかったのは馬のせいではない。 去年よりパフォーマンスが落ちていると指摘する向きもあるが、 次走で人気を落としてくれるならありがたいことだ。 最近まで気が付かなかったが、ディープインパクト産駒は年が明け、まだ重賞を勝っていないそうだ。 その雰囲気にアンビシャスも呑まれたわけではあるまいが。 同じくディープ産駒のリアルスティールは全く良いところがなかった。 馬体ができていなかったとはいえ負けすぎで、うるさい馬が道中でハミを噛むこともなかったというから、 “走る気”が戻っていないということか。サクラアンプルールは未勝利で道営に転出し、 再び中央入りして500万から階段を上がってきた馬。 横山典の好騎乗もあったが、体質が強化されてきたのだろう。 ロゴタイプは本調子にはなかったが、とにかく展開が向いた。

土曜に行われたアーリントンCは1番人気のペルシアンナイトが重賞初制覇。 平均ペースを後方から追走し、直線は次元の異なる脚で突き抜けた。 前走のシンザン記念は道悪に殺されて連対も外したが、 その鬱憤を晴らすには十分なお釣りのくる勝ち方だった。 以前、同じようなシーンを観たなと記憶をたどると、 15年前の勝ち馬、タニノギムレットの強烈な差し脚が重なった。 先日、急逝したゴールドアリュールは、ペルシアンナイトの母オリエントチャームの全兄にあたる。 父ハービンジャーはどこか鈍重なイメージがあるが、同馬の斬れはサンデーサイレンスのそれ。 この後は皐月賞に直行するようだが、血統的にスタミナは豊富で距離の限界を見せることはないだろう。 2番人気のミラアインストーンはスプリンターなのか、折り合いをつけられずに惨敗した。 鞍上はラストウィークだった武幸四郎。20年間の騎手生活には浮き沈みもあったが、 ソングオブウインド、メイショウマンボでのクラシック制覇は「武」の七光が薄れた後半生のものだっただけに、 ジョッキー「幸四郎」として輝き放つ勲章になった。調教師として進む道に偉大な兄の背中はないが、 新たな活路を切り拓いていってほしい。

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