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2012年5月の12件の記事

2012.05.29

ダービー回顧 岩田の気迫が呼び込んだハナ差の栄冠

勝った岩田も、2着に敗れた蛯名も、レース後に号泣した日本ダービー。歴史に残る死闘となった。明暗を分けた差はわずかハナ。12年前、河内アグネスフライトは先に抜けた武豊エアシャカールをハナ差だけ捉えて栄光を勝ち取ったが、必死の形相でゴールに飛び込まんとする 岩田ディープブリランテを蛯名フェノーメノは交わすことができなかった。ほんのコンマ数秒、仕掛けのタイミングが違っていたら、青葉賞組から初めてダービー馬が誕生していたかもしれない。だが、それが競馬だ。かつて、エルコンドルパサーで凱旋門賞2着と涙をのんだ蛯名は、またしてもすんでのところで大魚を逃した。どのジョッキーも追い込んでは届かないことを重々承知して臨んだ今年の高速馬場。ゲートが開いて先手を奪ったのはゼロス、2番手にトーセンホマレボシ、4番手にディープブリランテ。フェノーメノはその4馬身ほど後ろ。縦長の展開だ。ワールドエースとゴールドシップは中団やや後方につけた。1000メートル通過は59秒1と前週のオークスと同じ。しかし、そこからペースをあげても先行勢がバテないのが牡馬の底力。ウィリアムズのトーセンホマレボシは4コーナーから手綱をしごいて仕掛けていった。

NHKマイルCで失格処分を受け、オークスで圧勝したお手馬を悔しい思いで見つめた岩田。騎乗停止の間、毎日のようにディープブリランテに跨って調教をつけていたという。ハイペースでロングスパートをかけたトーセンホマレボシを見て、普通の判断ならつられて追い出すのは躊躇するのではないか。 ところが、岩田は早めに仕掛ける博打に出た。ディープブリランテは2ハロンしか脚を使えないことを熟知していたからだ。高速馬場を最大限に生かし、リードを広げて粘りこむしか死中に活路はない。ゴール前、燃料の尽きかけた同馬を叱咤し、岩田は激しく体を上下に揺らして追った。その様はまるでタクトを大きく振る指揮者のように見えたほど。岩田の気迫がハナ差の勝利を引き寄せた。ディープブリランテは燃えすぎる気性のために折り合いをつけることが難しく、一本調子の競馬で敗戦を重ねてきた。皐月賞後、矢作厩舎は矯正に取り組み、本番前には折り合いに自信を持つまでになっていた。速い流れはスムーズに追走しやすく、トーセンホマレボシを目標にできたのも幸運だった。戦前、私はダービーではなくNHKマイルを目指したほうがいいのではないかと考えていたが、まったく持って見込み違いであった。

フェノーメノも勝ち馬と同じサンデーレーシングの所属馬で、弥生賞までは岩田が手綱を取っていた。青葉賞は上がり34秒1の強い内容だったが、ダービーでも蛯名が理想的なポジションから全能力を引き出した。3着はトーセンホマレボシ。果敢にスパートしてコンマ1秒差、京都新聞杯のレコードはダテではなかった。ウィリアムズもまた、肉を切らせて骨を断つ、勇猛な騎乗を選んだ。4着に1番人気ワールドエース。調教は格好をつけたし、馬体も維持できた。 しかし、若駒S、きさらぎ賞と連戦した影響がダービーまで尾を引き、皐月賞から上積みを得る仕上げにはならなかった。福永はこの馬の競馬をした。高速馬場だからと好位につけるようなリスクは侵さなかった。騎乗ミスはない。上がりは出走馬最速も「4角でフェノーメノについていけず、最後もジリジリとしか伸びなかった」 (デイリー)と言うのも本当だろう。 だが、力が拮抗していれば、どこかでギャンブルをしないと勝てないのがクラシック。勝者が一人しかいない危うい賭けに踏み出すのは誰しも怖いが。5着にゴールドシップ。狙ったポジショニングができなかったが、内田は潔く自らの失敗を認めた。掲示板はディープインパクト産駒とステイゴールド産駒が独占。4着まではノーザンファームで育てられた馬である。勝ち馬のみパカパカファームの生産馬だが、わざわざ外から買ったディープ産駒がダービーを制すのだから相馬眼と育成技術はいつもながらに恐れ入る。

