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2009年6月の11件の記事

2009.06.30

タキオン急死 ”種付け頭数制限”は妥当性を持つか?

今月22日、社台スタリオンステーションに繋養されていたアグネスタキオンが、急性心不全のために死亡した。享年11歳。種付けシーズン終盤、放牧中の出来事だった。アグネスタキオンは無敗で皐月賞を制覇、種牡馬入り後はダイワスカーレット、ディープスカイなどを輩出し、去年は父サンデーサイレンスに代わって初のリーディングサイヤーに輝いた。今年の種付け料はディープインパクトと並ぶ1000万円。トップサイヤーの急逝は競馬界に大きな衝撃をもたらした。そして、急性心不全と聞いて、少なからぬ人々が種付け頭数との死亡の因果関係を想起したようだ。アグネスタキオンの種付け頭数は、一昨年、昨年と200頭を超える人気ぶり。今年もすでに200頭前後の種付けを終えていたとされる。アグネスの渡辺孝男オーナーも例外ではない。「急性心不全だと聞き、無理をさせすぎたのかなと、大変がっかりしました」(週刊Gallop 7/5)と述べている。直接的な言葉ではないが「無理をさせすぎた」とは種牡馬として働かせすぎたの意だと解するのが適当だろう。

同様、ネットでもファンや評論家らが同馬の死を悼むとともに、種付け頭数の多さを指摘している。「完全に正しいかは言い切れないがその原因に種付け過多は少なからず関係しているとは思う」(縦目安箱)、「常軌を逸した(個人的感想だが)種付け頭数は種牡馬にとってプラスになるものではない」(水上学のこれだけは言わせて!!)。だが、こうした意見のほとんどに個人の感慨を超える論拠は見当たらない。おそらく、多ければ一日に5回も種付けを行う種牡馬に人間を投影させて消耗の激しさを想像しているか、 90年代前半まで年間100頭が種付けの限界だとされてきたことが強い印象を与えているのではないか。ここ10年余、急激に種付け頭数が増えた背景には獣医学の進歩によって、繁殖牝馬が受胎しやすい時期を把握できるようになり、効率の良い交配が営めるようになったことがある。つまり、1頭の牝馬への発射回数を減らすことが可能になったのだ。とはいえ、従前の100頭と、現在の200頭との間に、どれほどの回数の差があるのかは私には分からない。交配時期も早めにスタートするようになったこともあり、単純な比較はできない。

一方、種付けの行為そのものが、身体的負担を生むことは否定しようがない。 1960年代、1日4回のお勤めを果たし、ワンシーズン238頭の世界最高記録を樹立したセイユウ。”性雄”の仇名で知られたこのタフネスも、23歳のとき、心臓麻痺で倒れている。本質的に競馬は動物愛護の精神とはかけ離れている。人間のエゴやビジネスで近親交配を繰り返し、大部分の馬を淘汰し、選りすぐった馬にも自然ではありえない種付け頭数を強いるのだから。極端な話、種牡馬の健康だけを考えるのならば、人工授精を解禁すれば良い。そうすれば、一度の射精で何十頭分が賄える。DNA技術が発達した現在では親子関係の取り違えを防ぐことは容易で、"自然主義"に拘ることは競馬界全体の共同幻想であり、種牡馬ビジネスもその内にある。仮にアグネスタキオンの死因が種付けによる負担にあったとしても、「社台の『異常な独占的儲け主義』がまねいた事故」(大橋さんの競馬予想)と同じ共同幻想内にあるファンだけが責任を逃れ、倫理的な非難を加えることは矛盾なのである。現実として、昨年、社台SSでは10頭の種牡馬が200頭以上に種付けし、そのうち9頭は今年も無事にシーズンを終えた。体調管理に瑕疵ありと指差す根拠を誰か持っていようか。

社台の責任を指弾するブログのなかには、「種付け頭数制限を早急に導入せよ」(馬の写真with余計な一言)と主張するものもある。これまでの考察からほとんどの部分には同意できないが、特定の種牡馬への一極集中を是正する施策としてのみ、種付け頭数制限が妥当性を持つか検討に値する。「ある種牡馬の飽和状態になると、近親交配を避けるため、その系統の種牡馬は繁殖機会を失い消滅する」、いわゆるセントサイモンの悲劇はどうか。日本では今、まさにサンデーサイレンスがセントサイモンの道を辿りつつある。だが、主流父系が栄枯盛衰を繰り返すのは歴史の必然。その度に異系の血が新たな活力をもたらし、旧主流の血は母系に内包されて力を発揮することになる。一つの血が父系として絶える現象は恐れおののくものではない。むしろ問題は、主流血統に対する異系の血を後世へ遺すチャンスが、これまでにない速度で奪われるところにあるのかもしれない。生産頭数が減り続ける現状、1頭あたりの種付け可能数が倍になることは、中流以下の種牡馬の交配頭数が急減していることを意味する。格差社会は到来済みだ。しかし、漠然とした不安はあっても、その先に現実的な危機があると立証するのは難しい。

