« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »

2007年9月の14件の記事

2007.09.30

スプリンターズS予想 老兵は死なず、消えず、衰えず

今年も秋のG1が開幕する。スプリンターズSで1番人気に支持されたのは夏の上がり馬、サンアディユ。アイビスSDを13番人気で勝利。前走のセントウルSも11番人気という低評価での勝利だった。しかし、初挑戦となるG1で圧倒的な支持を得たのは、セントウルSの内容の濃さにある。前半33秒4、後半33秒7というラップで先行して、 5馬身差の快勝。1分7秒1のタイムはビリーヴのレコードとタイだった。このように能力は非凡ながら、揉まれての脆さが弱点となる。今回もすんなり先行できれば楽勝もあるだろうが、そこはライバルたちも重々承知の上だけに、ギャンブルとしては馬券は他馬から狙うことにしてみよう。

老雄、プリサイスマシーン。地方デビューの8歳馬、芝もダートもござれのマヤノトップガン産駒だ。若い頃は中日新聞杯(千八)を連覇するなど中距離馬のイメージがあったが、年を経るに連れて適距離が短くなってきた。この春は阪急杯を勝ち、高松宮記念で3着。旧表記で言えば9歳だというのに力の衰えを感じさせない不思議な馬だ。この馬が得意とするのが、【2203】という鉄砲がけ。昨秋、14番人気を嘲笑うかのように激走したスワンSは象徴的なレースだった。今回、手綱は春の主戦だった安藤勝が戻ってきた。前が激しくやり合うようなら、好位から抜けてくるのは同馬だろう。ここが最後のG1制覇のチャンスだ。

◎プリサイスマシーン ○スズカフェニックス ▲キングストレイル
△サンアディユ、アストンマーチャン、ペールギュント、アイルラヴァゲイン

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.09.27

シンコウフォレスト安楽死 割り切れぬ感情こそ大切に

1998年の高松宮記念などスプリント重賞3勝をあげたシンコウフォレスト(牡14)が、7月にアイルランドで安楽死処分されていたことが判明した。これはブログ「あさ◎コラム」さんが繋養先のラスバリースタッドに問い合わせて明らかになったもの。シンコウフォレストは今シーズンはじめに8頭に種付けしたものの受胎せず、完全に繁殖能力が喪失したことが確認されたため、シンジケートが解散、殺処分となったという。グリーンデザート産駒であるシンコウフォレストは引退後、種牡馬として故郷のアイルランドに輸出され、シャンペンS(英G2)やグロシェーヌ賞(仏G2)などの重賞勝ち馬を輩出して順風満帆な繁殖生活を送っているとみられていた。繁殖能力がなくなったとはいえ、種牡馬として一定の功績を残し、日常生活に支障のない同馬があっさりと処分されたことに戸惑いを感じるファンがいることは確かだろう。かくいう私もそのひとりだ。

一方で競走馬の多くが屠殺されている日本の現状を考えれば、ヨーロッパでも同じことが起きているだけなのだという冷静な感情も沸いている。ラスバリースタッドは「人道上の理由から苦痛を与えずに殺害」したと回答を寄せている。これは日本のように名前を伏せたまま業者に引き取ってもらい、劣悪な環境下で肥育された上で食肉に加工するといった処分方法は採られていないと明言したものだろう。想像の域を出ないが、シンコウフォレストの遺体の一部は何処かに埋葬されたのではないだろうか。 2003年、日本で種牡馬を廃業したケンタッキーダービー馬、ファーディナンドが屠殺されていたことがアメリカで報じられ、日本が非難される事件が起きた。結局、ファーディナンドがどのような過程を経て処分されたのかは発表されたなかったものの、 JRAが他のチャンピオンホースの行方を調査するなど大きな波紋を広げることになった。