以下、着外の馬に目をやると、弥生賞1着、皐月賞4着と来たコスモオオゾラが6着。とにかく目立たないが、味のあるバイプレイヤーになる資質がある。先行したトリップが7着。皐月賞の大敗で人気は落としていたが、暮れのラジオNIKKI杯では1番人気を集めた馬。 立ち直るきっかけになれば。 デキは絶好に見えたグランデッツァは10着。先行したものの、坂でぱったりと止まったのは距離適性か。 皐月賞1番人気馬をあっさり袖にして帰国したデムーロの目、確かだった。リップ・サービスに惑わされてはならない。11着ジャスタウェイ、12着モンストールはマイラーゆえ、後方待機の競馬に徹した。ノーザンファームとの復縁が噂された武豊アルフレードも不発に終わった。NHKマイルの激走でお釣りはなかった。 良いところを見せたかっただろう武豊も、どうしようもなかったのではないか。出遅れたスピルバーグは14着。横山典、2週連続の「ポツン後方ママ」とあってはまたギャロップ記者に怒られそうだ。人気の一角、ヒストリカルはシンガリ負け。 馬体回復に専念して皐月賞をスキップしたのに、マイナス8キロ。走れる状態でなかった。

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2012.05.26

日本ダービー予想 2012

競馬の祭典、日本ダービー。データやローテーションを紐解けば、皐月賞馬に圧倒的な分があるように思える。しかし、敢えて皐月賞2着に敗れたワールドエースに本命を打ちたい。デビューこそ鮮やかな勝ち方だったが、王道を歩むはずだった同馬の歯車が狂ったのは若駒S。極悪馬場を後ろでじっくりと構えて逃げ馬を捕らえられず、賞金加算ができなかった。そのため、無理をして中一週のきさらぎ賞に参戦。勝利は収めたものの、以降の若葉S、皐月賞と体重維持に苦労することになった。ダービーは年明け5戦目。疲労がないわけはなく、この中間も少し楽をさせた部分はある。びっしりと追い切りを重ねてきたゴールドシップのほうが順調さに勝る。増して配当も高いのなら皐月賞馬を買わないほうが愚かかもしれない。それでもワールドエースに期待するのは、きさらぎ賞や若葉Sで見せた超一流の雰囲気に惚れ込んでいるから。特別なダービーだからこそ、一年間、クラシック戦線を観察してきて一番だと感じた馬に二重丸をつけたい。あの若駒Sも競馬を教えこんだ、ダービーのために必要な敗戦だったのだと思い返せる結末を願う。相手はゴールドシップ、一発あれば京都新聞杯のレコードはダテではないトーセンホマレボシ。

◎ワールドエース ○ゴールドシップ ▲トーセンホマレボシ
△ヒストリカル、ディープブリランテ、グランデッツァ

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2012.05.25

日本ダービー直前 反転し始めた池江厩舎の運気

日本ダービーの枠順が発表された。皐月賞馬ゴールドシップは6番、毎日杯を勝って臨むヒストリカルは2番枠に入った。そして、多いに注目を集めるワールドエースは中ほど8番枠を引き当てた。皐月賞はスタートで落馬寸前のアクシデントがあり、4コーナーでは大外を回らされて2着。ゴールドシップが内田博幸のマジックのような手綱捌きでロスない競馬ができたのとは対照的に、ワールドエースは不利に泣かされたレースだった。勝負事には目に見えない流れがある。今春、所属する池江泰寿厩舎の流れは最悪だ。去年、三冠を達成したオルフェーヴルは阪神大賞典は逸走、天皇賞は思わぬ惨敗。NHKマイルで2番人気を集めたマウントシャスタは失格処分。ドン底と言っていい。

