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2010年12月の10件の記事

2010.12.31

暮れゆく2010年 読者の方々に感謝!

まもなく2010年も終わろうとしている。年々、競馬場に赴く機会は減ってきているのだが、今年は日本ダービーしかライブ観戦できなかった。来年は合間を見つけて、もう少し現場で競馬を楽しむことができたらと願っている。ここ数年「最近の競馬はつまらない」という意見があちこちで散見され、同意できない部分もないわけではなかったが、よほどのへそ曲がりでなければ2010年は”面白い競馬”が繰り広げられたと感じたのではないか。ヴィクトワールピサローズキングダムらが死闘を演じた牡馬クラシックは十分に面白かった。牝馬クラシックはアパパネが三冠を達成し、それと同時にオークスはG1史上初の1着同着もあった。古馬戦線は期待通りブエナビスタが中心を担ってくれた。春はドバイシーマクラシックで惜しい2着、宝塚記念でも遅れを取ったが、天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念と一年を通して安定したポテンシャルを発揮した。そして、海外のビッグレースではナカヤマフェスタがエルコンドルパサー以来、凱旋門賞2着の興奮をもたらしてくれた。同馬の活躍は日高の生産者に勇気を与えるものでもあった。来日した外国馬ではエ女王杯で世界の力を披露したスノーフェアリー、香港のスプリント路線のレベルの高さを示したウルトラファンタジーも忘れられない。

一方、騎手の世界ではトップジョッキーたちの怪我が目立った年だった。年明け早々に起きた史上最多の9頭落馬は肝を冷やした。この事故で内田博幸が左腕を骨折して戦線離脱。3月には毎日杯のレース中、騎乗馬が故障した武豊が落馬して骨折してしまった。また岩田康誠も1つ前のレースで骨折しながら皐月賞を制したなどということもあった。秋競馬では外国人ジョッキーが有力馬の手綱を任され、実際にG1の半数を持っていく大暴れ。だが、ラフプレーを厭わないスミヨンなど一部の騎手には日本のジョッキーからあからさまな批判が寄せられ、ジャパンカップは1着降着、朝日杯も紙一重の裁定と荒い競馬が続いた。その影響が有馬記念、ブエナビスタのハナ差負けにも及んだことは銘記しておきたい。馬産地に目を向けると、7月、オグリキャップが永眠。放牧中のアクシデントだった。その死は一般メディアでも大きく取り扱われ、改めてオグリの偉大さを感じさせられたものだ。今年、個人的にMVPを進呈したいのは、真島理一郎監督が製作した「ジャパンワールドカップ」。4コーナーに行きつく手前でバラバラになってしまうハリボテエレジーは秀逸を極めている。ゴーサインを出したJRAにも拍手を送りたい。秋の続編、競馬場のフィギュア配布も実に気の利いたファンサービスだった。

最後に拙ブログ「馬券日記オケラセラ」と触れさせてもらえれば、相変わらずマイペース更新で、熱心に訪れてくださる読者の方々には行き届かない部分も多かったと思う。とは言え、そうしたいい加減さがダラダラとサイト運営を継続できている理由でもあり、今後とも気長な、寛容な心でご容赦いただければと願う。順調に更新を続けられれば、来秋はサイト開設15周年を迎える予定だ。だから何があるわけでもないのだが、もしかしたら出版物という形でこれまでの活動の一端をお披露目させていただけるかもしれない。その際はきちんと告知させていただくので、お力添えいただければ幸いだ。下半期は検索エンジンのかなり上位に表示されるようになって、少なからず新しい読者の目にも触れたよう。ぜひ引き続きご贔屓を。ありがたいことに広告も継続的にいただいた。ともあれ、こうして今年も多くの方々にご訪問いただけたことに心より感謝申し上げ、来年も一緒に競馬を楽しませてもらえたらと願っている。よいお年を!

