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2016年5月の11件の記事

2016.05.31

日本ダービー回顧 運も引き寄せた川田の勇敢な騎乗

世代の頂点を決める日本ダービー。最高峰ゆえに極限まで仕上げられた馬たちの激しい戦いになり、 わずかな位置取りや追い出しのタイミングの違いが勝敗を大きく左右する。 今年、8センチの差を制して栄冠を手にしたマカヒキ。 3番枠を利してロスなく内々を走れたことが勝利につながった。 鞍上の川田は好スタートを切ると先頭から7、8頭目という、いつもより前目のポジションを取った。 サトノダイヤモンドを先に見る理想的な形になった。 1000メートル通過は平均と言える60秒フラット。 だが、直後に12秒9、13秒1とラップが落ちて、上がりの求められる競馬になった。 マカヒキにとっては望んだ展開だった。直線、馬群の中ほどに持ちだした川田の前にはエアスピネル、 外にはサトノダイヤモンドがいてスペースはなかった。このままなら強引な手綱が必要だったかもしれない。 しかし、残り200メートル手前、追い出したサトノダイヤモンドが少し外に寄れて進路が生まれた。 脚を溜めていたマカヒキは瞬時に加速すると、エアスピネルを交わして先頭に躍り出る。 川田は膝を立ち気味にして必死にムチを入れた。そこに態勢を立て直したサトノダイヤモンドが 脚を伸ばす。鬼気迫る追い比べ。2頭が並んだところがゴールだった。 どちらが勝ってもおかしくはなかったが、川田の勇敢な騎乗が運も引き寄せて8センチ, マカヒキを先着させた。

サトノダイヤモンドのルメールもまた、文句のつけようがない手綱さばきだった。 八分の仕上げだった皐月賞とは打って変わって、馬体は研ぎ澄まされていた。 直線で外に寄れたのは誤算だった。影響のほどは分からないが、向こう正面で落鉄までしていた。 ノーザンファームとしては里見治オーナーにクラシックを プレゼントしたかっただろうが、金子真オーナーの強運には敵わなかった。 3着には皐月賞馬、ディーマジェスティが入った。単勝1番人気に推されたのは蛯名正義に ダービジョッキーになってほしいというファンの願望だった。 その証拠に複勝は3番人気、連もマカヒキから売れていた。 ディーマジェスティはダービーで圧倒的に良績ある白い帽子を被ったが、 1コーナーではマカヒキより外に出して最内のアドバンテージを早々に放棄した。 包まれるのが嫌だったのだろう。だが、外を回したことで直線では寄れたサトノダイヤモンドに 邪魔される格好になり、理想的なコースを通ったマカヒキに追いすがることができなかった。 だからといって内にいれば逆転できたというものでは決してないが、 安全策を選び、負けたというのも事実である。中間、時計を出せない日があるなど皐月賞勝ちの疲労が心配されたが、 調子は取り戻せていた。エアスピネルは正攻法の競馬で4着。将来、2000メートル以下ならG1を勝てるかもしれない。

私が期待したリオンディーズは5着。返し馬からうるさく、デムーロは折り合いをつけるため 後方から競馬をせざるを得なかった。それでもスタート後は口を割るなど、コントロールできる状態ではなかった。 上がりは最速の33秒2と能力の片鱗を見せたものの、この日の展開と切れるライバルたちが 好位で競馬をしていたことを考えれば、勝てる要素は一つもなかった。 個人的に反省するのは、各馬の情報に対して客観的な洞察力が欠落していたことだ。 ダービーというのはデビュー前から周到な準備をして臨むもの。 直前、操縦性を高めるために「舌を縛る」といった工夫を買い材料だと捉えていた。 しかし、本番の幕があがろうかという段になって、そうした策を講じなければならないのはマイナス材料でしかなかった。 東京2400メートルが得意な父母で埋められた血統表への過信、 デムーロなら先団で折り合いをつけられるはずだという思い込み、 4番人気まで急落したオッズの皮算用…。逆にマカヒキにはスタミナが足りないのではないか、 ディーマジェスティは皐月賞の反動があるのではないかなど、根拠の薄い情報をネガティブに受け取っていた。 まったく考え至らず、都合の良い情報を切り貼りしていただけだと肩を落とした次第である。 来年こそは納得行く予想で的中させたい。

