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2011.10.24

菊花賞回顧 オルフェーヴル史上7頭目の三冠馬となる

前日に降った強い雨の影響で稍重から始まった京都競馬場。 午後になって良に回復し、1000万下のマイル戦で1分33秒2の 高速タイムが出る馬場に変わっていた。 クラシック最後の一冠をかけて出走してきた各馬は、どれも素晴らしい仕上がりだ。 パドックにジョッキーたちが姿を現した。 フェイトフルウォーの柴田善臣はリラックスして笑みをこぼし、フレールジャックの福永は吉田勝己らと話し込んでいる。 騎乗命令の合図。ベルシャザールの後藤は真っ直ぐに前を見つめ、 福永は首を上げるお手馬を口笛で落ち着かせる。 何を企んでいるのか、険しい顔で通り過ぎたのはトーセンラーの蛯名だ。対照的にウインバリアシオンの安藤勝己は終始、馬上で笑っている。そして、三冠のかかったオルフェーヴル。 池添はやや緊張した面持ちだが、栗毛の馬体は輝いていた。 デキはピーク。春2冠と神戸新聞杯で見せつけた能力差から、 鞍上が大事に乗り過ぎなければ逆転は許さないだろうと思った。 馬券は当初の予想通り。オルフェーヴルを1着、2着にそれぞれ塗った三連単、 オッズの妙味からウインバリアシオンとトーセンラーの単を勝負馬券とした。


淀三千で最も気を付けなければならないのは、スタートして最初の4コーナーまでの折り合い。競馬を知る賢い馬であるほど、ゴールが近いと勘違いして加速しようとする。 ここで鞍上と喧嘩してエネルギーを消尽するようなら長丁場は乗り切れない。 ほぼ互角のスタートを全馬を切り、まずハナを奪ったのはサンビーム。 ところが、フレールジャックが坂の下りで折り合いをつけられず、先頭へ躍り出る。福永は前日のテレビ番組で「逃げるかもしれない」と 取材に答えていたが、宣言通り、ポジションより馬の気持ちを優先させることにしたのだ。 2番人気ウインバリアシオンは最後方。安藤勝は内をロスなく回って スタミナを温存し、直線一気に賭けるつもりでいた。だが、過去の対戦で差し比べでは適わないことがはっきりしている同馬にとって、こうした競馬は消極策とも言える。オルフェーヴルが道中でスタミナをロスすればチャンスが生まれるだろうという、言わば敵失待ちの戦法であるからだ。 それだけ安藤勝はライバルの強さを痛感していたのかもしれないが…。 一方、トーセンラーはオルフェーヴルを後ろからマーク。 2周目の下りでスパートをかける、きさらぎ賞の再現を狙っていた。

オルフェーヴルの折り合いはどうだったのか。 かつて、ディープインパクトも口を割ったように、 オルフェーヴルも手綱に逆らおうとしていた。それでも池添は必死に馬を抑え、 直線に入ると上手く馬群の中に入れて折り合いをつけた。 この瞬間、ほとんど勝ちは手中に収めたと言ってもいいかもしれない。 レース中盤、ペースを落としかけたフレールジャックをロッカヴェラーノが交わしていく。 ハロン13秒台までラップが緩むことはなかった。 差し遅れだけが心配だったオルフェーヴル。他馬に先んじて動き始め、 4コーナーでは先頭に立つ勢いだ。トーセンラーらもついていこうとするが、 楽な手応えのまま加速していくオルフェーヴルは別次元で競馬をしていた。 ウインバリアシオンが猛然と追い込んでくるも セーフティーリード。ゴール前は馬を流す余裕もあった。史上7頭目の三冠馬誕生。プレッシャーに負けず、馬を信じて正攻法で勝ちに行った池添や、見事である。 デュランダルやスイープトウショウを通して、大一番でも思い切った騎乗をする 精神力を培ってきた池添の真骨頂ではなかったか。 オチャラケたイメージの強い池添だが、馬上にいる姿には三冠ジョッキーの風格が漂っていた。

池江泰寿師は開業8年目。ディープインパクトを管理した父・泰郎と 史上初の父子三冠馬トレーナーとなった。 オルフェーヴルは泰郎が育てたステイゴールドの仔であり、 メジロマックイーンを母父に持つ。両馬は競馬ブーム華やかなりし頃の アイドルホース。出来すぎたストーリーだが、血統表を眺めるとさらに味わい深い。 ステイゴールドの母は先日、亡くなったサッカーボーイの全妹であり、 父は今の社台隆盛を築いたサンデーサイレンス。 かたや、母系は曽祖父がノーザンテーストであり、オルフェーヴルは ノーザンテーストの3×4、一昔前なら奇跡の血量と騒がれた配合になる。 つまり、社台グループの守り続けてきた血をベースにして、 社台が導入したメジロのスパイスを加えて誕生したのがオルフェーヴルであって、 取りも直さず、この三冠馬は日本競馬の歴史を体現するサラブレッドだとも言えるわけだ。 レース後、池江泰寿師は来年、ディープの果たせなかった凱旋門賞制覇を めざすことを公言した。ステイゴールド産駒はナカヤマフェスタが去年2着に好走し、 メジロマックイーンのスタミナも欧州の重い馬場で生きるはず。 ロンシャンのターフを駆ける三冠馬を早く観てみたい。





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コメント

この名前を名乗るの久々です(笑)

昨日はありがとうございました。お会いする前に私の頭の中で勝手にガトーさんのイメージを描いていたのですが、結構当たっていました(笑)

さて、凱旋門の前にまずは対古馬になりますが、結果次第では来年へ向けて夢が広がりますね。私の夢、日本の馬が世界一になること、この夢を彼なら託せる、そう感じた昨日のレースでした。

血統もトレーナーもジョッキーも純ジャパニーズで挑む(であろう)来年の凱旋門。久しぶりに私も重い腰を上げようかと思っております。まずはお金を貯めないといけないですが(笑)

投稿: triomphe | 2011.10.24 20:37

『ライスシャワーの碑』


私が初めて触れたサラブレット…

彼が勝ったレースの前は、必ず彼に逢いに行っていました。


『宝塚記念』…彼に逢いに行ってれば良かった。
変わるはずのない何かが変わってたかも…と今でも悔やんでいます。


写真ありがとうございました…思い出して、涙が止まりません。

投稿: ジオ | 2011.10.25 18:00

>triompheさま
お会いできて楽しかったです。イメージ通りというのも何だかです…。オルフェーヴルの渡仏は社台の総力あげてという形ですね。もし、順調に駒を進めることになったら弾丸ツアーでも行ってみたいです。その時はロンシャンのスタンドで!

>ジオさま
とりわけ、天皇賞と菊花賞の日には供え物が多いのでしょうか。ライスシャワー、本当に多くの人々に愛された馬だったのだなと感じます。ありがとうございます。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2011.10.26 09:23

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