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2010.12.29

東京大賞典予想 2010

有馬記念が終わってもG1はまだ続く。ダート界の総決算、東京大賞典。過去1、2、3番人気馬の成績は拮抗しており、4年連続で中央関西馬から勝ち馬が出ている。最有力ステップはジャパンカップダート、中心は4歳馬が担う。いずれのデータも満たすのはシルクメビウス。前2走は展開の不利や入れ込みなど敗因がはっきりしており、先行勢が揃った今回は巻き返し可能とみる。夏のブリーダーズゴールドCではカネヒキリを完封した実績があり、鞍上に大井を知り尽くした内田博幸を確保したのは大きな強調材料。おそらく前でやりあうスマートファンとフリオーソを視界に収めながら、最高のタイミングで仕掛けてくるはずだ。当然、相手はその2騎になるが、一角を崩すなら復調気配のワンダーアキュートか。3連単の3着付けには勝島王冠で金星をあげたスーパーパワーなどもマークしたい。

◎シルクメビウス ○フリオーソ ▲スマートファルコン
△ワンダーアキュート、スーパーパワー、バーディバーディ、アドマイヤスバル

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2010.12.28

有馬記念回顧 外国人騎手の手綱が別つ2センチの差

今年も有馬記念が終わった。この秋、天皇賞、ジャパンカップと1位入線して、中央競馬史上、屈指の名馬であることを証明したブエナビスタが圧倒的な1番人気。降着処分を受けた前走の借りを返すべくローズキングダムとの再戦が最大の見所になるはずだったが、そのライバルは疝痛のため出走取消に。前2走より明らかに調子が下降気味のなか、紛れの多い中山2500を味方につけてブエナビスタに先着できる馬がいるのかが新たな焦点になったように思う。レースは出遅れが懸念されていたペルーサ(安藤勝)が何と好スタート。まさかの先行策を取るところから始まった。一方、逃げ宣言したはずのネヴァブション(後藤)が行き脚がつかず、代わってトーセンジョーダン(三浦)が押してハナに立つ。オウケンブルースリ(横山典)も普段とは一転して前へ行き、ヴィクトワールピサ(デムーロ)らと先行集団を形成する。大本命ブエナビスタ(スミヨン)は折り合いを気にしてか、中団より後ろのポジション。これが結果的にハナ差負けを招くことになる。トーセンジョーダンがつくるペースは超に近いスロー。中盤は13秒台半ばのラップを刻み、上がりの瞬発力勝負に持ち込まれた。去年、速い流れのなかで先行して差されたブエナビスタにとっては、2年連続して不運な展開には違いない。

レースが動いたのは向こう正面。早くもヴィクトワールピサがハナを伺い、ロングスパートで主導権を奪おうとする。ペースを見切って、積極的に仕掛けていったデムーロの判断は素晴らしかった。ここでブエナビスタは上がっていくことができず、差はつまらない。ヴィクトワールピサはロスなく最内を回って直線へ。安全策で外に進路を取ったブエナビスタが猛然と追い込んだものの、2センチだけ届かなかった。2番人気とはいえ挑戦者の立場で思い切った競馬をし、能力を最大限発揮させたデムーロ。それに対して女傑を操ったスミヨンはジャパンカップ降着と度重なるラフプレーへの警告で、消極的な乗り方に終始せざるを得なかった。同じ日、同距離で行われたグッドラックハンデでも差し遅れのストレスフルな騎乗を見せていたが、精神的に追い込まれているように感じた。スミヨンの荒い手綱さばきに不満を表す日本人騎手は少なくなかったから、包囲網とはいかないまでも有形無形のプレッシャーもかけられていたのだろう。ただ、これだけの不利がありながらもハナ差まで迫ったブエナビスタは、改めて彼女の能力が抜きん出ていることを証明したのであり、皐月賞、有馬記念を制したヴィクトワールピサが年度代表馬の選考において先んじることは難しかろう。