ダービーは皐月賞1着から5着がそのまま掲示板を占めたが、グレード制導入後は初めてのことだという。 以下、着外に敗れた馬にも簡単に触れたい。 6着は京都新聞杯勝ちのスマートオーディン。思い通りの展開にならないなか、 大いに健闘している。7着はマウントロブソン。出遅れての巻き返し、能力は高い。 9着にレッドエルディスト。良く追い込んできた。 10着にブロディガルサン。青葉賞より内容は大きく進展した。 一息入れて秋へのステップにしてほしい。 13着に青葉賞を快勝したヴァンキッシュラン。 実質4連勝中で前走がピークだったよう。お釣りがなかった。 殿18着はブレイブスマッシュ。最初から最後までレースに参加せず。 とてもG1に出走できる状態ではなかった。 横山典弘が無理をさせなかったのが幸いだった。

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2016.05.29

日本ダービー予想 2016

第83回、日本ダービーがやってきた。 牡馬クラッシック1冠目の皐月賞は1分57秒9のレースレコードで決着した。 強風吹き荒れる悪条件のなか、前半が58秒4というハイラップ。 ゴール板ではディーマジェスティ、マカヒキと後方に待機していた2頭が 突き抜けたのは自然な結果だった。この皐月賞で最も強いレースをした馬は何か? スタートから積極的に馬を出し、3コーナーでは早々にハナに立ったリオンディーズに他ならない。 名手デムーロの判断ミスと言わざるをえない無謀なレース運びにも関わらず、 ゴール前の坂まで先頭を譲らなかった同馬。最後は苦しがって寄れる場面もあったが、 心肺能力の高さは目を見張るものがあった。 前売り4番人気の評価急落は距離延長が不利とみられてのものだろう。 中間、陣営はじっくりと馬の後ろで我慢させる調教を重ね、舌を縛って 操縦性を高める工夫も施した。半兄エピファネイアも折り合いに難がある馬だったが、 3歳秋に舌を縛って状況が改善して菊花賞を制した。 エピファネイアはダービー2着、古馬になって同じ舞台のジャパンカップを圧勝したが、 母シーザリオはオークス馬であり、父キングカメハメハもダービー馬である。 スタミナに不安はあるはずがなく、大きなストライドで走る一族は東京コースが合っている。 先週のオークスに続いて、キャロット勢の大金星を期待したい。 相手はサトノダイヤモンド。皐月賞は8分の仕上げで、1テンポ早い仕掛けで加速したときに不利があった。 上昇度はピカイチ。リオンディーズがスムーズさを欠けば、競馬上手のサトノダイヤモンドが最も有利になる。 3番手に皐月賞馬に敬意を表してディーマジェスティ。 中間は一頓挫あったが、1番枠を引き当てたのは天恵。蛯名正義にダービージョッキーの称号を勝ち取ってほしいとも思う。 連下に差なくマカヒキ、青葉賞勝ちが好内容で実質4連勝中のヴァンキッシュラン、調教絶好のスマートオーディン、 大波乱ならブロディガルサン。

