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2009.02.12

伊藤工真と大江原圭 忘れちゃ困る少数精鋭の24期

10日、騎手課程25期生の卒業式がJRA競馬学校で行われ、今年は5人の新人ジョッキーが巣立っていった。かつて、競馬学校はJRAがほとんどの経費を負担し、よほどひどい場合を除いては、生徒たちは卒業して競馬場へと送りだされていた。しかし、海外や地方のトップジョッキーが相次いで参戦し、競馬学校出身の若手がなかなか芽が出ない状況のもと、JRAは育成方針を大きく転換した。3年間で360万円余の負担を保護者に求める一方、技術の伴わない生徒は容赦なく退学させるスパルタ方式へと舵を切ったのだ。去年デビューした24期生はわずか3人。同期入学した残りの5人は退学や留年でストレートにデビューとはいかなかった。それだけに、24期生から武豊の新人最多勝記録を塗り替えた三浦皇成が出たのはJRAにとっても大きな意義があっただろうし、苛烈な少数精鋭主義を貫いていくポリシーは強固なものになっただろう。同じく厳しい競争を勝ち抜いた25期生のなかにも原石は眠っているかもしれない。

三浦ばかりがフューチャーされた24期生だが、年が明けてもうひとりの同期生の活躍も目立ち始めた。伊藤工真(たくま)は美浦・古賀史厩舎の所属。去年は1勝をあげるのが精一杯で三浦に大きく溝を開けられてしまったが、地道に修行を重ねてきた成果か、暮れあたりから人気薄を上位に持ってくるレースが見られるようになった。そして先月5日、5番人気マイネルプエルトで未勝利戦を勝つと、同日の 500万下も5番人気グラスゴッドで勝利。翌週も冷静な手綱さばきで1勝をあげて、騎乗依頼もひっきりなしに寄せられるようになった。先週は三浦とハナ差の争いをする見せ場をつくったから、印象に残ったファンもいるのではなかろうか。伊藤工の成績を見て不思議なのは、去年7月を境にして自厩舎の騎乗がぱったりと途絶えていること。自ら馬を集める試練を課した古賀史師流の育て方なのかなと思う。今年、三浦が通算100勝を達成したことで、減量目当ての騎乗依頼は伊藤工へと回ってくる。大きな飛躍が望まれる。

ところで気になるのは、卒業時に最もメディアに取り上げられたはずの大江原圭だ。父は障害で100勝をあげた大江原隆、叔父も名手・大江原哲(現調教師)というサラブレッド一家。卒業前、日本ハムの自主トレを同期と訪れた際、怪物・中田翔にムチをプレゼントし、互いにエールを贈ったこともニュースになった。しかし、デビュー初日。三浦が中山で特別勝ちを収めたころ、大江原は中京で進路妨害をして騎乗停止を食らってしまう。これが分水嶺だったのか。去年は結局、86戦して未勝利。連対すらかなわず、乗鞍は同期の勝ち星に及ばなかった。唯一、3着に突っ込んで馬券になったカシノウェーブでのレースは、マニアの人気を集めると考えられたのだろうか、ヤフオクにゼッケンが出品された。だが、落札価格は500円。世間の風は冷たかった。臥薪嘗胆。先日、ライバルと目す中田翔が紅白戦で場外弾を放った。きっと大江原も刺激を受けたはず、と思っていた矢先、こんな記事が掲載された。

ちょうど1年前の1月21日。千葉・鎌ケ谷のファイターズタウンに2人の怪物がいた。中田翔と三浦皇成。その日は日本ハムの新人とJRA競馬学校騎手課程の生徒による交流会が行われた。 …「頑張ろうな」とお互いの活躍を誓って握手。三浦からはムチをプレゼントされた。…三浦は91勝を挙げ、武豊の新人最多勝記録(69勝)を更新。 …三浦の大活躍を中田は「あいつ、ホンマすごいッスね。ムチ? マジ、宝物やわ」と素直に絶賛したが、大きな発奮材料にもなった。…1年がたち、怪物2人の立場は逆転。「世代の顔」を奪い返そうと、中田が意地を見せるか。(報知 1/22

新聞とはかくも非情なるものかな。中田翔と24期生の交流会には恰も大江原は存在しなかったかのように扱われ、大江原のムチは三浦が渡した宝物に変身してしまっていた。もちろん、中田翔の記憶にも大江原のことは消えてしまっているだろう。歴史から大江原は抹殺されてしまったのである。悲しげに競馬学校のブログだけが「実際には大江原圭が、自分のムチを手渡したものです」とネットの片隅で事実を訴えているにすぎない。競馬学校時代から苦しんだ体重コントロールが上手くいかないのか、今年はまだ2鞍しか騎乗がない大江原。中田翔にムチを手渡したのは自分だと世間にアピールするには、一念発起、同期に追いつき追い越せと勝ち星をあげていくしかない。

大江原と中田翔のビッグなツーショット!? 競馬学校ブログより
ヤフオクに出品されたレアものゼッケン

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コメント

はじめまして。
いつも拝読させていただいております。

>新聞とはかくも非情なるものかな

この件について、大江原騎手にとって、奮起材料になれば、結果的に
数年先の「後日談」として笑って伝わる内容になるかも知れませんが、
いかにも、イマドキの(昔も?)新聞記者や週刊誌記者が、自分で取材せずに
「伝聞」で記事を書いているか、ということの証明ですよね?

仮に自分で取材した上での「思い違い」だったにしても、基本の確認作業を
怠っている結果だと思います。

中田選手は覚えていないまでも、三浦騎手に「裏付け」を取れば
誤りだということは、すぐにわかる話です。

いくらスポーツ新聞とはいえ、「かくなるものかな」で済む話では
ないと思います。

報知さんには、恥じてもらいたいものですね。

投稿: ぱちりん | 2009.02.15 14:49

>ぱちりんさま おっしゃる通りで。というか、確信犯的な勘違いという気もしないではないですが。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.02.27 04:25

三浦皇成騎手の同期ということで
伊藤工真騎手と大江原圭騎手にも興味を持ちました。
記事には二人の新人の苦労が丹念に描かれていて
その苦悩が伝わってくるかのようでした。
三浦騎手にばかり注目がそそがれるなかで、
同期としては心おだやかではなかったはずです。
たしかに最近伊藤工真騎手の名前はレース結果で
よく見られるようになりました。
努力が実をむすんでいるといった感じです。
伊藤工真騎手の顔写真を見ると、
とてもやさしそうな男の子ですね。
大江原圭騎手もいまは大変かもしれませんが、
がんばってほしいです。

これからは伊藤、大江原両騎手も応援します!

投稿: うまりん | 2009.04.15 22:00

>うまりんさま 三人が切磋琢磨して競馬を盛り上げてくれるといいですね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2009.04.21 02:42

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