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2010.10.28

柏木集保と清水成駿 秋のG1に怒れる大御所たち

先週の菊花賞。競馬界の大御所、我らが柏木集保が珍しく(もないが…)怒りをあらわにしている。netkeibaに掲載されたレース回顧のコラムだ。コスモラピュタが長距離戦としては通常のゆったりとした流れをつくったにも関わらず、後続の騎手たちが追いかけずに脚を余して負けてしまったことに対して、「2着以下は論評に値するとは思えない」と切って捨てている。やけに競馬に詳しい男としては許せないレース内容だったようだ。

スローなのに先行馬から大きく離れて進み、届きませんでした。レースが「流れてくれませんでした」はアウト。ついでながら、最近よく聞く「レースが流れてくれませんでした」というほど、独りよがりで、かつ傲慢。身勝手な考え方はないと思われる。/日本の競馬の頂点に立つクラシック競走に出て、明らかに脚を余して負け、「最後はいい脚を使ってくれた」で済ませた騎手と、コスモラピュタのペースが「大逃げ」に見える時点で、伝えるマスコミも同レベルである。錯覚や勘違いをサポートしてしまっている。(netkeiba/重賞レース回顧)

柏木の本命馬はヒルノダムール。だが、同馬の手綱を取った藤田に関しては「自分の騎乗を『俺が下手だった』と反省した」と言及しており、コラム中で怒りの矛先を向けたのはローズキングダムの武豊らであろう。柏木は去年、テイエムプリキュア、クィーンスプマンテが大逃げで波乱を起こしたエリザベス女王杯について「みんなあまりのことあきれ、大幅に売り上げ減の契機となった」と辛辣な批判を浴びせていて、スローと分かっていながら楽に大きなリードを許してしまう競馬には強い危機感を抱いている。確かに稀にジョッキーが幻惑されたというのならともかく、こうしたレースが頻発すると競馬にならないのも事実。とかく騎乗批判がタブーの競馬マスコミは「これも競馬の怖さ、面白さ」で終わらせてしまう傾向があるだけに、柏木のように熱く吼える男こそ貴重な存在ではないだろうか。

実はこの1週前になる秋華賞でも、怒りを爆発させた競馬評論家がいた。東スポ・馬単三国志の清水成駿だ。最近はスーパーショットこそ鳴りを潜めているが、歯に衣着せぬ成駿節は顕在である。清水が批判したのは、アパパネとオークスの栄冠を分け合う実力を備えながら、秋華賞でブービーに6馬身差のシンガリ負けを喫したサンテミリオン陣営についてだ。清水はアパパネの相手本線としてサンテミリオンをあげていた。

古賀慎厩舎の社台ホースは90%以上牧場仕上げ。入厩後はほとんどが馬なり。維持させるだけ。/蓋を開けてみれば中身はスカスカだった。見損ねた我が目を棚にあげるつもりはないが、正直、こんな仕上げでGⅠにぶつける見識を疑う。仮にこれを叩いて女王杯で一変するようなら、おそらくファンの多くは競馬そのものが信じられなくなるはず。外厩制の弊害。同時に調教師も手続きだけの調教師であってはならない。心底、怒っている。(メールマガジン「清水成駿の競馬春秋(10/10/21)」)

厩舎でじっくりと調整されたアパパネとは対照的に、サンテミリオンは社台ファームで夏を過ごし、ぎりぎりまで牧場の施設で調教されてきた。在厩馬の回転をあげなければ経営が維持できない現在のシステムでは、実質的な仕上げは大牧場で行われ、厩舎は最終的な調整を行う場所に過ぎなくなっているケースも増えている。そうなれば、本当の”調教師”は誰なのかと問い直す必要も出てこよう。清水は東スポ紙上でも「『大社台』を慮ってか、肝心の一行も割愛された」と記していて、これからも社台が牛耳る競馬界にモノ申すつもりらしい。主張する内容への賛否は別にして、私は柏木も清水も大好きな評論家だ。競馬への深い愛情を持ち、それ故、時に感情をストレートに出してでも言うべきことを言う姿勢があるからだ。提灯記事ばかりでは競馬はダメになる。大御所にしてヤンチャな二人には、「いつまでもヤンチャであって」とエールを送りたい。

