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2011.12.23

荒尾競馬83年の歴史に幕 改めて示された地方の惨状

23日、荒尾競馬が83年の歴史に幕を下ろした。 この日、行われた重賞・肥後の国グランプリは山口勲が手綱を取るテイエムゲンキボが後続に5馬身差をつけて優勝した。1928年に始まった荒尾競馬は戦時中の休止を経て再開。92年度には159億円の収益を記録したが、三井三池炭鉱の閉山の影響などで98年度に赤字へ転落した。その後、累積赤字は昨年度末で13億6千万円にのぼり、 今年9月に前畑淳治市長が年内での廃止を表明していた。各種報道によれば調教師や厩務員、騎手など100人余の関係者のうち、再就職が決まっているのは半数以下。廃止にともなって市が支払う協力見舞金は調教師(平均780万円)や厩務員(平均213万円)、一部の食堂経営者などとは合意しているが、13人の騎手、120人に及ぶ馬主とは交渉が継続している。 01年には中津競馬が廃止されており、九州に残る地方競馬は佐賀だけになった。しかし、その佐賀も累積赤字を抱えており、相互協力していた荒尾の廃止で売り上げ減少は避けられないと見られている。

地方競馬の廃止は05年、高崎と宇都宮以来のこと。 同じくして笠松や岩手、高知も廃止の危機に立たされたが、単年度黒字に転換することなどを条件にしてかろうじて存続を勝ち取った。このとき民間企業の参入が声高に叫ばれ、地方競馬全国協会(NAR)主導による従事員・馬資源の共通化などの構造的改革の必要性が訴えられもした。しかし、その後、どの競馬場も賞金や運営費をギリギリまで抑制することにより収支を均衡させようという試みは続けられてきたが、地方競馬を横断するようなラディカルな施策が打ち出されることはなかった。終わりなきコストカットのスパイラルに陥るなか、関係者の努力は限界に近づいている。 高知では1着賞金が9万円、5着に入着しても5千円という中央では想像もできない低水準のレースも少なくない。騎手の取り分は5%だから、命を懸ける職業の割にはいかに厳しいかが分かるだろう。厩務員も中央では2頭持ちだが、預託料の安い地方では倍以上も担当馬がいるのが当たり前だ。それでも慢性的な馬不足は常態化し、調教師は自ら所有した馬を走らせる 「名義貸し」に手を出さざるを得ない状況さえ生まれている。 制度疲労という言葉で表現するには易しすぎるのが今の惨状だ。

荒尾では07年に大幅な経費削減され、全国最低レベルにまで賞金額も下がってしまっていた。冬季に休業する岩手や道営から競走馬を借り受けたり、中央重賞の発売窓口を設けるなど主催者、関係者は策を講じたが、経営を立て直すまでには至らなかった。 今回、05年の廃止騒動と違ってサークル内から強い存続の声が上がらなかったのは、刀折れ矢尽きた、これから耐え忍んでも好転の見通しがない、ある種の諦念に行き着いていたからかもしれない。またファンにしても廃止反対の機運より、よく頑張ってくれたという感謝の思いが勝っていたのではないか。荒尾廃止が改めて示したのは、もはや個別の自治体による経営では大きな改善は見込めないこと。辛辣な物言いで恐縮だが、抜本的な構造改革がなされないのならば、いずれ地方の多くは緩慢な死を迎えるより選択はないように思う。ただ幸いなのは、来秋から地方重賞などが中央のファンに向けてPATで発売されるようになることだ。 どの程度の効果があるかは分からないが、改革のための猶予期間が地方には与えられるはずだ。荒尾の廃止を我が身として受け止め、 一歩を踏み出すことができるのか。大鉈を振るう勇気が求められている。

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コメント

結局のところ、地方競馬を『面白い』と思ってもらえる人が増えない限り、どうしようもないと思います。

投稿: 名無し | 2016.11.09 04:51

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