仮に私的なビジネスにくびきをつける種付け頭数制限が実施されるとすれば、理性や科学的知見に基づいた討議と、すべての当事者が受け入れ可能な規範について合意がなされねばならない。その妥当性を見出す敷居は低くなく、種付け頭数制限が強制力をもって実施される可能性は少ない。であればこそ、もっと公に開かれた場で種付け頭数の適性値や、一極集中化の影響について、具体的なデータとともに問い続けることは必要ではないだろうか。最後に、1997年、吉田照哉総帥が社台寡占化が進む種牡馬ビジネスに対して披露した識見を紹介したい。「みんなのレベルが上がらなければ、いつまでたっても日本は競馬後進国です。…いくら獣医学が発達したと言っても、 180頭も交配したらさすがに心配なんですが、頑張ってもらうしかありません。…交配する生産者は社台スタリオンにとって大切なお客さんですから」(競馬種牡馬読本2)。過去、あまたの失敗を繰り返し、繁殖牝馬の質をあげ、ようやく世界の一流種牡馬を売ってもらえるまでに漕ぎ着けた社台の執念。例え、ファンや評論家が現在の社台の方針に批判的な立場を取り、それが正当なものだとしても、種付け頭数の急増が日本競馬のレベルを飛躍的に高めた事実を踏まえた言説でなければなるまい。

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2009.06.28

2009 宝塚記念予想

グラスワンダー、ダンツフレーム、スイープトウショウ。ディープスカイと同じく、安田記念2着から宝塚記念をめざした馬の成績は悪くない。データ的にも4歳牡馬は飛びぬけた連対率を誇っている。だが、そんな数字よりも、これまでダイワスカーレットやウオッカという希代の最強馬を相手にして、互角に渡り合ってきたディープスカイの実力を信じてみるべきだろう。亡き父、アグネスタキオンの血を継承するには、ダービー以来のG1タイトルはきっちり取っておきたい。強敵はアルナスライン。前走の天皇賞春は内容的には勝ち馬を上回るものだった。先行有利、上がりも多少かかる展開なら、逆転の目もありうるか。3連単はこの2頭を軸にして、勝負してみたい。

◎ディープスカイ ○アルナスライン
△サクラメガワンダー、ドリームジャーニー、アドマイヤフジ、

 カンパニー、マイネルキッツ

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2009.06.23

ウオッカは宝塚記念回避 秋への充電もファンサービス

13万9507票を獲得し、断然のファン投票1位に選出されたウオッカは、宝塚記念を回避することとなった。今年はドバイで2走し、帰国後はヴィクトリアマイル、安田記念を連勝。常識的に考えれば牝馬に上がり目はなく、疲労も心配される状況で出走させることに懐疑的だった私は、正直ほっとさせられた。もちろん、ウオッカが参戦すれば宝塚記念も盛り上がるだろうし、ディープスカイと2200メートルで再戦するところも見てみたかった。馬券も売れたかもしれない。だが、ウオッカの適性はG1で5勝をあげた府中なのは明白で、宝塚記念は取りこぼす可能性は少なくない。G1最多勝のタイ記録の7勝を狙う舞台には相応しくあるまい。サラブレッドはデジタルデータではなく、現実世界の消耗品なのだから。

3歳時、ウオッカは「ファンのためグランプリを盛り上げたい」と谷水オーナーの強い意向で宝塚記念に出走したものの、不運なアクシデントも重なって惨敗。結果的に秋まで影響を引きずることになってしまった。ことし、谷水オーナーは「13万票も入れてくれたファンの方の気持ちも考えましたが、ウオッカの身になれば、この間隔で使うのはどうなのか。今回は、僕のわがままを通してもらいました」(報知)とコメント。誠実すぎるほどのファン重視の姿勢は頭が下がる。しかし、ある程度、能力や適性がはっきりした5歳、すべてのG1にトライする必要はどこにもない。改めて戦績を振り返れば、ここまで22戦も無事に走らせてきた陣営の手腕に驚かされるばかり。夏はゆっくり休んで、秋に雄姿を見せてほしい。楽しみを未来に取っておくのもファンサービスだ。

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2009.06.21

新馬戦スタート 注目ダノンパッションの初戦は?

