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2008.11.28

JC展望 三世代ダービー馬対決ともう一つのテーマ

高校1年生の私が初めて馬券を買ったのは、1989年のジャパンカップ。時代は競馬ブームの真っ只中にあった。訳も分からず、新聞と睨めっこして本命にしたのは前年の覇者、ペイザバトラー(米)。当時の馬柱を引っ張り出してみると、馬主は早田光一郎とある。ご存知のように、この年はイブンベイが驚異的なハイラップを刻み、女傑ホーリックス(NZ)と連闘策のオグリキャップが叩きあいを演じて、 2分22秒2という従来のレコードを2秒7も短縮するタイムで決着することになった。スーパークリークは4着、イナリワンは11着、ロジータは最下位15着。ド素人の青二才は世界レベルの高さに驚嘆し、日本勢が外国馬と互角に戦える日は来るのだろうかとハズレ馬券をじっと見つめたはずである。だが、その3年後、トウカイテイオーが感動的なJC父子制覇を成し遂げたのを境に、ホームの日本勢が絶対的有利な国際レースへと変わっていった。

東京競馬場で行われた過去10回、優勝馬8頭、連対馬17頭が日本馬である。その理由は日本馬のレベルアップにあることは間違いなく、喜ぶべきことではあるが、外国馬の走りに期待を馳せた高揚感がなくなったのは残念でもある。外国馬もチャンスは薄いと見て、去年、今年と来日したのは過去最少の4頭に留まっている。国際招待として華やかさがなくなったのは否めない。再来年、全重賞が外国馬に開放されることになるが、「世界に通用する強い馬づくり」を目指したJC創設時の役割は終えたのかもしれない。今年、海を渡ってきた4頭は言葉は悪いが二線級のメンバーだ。欧州勢はガリレオ産駒2頭とモンジュー産駒と、いずれもパワータイプのサドラーズウェルズ系が揃った。ペイパルブル(英)はチグハグな競馬で去年のJCは7着に敗れたが、地力を強化した今年はもう少しやれるか。馬場適性はありそうなミスプロ系マーシュサイド(米)は実績不足。

だが、外国馬の層が薄くとも嘆くことはない。今年のJCは「3世代ダービー馬の対決」という日本競馬史上初めての物語が実現することになるからだ。しかも舞台は東京2400であり、ダービー馬最強決定戦と言えるかもしれない。凱旋門賞後、帰国初戦となるメイショウサムソン、天皇賞秋の激闘を制したウオッカ、菊花賞をパスしてJCを最大の目標に仕上げられたディープスカイ。ダービーで燃え尽きてしまう馬も多い中、無事是名馬、この3頭はよく頑張ってくれている。メイショウサムソンは府中で、じっくりと調整をされてきた。去年は1番人気3着、石橋守の久々の手綱が見物だ。ウオッカは天皇賞秋の疲れを見せることなく、一週前から坂路で好時計を出している。取り消し後だった去年より状態は上で、ベストより少し長い距離の克服が鍵か。来年はエルコンドルパサーのような長期遠征を考えているディープスカイは、秋3走目でピークの状態。どれが頭に来ても驚かない。

ダービー馬対決の陰に隠れているが、菊花賞馬も2頭参戦する。アサクサキングスオウケンブルースリだ。両馬とも東京2400は前走より格段に適性があるコース替わりとなるが、とりわけジャングルポケット産駒のオウケンブルースリは歓迎のクチだろう。同馬自体は東京は初めてだが、父はダービー、ジャパンカップを制していて、持ち味の長い差し脚も活きるコースだ。かつて、「菊花賞は最強馬が勝つ」と言われたものだが、神戸新聞杯であしらわれたディープスカイ不在の菊では、勝っても世代チャンピオンとは認めてもらえない。その年のダービー馬が菊を使わず、天皇賞秋を選んだのはディープスカイが初めてで、いよいよ三冠ロードの権威崩壊かという声も聞かれた。もし、ディープスカイがJCを獲り、オウケンブルースリを完膚なきまま叩きのめすことになれば、将来、菊花賞のセントレジャー化を加速させた象徴的なレースということになるやもしれない。一方、オウケンブルースリが菊の威厳を誇示できれば、違う歴史が現れるかもしれない。そんな隠しテーマを想像して、JCを楽しむのも悪くない。

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コメント

ディープスカイのダービーは強かったですね。
当日伸びてなかった外目を差し切った末脚は
見事でした。

私は外人騎手が3着以内にくるという変態データ
を信頼してアサクサキングスを狙いますw
ルメールがポンと逃げたらひょっとしてなんて
思ってるのですがさてさて。

投稿: ジュサブロー | 2008.11.29 05:57

>ジュサブローさま アサクサキングスの調子は心配ですね。有馬あたりで復活してほしいところ。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2008.12.07 23:28

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