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2011.12.20

有馬記念に”神”はいる? 再び武豊は奇跡を起こすか 

1990年12月23日、中山競馬場は17万の観衆で埋め尽くされていた。史上空前の競馬ブームを巻き起こしたオグリキャップは4番人気。天皇賞秋、ジャパンカップと大敗し、「もう走らせるな」という声がマスコミからもファンからもあがっていた。引退レースと決めた有馬記念でコンビを組むことになったのは武豊。アイドルホースのラストランにアイドルジョッキーが乗って勝つ。そんなベタな台本が現実のものとなるなど真面目に語るファンはいなかった。だからこそ、直線で芦毛の馬体が先頭に躍り出たときにはスタンドから絶叫があがり、レース後はいつまでもオグリコールが響き続けていたのだ。このとき武豊は21歳。以降、競馬界を代表するホースマンとして名を知らしめ、 2008年まで16年間に渡って騎手リーディングのトップを堅持してきた。一昨年、その武豊は落馬事故をきっかけにして不調に陥り、フィジカル面では大きな問題がなくなったはずの今年も苦しい闘いを強いられている。

デビュー2年目、スーパークリークで菊花賞を制覇してから、去年のジャパンカップをローズキングダムで優勝するまで、 武豊は前人未到の中央GⅠ23年連続勝利の記録を更新してきた。しかし、今年のGⅠでは連対すらできていない。それもそのはず。 19回騎乗したうち10回を二桁人気の馬が占め、最初から勝ち負けにならないケースが少なくなかったからだ。それでも、この秋は11番人気トレイルブレイザーをジャパンカップ4着、ジャパンカップダートで10番人気ラヴェリータを4着に導くなど、さすがユタカと喝采を贈りたくなる手綱さばきを見せている。成績低迷は技術的、体力的な問題ではなく、有力馬が回ってこないことがほとんどの理由ではないか。 netkeibaのコラムで武豊と関係の深い島田明宏氏は、またすぐに年間150勝するようになるだろうと考察し、「馬が外国人騎手の手にわたってしまったことも、GⅠから遠ざかっている一因」と指摘している。もちろん、正鵠を射ていると思うのだが、一方で福永や岩田にも勝利数で倍も水をあけられているのは、社台グループの有力馬に乗れなくなったことに言及しなけれ説明はできまい。先週まで武豊の勝ち鞍は62。このうち社台グループの所有馬は4鞍。キャロットファームが2鞍、GⅠレーシングと吉田和美名義が1鞍ずつで、いずれも条件戦だった。

表立って社台グループと武豊の確執を伝えるメディアはない。わずかに競馬最強の法則が報じるところでは、天皇賞春でのローズキングダムの大敗をきっかけにして、「夏場に東西トレセンの厩舎関係者に 『今後は武豊を乗せないでくれ』という趣旨の一斉通達が出された」という。 だが、わずか1度のミス(仮にミスだとして)で、一騎手に対して社台グループが結束してここまでの仕打ちをするだろうか。真相はよく分からない。こうしたなか、阪神JFで騎乗したサウンドオブハートは重賞実績もないにも関わらず、1番人気に支持された。記録更新への期待が込められたオッズだった。結果的に枠順が響いて3着に敗れたのだが、武豊は心境を素直に綴っている。

以前なら「人気になり過ぎ」としかめっ面をしていたところかもしれませんが、今回はファンの皆さんの支持が不思議なほど暖かく感じました。/ボクの24年連続のGI勝利記録の継続がここでつながるはず、と信じてくれる方がこんなにもいらっしゃるとは、正直想像していませんでした。結果にはつなげられませんでしたが、勇気をもらった気がしています。今週、来週は中山でGIが開催されますが、ボクは阪神で騎乗する予定です。記録はどうやら途切れてしまったようですが、久々に「ユタカ人気」を経験できたのはうれしかったです。お礼を申し上げます。(武豊オフィシャルサイトより)

見方によっては敗北宣言にもとれる文面。しかし、まったくもって驚かされるハプニングが起きた。有馬記念でペルーサに乗るはずの横山典弘が先週、騎乗停止になって安藤勝己に乗り替わりに。安藤が騎乗を予定していたレッドデイヴィスに武豊が指名されたのだ。同馬はオルフェーヴルを負かしたこともある素質の持ち主。実績は足りなくても、底は見せていない。もし、これで武豊が優勝するとしたら、あまりにも出来すぎたストーリーだろう。漫画では面白く読めても、こんなことを根拠にして予想は組み立てられない。だが、オグリキャップに代表されるように、誰しもが感動できる物語が繰り返されてきたのが有馬記念である。今年のCMはオグリキャプ復活が題材で、キャッチコピーは「神はいる。そう思った」。競馬の神を信じるか否かはファンそれぞれ。ただ、確かに言えることは、2011年、特別な年の暮れを目前にして、ようやく役者が揃ったということだ。いま武豊は42歳。あの有馬記念から、ちょうど倍の年齢を重ねたことになる。果たして今年はどんなドラマを見せてくれるのか。

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コメント

素晴らしい記事ですね^^今週末に向けてテンションが一気に上がりました(笑)ネットでは噂が一人歩きしてるみたいなんですが真相はどうなんでしょうか?応援はしてたけど今年の天皇賞春、ローズキングダムは厳しいんじゃないかなぁとレース前から思ってたんですが…菊花賞の時点で武豊騎手も3000は長いみたいなことを言ってたし。個人的には今年の春はドバイとか行くのかなぁと思ってたんですが。

まぁ、なんにせよ今年レッドデイヴィスがもし勝つようなことがあれば中山競馬場、とんでもないことになりそうですよね(笑)過度に期待し過ぎず、でも応援したいと思います。

すいません、あとよければガトー@馬耳東風さんのブログとホームページ、相互リンクさせてもらえないでしょうか。よければよろしくお願いします。

投稿: だいすけ | 2011.12.22 03:40

典さんの騎乗停止でペルーサにチェンジした安藤さんがペルーサ回避で有馬不参加になりましたね。

出られないはずだった武さんが出られて
騎乗馬も決まっていて出られるはずだった安藤さんが不参加とは・・・

もしペルーサに騎乗馬がいなかった武さんが
最初から乗り変わっていたとしたら
「なんだやっぱり出られないんだ」だったわけで。
ホントに何かが働いているとしか・・・
「事実は小説よりも奇なり」
そんな言葉が頭をよぎります。

投稿: | 2011.12.24 06:51

日本で一番有名な騎手とオーナー(グループ)がこんな関係なのに本当にどこもきちんと書きませんな~
それに同業者、トレセン内からも真相が聞こえてこないし・・・
まるでどっかの国みたいです
社台の元料理人の登場を待つしか無いのかなあ

投稿: 銭やって揉んでやって | 2011.12.24 17:30

>だいすけさま
確かにローズキングダムはドバイのほうが期待できたかもしれませんね。天皇賞の騎乗を責めるのは、ちょっと可哀想かと。リンク、年末年始の間に作業できればと願っております。

>ななしさま
本当に武豊の強運を感じます。これで勝ったらお祭りですね。

>銭やって揉んでやってさま
これだけたくさんの記者がいるのに、まったく報道されないって、どうしたったんでしょうね。真相はいかに。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2011.12.24 18:21

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