◎リオンディーズ ○サトノダイヤモンド ▲ディーマジェスティ
△マカヒキ、ヴァンキッシュラン、スマートオーディン、ブロディガルサン

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2016.05.25

エイシンヒカリ仏G1制覇 ”逃げない競馬”で独走10馬身

改修中のロンシャンに代わってシャンティー競馬場で行われたイスパーン賞。 日本から渡仏したエイシンヒカリが、まさかの10馬身という大差をつけて快勝した。 折からの雨で馬場は非常に重くなり、スピードが身上のエイシンヒカリにとっては 不利なコンディションではないかと考えられていた。 ライバルは凱旋門賞3着のニューベイ、ガネー賞勝ちのダリヤン、 ジャパンカップ以来のイラプトなど、名の通った馬が揃っていた。 意外だったのは武豊が2番手に控えさせたこと。 去年暮れの香港Cでは果敢にハナを奪い、そのまま押し切って初G1勝ちを収めている。 国内でのレースぶりを見ても逃げることが力を発揮するのに最善の騎乗に思われた。 だが、武豊は好スタートを切ったにも関わらず、あっさりとヴァダモスにハナを譲ったのだ。 それでもエイシンヒカリは折り合いを欠くことなく我慢し、 直線早々に先頭に立つと独走態勢に持ち込んだ。 1着という結果も素晴らしいが、ヨーロッパで新たな競馬ができたのは大きな収穫だ。 1800メートル戦で勝ちタイムは1分53秒29。タフな馬場を克服したのも今後に期待を抱かせた。

イスパーン賞はエルコンドルパサーが遠征初戦に選び、2着したレースだ。 長期滞在して一戦ごとに成長したエルコンドルパサーに、エイシンヒカリを重ねるファンがいるかもしれない。 あるいは凱旋門賞で涙を呑んだ父ディープインパクトや、 武豊を背に圧倒的なスピードで勝ち続けたサイレンススズカを 思い浮かべることもできるかもしれない。それだけエイシンヒカリの勝ち方は胸を高鳴らせ、想像をかきたてるものだった。 エイシンヒカリの次走は6月15日に英・アスコット競馬場で行われる、 プリンスオブウェールズS。2000メートル戦はベストだろう。 同馬の距離適性を大事にするならば、無理に凱旋門賞を狙うレースを選択しないほうが良いように思える。 せっかく腰を据えて滞在するのだから、地に足の着いた戦いを見せてほしい。 日本馬のフランスG1制覇は17年ぶり。1999年、アグネスワールドのアベイユドロンシャン賞以来だという。 今年はラニがUAEダービーを勝って米三冠に挑戦、モーリスは香港チャンピオンズマイルを制している。 凱旋門賞にはドバイで惜敗したドゥラメンテなど11頭の日本馬が一次登録されており、 日本馬が世界各地を席巻する年になる可能性もある。楽しみは尽きない。

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2016.05.24

オークス回顧 池添の“覚悟”に応えたシンハライト戴冠

牝馬3強と謳われたなかで唯一、オークスに駒を進めたシンハライトが樫の女王の座を勝ち取った。桜花賞、NHKマイル、オークスと春はそれぞれG1タイトルをひとつ獲得する美しい形になった。シンハライトは桜でジュエラーにハナ差負け。この春、主戦の池添は天皇賞、NHKマイルでも2着、ヴィクトリアマイルで3着と惜敗を繰り返していただけに、1番人気を背負ったオークスは勝たねばならなかった。その気迫ははっきりと騎乗に現れた。後方から内を回り、馬群の中に進路をとった直線。ペプチドサプルの後ろに入ったシンハライトは行き場を失いかける。ここで仕掛けが遅れてはチャンスはない。池添は意を決して外から伸びかかっていたデンコウアンジュに馬体をぶつけ、弾き飛ばして進路を確保。そこから脚を伸ばし、チェッキーノの追撃をクビ差凌いでゴールした。実に冷静な判断だった。現在のルールでは極めて限定されたケースでしか降着にはならないから、池添は騎乗停止処分と引き換えにラフプレーに打って出るのは致し方なかった。もし躊躇して勝ちを落としていれば、大馬主から見放されて騎手人生は終わっていたかもしれない。新制度が始まって3年半、意図的な妨害行為だと処分を受けても、強引な競馬をしないほうがリスクが大きくなった。これは現在のルールでは必然的に起こり得ることで、池添の騎乗は非難されるべきものではない。

