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2010.01.15

9頭落馬事故 ”内ラチ1頭分ルール”など反応雑感

先日の9頭落馬事故。様々な立場から見解が明らかにされているが、ほとんどが冷静な反応だったように思う。雑記的に気になったものをピックアップしたい。まずはJRAの認識から。レース終了後、報道陣向けの説明会で「動きは小さかったが、加害馬と被害馬の因果関係が特定できた。馬の癖とは認められず、騎手としての結果責任が運用された」(サンスポ)とコメント。さらに、内ラチから1頭分ほど間隔を取るよう指導していたとして、ジョッキーの過失があったことも指摘した。しばしば競馬界では結果責任という言葉が強調されるが、今回も些細な過失が呼んだ小さな斜行でも、勝浦を落馬させた結果の重大性が問われたのだ。1頭分のスペースを開けなくても、他馬の進路を妨害しないなら咎められることはないが、事故を引き起こせば処罰が下される。行為そのものならオークスでの池添のアクションの方がひどくとも、結果は三浦の方が重いと。

騎手の動きや技術は素人ファンからは分からない部分が多いが、業界関係者はどう見たのだろう。へっぽこライダ~日記さんは三浦は逆手にステッキを持って危険回避の行動を取っていたとし、自身が滞在中のアイルランドならば規定に従っていたと看做されるだろうとしている。むしろ、新馬戦で「急なコーナーで4頭併せ」のなか、「転んだ馬は半馬身後ろ」につけていたことから、勝浦も同じぐらい責任があると指摘している。GOSのブログさんも三浦には同情的な立場だ。被害馬について「あのくらいで後ろの馬が転ぶのってかなり稀な気がします。もう踏ん張る余力がなかったか、バランスのない馬だった」とし、斜行による4日間の騎乗停止を決めたJRAに対しては「馬のことを知らない素人だと思っていましたが、目も悪いよう」と手厳しい。やはり、元厩務員のつぶやきさんも、勝浦が斜め後方から寄せていった点は危険だと述べ、事故は2人の共同責任と断じる。「今の裁決委員には競馬を見る目が無い」、勝浦にも非ありという論だ。

一方、若手への騎乗指導を行っているという元ジョッキーの坂井千明もブログで言及している。こちらは三浦の油断が事故を生んだと、明確に騎乗を批判する。坂井はコーナーで後輪を滑らせる車のドリフトに例えて、「スピードに乗ったまま、無理にハンドルを切れば…当然、外側へ流れてしまう。皇成の手綱の捌き方は、これと同じこと」だと、新馬戦にしては注意が足りなかったゆえ、騎乗停止は当然と言う。落馬事故に巻き込まれた蛯名正義も東スポ紙上で三浦に苦言を呈す。こちらは現役ジョッキーだけに、いっそうの説得力がある。内ラチに接近しすぎていた騎乗こそ事故の要因であり、”暗黙の了解”をしっかり守れと指弾している。

”ルールにない”とか”聞いたことない”なんて話が出ていたけど、騎手にとってこれは常識。「馬1頭分」ほど開ける必要はないと思うが、安全に走れるだけのスペースを設けるのは当然のこと。明文化されたルールではないが、オレらよりずっと先輩たちの時代から受け継がれてきた暗黙の了解なんだ。 /どうも最近の若手とベテランの間の共有意識は薄くなってきて…。 /今回は不幸中の幸いにして最悪の結果とはならなかったが、一歩間違っていれば大惨事だった。 (東スポ)

明文化されてはいないものの、騎手の間で伝えられてきた最低限のルール。そうしたものがあるからこそ、馬がひしめく危険なレースでも命が守られてきたのだろうし、暗黙の了解が失われかけているならば警戒すべきことだろうか。この点、評論家・水上学が興味深い事実を書いている。蛯名の言う「内ラチを開ける」ルールは関東では「先輩騎手が内ラチを空けて回るように若手を指導」しているが、関西では「申し合わせはなく、1頭分空けないといけないという具体的な数字を伴った感覚はない」のだそうだ。その上で水上は、実際のレースではそんなルールは守られておらず、 JRAが「『内ラチ問題』を罰則の1つの基準として今回用いたと語ったことは、マスコミやファンに誤解を招く恐れのあるもの」と非難する。確かにファインプレーと危険な騎乗は紙一重であり、水上の主張するように厳格にルール適用すれば競馬の魅力が削がれる可能性はある。ただ、「危ないことをして被害が出ればその都度罰すればいい」とする水上と、「”甘い”のと”安全確保”との間には開きがある」とする蛯名の隔たりが、同じように騎手の間にもあるのならば、現実に騎乗するジョッキー同士は認識を擦り合わせておくことが必要だろう。

この他、騎乗技術には関係ないものでは、負傷した中舘に代わって三浦が代打を務めた8レースに関して、「落馬したジョッキーの馬に乗り替わりで跨ったのはいかがなものか。少なくても裁定に恭順の意を示すべきであったと思うが…」(清水成駿の競馬春秋)が印象的だった。だが、私は清水成駿とは違い、乗せる調教師も調教師だが、あわやの2着に穴馬を好走させてしまう騎手も騎手だと、ある意味ではポジティブな感慨を持ってしまった。もう一つ、ファンサイドから提言した競馬バカのバカ競馬さん。出走馬の多くが落馬したのは公正さを欠き、馬券の的中、不的中もない。「安心して馬券を買うという観点から、競走中止における不成立の基準を新たに設けてもいい」と、半数以上が落馬した場合はレース不成立にしてはどうかと一例に挙げている。競走中のアクシデントを馬券に反映させるのは、なかなかコンセンサスがまとまらなさそうだが、今回、偶然?1番人気馬が勝っておらず大荒れになっていれば、こうした意見は噴出したかもしれないと思った。

*引用先ブログにはトラバを試みましたが、不調なのか送信に成功しないものもあります。通知が遅れたことをお詫び致します。

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コメント

蛯名騎手のコメントが印象的です
いかにも蛯名騎手や柴田善臣騎手(名前を出して失礼ですが)なんかが言いそうな
騎乗スタイルにリンクした物の言い様だなあ、と
今回は事故になったがあのくらい鋭くインをつかなきゃ
ならない場面もここ一番の大勝負ではあるだろうし

投稿: 8 | 2010.01.16 11:49

>8さま 遅レスすみません。一か八かやらなきゃいけない大一番もあるでしょうね。ゆえに失敗したときのリスクも被らねばならないのでしょうが。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2010.01.20 03:27

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