だが、運気というものは常に高いところに留まることはできない。上がったり下がったりする波のようなもの。頂きが高ければ、当然、谷は深くなる。そんなときはじっと耐え忍ぶしかない。天皇賞のレース後、茫然自失とした姿を広く伝えられた池江師だったが、恐らくあそこが谷底だった。今週、スポーツ紙にはTIMを従えて『命』のポーズを決める晴れやかな池江師の写真が掲載された。後ろ向きにならず、ダービーを盛り上げようと明るく取材に応じる姿勢は素晴らしい。反転し始めた運気を示すように、ダービーの枠順は従前から望んでいた通り。サンデーレーシングの勝負服に似合う、後入れの偶数枠だった。ここなら無理なく中団を取れるはずだ。

鞍上の福永祐一にとっても、今年のダービーは勝負がかかる。リーディングは獲得したものの、牡馬で大きなレースは一つも勝てていない。キングヘイローを御しきれなかったダービーから14年、誰もが認めるトップジョッキーとなるために獲得しなければならない勲章だ。余談だが、ダービーのプレゼンターはAKB48のメンバー、篠田麻里子、高橋みなみ、高城亜樹だという。ならば、サイン馬券は4枠8番と考えるのが自然。ワールドエースが勝てば福永、池江、サンデーレーシングの『FIS48がトップ当選!』などという見出しが踊るかもしれない。

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2012.05.23

最後方シンガリ負け ギャロップ記者が横山典弘を批判

腹が立ってしかたないことがひとつある。それは、ココロチラリに騎乗した横山典騎手に対してだ。 スタートからまったくやる気がなく、 離れた最後方を馬なりで走る。直線に向いてもそのままである。 21日の朝刊でも敗因のコメントは調教師が代弁し「トモが気になった」とだけである。 …「あんな走りをしたならばコメントぐらいしっかりとやれ」と言いたい。 (Gallop Online「【オークス回顧】横山典騎手の“やる気なさ”は問題」)

普段、ジョッキーや調教師に批判めいたことは言いづらい競馬マスコミだが、ギャロップ誌の記者が珍しく横山典弘の騎乗を酷評している。槍玉に挙げられたのはオークスのココロチラリ。同馬はスイートピーSで2着して出走権を獲った尾関厩舎のエアジハード産駒で、 オーナーはドクターコパの奥方である。馬体重は2走前と比べてマイナス18キロ。素人目にもデキは最低だった。横山典の手綱はどのようなものだったのか。レースでは大外枠に入って出遅れ、馬群から離れて追走する形となった。いわゆる「ポツン最後方」だ。時折、この乗り方は鮮やかに決まることもあり、それだけで非難されるべきものではない。尤も、今回のポツン最後方は戦術というより、やむを得ぬ選択だったよう。勝負どころでも上がっていく気配すらなく、 直線は一度もムチを入れないまま大差、シンガリ18着で入線したのである。

16番人気とはいえ、馬券を買っていたファンからすれば、納得いかないのは当たり前だ。 レースぶりを見れば勝ち負けできない状態だったのは明らかだが、直前のスポーツ紙では「ココロチラリ、力強い脚さばき」という見出しも踊っていた。 レース後、横山典は取材を拒んだのか、週刊ギャロップではただ1人コメントが掲載されていない。 私は記者が指摘するように「やる気がなかった」とは思わないが、きちんとした理由を公に発するべきだという立場は支持する。 とはいえ、「コメントぐらいしっかりとやれ」と一ファンのように吐き捨てる態度はいただけない。社としてプレスパスを取得し、関係者の声を伝えるのが競馬メディアの本分なら、最初に矛先を向けるのは自らの取材姿勢ではないか。なぜ担当記者に「コメントぐらいしっかりとれ」と言わないのか。正面切って問題提起したのは立派だ。だからこそ、投げっぱなしで終わらせずに落とし前はつけてほしい。それが批判された横山典に対しても読者に対しても果たすべき責任だろう。そうした積み重ねが競馬界を風通しの良いものにしていくと思う。再取材と続報に期待したい。