レースは前半速く、中盤で緩み、後半で再び加速した。オークスは差し馬が有利なレースであるが、例年にまして先行勢は壊滅する結果になった。2着チェッキーノは勝ち馬とほぼ同じポジショニングだったが、戸崎が外から蓋をしてプレッシャーを与え続けた。フローラSのレコードは本物。戦前はトライアル血統と評価を下げる声も聞かれたが、藤沢厩舎が距離選定など慎重に扱ってきた成果が出たように思う。誤解を恐れず言えば、コディーノの轍を踏まなかった。早めにスパートしたビッシュが3着。フローラSで1番人気に推されていた。減っていた馬体が回復し、本来の能力を発揮することができた。これまでノーザンファーム産のディープインパクト産駒は6頭出走してすべて複勝圏内に入っていたが、今年も1、3着を占めることになった。ほかのノーザン産ディープ産駒、レッドアヴァンセは7着、アウェイクは12着に敗れてしまったが、これからも激走は続くだろう。4着ジェラシーは最後方からの決め打ちが嵌った。5着ペプチドサルは中1週ながら最高のパフォーマンス。不利があったデンコウアンジュは9着。馬体は減っていたが、スムーズなら4着はあったはず。3番人気エンジェルフェイスは10着。2番手から良く踏ん張った。桜花賞3着のアットザシーサイドは12着。血統通り、距離が持たなかった。穴人気、ロッテンマイヤーは外枠が響いて13着。忘れな草賞組は忘れられた頃に買うのが良い。桜花賞5着のアドマイヤリードは15着。小柄な馬に強い追い切りをかけ、輸送で馬体を減らす不可思議な調整だった。

シンハライトはキャロットクラブの所属馬。シーザリオ、トールポピーに続くオークス3勝目となる。2008年、トールポピーも池添が鞍上だったが、このときは複数の馬に被害を及ぼす大斜行で「降着なしも騎乗停止」の処分を受けている。これが”疑惑の裁決”だと批判する声が強くあがり、翌年からJRAが降着ルールなど改革を始めるきっかけとなった。つまり、新ルールを導入する端緒を池添がつくったと言えるわけで、今年、処分覚悟でラフプレーを余儀なくされたのは自らフラグを回収したのだと解釈することもできる。ちなみに前回も今回も、処分は騎乗停止2日間であった。シンハライトの母シンハリーズはシーザリオの勝ったアメリカンオークスで3着し、日本でアダムスピーク(ラジオNIKKEI杯)、アダムスブリッジ(若駒S)、リラヴァティ(福島記念2着)を産んだ。いずれもキャロットクラブで募集されている。私はリラヴァティに出資しているが、シンハライトは4400万円と高額だったこと、400キロそこそこの体重だったことから申し込みを見送った。しかし、ライバルを跳ね飛ばし、ひるまずに伸びてきたシーンを思い浮かべると、自分の選定眼のなさを恥じるばかりである。シンハリーズの繁殖牝馬としての能力は本当に素晴らしい。1歳の末弟はオルフェーブルとの仔だが、いくらで募集されるだろうか。もう手の届かないクラスになりそうだ。

>>オークス疑惑の裁決? 騎乗停止も降着処分はなし(2008/5)
>>”疑惑の裁決”が産んだ大改革 満たされぬ正しさ求めよ(2009/6)

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2016.05.22

オークス予想 2016

桜花賞以前、3強と評されていた牝馬戦線は ジュエラーが故障で離脱、メジャーエンブレムがマイル路線に回ったことで、 オークスは残ったシンハライトが一身に人気を背負うことになった。 とはいえ、オッズは2倍台の半ば。フローラSを快勝したチェッキーノが3倍台で追いかけ、 離れてフラワーCから直行するエンジェルフェイス、フローラSで1番人気だったビッシュが続く。 いわゆる別路線組の逆転に期待が寄せられていると言える。 だが、歴史を振り返ればオークスは桜花賞組から狙うのが基本。 桜花賞、シンハライトはハナだけ遅れたが、 正攻法の競馬をしただけ勝ち馬より濃い内容だったと言える。 スローで流れることの多いオークスは距離適性を問われることは稀で、 阪神マイルを乗りきれるスタミナがあれば十分。 前走でピークまで仕上げられていたシンハライトに上がり目はなくとも、 近い状態を維持できていれば勝ち負けは必至だ。 輸送で大幅に馬体を減らさなければ連軸は堅いとみる。 相手はオークス回避から一転して参戦を決めたレッドアヴァンセ。 馬体は戻り、強い追いきりもかけられた。 エルフィンSの勝ち方は鮮やかで、兄クラレントらは左回りが得意だった。 穴にデンコウアンジュ。メジャーエンブレムを差しきった府中に替わるのは好材料だ。