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コメント

物申せる人は貴重ですな。引き付けておいて、直線で後続を引き離す、強い逃げ馬の方が良いな。

投稿: ハナネン | 2010.10.29 11:12

はじめまして^^
いつも楽しくブログを拝見させていただいてます。

競馬に対する見解・洞察力にいつも勉強させていただいてます。
アタシに非常にタメになります。

仰るとおり、両巨頭には拍手を送りたい。
そしていつまでも咆哮する事をやめないで欲しいです。
必要以上に毒を吐く必要はありませんが、オカシイ時はオカシイと言える評論家・解説者はいなければなりません。
そういった意味では貴重な競馬人ですよね。

投稿: 暴君ルーニー | 2010.10.29 12:40

逃げて差す。

サイレンススズカに対して武豊が言った名言ですよね。

でも、スローで直線の上がり勝負、で勝ち続けたのも武豊。

競馬ファンが見たいのは、どっち?

投稿: ちゃだ | 2010.10.29 21:14

両巨匠とも「予想が当たらない」という印象があります。

柏木氏については、ネットで予想が読めるので時どき目を通すのですが、めったに当たりません。

ふだん、そこそこ当たっていたら主張されることに説得力があるのですが、これでは八つ当たりです。

投稿: Ken | 2010.10.29 22:23

こんにちは。
初めてコメントさせていただきます。

私も、netkeibaの柏木さんのコラムは、毎回興味深く読んでいます。

彼の豊富な知識と鋭い観察眼は、尊敬に値すると思いますが、一方で上にも書いている方がいらっしゃいますが、予想が殆ど当たらないのも事実です。

結果が出た後の後付けなら、何とでも言えるわなとも感じます。

分析家としては一流、予想家としては三流といったところでしょうか。

投稿: アーセン | 2010.10.30 16:00

予想云々とレースの論評は別物でしょ

投稿: tttk | 2010.10.30 22:05

競馬歴25年の私ですが、近年のレースは面白味が少なくなったと感じます。隊列がスローで流れて、直線瞬発力のレースばかり…。

先日の菊花賞にしても、スローペースなのに、2番手集団はハイペースと勘違いし、直線で慌てて気ずくも時すでに遅し。
レース後の検量室でも悔しさは見えず、ニヤニヤと談笑するシーンもあり、レース後のコメントも『展開が向かなかった』
動くに動けなかった』ばかり…。
私から言わせれば『届かない所に位置していては絶対勝てない』。

競馬界の為にも巨匠達には頑張って発言してもらいたい

投稿: トロト | 2010.10.31 09:58

>ハナネンさま
私もミホノブルボンのような泥くさい逃げ馬が出てきてほしいです。

>暴君ルーニーさま
私もそう思います。若い世代にも時にビシッと言ってくれる評論家が出てきてくれると嬉しいのですが。。。今後ともご贔屓に。

>ちゃださま
逃げて差すは至言ですね。上がりの勝負にしろ、簡単に前を逃がす展開が続くとあれれと思うのかも。

>Kenさま >tttkさま
予想家と評論家は別の職業にしたほうがいいのかもしれませんね。

>アーセンさま
確かに本命がかぶるとビビりますね。とはいえ、柏木先生の真骨頂はレース後にあるので、そちらのほうに注目したいところです。

>トロトさま
お久しぶりです。天皇賞のスミヨンはスローになることが多いから早めに上がっていったと言っていましたね。もしかしたら騎手全体が仲良しグループの雰囲気になってしまっていて、流れをぶち壊してでも勝ちに行くような冒険をしなくなっているのかもと感じます。


投稿: ガトー@馬耳東風 | 2010.11.01 02:08

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