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2012.05.22

オークス回顧 ジェンティルドンナの圧勝劇が示すもの

ゴール後、計時されたタイムに目を疑ったファンも多かったのではないか。2分23秒6は従来のオークスレコードを1秒7更新し、キングカメハメハのダービーレコードにコンマ3秒差迫るものだった。レースはマイネエポナがハナを切り、エピセアローム、オメガハートランドらが続く。前半1000メートルは59秒1、次の1ハロンも11秒0と緩むことのない前傾ラップが刻まれた。この流れをジェンティルドンナは後方待機、1番人気ミッドサマーフェアをピッタリとマークした。 直線、ジェンティルドンナは外に持ちだすと、他馬とは次元の違う末脚を繰り出す。上がりは34秒2。ゴールに向けて加速を続け、勝利を確信してからは流す余裕さえあった。5馬身後ろにヴィルシーナ。桜花賞と同じワンツーだった。改修後、タフなコースに生まれ変わった 阪神マイルは強い馬が力通りに好走するようになったが、厳しい展開の今年のオークスも伏兵が割り込む隙はなかったということ。ジェンティルドンナとヴィルシーナの実力差がこれほどあるとは予想していなかったが。

もう一つ、予想できなかったのがミッドサマーフェアの惨敗だ。直線では伸びるところなく馬群に沈み13着。フローラSで完勝したアイスフォーリスが3着なのだから、本来なら上位争いできたはず。スタートして少しかかる場面があり、スタミナを浪費したのは痛かった。フローラSではスローを好位で折り合えただけに意外だったが、前走とはメンタル面が違っていたのではないか。追い切りは坂路4ハロン48秒8という一番時計を叩き出し、さらに前日も「気持ち体が立派に見えた」(小島太師)と坂路に入れて 4ハロン58秒6~12秒1を計測。3歳牝馬の定石から外れた猛稽古は体調の良さを現すものとみられていた。だが、結果論から言えば、 同馬は調教で燃え尽き、本番は抜け殻になっていた。追い切りのラップは中間2、3ハロン目がそれぞれ11秒6、終いは失速して12秒5。初めての2400メートルに挑むには似つかわしくないパターンであり、ファンの側も疑問を持つべきだった。私自身、ダーレーのクラシック制覇を楽しみにするところが大きく、冷静な判断ができなかった。

ジェンティルドンナは桜花賞後、ノーザンファームしがらきに放牧されていた。4月19日の帰厩後も石坂師はオーナーサイドと二輪三脚で最終調整を進めたはずだ。社台グループでもノーザンファームの躍進は凄まじい。今月、私はノーザンファーム早来、空港を見学してきたが、広大な放牧地や800メートルの屋内坂路など育成環境の素晴らしさに舌を巻いた。しかし、それ以上に施設を使いこなす、個々のスタッフの技術や意識の高さが快進撃を支えているのだと考えさせられる部分が多々あった。 日々変わる馬の状態は跨った者しか分からない。どれほど負担をかけるのか、緩めるのか。人を信頼させ物怖じしない性格にするには何が必要か。レースでは数センチの差が明暗分かつからこそ、細部を大切にする者が勝負を制す。オーナーブリーダーがトレセンを凌ぐ施設を構え、外厩が調整の核となった現在、牧場の技術、意識の差が成績に直結する傾向は強まるばかりだ。 桜より進化したジェンティルドンナの圧勝劇は、ノーザンファームの総合的マネジメント力の勝利だった。日本ではまだダーレーより何日もの日の長があったということだろう。