◎シンハライト ○レッドアヴァンセ ▲デンコウアンジュ
△アットザシーサイド、チェッキーノ、エンジェルフェイス、ロッテンマイヤー

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2016.05.18

ヴィクトリアマイル回顧 7年連続更新! 不思議なジンクス

ヴィクトリアマイルは7歳馬、ストレイトガールが連覇。 前走の敗戦と加齢が嫌われて7番人気に甘んじていたが、 スプリンターズSも制したスピード能力は衰えていなかった。 1分31秒5の高速決着で前後半イーヴンの平均ペースをあっさり 抜けだしたのだから、文句のひとつもつけようがない。 父はフジキセキ。7歳、8歳で高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキを彷彿とさせるベテランの活躍だ。 2着ミッキークイーン、3着ショウナンパンドラはマイルではエンジンのかかりが遅い。 それでも実力差で捻じ伏せられると思ったが、生粋のスピードホースの速さには敵わなかった。 ところで、今回のストレイトガールの優勝で、ある不思議なジンクスが7年連続で更新されることになった。 レース前、JRAの公式サイトに示されていたもので、 「過去6年のヴィクトリアマイルでは2走前までに、大外枠または大外から2番目の枠に入っていた馬が6連勝中」というデータだ。 6頭の該当レースは直近から、高松宮記念1番人気13着(ストレイトガール)、 東京新聞杯9番人気11着(ヴィルシーナ)、大阪杯4番人気6着(ヴィルシーナ)、 中山牝馬S2番人気5着(ホエールキャプチャ)、マイラーズC4番人気4着(アパパネ)、 京都記念1番人気1着(ブエナビスタ)。 今年の有資格はストレイトガールのほか、ルージュバック、シャルール、シュンボルドン。 ストレイトガールは前走の阪神牝馬Sで3番人気9着に敗れていた。 こうしたジンクスは話題されたら消えるものだが、果たして来年はどうだろうか。

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2016.05.15

ヴィクトリアマイル予想 2016

Bコースに変わり、今年も速い馬場で高速決着が見込まれるヴィクトリアマイル。 本命は時計勝負に対応できそうなミッキークイーンに打ちたい。 去年はオークス、秋華賞を圧倒的な強さで制覇。 ピークを過ぎていたジャパンカップこそ着外に敗れたが、 一線級牡馬に混じってコンマ3秒差なのだから立派なものだ。 古馬になって初戦、阪神牝馬Sではマイーペースで逃げた スマートレイアーをクビ差だけ捕えられなかったが、 素晴らしい差し脚を繰り出しており、前哨戦としては満点の内容だったと言えよう。 鞍上の浜中は東京新聞杯で落馬、骨折し、3か月の休養を経て今週から復帰。 乗り鞍は土日ともメインレースの1つずつだけで、 この馬だけは手放したくないという強い思いを感じる。 対抗は京都牝馬S勝ち以来のクイーンズリング。 間隔をあけたほうが良いタイプで、1400から1600メートルがベスト。 秋華賞でミッキークイーンと同タイムの実力があり、 展開によっては逆転もあるだろう。 3番手にジャパンカップを勝ったショウナンパンドラ。 マイルは明らかに短いが、宝塚記念3着、天皇賞秋4着など 戦ってきた相手の格が違う。 余談だがJRA公式サイトを見ていたら「過去6年のヴィクトリアマイルでは2走前までに、 大外枠または大外から2番目の枠に入っていた馬が6連勝中」という面白いデータがあった。 今年はルージュバック、シャルール、ストレイトガール、シュンボルドンが有資格だが果たして。

