« ホクトスルタン天皇賞除外 父子4代制覇は持ち越し  | トップページ | 天皇賞春予想 2010 »

2010.05.01

発走前の放馬! 除外か出走か問われる”公正競馬”

先週、8分ほど発走時刻が遅れたフローラS。その理由はメジロジェニファーが、係員がロープを張るのに驚いて返し馬中に放馬、無人のままコースを半周ほどして戻されるアクシデントがあったためだ。随分と走ったように見えたので、私はすっかり競走除外になり、同馬絡みの馬券は返還されるものだと思っていた。しかし、馬体検査の結果、心拍数も上がっておらず、競馬に支障がないとされて出走することに。レースでは後方から追走したものの、直線もまったく良いところがなく、勝ち馬から2秒離されたブービー負けを喫した。鞍上の四位は落ちた自分が悪いと責めつつ、「未然に防げたはず。もう少し馬に気を遣ってほしい。厩舎のスタッフに申し訳ない」(サンスポ)と不満げに語っていた。

厩舎スタッフばかりではなく、馬券を買っていたファンも釈然としないだろう。未勝利を勝ったばかりながら、メジロブランド効果があってか7番人気と穴馬の一角に推されていたジェニファー。「やめろー のるなー 金返せー」(何がええって天気がええ)、「売り上げに響くという、JRAの思惑で走らせたとしか思えない。これは納得が行きません」(珍名馬好き集まれ!!)と、馬券が紙くずになってしまった多くのファンから怒りの声が聞かれるのも当然のことだ。

放馬がなく、普通に出走していたとしても、勝負になったという証拠はない。力不足で惨敗した可能性は十分ある。ただ、それならばまだ、納得できる/しかし、馬券締切後、お金を毟り取ったあとで、胴元によりこういう暴挙が強行されてしまうと、それまでの予想内容は全て無になる。レース中の不可避な事故ならともかく、レース前にこのような暴挙がなされてしまうというのは、どう考えても承伏しがたい。(なぜメジロジェニファーは走らされたのか「言い捨ての小部屋」

競馬というのはレース中の不利や故障など予測しがたいアクシデントを含めて、馬券の責任は購入者が引き受けるのがゲームのルールである。とはいえ、それはあくまでスタートが切られた後の事象に限定されるのでなければ、主催者を信頼して馬券を買う”公正競馬”の建前は崩れてしまうだろう。例えば、以前のシンコウシングラー事件、騎手の不注意で負担重量不足のまま発走して失格となったようなケースでは、絶対に的中しようがない馬券、つまり瑕疵ある商品を販売したわけだから、主催者は無条件に馬券を返還すべきである(こんな当たり前のことが実施できないのは情けないとしか言いようがない)。翻って放馬はどうだろうか。ジェニファー絡みの馬券を持っていた私としては他のファンと同じ気持ちであったのだが、除外にすべしと一刀両断するのも難しいようなのだ。

放馬の際、検査では獣医が聴診器を使って心拍数と呼吸数を測り疲労度をチェック。その他、外傷がないか、歩様に乱れはないかといった基本的なことだけでなく、「どれだけの距離を走りスピードはどれぐらいだったか、放馬した際に備えて準備しているJRAの職員がスタンドからタイムを計ってもいる(東京スポーツ)というから意外に放馬対策は入念である。検査の結果、去年のオークスのワイドサファイヤは疲労が著しいと除外になり、今年の小倉大賞典、ゲート誤作動で放馬したドリームサンデーは除外とならなかった。また、放馬を物ともせず、馬券に絡んだ馬も実際にいる。2006年の未勝利戦では放馬したファイアーワークス(3番人気)が3馬身半差で圧勝。古くはオークスで桜花賞馬・リーゼングロスが馬場を1周したものの2着に踏みとどまっている。放馬がなかったら勝っていたかは神のみぞ知るところ。

では、放馬した馬は除外にすべきだろうか。 JRAサイドとしては売上げを考えれば除外馬を出すことは避けたいし、仮に逃げ馬や人気馬などが除外されればレースの流れも変わり、該当馬を買っていないファンの馬券にも影響を与えるだろう。「放馬は一律除外」とするのもルールとして確立されれば、ファンの不信を取り除く術として受け入れられようが、 JRAが現行のルールを改める見通しもなかろう。ならば、今のように「疲労が著しい」「異常を認めなかった」といった曖昧なアナウンスに終始するのではなく、もう少し詳しい馬体の検査結果や放馬した距離など、JRAが判断材料とした情報を開催終了後にも公に開示したらどうだろうか。そうすれば、馬券を外したファンも多少は納得がいくのではないか。大切な”公正競馬”の一面を守るためには、それほどコストに見合わない努力ではないと思うのだが。

|

« ホクトスルタン天皇賞除外 父子4代制覇は持ち越し  | トップページ | 天皇賞春予想 2010 »

コラム・書評」カテゴリの記事

コメント

「言い捨ての小部屋」のICHIZOです。
このたびは、ご紹介&トラックバックいただき、どうもありがとうございました。
いつも敬服しながら拝読している「馬券日記 オケラケラ」さんにご紹介いただき、光栄の極みです。
確かに、あんなアナウンスひとつで、出走させたりさせなかったりという状態になっているのが、不信感を募らせていることは間違いありません。
大金が課せられているアクシデントなのに、十分な説明責任を果たしてないです。ビジネスならばあり得ない筈なんですが…。
個人的には、いくらチェックしても、内面疲労を測定できない以上、「放馬は一律除外」がベストだと思うのですが、それは難しいのでしょうねぇ。

投稿: ICHIZO | 2010.05.01 11:42

>ICHIZOさま お世話になります。印象深いエントリーだったので、ご紹介させていただきました。サラブレッドはとかく精神面の繊細さが指摘されますが、そうしたことを考えれば一律除外も一手ですよね。今後ともよろしくお願いします。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2010.05.02 13:18

ごぶさたしております。

フローラSは、あたしもジェニファーの馬券を持っていました。
テレビで見て、すぐに除外だと思ったので、
たしかに意外ではありましたが、
個人的には、JRAの都合というよりは、
トライアルレースだから、無理に「走らせてあげた」のかなと、
勝手に理解して我慢しました。

つまり、逆にJRAの温情だと思っていたわけですね^^;

その日、京都で9R10Rと連続で馬券をとっていたから、
憤慨も押さえられたのかも(笑

投稿: 才蔵 | 2010.05.10 00:25

>才蔵さま
ご無沙汰しております。どんな結果になっても、自分の馬券が当たってればすべて良しなんですけどねー。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2010.05.16 12:32

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1902/48227014

この記事へのトラックバック一覧です: 発走前の放馬! 除外か出走か問われる”公正競馬”:

« ホクトスルタン天皇賞除外 父子4代制覇は持ち越し  | トップページ | 天皇賞春予想 2010 »