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2009.11.03

天皇賞秋回顧 ”馬齢を重ねる”アドバンテージが結実

「8歳馬、旧年齢なら9歳ではないか」という先入観。あるいは「4着固定の馬券ならG1でも買いたい」といった口さがない意見に同調するところが私自身あったかもしれない。しかし、横山典カンパニーをスッと内々の中団につけると、直線でも32秒9の脚を引き出して完勝させてしまった。レースの前半は59秒8と、想定以上のスローペース。後半は必然的に上がり勝負となるだけに、取りたいポジションに自在につけられる競馬の巧さが明暗を分けたのは当然だろう。騎手と気持ちを通じ合わせる術を身につけていった34戦の経験こそが、展開や枠順も味方に引き込み、盾で結実したと言ってよい。つい最近まで、追い込み一辺倒で多頭数を捌ききれない不器用なイメージを持っていたファンも多かったのではないか。ひとつのターニングポイントになったのは去年の中山記念。乗り替わった横山典があっと言わせる番手の競馬で勝利に導いたレースだ。この時、「目の前の勝ちを取りに行くだけの乗り方」と批難する向きもあった。しかし、振り返れば、イマイチくんから脱皮する新たな一歩だった気がしてならない。調教技術の進歩で息長い活躍もできるようになった現在、”馬齢を重ねる”のは無為な日々では決してなく、事を成すための大きなアドバンテージだ。

連覇が期待されたウオッカ。毎日王冠で逃げて差された武豊にとって、馬群で折り合いをつけ、好位から中団で競馬をすることが至上命題だったはず。スタートして控えることには成功したものの、他馬に寄られたこともあって、必要以上に位置取りは後方になってしまった。ある程度、速い馬が揃っていたにも関わらず、スローペースで淡々と進んだことも誤算だっただろう。直線では前がつまるも、そこから立て直して加速。安田記念の再現かと頭を過ぎったが、存分に脚を伸ばしていたカンパニーに並ぶことはできなかった。先に抜けていたスクリーンヒーローもクビ差、捕らえられなかったのは闘争心の減退を感じさせるところではあるが、ウオッカとて上がりは32秒9。不利な条件が重なっていく中、恥ずかしくないレースはしている。武豊は「完敗」と肩を落とし、角居師は「負け続けさせるのはかわいそう」と引退を示唆。ファンとしてはジャパンカップでもう1戦だけ、希代の名牝の走りを見せてもらいたいと願うが、馬よりも陣営にファイティングポーズをとる覇気が戻るか。

7番人気で連対、プチ波乱を呼んだスクリーンヒーロー。もう少し距離が必要かと思っていたが、この馬こそ府中替わりを待っていたクチ。父グラスワンダーもそうだったが、注目の下がったところで復活するのは血のなせる技か。ウオッカとは3馬身離れた4着にオウケンブルースリ。前が開かず、脚を余した印象。距離伸びるジャパンカップは条件は好転するが、人気も集めるだろう。2番人気の上がり馬、シンゲンが5着。ホワイトマズル産駒で、上がりの競馬は向かなかった。信玄は天下を獲れないものなのか。ドリームジャーニーは追い込みの競馬で6着。懸念されていた左回りで、スムーズに上がってくことができず、ペースもあわなかった。ところで、カンパニーの父、ミラクルアドマイヤ。トニービン直仔で、兄弟にフサイチコンコルド、アンライバルドがいる良血馬だが、種牡馬を引退後、ノーザンホースパークに移動。今は消息知れずという。カンパニーの活躍で一時は年171頭の牝馬も集めたが、他の産駒は鳴かず飛ばずだった。何処かで余生を過ごしているといいが、あまり詮索するのも無粋というものか。

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コメント

シェリフズスターみたいだと良いんですが・・・

投稿: ○もと | 2009.11.03 16:18

>角居師は「負け続けさせるのはかわいそう」と引退を示唆。

これが意味不明なんだよなぁ。
ウォッカって結構負けてるし、今回の走りも強い負け方だったと思うんだけど…。
ディープインパクト級の成績の期待をされてもね。
これで引退したらファンがかわいそうな気が…。

