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2011.05.16

大江原圭が騎乗停止 軽率すぎる開催中の”ツイッター”

猫も杓子もツイッターの昨今だが、漫然と呟いていると脚元をすくわれることもある。 15日、JRAは開催中に携帯電話を使用した「公正確保のための注意義務違反」として、障害ジョッキーの大江原圭を30日間の騎乗停止処分を課した。大江原はレースに騎乗するため前日に京都競馬場内の調整ルームに入室。その夜、22時すぎにツイッターを閲覧中に誤ってリツイートしたとされている。当該アカウントは大江原が実名を明かして公開していたために多くのファンからフォローされており、禁じられている開催中の携帯使用ではないかとすぐにウェブでは騒ぎになった。事実を知ったJRAは騎乗停止を即決し、騎乗馬ブルーフォーチュンは田嶋に乗り替わることが発表された。JRAは携帯電話の調整ルームへの持ち込みは許しているが、電源は切るよう指導しているという。無論、外部との通信はご法度だ。大江原に対する騎乗停止30日間(実行9日間)は2月に油断騎乗があったとして処分を下された黛弘人と同じ。裁決委員が科すことができる最長の期間だ。大江原はデビュー4年目。初勝利までに1年以上を要し、一部のファンからネットで熱烈な声援を受けて話題になったが、去年、今年と1勝もあげられずにいた。関係者の信用を失った今回、復帰してもジョッキーとしての道はさらに困難なものになるだろう。廃業の危機にある。下記の画像は処分対象のリツイートだが、大江原のアカウントはすでに削除済みだ。

処分対象となったリツイート

ツイッターは最大140文字の短文でコミュニケーションがとれる”気軽さ”が大きな魅力。競馬界でも後藤や蛯名など、上手くツイッターを利用してファンと交流を深めている関係者も少なくない。だが、時に気軽さは誰もが自分のツイートを見ることができるのだという事実を忘れさせてしまう。東日本大震災の発災時、美浦の若手騎手たちが「競馬は中止になったのでみんなで飲みながらゲーム大会で盛り上がる」「若駒寮が倒壊した」といったツイートをして批難されたこともあった。この時、大江原も「軽はずみな発言をしてすみませんでした」と自身のツイートを謝罪し、震災以後はツイッターを休止していた。しかし、それから3ヶ月後、恐らくタッチパネルの操作ミスだっただろうリツイートが大きな問題になってしまった。大江原が閲覧していた発言は新宿の高級キャバクラに勤める女性のツイートだった。この女性のブログには競馬場へ頻繁に通う様子が綴られており、3月初めには大江原と「ゴルフするんですか」(女性)、「お前とはしない」(大江原)、「なんかむかつく」(女性)といった親しげなやり取りもツイッターで交わしていた。実は事件後も女性は相互フォローしている黛に祝福のコメントを送信しており、大江原の騒動には気づいていないようだ。楽しく飲むのは大いに結構。彼らの関係は知る由もないが、馬券指南や情報提供をしていたと見做されれば、八百長疑惑の濡れ衣も被らせられかねない。実名アカウントでの ”油断騎乗”は大敵である。

公正確保のため、外部との接触を断つことが目的の調整ルーム。中央競馬では原則として前日18時までに入室せねばならず、移動などで遅れる場合には交通手段や到着時間をJRAに報告する義務がある。レース前日からジョッキーを厳格に管理する方針が定められたのは、1965年に発覚した「山岡事件」がきっかけだ。当時、有馬記念も制したトップジョッキーを含む4人が、暴力団員と共謀し八百長レースを仕組んでいたとして逮捕された。事件は大変な社会問題になり、公営ギャンブル廃止を主張する野党からは相当な攻撃を受け、今の大相撲と同じく競技存亡の危機に立たされたのだった。1985年、JRAは大崎昭一に騎乗停止4ヶ月の重い処分を課したことがあった。大崎の罪状は本馬場入場の際、柵ごしに旧知のファンと言葉を交わしたというもの。この後、大崎は潔白を証明されたものの、JRAに目をつけられて乗り鞍も大幅に減ってしまった。大江原もリツイートではなく、誰かにリプライしていたら数ヶ月単位の処分が下されていたはず。穿った見方をすればサインを送ったと取ることもできるからだ。

競輪・競艇など他の公営ギャンブルでは携帯電話の持ち込みは禁止されていて、過去には所持で半年、使用で1年の出場停止を受けた選手もいる。競馬は比較的規制が緩く、今月6日、開催中の船橋競馬でツイッターに書き込んだ濱田達也は騎乗停止10日で免れた。現状、中央競馬では個室への携帯電話の持ち込みはJRAから許可され、事実上、外部との連絡は野放しになっている。大江原の件も匿名アカウントを利用していれば露見しなかったはず。携帯の持ち込みを許すなら使用も認めるべきだし、電源を入れるなというなら一時預かりにするのが筋。使用を黙認しているとも受け取られかねないJRAの曖昧な管理体制も責めを負うべきであり、大江原に制裁を加えれば済む問題ではない。調整ルームは日本独自の制度。海外ではレース2時間前までに競馬場控え室に到着すればよく、騎手は当日も自由に行動している。藤田伸二らは調整ルーム滞在義務付けをやめて、自主管理に任すべきだと声高に主張してきた。これまで通り厳格な管理をしていくのか、方針を転換するのか議論が分かれるところだが、大江原のような軽率な行動が重なるうちは規制緩和への動きは後退するばかりだろう。

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