いよいよ新馬戦がスタート。かつて、夏競馬デビューなどといったら早熟馬の代名詞のようなものだったが、育成技術や幅広い距離でレースが行われるようになったことで、状況は大きく変わった。ここ3年、開幕週にデビューした2歳馬のうち、何と8頭が重賞勝ちを収めているそうだ。去年は朝日杯を制したセイウンワンダー、一昨年はファンタジーS勝ちのオディールが開幕デビュー組だ。ことしの目玉は池江郎厩舎が自信を持って送り出すダノンパッション。父アグネスタキオン、母スターズインハーアイズで、半兄にアインクラス、プレザントブリーズ、叔父にディープインパクトがいる良血馬。何かとペーパーファンには不人気のダノンの冠だが、そろそろ当たりを引いても良い頃合ではとの声も聞く。追い切りはあのヴェラブランカを2馬身半突き放す大物ぶり。池江郎師も最後のダービー世代だけに、例年より気合の入り方が違うはずだ。

ところで、土曜日に行われた新馬戦で勝ちあがり1号になったのは阪神のエーシンダックマン。POG指南書でも注目されていた評判馬の順当勝ちだった。一方、福島では10番人気リネンパズルが単勝60倍の大穴。このレースでは2番人気のグリーンウィズダムが躓いて転倒し、予後不良となるアクシデントがあった。鞍上の後藤は全身打撲というから心配だ。そして、巻き込まれて落馬したのが吉田豊で、その馬名がブラックジョークというのは本当に笑えない。阪神でも歩様異常で競走中止した馬がいたが、やはり経験のない若駒の初戦は想定外のことが起きやすいのだろう。もう1鞍、札幌の新馬戦は単勝55倍のコスモソルスティスが波乱を呼んだ。果たして単勝1倍台前半も予想されるダノンパッションは第一関門を突破できるだろうか。意外に2、3番人気の単あたりは悪くない賭けかもしれない。

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2009.06.19

”疑惑の裁決”が産んだ大改革 満たされぬ正しさ求めよ

ここ2週続けて、調教師から裁決に関する不満がファンに漏れ聴こえてきた。1人目は橋口師。7日(日)の中京11レース、管理するルミナスハーバーは直線で2位入線馬の進路を妨害したとして降着処分となった。ルミナスハーバーは被害馬と馬体を併せに行った際、2度ほど接触するシーンがあった。これを降着とするのは素人目にも厳しい処分のように感じさせられたが、橋口師も納得せず、裁決不服申し立てに関する審理を行う不服審理委員会へ訴えでようとした。だが、トレセン業務の仕事始めである水曜日(月火は休日)に公正室に赴いたところ、「不服申し立て期限はレース後2日まで」だとして申し立てを認められなかったという(スポニチ)。2人目は矢作師。13日(土)の東京8レース、1番人気に推された管理馬のブレーブビスティーが大外から伸びてきた際、前の馬が外に膨れて減速させられる場面があった。審議のランプは点かなかった。矢作師はパトロールフィルムで被害場面を確かめるため、確定を遅らせるよう頼んだが、裁決は聞き入れなかったとする(公式ブログ)

橋口師の件は冗談としか思えない内容だが、事実ならお粗末すぎる欠陥であるし、こうして報道された以上は早急に改善されるだろう。不服審理委員会は20日付けで岡部幸雄元騎手が外部委員として登用されて話題になったばかり。従来はJRA役職員だけで構成されていたが、客観性や透明性を高めようと改革がなされた。騎手経験者を裁決にという声は昔からあったが、不服審理委員会という一段上の審議機関とはいえ、元ジョッキーの存在がどんな影響をもたらすのか、興味深いところではある。矢作師の件は性質が異なる。「円滑に開催を進行させたい裁決は急かそうと」して、2分半ほどのパトロールフィルムが再生し終わる以前に、レースを確定させてしまった。被害を訴える機会を失ったのである。JRAは今年1月、「審議から確定に至る手続き」を見直しを図り、ファンサービスのため、審議レースを減らすこと、速やかな確定に努めることを目標に定めている。矢作師のケースでは、着順変更を要する可能性のある妨害はないと考えて、ならば速やかな確定を優先させたということかもしれない。正確性か迅速性か。妥当性の是非は部外者には分からない。