2着ヴィルシーナもノーザンファームの生産馬。距離伸びればジェンティルドンナと逆転できると2番人気に推されたが、道中から手応えはいま一歩だった。それでも連対を確保したのだから立派なもの。3着アイスフォーリスは内を突いて良く伸びた。4着アイムユアーズは前々で競馬をしながらしぶとく残った。マイルのほうが適性があるのは明らかで、短距離路線では大いに活躍が見込める。ところでレース後、残念なことがあった。ミッドサマーフェアの調教を担当していた小島良太助手のブログとツイッターが休止してしまったのだ。 一部の心ないコメントに嫌気が差したよう。週刊ギャロップなどでも連載を持つ人気ホースマンの声が聞けなくなるのは惜しい。ブログでは「クラシックで1番人気に支持される馬に出会えたことが何より嬉しい」とミッドサマーフェアへの期待の大きさが綴られていた。オークスの結果はショックだろうが、この敗戦を糧に秋華賞での巻き返しへ向けて頑張ってほしい。社台グループを先頭にして現場のホースマンたちが切磋琢磨することで、日本競馬のレベルはさらに上がっていくはずだ。

*ミッドサマーフェアはレース中に左前繋靱帯炎を発症していたことが判明した。全治は未定。

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2012.05.20

オークス予想 2012

桜花賞から4ハロンもの距離延長となるオークス。すべての馬が初体験となれば必然、ジョッキーたちは慎重になって 流れは緩くなる。桜花賞で上位入線したマイラーがそのままオークスでも活躍する理由である。しかし、今年は敢えて中距離路線を歩んできた馬に白羽の矢を立てたい。ミッドサマーフェア◎。勝ち上がるまでに苦労したが、未勝利の時計は前週のフェアリーSより1秒早かった。それから一戦ごとに力をつけ、前走のフローラSは スローペースを好位で追走すると、直線は後続を悠々と引き離して2馬身半差の完勝。相手関係が軽かったとはいえ、世代では抜けた実力があると認めざるを得ない勝ち方だった。今回も好位から抜け出す競馬をするだろうが、先行勢が有利な今の府中は同馬を後押しすることになりそうだ。相手は桜2着のヴィルシーナ。2歳時に2千メートルを使うなどオークスを照準にしてきた。クイーンCも勝利しており、府中は能力をフルに発揮できるコースだ。3番手に桜花賞馬ジェンティルドンナ。この上位3頭がワンツーを決めるとみる。 連下は3連単の紐に。

◎ミッドサマーフェア ○ヴィルシーナ ▲ジェンティルドンナ
△アイムユアーズ、オメガハートランド、メイショウスザンナ、ハナズゴール

 

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2012.05.17

社台と復縁か 武豊がローズキングダムに再騎乗

安田記念に出走するローズキングダムの手綱を武豊が取ることが明らかになった。同馬はサンデーレーシングの所属馬。この前にはキャロットクラブのアルフレードにダービーで騎乗することも発表されていた。ローズキングダムは後藤が落馬による負傷のため、アルフレードはウィリアムズがトーセンホマレボシを選択したため、お鉢が回ってきた格好だ。この1年、武豊は社台グループからほとんど依頼を受けられず、成績低迷の最大の原因となっていた。事実上の絶縁状態。その理由は未だに判然としないが、昨年の天皇賞春でのローズキングダムの大敗をきっかけにして「夏場に東西トレセンの厩舎関係者に『今後は武豊を乗せないでくれ』という趣旨の一斉通達が出された」(競馬最強の法則 2011/1)と一部では報じられている。苦境にあえぐ武豊を支援するかようにメイショウ、スマート、ショウナンといった個人馬主やダーレーが騎乗馬を積極的に回すようになり、今年に入ってからは希薄だったマイネルとの関係も強化。巨大グループに挑む元リーディングジョッキーの生き様に、最近では武豊を判官贔屓する向きも出てきていた。