◎ミッキークイーン ○クイーンズリング ▲ショウナンパンドラ
△マジックタイム、ルージュバック、ウリウリ、シャルール

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2016.05.11

NHKマイルC回顧 メジャーエンブレムが気迫の逃げ切り

1番人気が逃げることは、すべての馬の目標にされることと同義だ。そのリスクを引き受けて優勝したのだから、NHKマイルカップを制したメジャーエンブレムには大いに価値がある。桜花賞で中途半端に控えて人気を裏切ったルメールは、陣営から積極的な競馬を求められていた。オークスから2週早いマイルG1に照準を変更。追い切りは多少動きが重くみえ、100%のデキにはなかったように思える。しかし、背水の陣で臨んだ今回、競られるのを覚悟の上でメジャーエンブレムは先手を奪いにいった。気迫に押されたのか、同型のシゲルノコギリザメは番手で折り合い、スピードに秀でたシュウジは岩田ががっつり抑えこんだ。前半800メートルは46秒0で通過。決して楽なペースではなかったが、ハイラップで飛ばして後続馬の脚をなし崩しにする本来の形に持ち込めた。これで差されれば仕方がないと腹をくくっていたはずだ。直線、持ったまま加速するメジャーエンブレムが後続を突き放す。追いかけていた先行勢は脱落。ゴール前、外から差し馬が押し寄せてくるが、ラチ沿いを走るメジャーエンブレムを交わすまではいかなかった。勝ちタイムは1分32秒8、後半800メートルは46秒8。同馬にとっては理想的といえる平均ラップだったのではないか。とは言え、先行勢は壊滅に近い状態だから、数字以上にタフなレースだったと推察される。父ダイワメジャーを彷彿とさせる高い持続力があってこそ可能な芸当だ。桜花賞の不名誉な敗退を払拭する競馬になった。これからも肉を切らせて骨を断つレースをしていくだろう。

2着に外から追い込んだロードクエスト。池添は桜花賞、天皇賞春に続くG1惜敗である。だが、今回は運ではなく馬の実力差が敗因だった。ゴチャついた内を避けて、外へ持ちだしたのは大正解。府中のような広々とした馬場と左回りが合っている。3着にNZTでは思うような競馬ができなかったレインボーライン。アニメイトバイオの半弟になるが、このステイゴールド産駒も府中向きである。私が期待したトウショウドラフタは5着。後方、内を回って直線に賭けたが、進路を見つけるのに手間取った。何より鞍上の田辺が「ここまでムキになっていたのは初めて」「リラックスして走っていた馬が気負っていた」とコメントしているように、メンタル面で穏やかさが欠けていた。少し追いきりで攻めすぎてしまったのが原因かもしれない。決してマイルが長かったというわけではない。G1勝ちのない厩舎にも気負いがあった故だろうか。予想でも書いたが、トウショウドラフタは去年、廃業が決まったトウショウ牧場の冠を背負う最後の世代。どこかで大きなタイトルを取ってもらいたい。それだけの器だと思う。ストーミーシーは9着。平均ペースでは出番がなかった。3番人気のイモータルは11着。先団を追走できたが、まったく伸びず馬群に沈んだ。皐月賞馬・ディーマジェスティが勝った共同通信杯で2着した実績が買われて人気を集めたが、そのレースレベルを疑わせかねない惨敗だった。この辺り、ダービーでのオッズに微妙に反映されるかもしれない。4番人気のティソーナは出遅れて17着。騎乗明けのデムーロに調子が戻っていない。

