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2008.05.27

オークス疑惑の裁決? 騎乗停止も降着処分はなし

疑惑の裁決。今年のオークスはそう競馬史で記憶され続けるかもしれない。 1着となったトールポピーは直線で内に切れ込んで4頭の馬を妨害。長い審議となったものの、降着処分はなし。一方、鞍上の池添には2日間の騎乗停止処分が下った。問題となったのは残り400メートル付近。馬場中央から内に進路を取った際、押しやったレジネッタソーマジックを接触させた。その余波で後ろにいたオディールは追えなくなってしまった。それでも、池添は左ステッキを連打。さらに右へと寄れて行き、レジネッタ、ソーマジックを押しやり、後方にいたマイネレーツェルにも被害を与えた。 JRAは「斜行による被害は走行妨害には至らないが、継続的かつ修正動作の無い危険な騎乗である」というコメントを発表した。ジョッキーは処分を受けているのに、着順変更はない。ルール上は問題なく、2度の前例もあることとは言え、多くのファンが違和感を覚え、JRAの裁決に不信感を持つ人々が出てきても当たり前である。

JRAの処分は妥当だったのだろうか。パトロールビデオを見れば、一歩間違えれば重大な事故につながる、非常に危険な騎乗であったことは一目瞭然。一度目の押圧で修正することもなく、右に寄れる馬を左鞭を使って大きく斜行している。気づかなかったでは済まされない、意識してのラフプレーだ。 JRAは斜行がなくとも着順に変化はなかったとの判断で降着には及ばないとしたが、レジネッタが2着になった可能性は皆無か、誰も自信をもってないとは言い切れないだろう。少なくとも9着のマイネレーツェルの着順は違っていたはずだ。トールポピーも内への斜行がなければ、行き場は失われていた。「通常のレースならば降着」と生放送で断言した柏木集保の見解は正しい。私もこれが平場のレースであったなら、懲罰的な意味合いも込めて降着になったのではないかと思う。G1では多少の荒っぽい行為は許される、という考え方に立てば妥当性は見出せるだろうが、そこは価値判断だ。

そもそも、審議は密室で行われ、処分基準も曖昧で委員個人に任される裁量は大きい。裁決委員もJRA職員。宮仕えの本能として、G1優勝馬を降着させる面倒な責任を負いたくないのは自然なことだ。「できることなら降着処分を下したくない」という心理が働いたのは容易に想像がつく。池添の加害行為は横から寄せていったもので、被害馬の前に出て進路を遮るものではなかった。メジロマックイーンの天皇賞秋での1着降着は進路をカットして、他馬に急ブレーキを踏ませたもの。100%アウトだった。逆に、「トールポピーはセーフ」と裁決が強弁できる余地が残されていたわけで、そこに判断が拠っていった気がしてならない。当の池添はゴールでは派手なガッツポーズをして、ウイニングランまでしていた。審議の対象が自分であることは感じていたはず。敢えてパフォーマンスに興じることで、裁決の判断を鈍らせようとしたのか。ゴール後と確定後の表情の落差から、被害の深刻さまでは認識していなかったように見えるが。

しかし、今回の問題は処分基準の曖昧さだけに留まらない。「社台の馬だから降着にならなかったのではないか」という公正性への疑念を生じさせてしまったことは大きい。トールポピーの生産牧場はノーザンファーム。馬主は社台系のクラブ法人、キャロットファーム。ここに飛ぶ鳥を落とす角居厩舎のブランドも加わる。最も被害の大きかったレジネッタは社台RH、ソーマジックは吉田照哉の持ち馬で、優勝馬の栄誉を貶める立場にはない。不毛な陰謀論は控えるべきだと思うが、裁決に騎手が呼ばれても被害を強く訴えることは考えにくい。少なくとも昨秋の天皇賞のように「福島へ行け」とは言うまい。実際、被害を受けた小牧や安藤勝が裁決にどう話したかは分からないが、「社台の機嫌を損ねるようなことは言わなかったはず」とファンに思わせたのは確かだろう。公正性が揺らぐとは、ファンの信頼が揺らぐということだ。

今年のオークスは半数が社台グループの関連馬だった。これからも「社台の運動会」は10年、20年と続くかもしれない。それだけに、裁決という競馬の公正性を担保する要となる部分については、ファンが納得して受け入れられるシステムを作ってく必要があるだろう。裁決委員を利害関係のない外部の人間に任したり、審議の過程をフルオープンにすることもひとつの案だ、少なくとも、どんな基準で降着や過怠金の処分を下しているのか、線引きはどうしているのか、細かなところまで含めて内規などを公開することが先決だと考える。付けたしのような形になるが、桜花賞で見せ場なく敗れたトールポピーを短期間で立て直した角居厩舎と山元TCのスタッフに敬意を表したい。ジャングルポケット産駒らしく、東京コースの適性も高かった。兄フサイチホウオーの幻影に評価を下げていたが、妹は妹。次走、アメリカンオークスも楽しみだ。

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コメント

トールポピーの単勝を持ってた身としてはおかげで助かりましたが、普通ならアウトでしょうね(笑)
カワカミやマックの時と違って立ち上がったりするようなハッキリした被害馬が出てなかったから
でしょうがレジネッタは本来なら勝ち負けだったのではないでしょうか。
身内の運動会で目くじら立てるなってことなんでしょうが馬券買ってるのは身内じゃないんだよなあ。

投稿: ジュサブロー | 2008.05.27 11:46

柏木集保がTV生放送で、平場のレースなら完全に降着ですね!と言っていた。
審議内容についての公正性についても問題が有るが
自分が強く感じ打のは、天皇賞でコスモバルク、道営競馬の五十嵐JKが同じJRA所属の騎手に辛辣な非難をされたのに対して、今回の池添JKは同じ仲間と言うことでそれほど非難されなかったことが残念だ。
○永JKなどは五十嵐JKに対してGⅠレースに騎乗する資格はないとまで言い放っていたのに。

投稿: | 2008.05.27 14:58

>ジュサブローさま 馬券買ってる人間は身内も社台も関係ないですもんね。それに競馬の原資は馬券代なわけですから。 >創さま その辺の身内の甘さがシステムに欠陥をもたらしてるのが問題ですよね。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2008.06.03 03:07

遅レスになりますが、

・馬処分なし 騎手2日間騎乗停止

は、あまりにも甘すぎたのではないでしょうか。
個人的には馬主、厩舎関係者とも協議の上

・馬処分なし 騎手3ヶ月~半年騎乗停止
・馬失格   騎手短期間の騎乗停止

くらいの二者択一でよかったんではないかと思います。
日本はラフプレーに対する騎乗停止の期間が甘すぎると
常々思うんですが、いかがでしょうか。

投稿: | 2008.06.04 14:59

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受信: 2008.06.02 14:14

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