しかし、ここに来て社台グループ、とりわけノーザンファーム系のサンデーレーシング、キャロットクラブからの相次ぐG1オファー。 調教師が仲を取り持ったのかもしれないが、 冷えきった両者の関係に雪解けが始まったのは間違いない。この間、条件戦では少ないながらも社台グループの馬に乗っていたし、キャロットクラブのパーティーにビデオレターを寄せてもいた。和解を模索する動きは一部の関係者によって続いていたのだろう。1990年代以降、競馬界の牽引役となってきたのは社台グループと武豊であった。かつては、凱旋門賞で人気を集めたホワイトマズルに周囲の反対を押し切って配したほど、分かちがたい蜜月時代が長く続いていた。そろそろ何が理由なのかもはっきりしない、不健全な反目は清算されるべきときではないか。表で批難しあう激しさがあればまだしも、当事者もマスコミも押し黙ったままの現況は陰湿さがにじみ出るだけ。競馬界に一文の得もない。武豊にとっては復縁を確固たるものにできるか、ダービー、安田記念は大切な戦いになる。 誰もを唸らす手綱さばきを期待したい。

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2012.05.13

ヴィクトリアマイル予想 2012

この週末は北海道に来ている。昨日はノーザンファームを訪ねて、馬を生産、調教することへのプロフェッショナルとしての意識の高さに改めて驚かされた。しかし、いつまでも社台グループばかりでは競馬は面白くない。ヴィクトリアマイルは日高産、フミノイマージンに頑張ってもらおう。前走は不利があって3着に敗れたが、重賞2勝馬の力を示す内容だった。同じ東京マイルで行われた東京新聞杯は前残りの展開を後方追い込んでコンマ4秒差の4着。牡馬相手に互角以上の競馬をしており、やはり広い府中こそエンジンのかかりの遅い同馬には合っているのだと感じさせられた。相手はG1を5勝しているアパパネ。叩き2走目の激変は十八番。単穴にはアプリコットフィズ。この馬も府中マイルは得意。

◎フミノイマージン ○アパパネ ▲アプリコットフィズ
△マルセリーナ、ホエールキャプチャ、オールザットジャズ、ドナウブルー

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2012.05.08

NHKマイルC回顧 24年ぶりの逃げ切りと失格と

カレンブラックヒルが無敗の4連勝を飾ったNHKマイルC。底力が問われる東京のマイルGⅠで逃げ切り勝ちを収めたのは、1988年のニッポーテイオー(安田記念) 以来、24年ぶりというから驚きだ。直前に降った激しい雨はゲートが切られるときにはあがっていた。レースはハナを叩くと予想されていたメジャーアスリートが行き脚つかず、果敢に先行すると宣言していたサドンストームも出遅れ。代わって好ダッシュを決めたカレンブラックヒルが迷わず、自然とハナを奪った。鞍上の秋山真一郎が前述のデータを知っていたかどうかは分からないが、馬の力を信じてゴーサインを出した判断が勝利を引き寄せる結果につながった。意外にも1000メートルは59秒9のスロー。特に5ハロン目は12秒6と十分に息を入れられるほどで、カレンブラックヒルの悠々とした独り旅となった。もともと力は一枚上。 直線、後続は追い上げを図るが、カレンブラックヒルは逆にリードを広げて3馬身半の差をつけてゴール板を通過した。秋山真一郎と平田師の初GⅠ制覇。5年前、ベッラレイアでハナ差負けを喫したオークスの雪辱を同じ府中の舞台で果たした。