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2016.05.08

NHKマイルC予想 2016

かつて、日本を代表する名門牧場と言えば、社台に伍して メジロ、トウショウの名前があがったものだ。 しかし、メジロ牧場は5年前に廃業、トウショウ牧場も去年、 生産を取りやめて閉鎖することになった。両牧場のメインステーブルとして あまたの重賞を勝ち取ってきたのが奥平真治厩舎だった。 メジロ勢ではラモーヌ、ライアン、トウショウ勢ではゴッド、エイティ、ペガサスなどを管理した。 当時、奥平厩舎の調教助手だったのが萱野浩二だ。 19年前に独立して厩舎を開業したものの、お世辞にも成績が芳しいとは言いづらく、 キャリアの半分は100位以下の下位に甘んじてきた。 だが、今週のNHKマイルカップ、萱野厩舎は初めてG1タイトルを獲得する 大きなチャンスを迎えようとしている。本命はトウショウドラフタ。この馬が変わったのは 昨秋の500万特別。それまでスピードに任せて先行するレースから、 じっくりと差し脚を溜めるレースへと競馬を変えた。 馬の成長とも軌を一にしたのだろうが、脚質転換は功を奏して3連勝を生んだ。 クロッカスSでは一度も追うところなく、流したまま後続に3馬身差をつけて圧勝。 切れ味勝負には分が悪かったファルコンSも、不良馬場を捻じ伏せて差しきり勝ちを収めた。 その後、疲れを取るため一息入れたが、1週前追いきりでは猛稽古。 ギリギリまで仕上げられた。今回、桜花賞で人気を裏切ったメジャーエンブレムは 陣営が「積極的な競馬」をルメールに求めており、平均以上のペースで流れるだろう。 ドラフタにとっては折り合いがつけやすく、展開は向くはずだ。 一部には距離への不安を指摘する声があるが、 スイープトウショウらを輩出したサマンサトウショウの一族には十分なスタミナが練りこまれている。 トウショウ牧場最後の世代として、その名を大舞台に刻んでほしい。 対抗は共同通信杯で皐月賞馬に迫ったイモータル、穴には左回りが嵌ったときのストーミーシー、 同厩のアーバンキッドにも注意を払いたい。メジャーエンブレムは状態がやや下降線なのが懸念される。

◎トウショウドラフタ ○イモータル ▲ストーミーシー
△アーバンキッド、メジャーエンブレム、ロードクエスト、レインボーライ

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2016.05.03

天皇賞春回顧 武豊、淀を知り尽くした男の独演会

「ユタカ劇場」と言うのだろうか。武豊に尽きる春の盾だった。 2番人気キタサンブラックは1番枠から好スタートを切ると、 すんなりとハナを奪ってマイペースに持ち込んだ。 12秒台のハロンラップを刻みながら1000メートルを1分1秒8、 その後もレース前半の1600メートルを1分38秒3で通過する。 ドスローというわけではないが、力のある逃げ馬にとっては息を入れながら 自分のリズムで走れる流れ。後続の有力馬は武豊にレースを支配されていることは理解しつつ、 脚をなくすことを恐れて無理に動くことができない。 向こう正面で2番手のヤマニンボワラクテがキタサンブラックを交わして先へ出る ようなことがあれば逃げ馬のリズムは乱されたのだろうが、 それだけの余力はヤマニンにはなかった。最短コースを回った武豊は、 残り4ハロンに差し掛かるとペースをあげていく。 直線、キタサンブラックの直後につけていたカレンミロティックが並んで先に出るが、 武豊は「わずかな一伸び」分のスタミナを温存していた。 最後に差し返したところが決勝線。その差は4センチだから、魔術のような手綱さばきだ。 3200メートルを走って4センチの差で勝たせるのである。すべて計算づくで。 天皇賞春7勝目、淀を知り尽くした男の独演会だった。

