« 阪神JF予想 1戦1勝の好素質馬・ミクロコスモス◎! | トップページ | 朝日杯FS予想 一瞬の脚を活かすブレイクランアウト »

2008.12.16

”交流”の建前捨て 新たなダート競走体系の確立を

先日、ジャパンカップダートの予想記事を書いた際、武蔵野Sの勝ち馬が出走除外になったことに関して、優先出走権を与えても良いのではないかと記述した。ダートG1は格下から目指すには出走権を得るための賞金獲得が難しく、中央のステップレースの勝ち馬ぐらい、JCDに出走させてあげても良いのではという、予想をしながら思いついた感想程度でしかなかった。ところが、多くのブロガーの方々から意見を賜り、そのほとんどが拙記事へ批判的なものだった。真摯に受け止めたい。正直、キクノサリーレが出走しようがしまいが、個人的には些末なことだったので、まるでキクノ参戦を強硬に肩入れしたり、古馬のレース体系そのものを否定しているかのように捉えられたのは戸惑うしかなかったが、そこから透けて見えるダート重賞のレース体系と、それに付随する出走権については議論しなければならない課題であり、少し掘り下げてみるのも面白いかと、簡単だがエントリーすることにした。サクセスブロッケンが東京大賞典の補欠馬に甘んじたのも、根は同じところにある。今回は論点を混乱させないため、 JCDの国際レースという側面は置いておき、JC、JCDの国際招待のあり方は日を改めたい。

最初に批判を受けた点から整理しておくと、中央の古馬戦線において、ステップレースに優先出走権を設けるのは馴染まないという意見があった。現在、中央ではクラシックやNHKマイルCなどの3歳G1以外、ステップレースの上位馬に優先出走権を与えていない(中央でもカク地馬や外国馬には優先出走権を与える規定はあり、海外や地方もこの限りではない)。少ないキャリアの若駒が能力さえあれば、限られた期間でも頂点に立つことができるよう設計されたクラシック体系と、歴戦の強者が様々なレースで賞金を加算しながら雌雄を決する古馬G1のレース体系では、性格が異なるのも当然だ。また、多くの場合、ステップレースの勝ち馬が賞金が足りずに除外されるというケースは希であり、そのような可能性は考えられていないだろう。ところが、2つしかないダートG1には、メンバーが固定しがちな交流重賞で賞金を加算した馬が殺到し、現実にキクノサリーレは除外されている。こうした状況から、私は例外的にせよ、優先出走権1枠ぐらい勝ち馬に与えてはどうかと感じたし、それが古馬戦線の理念を否定することになるとは思わない。そんな余裕はないとする主張も理解するが、そこはどちらに比重を置くのか、バランス感覚の相違としか言えない。

次に武蔵野Sのステップレースとしての重要性を疑問視する意見があった。 00年、中央ではダート競走体系の整備が進められ、JCDが新設されたことに伴い、武蔵野Sは時期を移設、距離も短縮された上、国際競走に指定されてJCDのステップレースとして位置づけされた。ところが、今年からJCDが阪神1800メートルに移行され、府中1600メートルの武蔵野Sはステップとして不備を抱えることになった。天皇賞春に対する阪神大賞典、安田記念に対する京王杯SC、スプリンターズSに対するセントウルSなど、本来、ステップは本番の距離やコースを意識して設定されるものだ。また、重要なステップはG2の格が与えられることが多いが、武蔵野SはG3のままである。今年、強豪はJBCクラシックに回ったことも一因で、レーティングでも勝ち馬キクノサリーレは出走叶わなかった。JBCクラシックの中央枠は限られており、中央で行われる前哨戦が重要なのは違いなく、新しい施行条件に沿ったステップの整備が必要だ。もっとも、武蔵野Sを現行条件のままステップとして継続するのなら、勝ち馬に優先出走権を与えるのも次善策として間違った方法ではないと考える。