3着は先行粘ったトゥザグローリー(ウィリアムズ)。展開に恵まれたとはいえ、来年の成長が楽しみな内容だった。それにしても上位3頭の鞍上が外国人ジョッキーとは、もう少し日本騎手も頑張れと声援を送りたくなる。4着はペルーサ。出遅れないと普通の馬になってしまうのか。出遅れなくても良いが、後ろで溜める競馬が合っているのかも。5着トーセンジョーダン。ハナを叩いた勇気は大いに賞賛したいが、勝ちに行くならペースを落とすべきではなかった。かつての田原のようにシレッとリードを広げる狡猾さがあれば、今年の有馬記念は全然違ったものになったろう。フォゲッタブルはこの展開では出番なし。ドリームジャーニーはデキは悪くなかったが、ダノンシャンティと接触してエキサイト。レッドディザイアは復調なってなかった。記録を振り返れば、デムーロはネオユニヴァース、ヴィクトワールピサ父子で中山G1勝ち。ブエナビスタは父スペシャルウィークと同じくハナ差負けの2着。トゥザグローリーは母トゥザヴィクトリーに続く3着。何とも血の不思議がなせるワンツースリーである。またサイン馬券探しも熱心になされたが、プレゼンターの白鵬の「白」にまつわる1枠から優勝馬が誕生し、その母は”ホワイト”ウォーターアフェアであった。師走を賑わせた市川海老蔵の事件に絡めれば、ヴィクトワールピサの馬主は「市川」で、ブエナビスタには「エ」「ビ」が含まれていた。サイン派にとっては的中しやすいグランプリだったかもしれない。

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2010.12.25

有馬記念予想 2010

2010年を締めくくる有馬記念。ジャパンカップを降着になったブエナビスタと、繰り上がり優勝ローズキングダムとの再戦に期待が高まったものの、残念ながらローズが疝痛で取り消し。ブエナ1強の様相を呈することになった。常識的に考えれば、天皇賞秋、ジャパンカップと実質的に連勝した牝馬が、有馬記念まで3連勝するなどあり得ない。そもそも現代競馬において牝馬が有馬記念を制したのは、 2008年のダイワスカーレットしかいないのだ。しかも、単勝は一本かぶりの1.8倍。最高のデキだった前走より、調子は下降線を辿っている。だが、それでもこの馬が失速するシーンを思い描けないのだ。コーナーを6つ回るトリッキーなコースも、自在性を身につけた今年は課題にはならない。枠順は真ん中内寄りの7番。不利な外枠も、極端な内も引かなかったのは運がある。強い競馬で来年のさらなる飛躍へのステップにしてほしい。ブエナビスタから買うなら、相手は秋に別路線から参戦してくる馬を狙いたい。アルゼンチン共和国杯まで3連勝したトーセンジョーダンが対抗。前走のレベルは高い。中山向きの先行力があり、すんなりと先手を取れれば差はない。単穴にはルーラーシップ。復帰戦の鳴尾記念を快勝。鞍上のルメールが5年前のような神がかり的な騎乗を見せれば、上位人気の一角を崩す。ステイヤーズSを騎乗ミスで落とした去年の4着馬、フォゲッタブルも抑えたい。ジョーダンとルーラーは単も買う。

◎ブエナビスタ ○トーセンジョーダン ▲ルーラーシップ
△フォゲッタブル、ヴィクトワールピサ、ペルーサ、エイシンフラッシュ、オウケンブルースリ

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2010.12.18

朝日杯FS予想 2010

おにぎり型の急カーブをぐるっと廻る中山マイル戦。1コーナーのポケットからスタートしてすぐにカーブを迎えるため外枠の馬は距離ロスが大きい。必勝パターンは内で脚を溜めながら、好位から抜けてくる先行策。外回りの下り坂からペースアップし、後半3ハロンは持久力を要する展開が待っている。このトリッキーなコース替わりを歓迎しているのがマイネルラクリマ。前走の東京スポーツ杯は一旦は先頭に立つ見せ場のある内容で、最後はサダムパテックら瞬発力ある差し馬に交わされたが、先行勢では唯一、掲示板を確保した。前々走の新潟2歳Sも長い直線を2番手から粘っての2着だった。今回、願ってもない3番枠を引き、中山得意の松岡が存分にマイネルラクリマの先行力とスタミナを活かす競馬をしてくれるだろう。ラフィアンのチーフベアハート産駒と言えば、朝日杯を制したマイネルレコルトと重なる。人気はないが、オッズほど有力馬との差はないと見る。相手は東スポ杯勝ち馬のサダムパテックだが、矢作厩舎が悲願のG1制覇を託すグランプリボスも面白い存在。

◎マイネルラクリマ ○サダムパテック ▲グランプリボス
△リベルタス、リフトザウイングス、リアルインパクト、アドマイヤサガス

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2010.12.16

実は競馬好き 市川海老蔵が示す有馬記念の激走馬!? 

