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2013.04.22

カミノタサハラ屈腱炎 G1週の高速馬場をどう考える?

弥生賞を勝ち、ダービーでも有力候補の1頭と目されていたカミノタサハラがクラシック戦線を離脱した。 今月14日、皐月賞で4着と好走した同馬だったが、 16日に脚元の異常が発覚。検査の結果、左前浅屈腱炎と分かり、全治1年の診断がくだされた。管理する国枝師は 「レコード決着になった高速馬場が影響したかどうかは分からないが、非常に残念」 (報知)と語った。 また京成杯優勝馬で皐月賞は12着に敗れたフェイムゲームも、 左前橈骨遠位端骨折を発症。こちらは全治6ヶ月。 宗像師によればレース中に負った可能性が高いとのことだ。 1分58秒0というコースレコードで決着した今年の皐月賞。 有力馬の故障が相次いだことで、速いタイムが出る硬い馬場がケガを生じさせたのではないかとの声も聞こえてくる。 しかし、故障と馬場の直接的な因果関係は明らかではない。どう考えればいいのか。

もともと中山最終週に行われる皐月賞は雨に祟られやすい季節も相まって、荒れた馬場になりやすい。過去10年、1分58秒台が計時されたのは2度だけであり(09年アンライバルド・04年ダイワメジャー)、ゴールドシップやヴィクトワールピサが優勝した近年も2分1秒前後が記録されている。いかに馬場の良いところに進路を確保できるかが、勝負の分かれ目となってきた。そのため、皐月賞は展開による紛れが多いことや悪い馬場を走る負担を嫌って、毎年のように出走権を持ちながら敢えてパスする陣営が現れるほどだ。かたやJRAとしては芝刈りや整地作業をして、少しでも”良い馬場”をつくりたいと願うのは自然なこと。では、今年はどれだけ高速馬場だったのだろうか。 1200メートル戦で比べると、前週の古馬オープン戦は1分9秒8。 対して、同じように先行馬が勝利した皐月賞当日の1000万クラスは1分8秒6だった。 スプリント戦で2つ下のクラスでも1秒以上速かったわけだ。

JRAの統計によれば、高速馬場だからといって故障発生率が高くなるデータはないそうだ。むしろ「硬かったり軟らかかったり、また凹凸があったりした場合に、競走馬の肢は競走馬自身の予想とは違う動きをしてしまう。これがもっとも事故につながりやすい」 (競走馬の科学)のだと言う。 また、骨折は芝が剥がれた跡に脚をとられるなど突発的なアクシデントとして起こり得るが、屈腱炎は些か性格が異なる。調教やレースで蓄積した「腱の疲労」がピークに達し、ある衝撃が引き金となって発症する。 カミノタサハラも100%健康だった状態から、高速馬場を走ったことで突然、屈腱炎になったわけではない。こうしたことを踏まえれば、JRAはレコード決着させたくて馬場を硬くしているわけではなく、平らで硬さを一定にしたほうが安全性が増すと判断して整備をしていることが知れよう。 とはいえ、硬い馬場がまったく競走馬に悪影響を及ぼさないかというと、そうではない。カミノタサハラの故障にショックを受けた蛯名正義はこう指摘する。

芝を刈った影響なのかよく分からないが、乗っていてすごく馬場が硬い印象だった。 これは今に始まったことじゃないけど、GⅠウィークに馬場を”造り込む”ってのはどうなんだろうね? 速い時計が出ることによって馬にダメージは残るし、事前にレースを予想するマスコミやファンにとっても親切じゃないと思うんだけど。馬場を奇麗に保つことはもちろん大切だが、 必要以上に手を加えるってのも考えものだと思う。(東京スポーツ 4/19)

確かに、もし同じようにフラットな馬場がふたつあると仮定して、ひとつは硬い馬場、もう一つは柔らかい馬場なら後者のほうがリスクは少なかろう。硬さがまったく馬に影響がないなら、コンクリートの上を走らせれば良いわけだから。 だが、馬場整備は自然を相手にしているようなもの。現実は机上の論とは程遠い。整地を疎かにすればケガをするリスクが増える。 一方、硬い馬場をつくれば重い疲労など他の要因が発生するやもしれない。その塩梅は計算式で出せるものではない。 ジレンマのなかで経験を重ね、データを収集し、ジョッキーなど関係者の意見に耳を傾けながら試行錯誤していくしかないのだろう。私たちファンも直情的にJRAの馬場づくりを非難したり、逆に高速馬場を不安視する見方を切り捨てるような拙速さは避けなければならない。いずれにしても、馬場というのは永遠の課題である。

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コメント

馬場の場合、海外との関係も考慮する必要があると思います。
より国際的な競馬を進めるつもりならば、よりウェットな馬場やポリトラックの導入など、「国際馬場」への変化が考慮されるべきでしょうし、
海外勢を閉め出し、国内市場を保護する方針を進めるならば、今同様、日本競馬の高速馬場を維持するべきではないかと思います。

人気・興業面を考えたら、国際化を目指した方が良いとは思いますが、権益・検疫等々いろいろな障害がありますから馬場だけでどうなるわけでもないんですけどね。

投稿: | 2013.04.25 03:02

オールウェザーがこれから海外でどうなるかなども気になりますね。欧米ほどでなくても、もう少し重めの馬場を持つ競馬場があっても、ひとつの特色になって面白いかなとも思います。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2013.04.30 03:28

高速馬場と怪我に因果関係がないと言うけど、人間が鉄靴履いてコンクリートの上を走ってたら腰や足に負担が掛かるのと同じ。だからマラソンランナーの靴はクッション性を求められたり改良されてきたんじゃないかな?
特に馬は人間よりも何倍も重いんだから、掛かる負担は相当なものだと思う。

大体、表彰式でハイヒール履いた人が普通に歩けてるのが異常。

投稿: ガー助 | 2013.05.13 10:42

>ガー助さま
硬い路面が影響がまったくないのは考えられないところ。調査研究を待ちたいです。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2013.05.22 02:42

馬場硬度とかダート厚との故障相関とかとっくに研究されてるはずですけど
馬場が硬くなれば直接の衝撃が増えて骨折等の骨へのダメージが増し、柔らかくすれば推進に使う力が増すので屈腱炎等の筋肉や健へのダメージが増すので結局は両方抑えるというのは無理なんですよ。

投稿: うーん | 2013.05.22 15:00

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