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2012.03.22

”逸走”オルフェーヴル 予定通り天皇賞春へ参戦

阪神大賞典で「逸走」し、単勝1.1倍の人気を裏切ったオルフェーヴル。その動向が注目されていたが、当初からの予定通り春の天皇賞へ駒を進めることが明らかになった。今後は平地調教再審査に向けて矯正を行い、合格をめざすという。オルフェーヴルは記録上、「2週目3コーナーで外側に逃避」して再審査が課されたわけだが、鞍上の命令を聞かずに逸走したわけではない。過去、オルフェーヴルは二度もゴール後に騎手を振り落としたり、気の悪さを出して10着に大敗したりと、例を見ないヤンチャな三冠馬であったのは確かだ。尤も、気性の激しさはレースへの闘争心と表裏一体であり、陣営はオルフェーヴルに慎重に競馬を教えて能力を開花させてきた。しかし、阪神大賞典のアクシデントをまたもや2歳時のような幼さが首をもたげてきたのだと捉えるのは間違っている。簡単にレースを振り返っておきたい。

いつにない好スタートを切ったオルフェーヴルは長距離戦のペースに逆らい、池添は必死になだめる。本来なら前に馬を置いて、有馬記念のようにラチ沿いで折り合いをつけたかったはず。だが、大外枠を引いたため、そうした競馬はかなわなかった。それでも一度は落ち着かせたかに見えたが、1週目の4コーナーでナムラクレセントがまくっていくと堪らずにエキサイト。いつものように直線を向いて加速しようとしたのかもしれない。結局、この先はヤネと喧嘩しっぱなし。池添はコーナーで外々を回してハナに立たせないようにする。陣営はレースの課題としてスローペースでも我慢する「ヨーロッパ型の競馬を教える」としていたから、無理をしても抑えるしか選択肢はなかったのだろう。3コーナーの入り口で先頭に出たオルフェーヴルに池添はブレーキをかけた。このとき馬群が視界から消え、1頭になっていたオルフェーヴルは競馬は終わったのだと理解したのではないか。

逸走というのは鞍上の意に反してコーナーを曲がりきれずに起こるものだが、オルフェーヴルは外を走りながらも3コーナーで内へ進路を取ろうとしている。競走をやめようとしたゆえ、結果的に「外側に逃避」したように見えなくもないが、「逸走」とは違う。帰厩してわずか3週間。ひさびさの競馬がスタンド前を2度走る長距離戦とあって、折り合いがつかなかったのは事実だ。それはオルフェーヴルの気性の激しさに一因がある。しかし、ただバカついて、こんな珍事を起こしたわけではない。レースの中で修正するチャンスは幾らかはあっただろうし、同じようなことは菊花賞や有馬記念でも起こり得た。だから、調教再審査にどれだけの実効性があるかは疑問だし、むしろ陣営が考えなくてはならないのは、いかに精神面にゆとりを持たせてゲートに入れるかではないか。その具体策は素人風情には分からないが、トレーニングの多くをノーザンファームしがらきなどの外厩に任せ、直前入厩させることのメリット、デメリットを省みる必要もあろう。

オルフェーヴルは盾で再び3000メートル超の長距離戦に挑む。阪神大賞典よりはカリカリした面が減じるだろう本番、やってはいけない乗り方を重々認識した池添は、去年までのように上手くエスコートするはずだ。個人的には最大の目標が凱旋門賞であるのならば、天皇賞春はパスするのが得策ではないかと考えていた。阪神大賞典は後半の巻き返しで想定以上に体力を浪費したし、坂路ばかりで調教されてきた同馬が平地コースで審査を受けなければならないのは多少なりとも負担になる。何より淀の3200メートルは例え楽勝するとしても、心身を激しく消耗する戦いになる。ただ、陣営は参戦を決めたのだから、肉体的なダメージはそれほどないと信じたい。凱旋門賞に思いを馳せると、ライバルのゲートが遅いヨーロッパでは、オルフェーヴルは必然と先頭へ押し出されるシーンが想像される。今回の衆目環視のアクシデントが、さらなる気性の成長という課題を陣営に再認識させ、世界の頂点に立つためには欠かせない通過点だったと振り返る日が来ることを願いたい。

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コメント

オルフェーブル逸走事件においては
はたして抑える競馬が本当に必要なのかということも
議論になっていいような気がします。

スローペースを抑え込んでヨーイドン。
この競馬を教え込んで、それではたして大目標である凱旋門が勝てるのでしょうか?
国内ではこの戦法でおそらく敵無しでしょう。
しかし斤量で非常に有利なあちらの3歳牝馬とスローからの瞬発力勝負する選択が、ベストであるとは思えないのですが・・・
むしろ海外で勝とうとするなら、スローであれば早め先頭にたって押し切るような競馬を教えるべきなんじゃないでしょうか。
もちろん馬の気性や適正など事情があるのでしょうけど。

投稿: | 2012.03.23 09:50

ナムラクレセント、本番では同じ事できないでしょうね
っていうか、これだけの強い馬がこれだけの弱点をさらけ出しても、他の陣営はスルーするんでしょう。
凱旋門賞へ行く競馬界の主役の馬を傷付けるわけいかないというような、腫れ物に触るような天皇賞になりそう
ディープさんもそうだったように・・・

投稿: フンテラール | 2012.03.23 18:12

>ななしさま
向こうの競馬は我慢を重ねないと勝てないので、その辺りは陣営も難しいでしょうね。逃げるオルフェーヴルはファンとしては観てみたいですが。

>フンテラールさま
ナムラクレセントも意図的にというより、持って行かれた感じがありましたから、本番でも同じような場面が見られるかもしれませんよ。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2012.03.25 12:37

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