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2011.05.30

日本ダービー回顧 血を紡ぐのは父系だけにあらず

史上22頭目となる春2冠馬が誕生した日本ダービー。土砂降りの雨が続くなかで芝コースは不良まで悪化したが、オルフェーヴルの強さが曇ることはなかった。藤田のオールアズワンがハナを切り、馬群は縦長に。 オルフェーヴルは後方5番手からの競馬。鞍上の池添は折り合いを第一に考えるとともに、外差しが決まるように変化していた馬場状態も冷静に頭に入れていた。直線は外へ持ち出して追い出したものの、さらに外にいたナカヤマナイトから蓋をされる格好で2度の接触があった。だが、そこからがオルフェーヴルの真骨頂。すぐに立て直すと内の狭いところへ進路を取り、一気の差し脚で抜け出してきたのだ。追い込みにかけていたウインバリアシオンが迫ってきたが、オルフェーヴルは再び加速してゴール。想像以上のパフ ォーマンスだった。同じ東京で行われた皐月賞を圧勝しながら単勝3倍の人気に留まったのは、不良馬場による波乱ムードだけが理由ではない。サンデーレーシングの募集馬とはいえ社台グループの中では地味な白老ファーム産、日高へ放出されたステイゴールド産駒の印象があったためではないだろうか。しかし、ダー ビーの走りはそうした先入観を完全に打ち砕くほど強烈であった。今年のダービーでは全馬が父はサンデーサイレンス直仔か、母父がサンデーということが話題になったが、オルフェーヴルは母父がメジロマックイーン。折しも牧場解散の年にメジロの血が凝縮された最強馬の孫が二冠馬に輝いたのは、決して父系だけがサラブレッドを紡ぐのではないという当たり前の事実を思い出させるものでもあった。田んぼのような府中の馬場を独走する様は、何時ぞやのマックイーンと瓜二つではなかったか。ステイゴールドとマックイーンの結晶が両馬を育てた池江泰郎の息子・泰寿によって東京優駿馬となるのだから、血のドラマも生きている。

もう一つ、この日の主役とも言えたのがデボネアに騎乗したデットーリ。いきなり2レースで勝利をあげて 、観衆を驚かせた。デボネアはオーナーのモハメド殿下も来日するとあって実績以上の人気が集まったし 、私自身も距離延長で上積みがあるとみて本命にした。結果的にはオルフェーヴルと同じようなポジションにいながら、不良馬場が応えて12着に大敗。それでも、ダーレーの参戦でダービーが大いに盛り上がったのは間違いがない。ともすれば社台の運動会と揶揄される昨今の競馬だが、多くのファンが好敵手の出現を望んでいるのだと実感させられた。レース後、モハメド殿下は「勝つことを夢見るのが競馬。ぜひ 、来年も戻ってきたい」とコメント。今回の来日がさらなる情熱を日本競馬に注ぐモチベーションになってくれることを期待したい。3着ペルシャザールは馬体を戻し、早めからの競馬で粘りこんだ。雨のキングマンボの格言通り、道悪も相対的にプラスに働いた。4着はナカヤマナイト。力は出し切った。公務員騎乗とは失礼千万とばかり、オルフェーヴルを閉めにいった柴田善のファイティングスピリットも評価したい。 5着は3連勝中だったクレスコグランド。一戦ごとに力を付けている。秋が楽しみだ。2番人気サダムパテックは力んで走っていた分の7着。2000メートル以下がベストだろう。ディープインパクト産駒のトーセンレーヴは9着、トーセンラーは11着。ともに馬場が向かなかった。14着コティリオンも同様だ。リベルタスは4コーナー手前で競走中止。馬体は異常なしだったが、精神的に追い込まれている。出走できる状態ではなかった。厳しい道悪の競馬で多くの馬たちには疲労があるだろうが、ゆっくり休んでまた成長した姿を見せてほしい。

*モハメド殿下の公式コメント全文は以下の通り。デボネアを買って養分となった私たち同士を勇気づけてくれる名文である。

私は競馬を心から楽しんでいます。日本以外でもたくさんの国で馬を所有していますが、日本でも所有したいとずっと思っていました。その国で馬を持ち、日本ダービーに出る意義は大きいです。今回、愛馬が日本ダービーに出走することになり、ようやく来日することができました。日本ダービーを観戦し、東京競馬場の雰囲気、そしてダービーを応援するファンの大歓声に感銘を受けました。私はホースマンであり、競馬とは何かを知っています。レースの結果がどうなるのかは、誰にもわかりません。でも、勝つことを夢見るのが競馬なのです。今年ダメなら、また来年、そしてまた次の年へと夢が続くのです。いつも夢を持てるのが競馬です。来年もぜひ戻ってきたいと思います。(JRA発表)

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コメント

ロジユニバースの伝説の泥んこ馬場の印象が強すぎたようです。
同じ不良でも、今回はきっちり外が伸び、差しが決まる馬場でした。
しかしダービー直後に雨が非常に強まり、最終はドロドロ。あの雨が1時間でも違っていたら、また違う結果だったと思います。
雨が降るのも運なら、土砂降りが遅れるのも運。
やはり「一番運が良い馬が勝つ」のがダービーなのかもしれません。

まぁでもオルフェーブルの強さは抜けてましたけど。

投稿: | 2011.05.30 21:01

強い馬は運も引き寄せるのかもしれませんね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2011.06.04 09:40

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