ところで、この1年ほど、審議や走行妨害に関するJRAの改革路線には目を見張るものがある。巨大組織を動かすきっかけとなったのは、去年の「オークス疑惑の裁決」事件だろう。1位入線のトールポピーが大きく斜行して複数馬の進路を妨害し、鞍上は騎乗停止となったものの、着順変更は行われなかったレース。”分かりづらい裁決”が波紋を広げた。判定基準の曖昧さ、決定の不透明性、公平性の不担保といった批判のほか、特定の馬主に処分は甘いのではないか、被害側も加害側との力関係で真実が述べられないのではないかなど、従前の問題点を指摘する声が噴出した。間もなくJRAはサイトで「走行妨害の判断ポイント」など判定基準を簡明にして公開。1月には裁決業務の見直しを実施し、馬の癖など偶発的要素による走行妨害は「騎乗停止1日」とする、重大な過失は走行妨害に至らずとも「騎乗停止2日以上」にできるなど、ファンが理解しやすい制裁の改定も行った。あまり注目されていないが、確定前の事情聴取対象を被害馬の騎手に限定したのは、加害側の立場によって裁決が左右されることのないよう張った思い切った防衛線か。審議とは一義的にファンのためになされるべきと私は考えているから、当事者感情に流されないことは核心のひとつである。

新ルール施行後、きさらぎ賞で藤田騎手がバカついた馬を必死に立て直したものの、進路妨害があったとして騎乗停止1日とされた件があった。藤田騎手は「競馬役職員の無能な現実を沢山の方々に知って頂きたい」(公式ブログ)と感情を爆発させたが、「偶発的要素による走行妨害」と認めたからこその騎乗停止1日であり、規定趣旨に沿った判断と言える(すぐに藤田騎手の怒りも収まったよう)。無論、法やルールは一般的形式的なものであり、特定のケースにおいて正しさを実現する保証はない。また、偶発的要素による走行妨害の責めを騎手に帰する(調教師でも馬そのものにでもなく)という規定が、未来永劫、不変というものでもない。一度、規定は確立されると、その源となった価値判断の信憑性を隠そうとする力が働く。それ故、常に多方面からの問いかけを反芻しながら、より良い方向へと運用、改定していくことが必要となる。その点、騎手、調教師、ファンの活発な言動と、それに対するJRAの柔軟なレスポンスは好ましい循環にあるように思える。オークス疑惑の裁決も一連の契機としては肯定的に捉えられるほど、この1年の動きは画期的である。大切なのは、満たされることのない正しさを求める運動を継続させていくことだ。

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2009.06.18

POG指名馬レビュー レーヴドスカーに1位の敬意

今月7日、安田記念の観戦後、府中グリーンプラザで恒例のPOGドラフト会議が行われた。参加メンバーは8人で1人12頭持ち。兄弟馬、母馬を過去に指名していた参加者は、同順位で指名が重なった場合は獲得の優先権を得る。戦々恐々としていた1順目であったが、指名が重複することなく淡々と終了。ちなみに他の7人の1位指名馬を列記しておくと、カザンリク(母ビリーヴ)、セイクリッドセブン(母グレースランド)、ヴェラブランカ(母アドマイヤサンデー)、レッドステラーノ(母ロンドンブリッジ)、アドマイヤゲーム(母アドマイヤグルーヴ)、アーデルハイト(母ビワハイジ)、シャガール(母スカーレットブーケ)であった。兄に堅実ドリームパスポートがいるとはいえ、セイクリッドセブンが1位で消えたのは意外だった。では、拙獲得馬を期待を込めて軽くレビュー。

1位・レーヴドリアン(スペシャルウィーク×レーヴドスカー)
母レーヴドスカーは3年連続でPOG期間内にオープン馬を輩出してきた名牝。持ち込み馬だったナイアガラから指名をしてきたのだが、とうとう今年は上位人気になりそうな気配だったので敬意を払って1位で行くことにした。ナイアガラがファンタスティックライト、レーヴダムールがファルブラヴ、アプレザンレーヴがシンボリクリスエスと、決してペーパー向きでない種牡馬が続いた後でのスペシャルウィーク。出来すぎた話ではあるが、そろそろクラシックホースを出してもおかしくない。じっくり、長めの距離で使い出していただきたい。池江パパでなくマツパク厩舎。

