西山牧場がダーレーに売却 経営方針転換も再建ならず
12日、スポーツ報知が伝えたところによると、名門ファームである西山牧場がダーレージャパンファームに売却されていたことが明らかになった。売却されたのは牧場の400ヘクタールの土地や厩舎などの建物で、種牡馬や繁殖牝馬、生産馬は含まれていない。ニシノフラワーやテキスタイル(レイルリンクの姉)などの繁殖牝馬は他の牧場に預託して生産は続けられるようだが、生産者として西山牧場の名は消える。今後、ダーレージャパンは旧・西山牧場の土地に新しく施設を建て直して、日本の競馬界進出の機会を伺うことになる。2代目オーナーの西山茂行氏は歯に衣着せぬ主張で、既存馬主の利益や馬産地保護を訴えてきた。それだけに、馬産地の保守本流とも言える西山牧場が、外資であるダーレージャパンに売却されるのは実に皮肉に思える。
1966年に先代の正行氏が開設した西山牧場は、 1973年には社台ファームの牙城を崩してリーディングブリーダーのトップを獲得。最盛期は年間200頭を生産する国内最大の生産牧場に上り詰め、以後も打倒社台をめざして、積極的な投資を行ってきた。ニシノフラワー、セイウンスカイとクラシックホースも輩出。90年代前半はリーディングブリーダー2位、3位が指定席で、メジロ、シンボリらと鎬を削っていた。西山牧場の経営母体は株式会社・西山興業。関東のホテル、リゾート施設、レストラン、ゴルフ場から不動産賃貸まで幅広く手がけている。2年前には南房総で5つのリゾート施設を持つ「オーシャンヴェールリゾート」の運営も始め、他の事業は順風のように見える。一方、1994年には正行氏が東京国税局から個人所得22億円の申告漏れを指摘されるなど(修正申告済み)、陰を感じさせる部分もあった。
西山牧場の大きな痛手のひとつとなったのは種牡馬事業の失敗だろう。スターアッフェアー、シェルシュールドール、シャンペンチャーリー、マラキム、ケラチ…。どれも一癖ある血統で成功すれば面白いのだろうが、ほとんど産駒は期待に応えられなかった。セイウンスカイを出したシェリフズスターも、それまで種付けした200頭の仔が散々の成績で、息子が活躍する頃には廃用となっていた悲しき運命(草競馬の調教中に事故死)。既にそのセイウンスカイも種牡馬失格の烙印を押されてしまった。90年代後半からは少数精鋭主義へ方針転換して繁殖を整理し、自家種牡馬にこだわることもやめたが、経営再建はかなわなかった。良くも悪くも個性的だった西山牧場。育成センターなどは事業を継続するようなので、西山血統の再起に期待したい。
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