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2011.07.18

後藤由之師が勇退 「調教師」はつまらなくなったか?

先週、管理馬のバイラオーラをアイビスサマーダッシュに出走させて 10着だった後藤由之師。このレースをラストランに厩舎を解散することになった。 後藤師は58歳。まだ定年まで10年以上の月日を余しての勇退だ。 通算267勝、トウカイポイントのマイルCSをはじめ重賞10勝をマークしている 調教師の引退は競馬サークルに波紋を呼んでいる。 昨今、成績不振に陥った美浦の調教師が定年前に”勇退”するケースが 増えているが、後藤師は決して厩舎経営に行き詰まったわけではない。 昨年はトウカイメロディでオープン特別を連勝するなど13勝をあげていた。 ならば、なぜ勇退の道を選んだのか? 後藤師はその理由として 「自分の居場所がなくなったということかな。調教師という仕事が理想像とは違ってきた」 と述べ、「馬主さんやファンがより魅力的に感じられる競馬に戻ってほしい」 (デイリースポーツ)と現状への不満を語っている。

一昔前、調教師と言えば競馬界で最も力を持った存在だった。 馬主は調教師が牧場で仕入れた馬を頭を下げて買い受け、 言われるがままに飼葉代を払っていたものだ。しかし、折からの不況で馬主は激減し、 護送船団方式で手厚く守られてきた厩舎制度にも競争原理が持ち込まれる。 厩舎は馬房数の3倍まで預託契約が結べるようになり、 いかに効率よく多数の管理馬を集めて、馬房を回転させることができるかが求められるようになった。 個人馬主が減少し、社台グループの寡占化は進行するなか、 今や調教師は大牧場やクラブとコネクションをつくるのが最大の仕事だ。 美浦や栗東の近隣にはトレセンを凌ぐ育成施設が林立し、 直前までそこで仕上げられた馬が厩舎に入ってレースに出て、 すぐに帰ってくるというパターンが常道になっている。 実質的な外厩制度が出現し、調教師の存在意義そのものが揺らいでいるのだ。

後藤師の言う「調教師という仕事の理想像」が具体的に何を思い描いているのかは 分からないが、「馬を育てる」ことよりも「レースのコーディネーター」 としての比重が大きくなっていることを憂いているのは想像に難くない。 帰厩して10日かそこらで出走してまた放牧に出されるなら、 「本当の調教師」は誰なのか、調教師自身も疑問に思って当然だろう。 トップトレーナー・藤澤和雄師は開業したとき 「私が調教師になったのは、自分が好きなようにやってみたい気持ちが強かったからだ。 /私は調教師としてやってみたいことがたくさんあるから、この仕事を選んだ」 (競走馬私論)と周囲に宣言したそうだ。 そして、実際に自分の信じる方法で馬を育て、次々と大きなレースを手中に収めた。 これこそが調教師の醍醐味だろう。もし後藤師が嘆くように仕事の魅力が失われているのならば、 厩舎の経営難と相俟って調教師のモチベーションは今後も下がっていくのかもしれない。

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コメント

ガトー@馬耳東風さん、こんにちは。先週netkeiba.comに行って調教師の方のデータベースを見ていたらポッと「後藤由之」さんの名前が挙がっていたのでなんでかなぁと思ったらこんなことがあったんですね。

競走社会なんだから、淘汰されていったり、強い者が勝ち残るのは当然だし全然悪いことじゃないんですけど、これらのことによって競馬全体が盛り下がったりなんてことは絶対に避けたいですよね。競馬に限らず音楽とか色々なことにも言えることだけど…

投稿: だいすけ | 2011.07.21 17:27

>だいすけさま その通りですね。競争は競馬界が活性化する方向であってほしいですね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2011.07.23 12:44

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