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2008.05.15

記憶に刻まれた ”世界のG1級” さらばコンゴウダイオー

「G1級。日本のじゃない。世界のG1」「同じ重量で走らせるのは他馬がかわいそう」「函館スプリントSに出しても勝てる」「何頭タイムオーバーが出るか分からないよ」 。 2年前の夏、デビュー前から自信に満ち溢れた関係者が吹きまくったことで、大いに注目を集めた若駒がいた。スポーツ紙は週の半ばから絶賛する記事を載せ、初戦は単勝1.1倍という圧倒的な人気を集めた。どんな勝ち方をするのか、ディープインパクトを超えられるのか、日本中のファンが固唾を飲んで見つめた。その若駒は悠々と2番手につけると、4コーナーでは先頭に並びかけて直線へ。すわ、シンボリルドルフの再来か、そう思わせたのは一瞬だった。あっさりと後続の馬に追い抜かれ、どうにかこうにか勝ち馬から3馬身半差の3着に流れ込むのが精一杯。完敗だった。

若駒の名はコンゴウダイオー。以後、前評判との落差から、ニヤリとしながら「世界のG1級」の枕詞で語られることになった馬である。初戦で敗れた後も、「山内に大物2歳あり」の幻想は簡単には消せなかった。鞍上の藤田は「すごく走る馬で調教で併せても、すぐ抜け出して、今日のような実戦を想定したケイ コにならない。もっと強いパートナーとやった方が良いかも。素質はとてつもない…」とコメント。併せ馬できるレベルのパートナーがいないことを敗因にあげた。また、私がブログで冗談めかして敗戦を報じると、すぐに反論が寄せられた。「コンゴウダイオーはかなり厳しいペースを前に行って良く残ったという見方もある。… (勝った)エーシンダームスンは世界のGI級、それ以外の3頭も普通にGI級の可能性がある」(負け馬@馬耳東風)と、実はとてつもないレースレベルだったのではと指摘するのである。

コンゴウダイオーが初勝利をあげたのは連闘で臨んだ3戦目、ダート1000メートルだった。だが、次走で函館2歳Sで芝に再びチャレンジするものの、オープンのスピードについていけず8着。力の限界を露呈した。秋からはダートばかり使われるようになり、3歳1月に平場500万円で2勝目をつかんだ。これがデビューから11戦目。海外G1を嘱望されたはずの天才は、いつしか走り続ける勤労者になっていた。大きなイメージチェンジだ。この頃、本気でG1を勝てる器だと口にするものは消え失せ、むしろ、コンゴウダイオーは大ぼらラッパを揶揄するネタ馬的存在へと変わってしまっていた。二桁大敗を繰り返すと、「世界のG1級」と笑われながら指をさされた。それでも最終レースを駆ける姿は、デビュー戦と同じく、まじめで一生懸命な走りだった。 G1も1000万下もない。ただ目の前にあるレースに挑むしかなかった。

古馬になった今年。主戦も角田に替わり心機一転、コンゴウダイオーは調子を取り戻しつつあった。 2月から3着、2着、3着、2着と惜しいレースが続いていた。天皇賞春が行われた今月4日、最終レースに出走したコンゴウダイオーはひさしぶりの1番人気に推された。私も3連単の頭に据えた。しかし、結果は惨敗。よほど悔しかったのだろう、翌週、連闘で最終レースに挑んだ。再び1番人気の支持を集めたコンゴウダイオーが、アクシデントに巻き込まれたのは直線。空馬が馬群を内に押しやって、驚いた1頭が躓いて落馬。その内にいたコンゴウダイオーは煽りを受けて転倒してしまったのだ。予後不良。あまりに突然の別れだった。23戦2勝は何の変哲もない生涯成績だ。だが、私たちは夏に評判馬が現れる度、「世界のG1級じゃないの?」とニヤリとしながらコンゴウダイオーを思い出すのではなかろうか。競馬が記憶のスポーツなら、競走馬たるもの、それも立派な所業ではないか。「世界のG1級」よ、安らかに。

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コメント

このエントリ見て,デビュー当時の顛末思い出しました。
ラッパ吹かれることなく,普通にデビューしてたらまた違った競走馬生になっていたかもしれませんね。
いや,山内厩舎だからやっぱりこうなってしまうのか

投稿: | 2008.05.21 01:15

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