上記がJCDの出走権を巡る私見だが、そもそも、こうした問題が起きてくるのは日本のダート競走体系が行き詰まりを見せているからに他ならない。過日、来年3月までに行われる交流重賞において、地方自地区の枠を1頭減らして、その分、中央馬の枠を増やすことが発表された。ちょっとした応急処置であることは否めないが、慢性的な中央馬の枠不足を少しでも解消しようということだろう。一方、中央ではぽっかりと穴の空いていた3歳夏に新設されるレパードSを除いて、売り上げの少ないダート重賞を充実する様子は見られない。未だにG2の格付けを与えているのが東海Sひとつしかないことからも明らかだ。当初、中央にとっては賞金の50%を援助しても、ダート競走は交流重賞を中心に回っていく方が得策だし、地方にとっても中央馬が来て売り上げがあがるという目論みがあった。しかし、交流重賞は出走馬の半数も中央馬の枠はなく、その割には勝ち負けできない地方馬が名を連ねるという状況に苦しまされてきた。いつも賞金持ちの同じ顔ぶれで、マンネリ化した面もあった。かたや、地方の主催者も思ったような売り上げに達することができず、せっかく整備したはずの交流重賞を取りやめてしまうところが続出したのは記憶に新しい。 ダート競走は立ち往生している状態だ。

本来、中央、地方の垣根を除いて、ダート競走体系に位置づけられた重賞には、どこの所属馬かに拠らず、強い馬、実績のある馬から出走枠が与えられていくのが理想だろう。現在のように機械的に中央、地方自地区、地方他地区に枠を振り当てる方法では、いつまでも問題は解決しない。仮に、JCD、フェブラリーSを頂点に据えるなら、それに至るレース体系をもう一度見直し、不必要な交流重賞は廃止して、不足する重賞は中央なり地方なりに移行、新設すべきだ。その上で、各地方の強豪馬がステップを通じて重賞にトライする道は確保しつつ、レーティングなどを重視して出走馬を中央、地方に限らず、枠は割り振っていく。地方で開催する以上、4~5頭の枠は地方馬を優先せざるを得ないだろうが、半数も地方自地区に枠を与える必要はあるまいし、それが売り上げに影響するとも思えない。本格的なダート競走体系の整備が始まって、わずか10年しか経っていない。第二ステージは、中央と地方の”交流”なる建前は脱ぎ捨てて、双方が日本のダート競走体系をどう確立していくのか、共通認識を持って白紙から改革案を練り上げる時ではないか。まだまだダート戦線は魅力的になる可能性を秘めている。

|

« 阪神JF予想 1戦1勝の好素質馬・ミクロコスモス◎! | トップページ | 朝日杯FS予想 一瞬の脚を活かすブレイクランアウト »

コラム・書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1902/43441397

この記事へのトラックバック一覧です: ”交流”の建前捨て 新たなダート競走体系の確立を:

» 交流の建前が捨てられるなら、もっと早くに捨てることができているだろう、みたいな。 [血統の森+はてな]
”交流”の建前捨て 新たなダート競走体系の確立を(馬券日記 オケラセラ) ところが、2つしかないダートG1には、メンバーが固定しがちな交流重賞で賞金を加算した馬が殺到し、現実にキクノサリーレは除外されている。こうした状況から、私は例外的にせよ、優先出走権1枠ぐ... [続きを読む]

受信: 2008.12.17 20:20

» [競馬]ジャパンカップとジャパンカップダートはどう改革させるべきなのか? [昨日の風はどんなのだっけ?]
タイミングを逃した感がある話題なので、簡単に思いついたことだけ書いておきます。 馬券日記 オケラセラ: ”交流”の建前捨て 新たなダート競走体系の確立を 正直この一連のガトーさんの意見は、確かに突っ込み所はあるんだけど、突っこんでる方の意見も突っ込み所が多い... [続きを読む]

受信: 2008.12.19 16:39

« 阪神JF予想 1戦1勝の好素質馬・ミクロコスモス◎! | トップページ | 朝日杯FS予想 一瞬の脚を活かすブレイクランアウト »