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2009.05.13

NHKマイルC回顧 展開の利だけでないジョーカプチーノ

NHKマイルCは10番人気ジョーカプチーノが勝利する波乱の結果となった。ハナを切ったのは逃げ宣言のゲットフルマークス。先行勢ではミッキーパンプキンが出遅れたため、すんなりとジョーカプチーノが離れた番手を気分良く追走する形ができた。人気馬ではフィフスペトルが5番手と前に行ったが、1~3番人気のブレイクランアウト、アイアンルック、サンカルロは揃って10番手以下の後方待機。 1000メートル通過は57秒2と逃げ馬のペース自体は遅くはなかった。しかし、4馬身ほど後ろにつけたジョーカプチーノ、先行集団はそこからさらに離れており、7ハロンの条件戦で1分20秒台が出ていた高速馬場を鑑みれば、勝ち馬には理想的なラップであり、ブレイクランアウト以下は32秒台の上がりを繰り出さねば届かない絶望的なポジションだったと言えるかもしれない。それはトップジョッキーたちは体感していたに違いないが、隊列が決まってしまっては動くに動けないのが競馬。あるいは高速馬場に幻惑された部分もあるだろうし、後方に固まっているライバルを牽制するのも当然だ。

4コーナーでも差はつまらなかった。残り400メートル。ジョーカプチーノの藤岡康は満を持して逃げ馬を交わす。アハルケテSで先行快勝していた藤岡康は馬場の感覚が掴めていて、同じ競馬をすると腹に決めていたのだろう。それにしてもゴールまで馬をもたすには十分なスタミナが必要な仕掛けだったが、マンハッタンカフェ、フサイチコンコルド、トウショウボーイとクラシック三冠のそれぞれの勝ち馬が重ねられた血統は一介のスプリンターを輩出したわけではなかった。最後まで脚があがることなく、1分32秒4のレースレコードで2馬身の差をつけてゴールを駆け抜けたのである。あらゆる条件が味方したのも確かだが、勝ち馬はファンが思っていたよりずっと強かった。生産牧場のハッピーモネファームはジョーカプチーノが生産第一号だそうで、ジョーの上田けい子オーナーの預託とはいえ快挙。2着にレッドスパーダ。横山典のお家芸は忘れたころにやってくる。3着グランプリエンゼル、4着マイネルエルフと先行勢が入線。そうしたなか、フィフスペトルは5着と伸び脚を欠いたのは意外だった。本来なら連対できた展開。連戦の疲れがあったのかもしれない。

後方勢の人気馬は揃って討ち死に。ただ最後方待機のワンカラットが33秒5で上がって6着まで押し上げたのと比較すると、ブレイクランアウトなどは実にだらしのない競馬だった。アイアンルックは4コーナーでサンカルロに寄られ、小牧が手綱を引くほどの不利。そのサンカルロは吉田豊がペースが遅かったのに慌てたのだろう。直線ではダイワプリベールの進路までカットする有様。もはやこれまでと潔く身を引いた小牧とは対照的に、あがきまくった結果が2度の進路妨害を引き起こしてしまった。併せ技で開催8日間の騎乗停止処分。ダイワプリベールの鞍上が後藤というのも因縁深い(参:2005.7.24)。ところで、後方待機の人気馬が着外に終わり、展開や馬場に利のあった人気薄の先行馬が勝ったことで、G1の勝負としては物足らないとの声も聞かれる。ここまで回顧してきた通り、様々な要素が絡み合っての結末ではあるが、シンボリルドルフと外国馬が牽制しあって逃げ切りを許したカツラギエースのJCのような物語性があるわけでもなく、プロレス的に敢闘精神が欠けていると騎手に野次が飛ぶのも理解できなくはない。馬券を外したファンの罵声も併せ呑むのが競馬である。