秋山らの爽やかな快勝劇とは対照的に、レースそのものはモヤモヤしたものが胸に残るものになった 原因はマウントシャスタの岩田が引き起こした落馬事故だ。直線半ば、外のオリービンにピッタリと蓋をされたマウントシャスタは、前にいたアルフレードが壁になって進路を失った。スローペースだけに早く仕掛けたい焦りがあったのだろう、岩田は強引に内側へ馬を向けた。その瞬間、後ろのシゲルスダチの脚を引っ掛けてしまったのだ。同馬は転倒、後藤は地上に叩きつけられた。言い訳のしようがない岩田のミスだった。後藤はけい椎骨折などで今週末まで入院の見込みだが、人馬とも命にかかわるようなケガでなかったのは不幸中の幸いだ。 岩田はオークス当日まで4日間の騎乗停止。GⅠでの失格は1988年のスーパークリーク(有馬記念)以来で、降着制度が導入されてからは初めて。こちらも24年ぶりだ。アクシデントがなければマウントシャスタは2着、3着はあった内容だったが、 池江泰寿厩舎、オルフェーヴル惨敗から流れが悪い。

2着は朝日杯勝ち馬アルフレード。 前走は調整失敗、道悪と不利な条件が重なって大敗したが、2歳王者として力のあるところを証明した。スプリングSから続けて騎乗するはずだった松岡を下ろし、朝日杯の鞍上だったウィリアムズを配しての一戦。陣営も巻き返す自信があったのだろう。3着は15番人気クラレント。もともとデイリー杯2歳Sで強い勝ち方をして将来を嘱望された馬だったが、東スポ杯で放馬して負けてからリズムを崩していた。皐月賞やその他のレースをパスして、NHKマイルCに照準を絞った我慢強い調整がクラレントを復活させた。勝ったカレンブラックヒルはダービーか安田記念に向かう予定だ。父ダイワメジャーと同じく距離の融通が効きそうだから、どちらに出てきても面白い存在になるはず。 だが、マイルがベストなのは間違いなく、安田記念で古馬一線級とスピード比べが見てみたいと個人的には思う。

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2012.05.06

NHKマイルC予想 2012

土曜のプリンシパルSは1番人気のスピルバーグが他馬を圧倒したが、その勝ち馬に先着しているのがマウントシャスタだ。2月にデビューすると、500万条件では忘れな草賞を勝つ キャトルフィーユを降して連勝。前走の毎日杯ではゴール前で追い込みに屈したものの、馬場の悪い内側に進路を取ったことを考えると、ほぼ勝ちに等しい内容だった。陣営がワールドエースと五分の力があると公言しているのも、あながち嘘ではなかろう。ディープインパクト産駒はマイル戦を得意としており、距離短縮も気にならない。むしろ、東京の1600メートルはスタミナが問われるため、マイラーより中距離馬のほうが力を発揮しやすい。キャリア3戦の浅さが不安視されているが、このレースと好相性の毎日杯組のデータを重視したい。相手はアーリントンCを勝っているジャスタウェイ。新潟2歳Sと同じ左回りで伸び伸びとした競馬ができるはず。3番手に2歳王者アルフレード。前走は追い切りで強い負荷をかけすぎた。ウィリアムズで巻き返し。

◎マウントシャスタ ○ジャスタウェイ ▲アルフレード
△カレンブラックヒル、サドンストーム、レオアクティブ

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2012.05.05

京都新聞杯予想 2012

ダービーへの最終切符をめぐって争われる京都新聞杯。今年の出走のボーダーは1950万円前後になる見込みだから、2着の賞金加算でも2勝馬なら東京優駿への夢がつなげそうだ。注目したいのは皐月賞7着のベールドインパクト。すみれSは完勝だったし、最もレベルが高いと言われたきさらぎ賞でも3着。NHKマイルでも人気になっているジャスタウェイに先着している。追い切りの動きが良くないと人気を下げているが、ここで好走しなければダービーは望めない。相手はコース取りの差で弥生賞を落としたと言ってもいいエキストラエンド。3番手に良馬場で巻き返したいアドマイヤバラード。

◎ベールドインパクト ○エキストラエンド ▲アドマイヤバラード
△トーセンホマレボシ、メイショウカドマツ、ヴァンセンヌ

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2012.05.02

天皇賞春回顧 オルフェーヴル惨敗の原因はどこに?

