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2012.10.09

凱旋門賞回顧 オルフェーヴル夢砕かれた逆転負け

残り300メートル、大外からライバルたちを突き放して先頭に立ったオルフェーヴル。このとき、誰しもが日本競馬の悲願が達成されることを確信しただろう。それだけに一旦は楽に交わしたはずの先行馬にゴール寸前で差し返されるという、普通なら考えられない逆転負けは衝撃的すぎる結果である。この日、ロンシャンは10段階中8番目に悪い不良馬場。勝ちタイムは2分37秒68だが、アーネストヘミングウェイら他陣営のペースメーカーが刻んだペースは淀みないものだった。オルフェーヴルにとって最大の課題は折り合い。18番枠からゲートを出ると後方2、3番手に位置を取る。帯同馬アヴェンティーノは逃げたフォア賞とは対照的に中団後方に控え、少しずつ外に出してオルフェーヴルのやや前方にポジショニング。スタートしてすぐクラストゥスは何度も振り返ってオルフェーヴルを確認していたから、事前の作戦通りだったのだろう。調教パートナーが傍にいることで気持ちを落ち着かせること。そして、阪神大賞典の悪夢を再現させないことが目的ではなかったか。フォルスストレートでは馬群から2頭分ほど外を走っていたが、これはアヴェンティーノが逸走を防ぐ「壁」の役割を果たしていたことを意味する。おかげでオルフェーヴルは一瞬はバカつく仕草を見せたものの、スタミナを気性によってロスすることはほぼなく、最後のコーナーを迎えることができた。

ロンシャンの直線は長いとはいえ、先行勢有利と見られていた馬場。仕掛けのタイミングは難しかったはずだ。オルフェーヴルの手応えは絶好だった。馬なりで先団まで押し上げると、300メートル手前でスミヨンはムチを一発。 ゴーサインをもらったオルフェーヴルは一気に加速し、内で粘る4歳牝馬ソレミアに2馬身の差をつける。これだけ早くトップに出たのは鞍上にも予想外だったという。1頭になるとソラを使い、悪癖を出すのがヤンチャなチャンピオンホースの特徴。大きく内へ内へと切れ込んでいく。走りなれない馬場、そこで繰り出した爆発的な脚、さすがのオルフェーヴルも苦しかったのかもしれない。ともかく、ラチにぶつかるほどモタれたことで失速してしまった。そのためゴール前、わずか10メートルの地点でクビ差、伏兵馬に先着を許すことになったのだ。ソレミアを操ったペリエの騎乗は完璧だった。スタートからロスなく内を周り、オルフェーヴルが抜けだした後、一呼吸おいて仕掛けたタイミングは絶妙と言うしかない。もしライバルの癖を見抜いて、こうした手綱さばきをしたのならば恐るべき才能だ。だが、ペリエにしても、あそこまでオルフェーヴルの脚が鈍るとは思ってはいなかったようだ。実際、まともに追えてさえいたらオルフェーヴルは完勝していたはずだ。そうはならないのが競馬なのだが。

今年のレースで最も強い競馬をしたのはオルフェーヴルに違いないが、 勝ち馬として刻まれるのはソレミアである。エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタに続く銀メダル。悔しい、惜しい一戦だった。それでもディープインパクト後のような絶望感はない。日本のトップホースならば、十分に勝ち負けできることを改めてオルフェーヴルは示してくれた。そして、今回の遠征によって社台グループは凱旋門賞を制するに必要なメソッドを獲得することができたのだから。ロマンチシズムを排し、勝つために有利な選択は何かと問いを重ねた結果である。コースや駆け引きを熟知するスミヨンに手綱を任せたのは象徴だし、ディープが出走しなかったステップレースも挟んだのも一つだろう。現地の調教は小林智厩舎の協力を得ることで、通訳を介さずとも細かな意思疎通を可能にした。精神的、戦略的パートナーとして帯同馬を活用することができたのは飛躍的な前進だ。私は凱旋門賞を勝つことだけが世界一と認められる術ではないと思う。ドバイWCやジャパンカップも環境が異なるだけで、レベルで劣るわけではない。とは言え、この半世紀、日本のホースマンとファンが心から夢見てきたのがロンシャンで日の丸を掲げることであるならば、勝利を手にする日まで挑戦はやまないだろう。もうあと、一完歩だ。

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