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2013.05.29

外れ馬券裁判は実質無罪も ”脱税”のリスクは変わらず

3年間で馬券で得た利益を申告せず、 約5億7千万円を脱税したとして元会社員が所得税法違反に問われた裁判。 いわゆる「外れ馬券訴訟」の判決が23日にくだされた。 今回、最大の争点とされたのは外れ馬券が必要経費として認められるか否か。 元会社員は3年間で28億7千万円分の馬券をPATで購入。 払戻金として30億1千万円を受けた。実際の利益は1億4千万円。しかし、検察は直接的中した買い目以外は経費と認めず、5億7千万円を納付すべきだと主張していた。大阪地裁は「娯楽の範囲を越えて資産運用を目的に馬券を繰り返し購入した場合、外れ馬券の購入費も必要経費とすべきだ」と述べ、国税庁とは異なる判断を示した。そして、納税すべき額は5千万円余だとして、懲役2ヶ月、執行猶予2年の”実質無罪”を言い渡したのだった。 もし国税庁の主張に従えば、元会社員は一生かかっても払いきれない税金を負わされることになる。担税力の観点からも、裁判所は現実に即した判決を出したと言っていいだろう。 元会社員は地方税を含め10億円の課税処分を受け、処分の取り消しを求める民事訴訟も起こしている。

だが、これを以て外れ馬券が経費と認められたと一般に解釈するのは間違いだ。 あくまで裁判所は「金額も多額で、娯楽の域にとどまらない利益を得るための資産運用の一種」 と、例外的なケースだと見做したがゆえ、偶発性に由来する「一時所得」ではなく、 FXなど資産運用と同じ「雑所得」と判断したからだ。 原則は一時所得。当然、国税は競馬収入が90万円以上あった場合、年間収支がマイナスでも確定申告の義務が生じ、外れ馬券は必要経費に含まれないという 立場を変えていない。払戻金が年間90万円以上あるファンは星の数ほどいる。 「一般的な競馬ファンの“救済”までは至らなかった」 (デイリー)のである。 そもそも馬券は購入した時点で 10%を国庫に納付しているわけで、国税の行為は二重課税ではないか。 今回の裁判は馬券と税金の矛盾を曖昧なまま放置してきたツケが招いた結果だ。

JRAは売り上げ増のみを求め、課税リスクをきちんと説明しないまま高配当馬券の発売を推し進めてきた。三連単やWIN5で90万円以上の払い戻しを受けたファンのうち、 どれだけが正直に確定申告したのか。 ほとんどが”脱税者”の可能性だってある。彼らは潜在的な犯罪者であり、いつでも起訴されうるリスクを負っているわけだ。JRAは6か月を経過すると、払い戻しに関する個人データを消去している。 だから、JRA自身が国税に踏み込まれることはないと、タカをくくっているのかもしれない。 責任は申告しなかった個人にあると。 裁判に前後してJRAには「自分が受け取った払戻金が課税対象のケースにあたるのか」といった問い合わせが相次いでいる(産経)。そのため、今月からウェブサイトにFAQを掲載したというのだが、内容は…

Q.払戻金に税金はかかるのですか?
A.勝馬投票券の払戻金は税法上、課税対象となるケースがあり、 確定申告を要する場合があります。詳しくはお近くの税務署にお問い合わせください。 (JRA公式)

これほど人を小馬鹿にした解答はないだろう。 「誰でも100円で最高2億円を手にするチャンス」 「競馬初心者でもインターネットで簡単」と大々的に煽りながら、同時に生じる法的義務については 「詳しくはお近くの税務署に」と豆粒ほどの警告を記しているだけなのだから。 実際に刑事告訴されるファンが現れているなか、その原因となる ”商品”を売る公的機関としては極めて不誠実ではなかろうか。今回の件は競馬の根幹に関わる問題だ。 JRAも払戻金に対する課税を見直すべく、水面下で動き始めてはいるだろう。 だが、法改正までには時間を要する。 JRAは早急に今回の判決に関するステートメントを発表し、 これから上部機関にどのような働きかけをしていくのか、 ファンにどのような説明をするのか、明らかにすべきである。 都合の悪いときだけ「役所だから」と、ダンマリを決め込むのはあまりに格好が悪い。ファンが安心して馬券を買えるよう、心を砕いてほしい。

>>追徴課税5億円! あらわにされた「競馬と税金」の矛盾(2012/11/30) 

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