« アイビスサマーダッシュ予想 2010 | トップページ | 函館記念予想 2010 »

2010.07.20

アイビスSD回顧 嬉し涙に悲し涙の直線千メートル

直線千メートルというコースはやはり特別なものなのだろう。記念すべき10回目の電撃戦を制したのは8番人気の牝馬ケイティラブ。好発、楽な手応えでハナを奪うと、後続を寄せ付けずに鮮やかな逃げきり勝ちを収めた。これで新潟千メートルは6戦4勝だから、本当に条件が合っているとしか言いようがない。昨夏、同馬は1000万条件でやはり逃げきっているが、この時のタイムが54秒5の出色。さらに力をつけていた今年、53秒9を叩き出したのは不思議ではない。拙ブログでもケイティラブに本命をつけさせてもらい、馬連4800円を的中することができた。3着に入った16番人気のマルブツイースターまではさすがに印は回らなかったが。柴田善は宝塚記念から3週連続重賞勝ちに加えて、4週目は大穴での好走。いったい何が相談役を変えたのか、全く持って恐れ入る。ケイティラブの西田雄一郎はサクラエイコウオーの七夕賞以来、14年ぶりの重賞制覇だ。95年、新人賞を受賞して将来を嘱望されたものの、98年に2度のスピード違反で執行猶予付き有罪判決を受けて免許返上。更生を誓い5年前に再取得していた。随分と回り道をしたが、地道に頑張ってきた成果が報われたのではなかろうか。苦労人に心からお祝いの言葉を贈りたい。

嬉し涙があれば、かたや悲し涙もあった。アイビスSD3連覇をかけていたカノヤザクラが左第1指関節を脱臼、予後不良となってしまったのだ。同馬は決勝線手前でバランスを崩して10着でゴール。すぐに小牧が下馬したものの、命を助けることはできなかった。レース後、ファンから哀悼の意を表する行為が相次いだことに対して、一部ウェブで疑問を投げかける声があった。議論は多方面に渡るようだが、ひとつ「ほかにも死んだ馬はいるのに、著名馬だけに命の価値があるのか」という主張に感じたことだけ記す。まず、命の価値などという判断は誰にもできない。ひとりのファンしか涙を流さない無名馬の死と、大騒ぎされたオグリキャップの死とを天秤にかけられようか。両者の違いは社会的関心の広さでしかないのに。第二に、私たちは他者との関係性の中でしか生きられない。”知らないもの”と”知っているもの”とでは、関係性の距離が違うのは当然の帰結だ。第三、”競馬”なる装置において、舞台上で死を遂げたものを追悼することは、物語を駆動させる役割を担わされている。最後に心情にすぎないが、第四。恐らくたった一晩で終息するだろう、たくさんの悼辞。それらを贈られるに値する十分な楽しみを、カノヤザクラはファンに与えてきた。ありがとう、安らかに。

|

« アイビスサマーダッシュ予想 2010 | トップページ | 函館記念予想 2010 »

レース回顧」カテゴリの記事

コメント

怪我しにくい馬場を作るとか、なんとか対策できないものかな。レコード頻発の最近の競馬はちょっと怖いな。

投稿: ハナネン | 2010.07.20 23:20

まあ、いろんな意見があるのがネット上であり、競馬ファンであると思うが、死んだ馬を悼む気持ちに待ったをかけるのも、どうかとおもいますなぁ

投稿: 印刷屋 | 2010.07.21 19:52

西田騎手の「有罪判決を受けて免許返上」はちょい違う。
有罪判決を受けると騎手免許が取り消されてしまい、二度と競馬の世界に戻って来れないので、判決が出る前に免許を返上して(というか境師がそうさせて)、謹慎していたというのが正確。

投稿: tetsue | 2010.07.21 23:01

>ハナネンさま 高速馬場=危ない馬場でもないのでしょうが、脚元に優しい馬場を目指してほしいですね。

>印刷屋さま
悼むという行為は個人の内面から発露されるものですから、それ自体を他人が批難するというのはお門違いでしょうね。

>tetsueさま
ありがとうございます。お詳しいですね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2010.07.22 09:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1902/48921845

この記事へのトラックバック一覧です: アイビスSD回顧 嬉し涙に悲し涙の直線千メートル:

« アイビスサマーダッシュ予想 2010 | トップページ | 函館記念予想 2010 »