2位・アドマイヤプリンス(アグネスタキオン×プロモーション)
なんだかんだ言っても、今年はアグネスタキオンのぶり返しがやってきそう。半兄アドマイヤメインは毎日杯、青葉賞を連勝してダービー2着している。遅生まれはネックだが、スピードもスタミナも恵まれていそうな配合。良血が揃ったアドマイヤ軍団のなかでも優良株ではなかろうか。レーヴドリアンと同じくマツパク厩舎。やはり、デビューは遅めか。

3位・リアライズトロイカ(キングマンボ×バリストロイカ)
父は言わずもがなの世界的大種牡馬で、母の父はニジンスキーという大物配合。しかも、全姉に英1000ギニーなどG1で4勝をあげたラシアンリズムがおり、近親にもディクタットやケイプクロスなどが名を連ねる名門一族だ。本格派ならクラシックの王道路線でと思うが、森厩舎のキングマンボと聞くと、交流競走のホープか、とも連想させられる。ぜひ前者で。

4位・ラプリマステラ(アグネスタキオン×ラプーマ)
ここで牝馬指名。友道のキャロット馬。早めに進んでいることもあってか、過剰人気の嫌いもないわけではない。公式の情報を見ると「まだ自分から走る気を見せていない」 などという心配なコメントもあるが、ひとまず27日の阪神1400でデビューさせる方向ではあるらしい。

5位・アドマイヤジャガー(ネオユニヴァース×レジェンドトレイ ル)
2頭続けて友道厩舎だ。某指南書で友道師が「ネオユニヴァースの最高傑作かもしれない、アンライバルド以上かもしれない」と吹きまくっているのに乗せられてしまった。母はケガで未出走、繁殖入りしたが、シンコウラブリイの妹にあたるハッピートレイルズの系統。札幌デビュー予定。

6位・スクーデリアピサ(クロフネ×フサイチエアデール)
フサイチリシャール、サイオンの全弟となるクロフネ産駒、白井最強。ギャロップのカラーグラビアで堂々のトップを飾った。白井師談「スピードがありそう。距離は1800メートルくらいは持つんじゃないかな」。めざせ朝日杯! ぜんぜんダメだったらダート路線で。

7位・ウィンターコスモス(キングカメハメハ×ミスパスカリ)
母はブルーアヴァニューの娘。マーメイドSで3着などした実績がある。つまりはクロフネの姪っ子にあたるわけだが、父母ともに金子馬で、本馬も金子HDの所有。生粋の金子ブランドである。去年がファーストクロップだったキングカメハメハの評価は難しいが、代表産駒がフィフスペトルとゴールデンチケットというのは物足りない。2年目は牝馬で一発。松田国。

8位・母スーア(アグネスタキオン×スーア)
半姉ソーマジック、半兄サトノエンペラーはともにシンボリクリスエス産駒だった。アグネスタキオンに代わって、完成するのが多少は早くなるのではとの期待を込めて指名した。兄と同じ藤沢。

9位・ラッキーダイス(ネオユニヴァース×ミスベガス)
これも藤沢。新馬、芙蓉Sを連勝したダイワプリベールの半妹。すでに入厩しており、札幌デビューと報じられている。この厩舎の牝馬にしては早めの使い出し。母は米・伊で9戦7勝の戦績をあげ、スプリンターとして活躍した。本馬もスピードが勝ったタイプだろう。

10位・エイシンゼウス(Giant's Causeway×Baraka)
毎年、コンスタントに活躍場を出している栄進牧場。そのイチバン馬との評判になっている。母はファインモーションの全妹となるデインヒル産駒。スケール感の大きさに引かれた。国枝厩舎との噂も。デビューは秋か。

11位・サトノサンダー(Smarty Jones×Line of Thunder)
兄、米2冠・サンダーガルチを産まれたのは17年も前のこと。バトルラインなど、その後も毎年のように仔馬を誕生させている母は偉大だ。いかにもなダート馬だが、どうでるだろう。早めの仕上がり。藤沢3頭目。

12位・チタニウムヘッド(スウェプトオーヴァーボード×カツラドライバー)
最後は遊んでみた。安田隆厩舎。夏のデビューめざす。エフティマイアの半弟ということで、この馬も意外なところで爆走してほしい。

