未解決のままの馬券課税問題 職場通報されるケースも
ハズレ馬券を経費として認めず、 実際の利益を大きく上回る金額を”脱税”したとして追徴する「馬券課税」。 依然として各地で国税局と馬券購入者との間で訴訟が相次いでいる。 詳しくは以前のエントリーを読んでもらえればと思うが、 これらは国税局が競馬での所得を「一時所得」と見做し、 年間を通じて損益通算が行える「雑所得」と認めないために生じている問題だ。先日、報じられたケースでは 6年間で72億7千万円の馬券を購入し、78億4千万円の払い戻しを受けた男性が、 所得5億7千万円、所得税額2億1千万円と申告したところ、 所得を超える税額を請求されたというものがあった。 ハズレ馬券が必要経費に参入されなかったため、 78億円から的中馬券の購入代を引いた額に対して課税が行われたものだと思われる。
去年5月、同様に1億4千万円の利益に対して5億7千万円の 納付を求められた男性の裁判で、大阪地裁は例外的にハズレ馬券代も経費と認めて脱税額は5千万円と算出し、購入者側の訴えを認めた。 しかし、国税局はこれを不服として控訴。大阪高裁は来月9日に判決を下す予定だ。 馬券課税をめぐる問題は、一部の高額購入者に限定すべき話ではない。 国税局の立場では、年間90万円以上の払戻金があった場合、 収支がマイナスでも確定申告の義務が生じる。 それぐらいのファンは掃いて捨てるほどいるが、彼らのほとんどは脱税者なわけだ。 週に1万円、2万円の馬券を買う普通のファンが、”犯罪者”に 仕立てあげられている、おかしな現実が横たわっている。 事実、そこを突かれたファンも出てきた。
広島県土木局の50歳代の男性職員が競馬で約360万円の配当を受けたのに確定申告をせず、 県から2度にわたって納税指導を受けていたことがわかった。 /昨年11月、職員を名指しし、「確定申告をしておらず、納税義務を果たしていない」 という匿名のメールが同課などに届き、確認したところ、職員は「納税する」と答えた。 だが職員はその後も確定申告をせず、今月に再び同様のメールが送られてきたため、 同課は21日、職員を改めて指導した。職員は、競馬でもうけたことを職場で自慢していたという。 (読売 4/23)
まったく以って馬鹿げた出来事だが、 馬券で大儲けしたことを吹聴したり、的中画面のスクリーンショットをネットで 公開しているようなファンは他人事ではあるまい。 本来、馬券は購入した時点で 10%を国庫に納付しており、国税局の行為は二重課税にあたり不当である。 それでも本気で国税局が課税したいのであれば、JRAは監督官庁とともに落とし所を探るべきだろう。 国税局とハズレ馬券が経費かどうかは議論するのは筋が悪い。 例えば、一度に一千万円以上の払戻を受ける場合には源泉徴収をかけるといった条件と引き換えに、 原則、馬券には課税されないことを認めさせなければならない。 ファンが安心して馬券を買えるよう国に働きかけるのは、JRAの責務に他ならない。 高配当のWIN5など、大々的に売り出し中なのだから尚更だ。 大衆競馬の根幹を守るために、JRAは汗を掻いてほしい。
>>外れ馬券裁判は実質無罪も ”脱税”のリスクは変わらず(2013/5/29)
>>追徴課税5億円! あらわにされた「競馬と税金」の矛盾(2012/11/30)
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コメント
ファンからの「当たり前だろ」の声でネット上はパンク状態だ。
競馬の外れ馬券の購入費を経費と認めなかった国税当局による所得税の課税処分は違法として、北海道の男性が約1億9,000万円の課税取り消しを求めた訴訟の控訴審。競馬ファンの間でも注目された裁判だったが、東京高等裁判所は21日、請求を棄却した1審・東京地裁判決を取り消し、経費と認める原告逆転勝訴の判決を言い渡した。「男性は6年間勝ち続け多額の利益を得ており、一連の馬券購入は経済活動の実態がある」と菊池洋一裁判長は語った。
あるブログから抜粋。
当然の判決ですね。未来が明るいといいですね。
投稿: やまっく | 2016.06.23 21:48