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2007.11.17

岩手競馬に存続宣言 コストカットの連鎖を断ち切れ 

今年3月、一度は知事による廃止表明にまで追い込まれた岩手競馬。直後、県議会に緊急提出された融資案が1票差で可決され、薄氷を踏む逆転劇で今年度の存続が決まった。但し、その最低条件は収支均衡。その見通しが立たなければ年度途中でも廃止という約束を呑んで、背水の陣での再出発を余儀なくされた。そして、今月12日、岩手の達増知事は「(本年度の)黒字がほぼ確実になったので来年の存続もほぼ確実と言っていい」と述べて、来年度も引き続き開催を行えるとの認識を示した。知事が存続に向けて強い自信を明らかにしたことは、競馬ファンとしては非常に心強い。昨春は地方競馬の巨人と言われた岩手競馬が廃止されることで、競馬産業そのものの土台を揺るがす事態が誘発されることも、かなり現実味を帯びるところにあったからだ。まずは瀬戸際で踏みとどまれた事実に敬意を表したい。

しかし、今回の知事の発表を手放しで喜んでばかりはいられない。収支均衡の見通しを示すため、岩手競馬は売り上げ目標の下方修正と、帳尻を合わせるための度重なるコストカットを行ってきたからだ。岩手競馬の当初計画の発売額は274億7200万円。ところが、今年度の開催を始めて以来、売り上げの減少には歯止めがかからず、各期ごとに設定した目標達成率は期を追う度に下がり続けた。 1期(4~5月)が93.9%、2期(6~7月)が87.9%、3期(7~10月)が77.1%。競馬組合は収支計画を厳しく見直し、発売目標額を42億400万円減の232億6800万円まで押し下げた。その分、必要になるコストカットは3回行われ、賞金や運営費、人件費は大幅に削減されてきた。今月8日に決まった追加コスト削減では、賞金や出走手当て(賞典費)が1億2100万円、広告宣伝費や優待バスの本数を減らすことで1億4500万円を切り詰めた。

収支均衡が崩れれば即廃止という条件下では、増収が見込めない以上、経費を削減していくしか生き残る道はない。一方、開幕時に18億円余のコストカットの対象とされた賞典費については、さらなる削減を続ければ岩手競馬の基盤を危うくするという声もある。賞金が少なくなればレベルの高い馬が流失し、レースの面白さもなくなる。その結果、ファン離れが加速し、売り上げ減少を招き、また賞金を削らねならないという、負のスパイラルに陥ってしまうというのだ。実際、なかなか転入馬がやってこないという事態が起きているそうで、厩務員のリストラにもつながっていると聞く。厩舎スタッフだけでなく、競馬組合の職員も冬の賞与は全面カットされることになり、岩手競馬全体の再建へのモチベーション低下も心配されるところだ。コストカットの繰り返しでは、近いうち限界がやってくる。問題を先送りせず、スパイラルを断ち切ることが必要だ。

紅葉美しい水沢競馬場 小回り故かスピード感は楽しめる

ファンとパドックの距離は近いが、野次は少なめ 売り上げ不振は続くか人出はある

決して経営側も手をこまねいていたわけではない。6月には「ルネッサンスプラン」を策定。客単価が落ち込むなかで、ファン感謝デーの開催、携帯サイトでの映像配信、産直市などイベント実施でファン獲得をめざし、入場者数を増加させる実績もあげた。今月11日、私は水沢競馬場を訪れたが、ひどく老朽化した施設にも関わらず、少なくないカップルや家族連れの姿があったことに驚かされた。この日は「ご当地グルメ市」と銘打って各地の名物料理を売る露店が出ていたり、レースの度に馬券を持っていくとリンゴやジュースなどが抽選で当たる JAとタイアップした企画が行われていた。このほか、アイドル・ふじぽんらによるレース予想や、子供向けゲームセンターもあり、来場したファンを楽しませようという姿勢が伺えた。そこには馬を走らせておけば勝手に穴場に金が入るという、前時代的な役所競馬の発想は感じられなかった。それだけに売り上げ減少が止まらないのには、歯がゆい思いだろう。

賞典費や人件費に関しては、これ以上のコストカットは望むことはできまい(業務委託費は分からないが)。ギリギリの予算のなかでファンを呼び込むイベントや、地元企業との連携も進んでいるように見える。オッズパークグランプリLJSなど、ネット販売企業から強力な支援もあった。それでも売り上げが足りないのなら、盛岡、水沢のどちらかに開催を集約するなど、根本的な改革に手をつけなければならないのではないか。自転車操業で景気が好転するのを待つような、旧来の悪い神頼み意識には戻ってはならない。来年度の収支計画は恒久的な黒字が出せるよう、現実と向き合ったものにしてほしい。苦境の岩手競馬だが、ひさしぶりの明るい話題もある。額にハート形の流星を持つトレジャースマイルの人気ぶりだ。デビュー戦は5着に敗れたものの、全国メディアに取り上げられ、多くのファンが応援に駆けつけた。単勝馬券にハートのハンコを押すサービスも実施し、通常より300万円ほどレースの売り上げも増えたそうだ。ハートのエースになってくれとは言わないが、岩手で頑張る人々を勇気付けてくれたらと願う。

勝ちそーの予想コーナー。隣の中央実況がうるさくてかわいそうだった トレジャースマイルに寄せる期待は大きい

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