梨園には競馬好きが多いのだろうか。今週の「井崎脩五郎のおもしろ競馬学」は歌舞伎役者にまつわる話を取り上げている。中村芝翫が武豊と対談した際、客の前の所作について質問。場内実況が馬名をアナウンスするまで武豊が返し馬に入らないことをぶつけると、こうしたことは意識的に行っているのだと答えを引き出したエピソードが紹介されている。そして、年の瀬にメディアを独占しているのが市川海老蔵についても話は及んでいる。武豊曰く「観客席で熱心に予想紙を読んでいる姿が、馬場の中からよく見えますよ(笑)。帽子かぶってたりするんだけど、それはそれは真剣な表情で。目立つからすぐ分かります」とのこと。実は海老蔵は無類の競馬好き。しかも、かなり本格派だ。小学5年生の頃にはオグリキャップに関心を持ち始め、中学生になってからはメジロマックイーンやトウカイテイオーのレースに熱狂していた。今でも年10回は競馬場に通い、1レースに100万以上を注ぎ込むこともあるそうだ。その海老蔵流の予想法とはどのようなものだろうか?

タイム、血統、騎手、枠順、コース実績、パドックのデキ…ありとあらゆることを考えます。仕事のない日は、競馬中継をつけて新聞を5紙ぐらい手元に置いて、9時から4時半まで一日中座ってます。いろんなことを考えながら、最終的にはパドックを見てから買う馬を決めます/新聞買って一番最初にやるのが「修正ペンで印を消す」作業ですから。損しても、印を打ってる人たちが責任取ってくれるわけじゃないですからね。惑わされるぐらいなら、最初から見ないようにするのが一番だと思ってます(JRA-VAN秋競馬スペシャルコラム)

専門家の印など予想の邪魔と言い切る海老蔵。だったら、なぜ5紙も要るのかと疑問を持つのは野暮というもの。そんな質問をすれば「キミ、給料いくら? 俺は人間国宝だから国から2億もらえる」と一蹴されるに決まっている。海老蔵のいちばん得意なレースは新馬戦だそうで、「未勝利で終わる馬とオープン馬が同時に出てる。だから、パドック見たら明らかじゃないですか」と断言している。日本一のミエを以てすればパドック診断など恐るるに足りずである。過去には結婚を機に馬主になると報じられたこともあった。「『一生愛し続けます!』と、麻央への愛を叫んだことから、新種牡馬のハーツクライ産駒を中心に考えている」(東京スポーツ)とのことだから、来年のセレクトセールあたりに姿を見せるかもしれない。馬名は「アイラブマオ」よりも、「ハイザラテキーラ」「モトジェイリーガー」なんて方が強くて大暴れしそうだ。年末は忙しく有馬記念をライブで見たことがない海老蔵にとって、休養中の今年こそ観戦のチャンス。時の人の来場となれば、俄然に中山も盛り上がる。サイン馬は”エビショー”騎乗のメイショウベルーガか、記者会見で浴びたエイシン”フラッシュ”か。いや、六本木の徒手空拳、オウケンブルースリの可能性も高い。ちなみに同馬には容疑者の名前、「ウケブルース」も入っている。果たして?