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2009.06.14

2009 CBC賞予想

不思議と関東馬が圧倒的に良績を残しているCBC賞。過去10年の連対率は地元関西馬にダブルスコアをつけており、時期が移行された最近3年間に限っても半数を占めている。今年の期待は久保田厩舎のモルトグランデ。父ウォーチャントはダンチヒ直仔で、外国産スプリンターには珍しく、経験を積むごとに少しずつ強さを増してきた晩成派だ。シルクロードSで3着したようにG3レベルでは上位に食い込む力を備えるが、前走の愛知オープンを叩いて調子は上向き。脚質は自在で末を生かす展開になれば金星もある。対抗はまだまだ若いソルジャーズソング。安藤勝を配し、勝負がかりは間違いない。単穴に去年2着のスピニングノアール。

◎モルトグランデ ○ソルジャーズソング ▲スピニングノアール
△コウユーキズナ、カノヤザクラ、エイシンタイガー、アーバンストリート

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2009.06.12

安田記念回顧 ウオッカを勝利に導いた武豊の経験深さ

気の抜けたコーラのようになってしまうが、ごく簡単に安田記念の回顧を。最大の見せ場は、内で進路を失ったウオッカのラスト1ハロンであったのは間違いない。その瞬発力の高さには頭を垂れるしかなく、府中で観戦していた私も度肝を抜かれた。武豊は「自身の騎乗は誉められたものではない」「ウオッカが強いからこそ勝てた」と殊勝な態度だ。スーパーホーネットあたりが脚があれば、ウオッカは脚を余して惨敗という、ドバイ前哨戦を思わせる結果もありえた。しかし、そうならなかったのは陣営の運の強さもあるだろうが、慌てることなく進路が開くのをギリギリまで待っていた鞍上の経験の深さ故というのは忘れてはならない。それにしても、谷水オーナー、角居師、武豊という良識あるトリオが栄冠を掴む姿は、心から賛辞を送りたくなるものだ。本命にしたカンパニーは4着。外を回した横山典の騎乗は文句のないものだったが、ディープスカイファリダットも完璧な騎乗をした分、馬券圏内に入ることはできなかった。二強以外で本命馬を探した予想としては、ハズレても納得の行く結果だった。

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2009.06.07

安田記念予想

天候と馬場に翻弄された春の東京開催。G1シリーズの取り、安田記念はどう捉えるべきか。降り続いていた雨は前日の昼にはあがり、府中の馬場は急速に乾きつつある。日曜、午前の条件戦では馬場の中ほどを抜けてきた差し馬が勝利を収めており、ダービーやヴィクトリアマイルのように内枠、先行に絶対的なアドバンテージがある状況ではなくなっている。さて、今年の安田記念はウオッカ、ディープスカイという現役最強馬が参戦。これに続くスーパーホーネットの顔もある。堅く三強に印を打つのが最も賢明な予想かもしれない。だが、残念なことに、一連のG1で手痛い損失を重ねてきた当方にとっては、冒険したくなる気持ちを抑えられない。差しが届くなら、昨秋の天皇賞で上がり33秒5の鬼脚で猛然と追い込んできたカンパニーの一発に賭けたい。素質馬も気づいてみれば8歳。重賞6勝をあげながら大一番では一歩、とわなかった。ライバルの名前を見れば厳しい闘いなのは明らかだが、年齢的な衰えはなく、ダービーを制して勢いに乗る横山典の手腕に期待する。

◎カンパニー ○ウオッカ ▲ディープスカイ
△スーパーホーネット、アルマダ、サイトウィナー

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2009.06.06

POG回顧 アプレザンレーヴに夢見た後で…

ダービーが終われば、やってくるのがPOG精算の季節。私の所属する8人のグループは12頭持ちのルールで行われているが、 68戦14勝2億円を超える賞金を獲得しながら、またしても勝ち組には入れず。4年連続のマイナスポイントである。トップはブエナビスタで荒稼ぎ、2位のメンバーはジェルミナル、エイシンタイガー、ダノンベルベールらがコンスタントに走り、3位のメンバーはアンライバルドで春に急浮上。ダービー1、2着のロジユニヴァース、リーチザクラウンは誰も指名していなかった。恒例行事、1頭ずつ簡単だが指名馬を振り返ろう。

1位・フォゲッタブル(4戦1勝)
母エアグルーヴ。アドマイヤコブラのハズレ1位で指名したのだけれど、もともと他のメンバーの血統を茶目っ気で強奪したんだった。そして、2位にリストアップしていたブエナビスタを取り逃す大失態。ダンスインザダーク産駒らしく、馬体に実が入らずプール調教ばかりしていたような…。それでも1勝、オープン入着したから良しか。ぶっぽうそう特別の大負けはいただけなかったが。