私は別にファンでもアンチでもないけど、もしこれが最後のレースになったら
札幌の結果で凱旋門行かなかったブエナの時みたく、胸のもやもやが取れなさそうw

投稿: あさか | 2009.11.03 20:22

あさか氏に同意

ウオッカは負けてもアイデンティティを損なわない、むしろ敗戦を勝利で上塗りすることでらしさを磨き上げた珍しいカリスマホースだったりするわけで…

ただ鞍上としてはどう乗って良いのか未だに模索中だったりで、そのあたりの難しさが陣営の弱気に繋がってる気がします。

投稿: | 2009.11.04 00:20

シンゲンはポッキリいってた模様
伸びないわけだわ

ウオッカは落ち着いてきてしまった感が・・・
角居さんの心境としては「もう勝てないかも」なのかも。

投稿: ○もと | 2009.11.04 22:00

 乗ってたのが四位さんだったら、同じ騎乗したら降ろされるんじゃないですか?
タニノギムレットのNHKマイルカップのときは、大きな不利があったのが主因でしょうけど、今回は明らかに位置取りが・・・。
 また、マスコミの報道も歯にものが詰まった感じがします。賛否を含めいろんな意見があるのがあたりまえでしょう。横典みたいにあっけらかんと、ローレルでのミスにインタビューでふれるほうが、ファンにとっても親しみがもてます。
カンパニーは確かに強かったんですが、もう一回同じレースをしたら、ウッォカが勝つことも十分あるようなレース内容だったと思います。
もともと、後ろでしか競馬できない馬ではないのだから、明らかに下げすぎだと思います。
 武豊さんはアドマイヤベガでのダービーの騎乗のころと比べると、大レースでの凄みがなくなってきたと思います。(比べるレースが酷ではありますが)
スペシャルウィーク、ディープインパクトは、誰が乗っても勝ったんでしょうが、アドマイヤベガをダービー馬にできたのは、彼だけだったと思います。
あのときは、テイエムオペラオーとナリタトップロードの馬連で勝負してましたが、すごいものを見れた満足感が悔しさを上回りました。
毎年、交流G1だけでなく、八大競争での活躍を見たいものです。

投稿: | 2009.11.04 22:03

>○もとさま シンゲンとても残念です。全治は未定。安田、宝塚あたりには間に合ってくれるといいのですが。

>あさかさま ファンとしてはこのままで終わってほしくないという気持ちが強いですね。それでも、十分に伝説となる戦績を残しているのも事実なのですが。ななしさんの言うように、1800以上になると乗り方が難しくなるのも陣営には頭の痛いところなのでしょうが。

>ななしさん アドベガのダービーは単1点勝負で勝ってくれたので、とても印象深いレースです。あの乗り方は本当に神がかっていたというか、凄みを感じさせるダービーでした。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.11.04 23:52

トラックバックの承認ありがとうございます。
武豊騎手の位置取りについては、清水成駿氏は公式サイトで述べています。
「カンパニーの前にいてはまた目標にされる。切れ味の差は歴然。ならば逆にカンパニーを前に行かせて後から差す。これなら流れさえ嵌まれば・・・・・、武豊が練りに練った究極の作戦でもあったはず。」
私も非サンデー系後継種牡馬に跨った時の武豊騎手は、まだまだ信頼できると考えていますので、ミスというよりはレースの綾ではないかなと思います。

投稿: パドック診断の3連単屋 | 2009.11.05 22:29

>パドック診断の3連単屋さま 武豊もああしたペースになるとは考えていなかったでしょうね。もちろん、馬券的に信頼できる騎手には違いないですよね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.11.08 16:16

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陣営の完璧な仕上げや横典の完璧な騎乗、好枠、好位置取り、瞬発力勝負などを勝因に挙げる点については、ほぼ相違はないように思われる。ここでは、なるほどと頷いた他の要因を上げ... [続きを読む]

受信: 2009.11.04 20:58

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