天皇賞春、惨敗を喫したオルフェーヴル。私も三冠馬らしい圧勝を期待して淀のスタンドで観戦していたから、まさかの大敗に衝撃を受けている。敗因を特定するのは難しいが、池添や陣営がコメントしたように 「硬い馬場があわなかった」という単純なものではないはず。まず、レースの展開面から振り返りたい。スタートしてすぐ池添はオルフェーヴルの手綱を抑え、内へ切り込みながら馬群後方へ導いていく。前走のアクシデントは壁をつくれずに引っかかったのが原因だから、その判断は至極真っ当だし、十分に予測できたものだった。レースはゴールデンハインドがハナに立ち、ビートブラックが2番手。2ハロン目は11秒6、3ハロン目は11秒3を刻み、4コーナーでは4番手以下の集団を引き離して縦長の隊列となった。2騎は1周目の直線に入ってからもスローに落とすことはなく、2コーナー近辺でも12秒前半をキープする。逆に後方の馬たちは13秒前後にラップを緩めたため、さらに前との差が開いてしまった。そろそろ差をつめなければならない向こう正面、レースを引っ張る2頭は加速。リードは縮まらない。ゴールデンハインドは一杯になったが、ビートブラックには余力があった。後方との差は15馬身。この時点で勝負は決していた。

ゴールまでビートブラックは12秒前半の脚を使い続けた。実にステイヤーらしいレースぶりである。トーセンジョーダンウインバリアシオンは残り3ハロン、11秒前後で上がってきているわけだが、ビートブラックとの距離から換算すれば物理的に届きようがない。京都での逃走劇と言えば、一昨年のエリザベス女王杯が思い出される。あのときも先手を奪った2頭はいずれ止まるだろうという思い込みと、後方に位置していたブエナビスタにマークが集中していたことが波乱の引き金になったが、 騎手の集団心理は今回もほとんど同じであろう。池添は有馬記念のように、向こう正面の登りでオルフェーヴルを動かそうとしていた。 しかし、反応は薄く、つられてライバルの仕掛けも遅れた。勢いのつく坂の下りで差をつめるのは難しい。もちろん、ビートブラックの勝因が絶好調に仕上げた陣営の腕と、スタミナを活かす競馬に徹した石橋脩の果断な手綱さばきにあることは言うまでもない。高速馬場を最大限に利用するため、石橋は決してラップを緩めなかった。一方、「折り合い」に縛られたオルフェーヴルと、それに付き合った有力馬の敵失がなければ、こうした結果は生まれなかったのも事実である。

もう一つ、敗因として踏まえなければならないには、勝負どころで思うように反応できなかったオルフェーヴルの体調面だ。阪神大賞典の後、同馬は3月28日から4月11日の調教再審査まで不慣れなダートコースに繰り返し入れられてきた。普段と異なる調整過程やスタッフの雰囲気は馬に伝わるもの。一部ではボロが緩く下痢をしているとの報道も出ていたから、 マイナスの影響があったのは違いなさそうだ。本番で初めてつけた耳をふさぐメンコも、いつものうるささが消えたオルフェーヴルには邪魔なものでしかなかった。私は阪神大賞典の回顧記事で 「陣営が考えなくてはならないのは、いかに精神面にゆとりを持たせてゲートに入れるか」 「最大の目標が凱旋門賞であるのならば、天皇賞春はパスするのが得策ではないか」と指摘したが、図らずも今、その思いを強く持たざるをえないのは残念である。レース後、池江泰寿師は宝塚記念をステップにして凱旋門賞に挑戦するか判断する意向を明らかにしている。私はこの戦略には賛成しない。凱旋門賞を勝ちに行くならロンシャンで前哨戦を使うのは必須で、体調を見極めて早めに渡欧すべきだからだ。次走を宝塚記念と定めるなら、秋は国内専念だろう。 流行りの話ではないが、二股をかけて碌なことがないのは色恋沙汰に限らない。

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