ところで、「ファンを規格化するバラエティ戦略」の拙エントリーへ、「WarEmblemの日記」さんよりトラックバックをいただいた。批判やご意見を賜るのは一ブロガーとして望外の喜びではあるが、正確な意図を読み取っていただければ、なお嬉しかった。拙記事では「ハシッテホシーノ」「チョリーッス」そのものを批判はしておらず、そうした事象がどのようにして生まれたのかを考察するのが主眼だった。「チョリーッス」が良いか悪いかを問うても正しい答えがでるわけではない。これは自戒8割だが、その問題に人々(自分)がなぜ疑問を持つのか、背景に隠されているものは何なのか、吟味することのほうが大切だと思う。そうでないと、「松岡ひどい」「そうでもない」「許してやれよ」などという不毛な水掛け論を巡ることになる。もう一つ、市井の競馬ブログなど競馬界全体からすれば、箸にも棒にもかからない存在にすぎない。その中で、影響力があるとかないとか、目糞鼻糞の違いである。ブログが生まれてから、先行者の優位性もほとんど消失した。各々が自身の言葉には責任を持ちつつ、思惟したことを臆することなく表現すればいいのではないだろうか。先方はトラバもコメント欄も設けておられないようなので、リンクを持ってお礼とご返答を通知させていただくことにしたい。

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コメント

自分の物忘れが酷くなったのもありますがここ数年の
G1での勝ち馬が思い出せないことがちょくちょくあり
ます。以前はそのようなことはなかったのですが今回
の勝ち馬も1年後すんなり名前が出るかどうか微妙w

>「チョリーッス」が良いか悪いかを問うても正しい
>答えがでるわけではない。

答え:悪い

投稿: ジュサブロー | 2009.05.14 00:31

>ジュサブローさま
私など去年のダービー馬を忘れるくらいです。

※WarEmblemさま
これ以上、読者に関係のない議論をエントリー上で行う予定はありません。拙ブログのコメント欄か、メールをいただければご不審の点はお答えしたいと考えています。エントリーの趣旨をなかなかご理解いただけないようですが、少なくとも表題を再読いただければ明々白々になるかと思っております。
※今回、こちらに礼を失したところがありましたら、素直にお詫び申し上げます。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.05.14 03:21

部外者ですが、お邪魔します。
いまさら…の感もありますが、書き込みさせていただきます。


競馬のレースの中で、天皇賞はそれなりに権威あるものとして、
騎手やマスコミも扱っていただきたいと思っていたものです。

私には、あの「チョリーッス」は場違いで、しかも滑っていた
様に思えたのですが、若い人たちには受けたのでしょうか?
そもそも、受ける、受けないの問題じゃないと思いますけどね。

まぁ、筆者さんは、この件に関しては批判もないもしてないわけで
私の勝手な感想ですが、
同じく筆者さんの仰る、「JRAの新顧客開拓」の姿勢の分析、
ひとつ思っていたことがあるので、ついでに書かせていただきます。

グリーンチャンネルの「競馬の達人」のゲスト乃服装についてです。
最近に始まったことではないのですが、貴賓室に入るにしては、
あまりにラフすぎる格好の方が多いですよね。
昔から競馬をやっていて、それなりに競馬に対して思い入れのある
中年以上のゲストさん
(いわゆる、競馬中継みたけりゃグリーンチャンネルを見ろと分類している層?)
は、それなりの格好をなさっていますが、競馬通を自負してる芸人さんや
あまり競馬はご存じなさそうな”達人”さんのいでたちが、あまりに
お粗末で・・ グリーンチャンネルで放映してるのに、
こんなことでいいのかな?と、当初ずっと思っていました。
最近では、もう免疫がついてしまいましたけどね。

中には、諸般の都合からか、貴賓室に入れてもらえず、
局のブースに入れられるゲストさんもいらっしゃいますので、
そういう方がどういう格好をしていても気にならないのですけどね。

私(女性)も馬主席で競馬観戦を何度もしていますが、
一応、同伴の男性陣はネクタイにジャケット着用、ジーパンはNG。との
認識ですし、私も、女性場合あまり規制はないようですが、
「それなり」の格好をしていきます。
もちろん、羽根つきの帽子かぶったり、ドレス系の格好をしたり・・なんてこと、
一度もありません。(^v^)


少し場違いな書き込みで、申し訳ありません。

投稿: ぱちりん | 2009.05.29 13:41

>ぱちりんさま コメントありがとうございます。若い人に受けたかどうかは分かりませんが、善し悪しを議論しても生産的ではないかもしれません。むしろ、「天皇賞」せしてめているものを、ぱちりんさんはどのようなものだと思われているのか。例えば「最強馬の決定戦」「盾が授与される権威的なレース」「長距離を勝つことこそ最大意義がある」など。つまびらかにし、一方で、「チョリースいいじゃない」と考える人たちの天皇賞観を同じように分析して比較することで、共通領域とそうでない領域が明らかになり、単なる世代間の感慨の相違に留まらない議論ができるのではと考えています。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.05.31 03:27

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