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2010.12.11

阪神JF(ジュベナイルフィリーズ)予想 2010

先週のジャパンカップダートは8番人気のグロリアスノアを本命にして、きっちり本線で取らせてもらった。だが、今週の阪神JFは点数を絞って、堅い馬券で勝負してみたい。もちろん、本命はレーヴディソール。デビュー2戦目となった紅一点のデイリー杯は、後方から外を回すロスの大きな競馬ながら余裕の差し切り勝ち。この時期、牡馬相手にこれだけのパフォーマンスを見せられるのは能力の違い以外にない。ちなみにデイリー杯で後塵を拝したグランプリボスは京王杯を勝ち、ミッキーマスカットは黄菊賞で素質馬リベルタスを破っている。レースレベルもかなり高かったのではないか。外回りの阪神マイル戦は長い直線を2回走る設定で、能力通りに決着しやすいコース。阪神JFもウオッカ、ブエナビスタ、アパパネと実力馬が期待に応えている。レーヴディソールの兄弟はナイアガラ、レーヴダムール、アプレザンレーヴ、レーヴドリアンと全てクラシック戦線で好走したオープン馬ばかり。まだG1は手に入れていないが、レーヴディソールが一族の悲願を叶えてくれそうだ。相手はこちらもクラシック級ダンスファンタジア、全姉は2歳女王アヴェンチュラ、ファンタジーSで最も強い競馬をしたホエールキャプチャの3頭。

◎レーヴディソール ○ダンスファンタジア ▲アヴェンチュラ
△ホエールキャプチャ

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2010.12.04

ジャパンカップダート予想 2010

外国馬の参戦どころか、エスポワールシチーも、フリオーソも、スマートファルコンも回避したジャパンカップダート。もう一度、国際レースとしての位置づけを考え直すべきなのかもしれない。こんな時だからこそ、人気薄から入ってみたい。本命は矢作厩舎、悲願のG1制覇を託されたグロリアスノア。今年はフェブラリーSで5着と好走した後、果敢にドバイへ遠征。ゴドルフィンマイルで海外勢を相手に粘りをみせて4着に食い込んだ。休養明けの前走・武蔵野Sは内から抜け出す強い競馬で快勝。明らかに春よりパワーアップしていた。問題は距離だが、折り合いには苦労しないタイプで、本格化した今ならばこなしてくれるのではないか。手綱は一度、外国人騎手に決まっていたものの、オーナーの計らいで小林慎一郎に戻されることになった。地道に頑張ってきたジョッキーに、大きな勲章をもたらしてくれることを祈ろう。

◎グロリアスノア ○トランセンド ▲シルクメビウス
△キングスエンブレム、ラヴェリータ、ヴァーミリアン

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2010.12.03

再生へ最後の切り札 PATで地方重賞レースを発売 

2012年1月から、PATでダートグレード競走などの地方競馬のレースが購入できるようになることが発表された。 2005年の競馬法改正によって馬券の委託販売は可能にはなっていたものの、システムが異なるため相互発売はなされていなかった。しかし今回、地方競馬側は約60億円のシステム開発費を投入して共同システムを導入。これをJRAのシステムに接続して地方の馬券を売ることができるようにする。PATで馬券を販売することは地方競馬にとっては長年の悲願であり、再生への最後の切り札であった。SPAT4、楽天競馬、オッズパークの会員は合計55万人。これに対してPAT加入者は309万人。地方競馬側は年間200億円から300億円の売り上げを期待しているが、これまで交流重賞などを買いたくても買えなかった中央ファンを取り込むことができるのは非常に大きい。相変わらず地方競馬を取り巻く環境は厳しく、存続の危機に立たされている競馬場も少なくない。今月、笠松競馬では収支均衡のため15%の賞金削減が打ち出され、虎の子の基金も切り崩しを余儀なくされるなど、まさに廃止の瀬戸際にあると言っても過言ではない。だが、中央の一部のファンを引き入れられれば収支は一気に改善する可能性もあり、小さな競馬場ほど新たな試みは福音となるだろう。