戦前、キタサンブラックはハナには行かないだろうと私は思っていた。 目標になった人気馬が逃げきれるほど、春の天皇賞は簡単なレースではない。 だが、1番人気ゴールドアクターが下見から入れ込む状況や、 積極的に先手を取りにいく馬がいないのを見て、自らペースを主導するのが 最も勝利に近いと瞬時に判断したのだろう。菊花賞も有馬記念もジョッキーの好騎乗に 助けられた面が大きいのだが、裏を返せば、自在な競馬ができる長所こそが キタサンブラックの強みなのだ。2着カレンミロティックは13番人気。 池添は3番手の内を回る完璧な競馬をしたが、桜花賞に続いて少しだけ運が足りなかった。 3着は3番人気のシュヴァルグラン。折り合いはつき、初めての58キロを物ともせずに差し脚を伸ばした。 勝ちきるには何処かでレースを壊しに行くギャンブルが必要だったが、 慎重な福永でなくともリスクを取ることはできなかったのではないか。 G1を勝てるだけの実力があることは示せた。4着にタンタアレグリア。 ステイヤーの血が開花し始めた印象だ。蛯名は5年連続、掲示板を確保したことになる。 このジョッキーも武豊ほどの勝数はなくとも、平成の盾男と呼んで差し支えない。 5着にトーホウジャッカル。一瞬、勝ったかと思わせる場面もあり、復調の気配を感じさせてくれた。

私が期待したフェイムゲームは4番人気と、意外に支持を集めたものの8着。 スタートでアドマイヤデウスに寄られてポジションを下げたのが痛かった。 道中も内で動けず、4角は絶望的に大外を回すしかなかった。 世界的名手であるボウマンにしても、淀の3200メートルは独特のコースであって 乗り難かっただろう。アドマイヤデウスは申し分ないレースだったが、伸びを欠いて9着。 本質的に距離が長かった。レーヴミストラルは後方一気にかけて10着。 決め打ちだから展開が向かなければ大敗するのは当たり前で、 次走で評価を下げる必要もない。 ゴールドアクターは12着。道中もハミを噛んでいて、とても長距離を乗りきれる内容ではなかった。 外枠の不利はあったが、これだけ入れ込んでいては勝負にならない。 1番人気は10連敗だから、相当な強い馬でないと呪いは解けまい。 サウンズオブアースは15着。さすがに負けすぎで、立て直しには時間がかかるかもしれない。 武豊は今年の優勝で中央G1は通算70勝目になるが、 逃げ切り勝ちは初めてだという。デビュー30年目にして新境地を拓く トップジョッキーに改めて恐れ入る。

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2016.05.01

天皇賞春予想 2016

外国人騎手が日本競馬を席巻するなかにあって、 H.ボウマンはあまり目立たない部類に入るかもしれない。 オーストラリアのトップジョッキーの1人ながら、 昨秋に短期免許で初来日。58戦して1番人気は1鞍もなかったが、それでも6勝をあげた。 トーセンレーヴでのオープン特別2勝、ハートレーのホープフルSなど、 抜群のポジショニングと折り合いの旨さ、何より脚を余すところなく 追い切る騎乗は一流騎手のそれであった。先週、 ラブリーデイらが出走した香港QE2世Cを制した後、 ノーザングループの招聘で2度目の来日。満を持して天皇賞春に騎乗することになった。 手綱を取るのはサンデーレーシングの所属馬、フェイムゲームだ。 去年、春の盾ではゴールドシップを猛追してクビ差の2着に迫っている。 外枠では唯一の上位入線。 この時は直線半ばで前が壁になり、進路を探して横移動するロスがあった。 スムーズな競馬だったら結果は違っていただろう。 内枠有利と言われるレースで、今回、絶好の5番枠を引き当てた。 競馬は生き物だから展開は分からないが、内を回って抜け出せればチャンスはある。 ボウマンの勇敢な手綱さばきは大いに期待するところだ。 相手は手広くいきたいが、内なら同じハーツクライ産駒のシュヴァルグラン、 復調気配のアドマイヤデウスあたりに気を払いたい。

◎フェイムゲーム ○シュヴァルグラン ▲アドマイヤデウス
△キタサンブラック、ゴールドアクター、サウンズオブアース、アルバート

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