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2016.05.24

オークス回顧 池添の“覚悟”に応えたシンハライト戴冠

牝馬3強と謳われたなかで唯一、オークスに駒を進めたシンハライトが樫の女王の座を勝ち取った。桜花賞、NHKマイル、オークスと春はそれぞれG1タイトルをひとつ獲得する美しい形になった。シンハライトは桜でジュエラーにハナ差負け。この春、主戦の池添は天皇賞、NHKマイルでも2着、ヴィクトリアマイルで3着と惜敗を繰り返していただけに、1番人気を背負ったオークスは勝たねばならなかった。その気迫ははっきりと騎乗に現れた。後方から内を回り、馬群の中に進路をとった直線。ペプチドサプルの後ろに入ったシンハライトは行き場を失いかける。ここで仕掛けが遅れてはチャンスはない。池添は意を決して外から伸びかかっていたデンコウアンジュに馬体をぶつけ、弾き飛ばして進路を確保。そこから脚を伸ばし、チェッキーノの追撃をクビ差凌いでゴールした。実に冷静な判断だった。現在のルールでは極めて限定されたケースでしか降着にはならないから、池添は騎乗停止処分と引き換えにラフプレーに打って出るのは致し方なかった。もし躊躇して勝ちを落としていれば、大馬主から見放されて騎手人生は終わっていたかもしれない。新制度が始まって3年半、意図的な妨害行為だと処分を受けても、強引な競馬をしないほうがリスクが大きくなった。これは現在のルールでは必然的に起こり得ることで、池添の騎乗は非難されるべきものではない。

レースは前半速く、中盤で緩み、後半で再び加速した。オークスは差し馬が有利なレースであるが、例年にまして先行勢は壊滅する結果になった。2着チェッキーノは勝ち馬とほぼ同じポジショニングだったが、戸崎が外から蓋をしてプレッシャーを与え続けた。フローラSのレコードは本物。戦前はトライアル血統と評価を下げる声も聞かれたが、藤沢厩舎が距離選定など慎重に扱ってきた成果が出たように思う。誤解を恐れず言えば、コディーノの轍を踏まなかった。早めにスパートしたビッシュが3着。フローラSで1番人気に推されていた。減っていた馬体が回復し、本来の能力を発揮することができた。これまでノーザンファーム産のディープインパクト産駒は6頭出走してすべて複勝圏内に入っていたが、今年も1、3着を占めることになった。ほかのノーザン産ディープ産駒、レッドアヴァンセは7着、アウェイクは12着に敗れてしまったが、これからも激走は続くだろう。4着ジェラシーは最後方からの決め打ちが嵌った。5着ペプチドサルは中1週ながら最高のパフォーマンス。不利があったデンコウアンジュは9着。馬体は減っていたが、スムーズなら4着はあったはず。3番人気エンジェルフェイスは10着。2番手から良く踏ん張った。桜花賞3着のアットザシーサイドは12着。血統通り、距離が持たなかった。穴人気、ロッテンマイヤーは外枠が響いて13着。忘れな草賞組は忘れられた頃に買うのが良い。桜花賞5着のアドマイヤリードは15着。小柄な馬に強い追い切りをかけ、輸送で馬体を減らす不可思議な調整だった。

シンハライトはキャロットクラブの所属馬。シーザリオ、トールポピーに続くオークス3勝目となる。2008年、トールポピーも池添が鞍上だったが、このときは複数の馬に被害を及ぼす大斜行で「降着なしも騎乗停止」の処分を受けている。これが”疑惑の裁決”だと批判する声が強くあがり、翌年からJRAが降着ルールなど改革を始めるきっかけとなった。つまり、新ルールを導入する端緒を池添がつくったと言えるわけで、今年、処分覚悟でラフプレーを余儀なくされたのは自らフラグを回収したのだと解釈することもできる。ちなみに前回も今回も、処分は騎乗停止2日間であった。シンハライトの母シンハリーズはシーザリオの勝ったアメリカンオークスで3着し、日本でアダムスピーク(ラジオNIKKEI杯)、アダムスブリッジ(若駒S)、リラヴァティ(福島記念2着)を産んだ。いずれもキャロットクラブで募集されている。私はリラヴァティに出資しているが、シンハライトは4400万円と高額だったこと、400キロそこそこの体重だったことから申し込みを見送った。しかし、ライバルを跳ね飛ばし、ひるまずに伸びてきたシーンを思い浮かべると、自分の選定眼のなさを恥じるばかりである。シンハリーズの繁殖牝馬としての能力は本当に素晴らしい。1歳の末弟はオルフェーブルとの仔だが、いくらで募集されるだろうか。もう手の届かないクラスになりそうだ。

>>オークス疑惑の裁決? 騎乗停止も降着処分はなし(2008/5)
>>”疑惑の裁決”が産んだ大改革 満たされぬ正しさ求めよ(2009/6)

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