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2013.10.10

凱旋門賞回顧 夢を見る間さえ与えられなかった2着

今年の凱旋門賞こそ日本競馬の悲願が達成されうると、多くのファンは信じていたのではないか。去年、圧倒的なパフォーマンスを披露しながらゴール直前でよれ、自ら勝利を投げ出してしまったオルフェーヴル。今年は悪癖を抑えられるよう馴致を重ね、万全の体勢を期してフランスに渡った。前哨戦のフォア賞は追うところなく楽勝し、現地メディアの評価もナンバーワンに。直前にはライバルと目されていたノヴェリストが回避し、しかも枠順は中ほどを引いて勝負の流れを引き寄せたかにみえた。もう1頭、斤量有利な3歳馬として挑戦することになったキズナも、差されていても不思議なかったニエユ賞を勝ち、さらなる状態良化が見込めるなかで本番を迎えていた。日本馬のワンツーフィニッシュだと、声高に叫ぶメディアも少なくなかった。だが、結果はご承知の通り。地元の3歳牝馬、トレヴがオルフェーヴルを5馬身差突き放して圧勝。直線半ば、早々と優勝を確信させた去年の2着と対照的に、今年は同じ2着でも夢を見る間さえ与えなかった。

折り合いをつけ、真っ直ぐに走らせることこそ最重要課題だったオルフェーヴルにとって、後方、馬群の中に位置して、なるべく追い出しを我慢することは当たり前に取るべき選択だった。結果としてフォルスストレートでは窮屈な競馬を強いられ、スムーズに抜けたトレヴに馬体を併せることは叶わなかったわけだが、1馬身程度の差ならともかく、5馬身も先にゴールされてしまっては道中の不利やレース展開、馬場が敗因と分析するのは詮無いこと。オルフェーヴルにとって不利は想定内に留まったし、レース前に描いていた競馬はできたはずだ。ところが、勝てなかった。それはオルフェーヴルに原因があるのではなく、例年になくハイレベルな牝馬が出走していたということに尽きる。残念だが、競馬だから至極自然なことだ。とはいえ、ヨーロッパ競馬の層の厚さをまざまざと思い知らされたことが、厚い雲に覆われたように気を滅入らせているのも事実である。一方、オルフェーヴルを蓋をする形で勝ちに行く競馬をしたキズナ。こちらは全力を出し切っての4着だった。ホワイトマズル以来、凱旋門賞の騎乗に関して厳しい評価を受けてきた武豊。日本のトップジョッキーが彼の地で胸のすくようなレースをしたことだけが、救いになってくれたように思える。

レース後、メディアなどでは「この敗戦を糧にしてまた挑戦を」「日本のレベルの高さを示すことができた」といったポジティヴな会話が飛び交っていた。それに異論を唱えるところはないが、日本競馬にとって欲しいのは「凱旋門賞1着」という結果だけであることも明白だ。エルコンドルパサー、ディープインパクト、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルらのレースぶりで、日本のトップホースが欧州のそれと質的に違わないことは証明できた。既に凱旋門賞にあたって取るべきノウハウ、ステップも確立されたと言っていい。これまでの挑戦を通して、日本競馬は確実にレベルアップし、世界に認知させ、多くのものを得ることができた。ここで一旦、海外遠征を休止してもいいのかもしれない。だが、それでもロンシャンに挑もうとするのは、日本のホースマンにとって凱旋門賞が歴史的に憧憬の対象であり続けてきたからであり、BCやドバイWCとは異なる感情を抱いてきたからだ。憧れは裏を返せばコンプレックスであり、凱旋門賞は日本競馬の呪縛である。それは凱旋門賞馬を府中で負かしたところで当然、解かれるものではない。秋のロンシャンでしか晴らし得ないものだ。また挑むしかない。しかし、その道のりの遠さを思うとき、返す返すも去年の惜敗が悔やまれるでのある。

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コメント

確かに…
昨年、抜け出したオルフェーヴルを見てこんなにあっさり勝てるのか、と思ったものです
現実はそんなに甘くなかったですが

いつ勝てるのかわかりませんが
できればユタカに勝って欲しいなぁ

投稿: ひむろ | 2013.10.10 22:15

武豊に勝ってほしい、私もそう思います。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2013.10.13 01:53

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