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2010.12.01

ジャパンカップ回顧 ブエナビスタ降着をどう見るか

ブエナビスタ降着、ローズキングダム繰り上がり優勝という衝撃的な結果が待っていた第30回ジャパンカップ。スミヨン操るブエナビスタは外から一気に脚を伸ばして1位入線しただけに、着順変更までなされたことに疑問を持ったファンも多かったようだ。今回の事件はレース一連の流れで複合的に起きたものだが、前半と後半とに分けて考えねばならない。残り300。パトロールフィルムを見ると、外ブエナ、内ローズが馬体を併せたところに、最内からヴィクトワールピサが寄ってきている。この瞬間、挟まれたローズはブレーキをかけて減速。先にブエナが出る形になった。ここまでが前半。ヴィクトワールピサの行為に対してはギュイヨン騎手に過怠金1万円が課せられた。後半、今度はブエナがヴィクトワールピサに馬体を併せようと内に切れこんでいく。この時、ローズの前を横切る形になり、武豊は追えなくなってしまっている。ここが「進路妨害」と見做された最大の点だった。おそらくスミヨンは前半の不利でローズが後退したため、相手をヴィクトワールピサと判断して内に寄せたのだろう。しかし、ローズにはまだ脚は十分にあり、実際、立て直した後に矢のような伸びで2着を確保している。もし一定時間、継続して進路が塞がれなければ、ブエナと並んでゴールしていた可能性もあると裁決委員は判断したわけだ。私としても異論はない。

一方、スミヨンは裁決には恭順の意を示しつつも「日本のジャッジがヘタだということを世界に配信することになるだろう」(ZAKZAK)とコメントし、ムーアなど他の外国人騎手からも間違った裁定だという声があがった。確かにブエナの差し脚は秀でていた。もし裁決とは反対にローズは不利がなくても交わせなかったという見解に立てば、着差はつまっても着順は変わらないのだから騎手のみ制裁すれば良いと考えるだろう。その場合、仮にローズが3位入線していたなら着順変更が必要ということにはなろうが。ただ、ローズとブエナの勢いを比べて、不利がなかったときのゴールシーンを想像するのは非常に難しい。それは確定までに20分以上もの時間を要した裁決にとっても同じことだ。ブエナが妨害行為を犯しているのは間違いないが、降着とするか、騎手への制裁に留めるかは政治的な判断を含めてアンパイアである裁決委員の”感覚”に拠らざるを得ない。だから、外部の人間はいずれのジャッジメントが下されたとしても、その結果は正しいと受け入れる以外にない。 2008年のオークスでトールポピーは大きな斜行をしたものの降着とされず、疑惑の裁決としてJRAは批判に晒されたことがあった。この時をきっかけにJRAは判定基準の明確化や採決業務の見直しなど大改革を行ってきた。「なぜトールポピーはセーフでブエナがアウトなのか」という疑問が投げかけられるのならば、トールポピー以前と以後では裁決は変わったのだと答えるべきかもしれない。

メジロマックイーンの天皇賞秋、カワカミプリンセスのエ女王杯に続き、史上3度目のG1の1位入線馬降着となったジャパンカップ。異様に長い時間を審議に費やし、最終的にどのような紆余曲折を経て裁決が下されたのか、本当のところが明かされることはない。ひとつ、踏まえておくと面白い見方ができるのは、人間の意思を支配するのは理性ではなく無意識だということ。他のレースで繰り返されていたスミヨンのラフプレー、軽微な制裁に留められたムーアの検量違反、ブエナが手中に収めかけていた2億円のボーナス、ローズが種牡馬入りした時の価値、武豊と松田博師に横たわる溝…。決して言葉には出されないが、人々が抱いている様々な思惑や感情は絡みあって現象を紡ぎ出していく。当事者も気づかぬままに。ブエナビスタもローズキングダムも次走は有馬記念を予定している。次回はフェアな流れのなかで、両馬の迫力ある叩き合いをゴールまで見せてほしい。それにしても、2位からの繰り上がりが初G1制覇とは、実に薔薇一族”らしい”結末ではあった(ローズが朝日杯を勝っているとはいえ)。武豊も中央G1の連続勝利記録をこういう形で継続するのだから、”持っている”スターのは間違いない。降着騒動の陰に隠れてしまったが、ヴィクトワールピサが海外の敗戦から立ち直ったこと、出遅れてしまったもののペルーサがきっちり入着してきたことは、来年に楽しみをつなげてくれるレースになった。気がかりは惨敗したナカヤマフェスタ。凱旋門賞の疲労が抜けていなかったか。じっくり休養してもらいたい。

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