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2009.01.14

またも即復帰めざす 武豊の飽くなき競馬への欲求

143勝をあげて18度目のリーディングタイトルを獲得したとはいえ、去年は武豊にとって、芳しい年ではなかっただろう。天皇賞秋の名勝負をハナ差で制したのは素晴らしかったが、重賞勝ちはこれを含めて過去最低の3勝。そして、エリザベス女王杯ではスタート直後に3番人気・ポルトフィーノから落馬するアクシデントに見舞われ、翌週には故障した馬から投げ出されて右前腕を骨折してしまったからだ。年内復帰は絶望的と言われた武豊。しかし、3週間後、朝日杯でブレイクランアウトに騎乗し、驚異的な復帰を遂げる。この時、私はパドックにいたが、休養して一ヶ月も経っていないというのに、武豊を待ちわびるファンの期待に満ちた雰囲気は、改めて競馬界での存在感の大きさを示すもののように思えた。朝日杯の前、武豊は公式サイトでその心境を語っている。

「乗りたい!」気持ちが「渇望」に変わってきているのが自分でわかります。たぶん、乗ります。そのときはプロとして恥ずかしくない仕事をします。 (公式サイト)

最終週も武豊は1日1鞍限定で、ラジオNIKKEI杯、有馬記念、東京大賞典に騎乗した。勝てはしなかったものの、馬を操る様子は素人目にはケガの影響を感じさせることはなかった。東京大賞典の翌日、武豊は香港へ渡り、沙田競馬場で馬券を楽しんでいた。年末年始、海外で過ごすのは恒例行事になっているが、必ず訪れるのは競馬場。毎日毎日、競馬に追われているのだから、たまの休みぐらい仕事から離れれば良いのにと、怠惰な私は思ってしまうのだが、心底、競馬が好きなのだろう。なぜ武豊ほどのトップジョッキーが、一刻を争うようにケガから復帰しようとするのか。万全に万全を期してからでも遅くはないのではないか。私を含め、多くの人が抱いたであろう疑問も、騎手としての性としか説明がつかないのかもしれない。

(早期復帰は)決して特別なことではないんです。ただ乗れるなら乗りたいと思っただけ。もちろん痛みはあったけど、痛みだけならエリザベスのほうがひどかった。なにせ翌週、腕が丸太のように腫れ上がってしまいましたからね… 野球やサッカー選手のような複数年契約などで先に年俸が決まっているスポーツなら、万全になるまで待つというのもチームの戦略としてありかもしれませんが、騎手は個人競技であり、ゴルファーが試合に出るのと同じで、レースに出て初めて、プロとして仕事ができるわけですからね(Gallop 1/18号)

先週土曜日、武豊は返し馬の最中、「患部の傷がうずくような感覚に襲われ」、9レース以降と日曜日の騎乗をキャンセルした。これについて、完治していない状態で騎乗していたのではないかと、プロとして姿勢を正す声も散見された。年明け後の1、2番人気馬での戦績は【2310】。うずく程度が本当なら、無理して乗れないこともなかっただろうし、キャンセルして関係者に迷惑をかけたり、ケガのせいで負けたのではと指摘されるほうが辛い選択だったのではなかろうか。多少の痛みは押して乗り続けるジョッキーはいるし、先日、ヘルニア手術に踏み切った柴田善もそのひとりだろう。だが、武豊だけが一挙手一投足を報じられ、騎乗するかしないかも論議の対象となるのは、特別な存在である証とも言える。今週、武豊はトレセンに顔を見せず、週末へ向けて治療に専念しているそうだ。小難しい話に意見するつもりはないが、競馬への飽くなき欲求だけは、ただただ恐れ入る。

彼は、「もっと上手くなりたい」としか考えていない。「武豊をさらに磨きたい」と。だから、自分が今後どんな騎手に成長していくのか自分でもわからずにいる。そして、変わっていく自分の姿を誰よりも楽しみ、誰よりも温かく見守っている。(島田明宏著『武豊の瞬間』)

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武豊について書いていて土曜までに8割ぐらい作っていた。ただそれを無にするようながっかりしたニュースが飛び込んできた右腕の骨折の影響での乗りかわり正直失望が大きかった彼についてほめよ...... [続きを読む]

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