2位・サイオン(4戦2勝)
全兄フサイチリシャール。デビュー戦はダートだったけれど、鮮やかな差し切り勝ちは感動すら覚えた。鞍上の都合がつかず、予定していた共同通信杯は回避して2勝目もダートであげた。初芝となったスプリングSは大敗。ダービーを目標にプリンシパルSに向けて調整されていたが、いつの間にか放牧へ。まだ未知数なところが多く、古馬でパンとしたら走れるかも。2勝したから立派。

3位・ワールドカルティエ(7戦1勝)
藤沢厩舎のウォーエンブレム産駒。高い評判のもと、夏の札幌でデビューするものも惨敗。ダートが合わなかったとかで、3戦目から芝の長いところを走り始める。暮れの中山で未勝利を脱出するものの、500万では家賃が高く! 藤沢センセに見切られたのか、2月以降は休養に入ってしまった。母父ダンスインザダークはPOGには地雷だったか。

4位・サトノエンペラー(6戦2勝)
全姉ソーマジックという藤沢厩舎のシンボリクリスエス産駒。3戦目に初勝利。デビューから5戦とも芝の1800メートルを使われ続けた。調教師の期待は大きく、ウイニング競馬でも何度かダービー候補として取り上げられていた。 500万を勝ち、青葉賞に挑むも6着。スムーズな競馬ができたら権利が取れたかも。

5位・アプレザンレーヴ(6戦3勝)
わがチームの不動のエース。青葉賞優勝、毎日杯3着、ダービー5着。兄のナイアガラ、姉のレーヴダムールと、母レーヴドスカーは本当に良い仔を出す。この馬で全賞金の半分近くを稼ぎ出した。ダービーでは馬券で大損こいてしまったけれど、最後までPOGを楽しむことができた。馬名は仏語で「夢の後で」。ダービーという夢の後は、菊花賞が待っているぞ!

6位・ネオレボルーション(6戦1勝)
藤沢厩舎のネオユニヴァース産駒。本当に詰めの甘い馬で、6戦して1勝。残りの5戦は2着と3着の僅差負け。能力はあるんだけどなー。この馬の下はクロフネ産駒だが、キャロットで募集されていたので、ついつい買ってしまった。意外とPOG本でも言及されているので、弟も兄ぐらい堅実に走ってくれれば。

7位・バンドゥロンシャン(8戦2勝)
ドラフトで上位半分まで指名してきて、「アグネスタキオンがいない!」と気づいて、慌てて探した馬。半兄にエアピエールがいるのだが、やはりバンドゥロンシャンもダート馬だった。デビュー3戦は芝で足りず、ダートで初勝利。500万でも強い勝ち方をしてくれた。

8位・フィロンルージュ(7戦1勝)
赤本で「いけてなかった馬列伝」に名を連ねてしまったヴァーミリアンの妹。5月になって、ようやく新潟ダートで1勝。ドラフト前は過剰に人気していたので、「いけてなかった」扱いされるが、この馬がレースで健気に頑張っていたのは覚えておくぞ!

9位・ミッキースポット(4戦0勝)
前シーズンで注目を集めたダイワカンパニーの半弟、キングカメハメハ産駒。敢えて血統の因縁で指名はしたものの、個人馬主ということもあって、なかなか情報はあがってこなかった。デビュー戦は2着。少しときめいたが、結局、歯車がかみ合わず勝利をもぎ取ることはできなかった。

10位・タッチオブマスター(4戦0勝)
早撃ち系かなと思って取ったが、2月デビュー。入着が2度あり、少ないながら賞金を稼いでくれた。ことし、一番良かったのは指名馬が全て競馬場を走り、しかも入着してくれたことだった。

11位・サトノエクスプレス(7戦1勝)
4頭目の藤沢厩舎。新馬勝ちは府中で見ていて、とても喜んだ記憶がある。この馬の見せ場は2戦目でミクロコスモスの2着と気を吐き、京成杯に果敢に挑戦したところだろう。結果的に距離が長いということで短距離路線に戻ったが、詰めが甘く2勝目は遠かった。

12位・ジュモー(4戦0勝)
父はタニノギムレット、母はビスクドール。12月3週目に阪神でデビューし4着。まずまずの船出かと思われたが、何と連闘で中京に輸送。所属する池江泰寿厩舎がリーディングを争っていたため、年内に勝利を積み上げたいという目論みだったようだ。だが、そこで2着。調子を崩したようで、以後は8着、16着ときて休養。人の都合で2歳牝馬に無理はさせてはならないのだなと痛感した。

>>POG指名馬レビュー テーマは”藤沢”と”強奪” (08/07/16)

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2009.06.03

日本ダービー回顧 天恵はノリとロジユニヴァースに降る

昼過ぎに家を出て、新宿から京王線で府中競馬場正門前駅をめざす。電車を降りるとひどい雨。傘を持って来なかった私は屋根のあるところまで、ホームを駆けねばならなかった。週半ばから降り続けた雨で重さを増した府中の馬場だが、日曜の午前には多少は良くなり、差し馬も届き始めていた。ところが、この直前の土砂降りでひどい状態に逆戻り。不良となった9レースの準オープン・むらさき賞は、前へつけた1番から3番の内枠の人気薄馬が上位を占めて、3連単58万円の波乱となった。そして迎えた日本ダービー。雨はあがったが、ファンも関係者も騎手さえも、この馬場がどんな結末を導くことになるのか、予測できなかったのではなかろうか。それ故、戦前に予想された戦法を急遽、変更する陣営は現れなかった。ハナを切ったのはジョーカプチーノ。逃げ宣言の武豊・リーチザクラウンより先に行くのなら、中途半端なポジションは許されない。藤岡康は馬の気のまま後続を引き離す。このドロドロ馬場で1000メートル1分を切る狂気の沙汰としか思えぬハイペース。離れたリーチザクラウンは実質的な単騎逃げの形に持ち込めたとはいえ、2番手の同馬にとっても決して楽な流れではない。

4角、すでに力尽きたジョーカプチーノが後退。先頭に立ったリーチザクラン、さらに内から3番手につけていた横山典・ロジユニヴァースが伸びてくる。中団から馬場の良い外へ出したのはアプレザンレーヴ。ところが、内田博幸のムチ空しく、脚が上がってしまっている。通常なら差し馬が脚を伸ばしてくる直線半ば、後続の有力馬は馬群でもがき続けていた。ある馬は直線に至る以前にスタミナが空になり、ある馬は彼方を走る先行勢に戦意を喪失し、ある馬は脚を取られながら詰まらぬ差を詰めようとした。だが、最内を通ったロジユニヴァースには迫れない。4馬身差の2着にリーチザクラウン。極端なスタミナ勝負になり、ポジションとコース取りの差が明暗を分けた。「もっとも運の良い馬が勝つ」と言われるダービー。天恵は横山典とロジユニヴァースに降り注いだ。さりとて、運の良さだけで片付けられない皐月賞1、2番人気のワンツー。前走、ロジユニヴァースが大きく調子を崩していた原因は分からないが、減らしてた馬体はしっかり追いきってプラス16キロと、勝負できるだけの体調には回復していた。おそらく管理する萩原師は皐月賞の責任を感じていたろうし、ダービー前も状態を疑問視する声もあった。黙して結果を残したのだから立派なものだ。

勝ちタイムはキングカメハメハより10秒以上遅い2分33秒7。レースの上がりは39秒7、ロジユニヴァース自身は39秒2。瞬発力に長ける馬たちにとっては、本当に厳しい競馬だった。1番人気の岩田・アンライバルドは12着。大外枠でポジション取りは上手くいかず、馬場も気にしていたようだ。母系の血統から重は鬼ではないかと思っていたが、これほど悪くなった馬場には対応できなかった。唯一、後方から脚を伸ばして掲示板を確保したのが蛯名・ナカヤマフェスタ。馬場適性、コース適性は高かったのだろうが、調子を取り戻せばこれだけ走れるという実力を証明した。アントニオバローズ、アプレザンレーヴも秋に期待を持たせる内容ではなかったか。レース後、引き上げてきた横山典はヘルメットを脱ぎ、馬上から一礼。初めてのダービー制覇をファンは大声援で出迎えた。1番人気・メジロライアンで2着に敗れ、批判に晒された若者が涙したダービーから19年。あの後、生まれた息子は騎手の卵に成長し、この日、父親と抱き合って喜びを分かち合ったそうだ。私も同じ歳月、競馬を共有させてもらったのか。「19年は長いけど、あっという間だったよな。おめでとう、ノリ」 そう思えただけで、雨中のダービー観戦は充分に価値のあるものだった。

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