ファーディナンド事件以降、廃用となった輸入種牡馬が故郷・アメリカへ再輸出されるケースが増えている。功労馬を繋養する養老牧場が受け入れ先だ。日本でも一部のファンや生産者が養老牧場を運営しているが、年間数千頭が生産されている規模に比べれば、システムとして機能するようなものにはなっていない。国内では競馬産業のイメージを守るためか、引退馬の処分問題がメディアに取り上げられることは少ない。そのため、苦痛を最小限度にした処分方法が採られているかといった議論まで、とても踏み込めていない。そうした意味においては、ラスバリースタッドのように自らの管理下において適切な方法で処分したと公言できるならば、食肉業者にすべてを委ねてしまう日本式よりは責任ある行動を取っているとも言えよう。もちろん、経済動物の名のもとに、サラブレッドが大量処分される競馬産業の論理を認める人々の間のことではあるが。

以前、ナイスネイチャの生産者、渡辺はるみさんの著書を紹介したことがあった。渡辺さんは引退した生産馬を引き取り、どうしても手放さなくてはならなくなると、なるべく苦しまない方法で自らの目の前で処分するようにしていた。 G1ホースであれ、未勝利馬であれ、ひとつの命を絶つことは決して軽々しいことではない。今回、シンコウフォレストの件も納得すべきものだという思考が支配的になると同時に、どこか割り切れない感情が残ったのも正直なところ。実は大切なものは割り切れない部分に宿っている気がした。処分は競馬を続ける上での運命と、突き放すだけが最善ではないだろう。一例だが、重賞賞金の一部は余生のために支払うようにするとか、種牡馬シンジケートの数パーセントは解散後のためにプールしておくとか、多額の利益を生んだ馬が余生を過ごせる施策が採られても良いのではないか。すべて白日の下に晒す必要はないが、大切なことが議論されないのなら、それは人にとっても馬にとっても不幸なことだ。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2007.09.26

ファン有志がイベント企画 ばんえい応援ブロガー盃

存続危機を乗り越えて、ばんえい十勝として再出発した"ばんえい競馬"。今週末、ウェブを通じてばんえい競馬の魅力を伝えてきたブロガー有志が集まって、協賛イベントが開かれることになった。 29日(土)には協賛レース「ばんえい応援ブロガー盃」が行われ、午後1時から現地では観戦オフも企画されている。特設サイトではブロガー盃と翌日の岩見沢記念を対象にした勝ち馬予想クイズを実施。上位入賞者にはレアグッズがプレゼントされる。また、30日(日)にはドキュメンタリー映画「人馬一体 ~ミサイルテンリュウ 砂地の頂へ~」の上映会が近隣のとかちプラザで開かれる。詳しくは特設サイトをご覧頂きたい。

一口に協賛イベントと言っても、企画提案からファンへの告知、著作権者との交渉、会場探しまで、やらなければならない手間は幾らでもある。今回、イベントを主催しているブロガーは、遠く関東から駆けつける方々もいると聞くが、 2日に跨る大型企画をボランティアで実現してしまう実行力と情熱には頭が下がる。忙しい本業の合間を縫ってなのだから尚更だ。ウェブでもリアルでも、境界なく活躍されるブロガー有志に敬意を払いたい。私は現地に赴くことはできないが、ネットで馬券を買ってブロガー盃を楽しませていただこうと思っている。

>>ばんえいブロガー応援盃(特設サイト)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.09.25

アラブ生産馬ゼロ 血は途絶えても歴史に名を留めん

日高軽種馬農協の軽種馬当歳馬名簿で、今年、生まれたアングロアラブが初めてゼロとなっていたことが明らかになった。この名簿は生産者から届け出をもとに製作されるもので、同農協には軽種馬生産者のほとんどが加盟している。かつて、年間4000頭近くも生産されていたアラブだったが、1995年にJRAがアラブ系の競走を廃止した頃から急撃に生産が縮小し、去年、同農協が主催した北海道オータムセールでは上場馬がわずか2頭に留まっていた。中央のみならず、地方でも五月雨式にアラブ系競走は廃止の一途を辿っており、生産頭数の減少を鑑みて、一昨年、アラブだけで開催していた福山競馬もサラブレッド導入に踏み切った。今年6月には福山で行われたタマツバキ記念をもって全国のアラブ交流戦も消滅している。寂しさはあるが、アラブの生産がなくなることは時代の趨勢と言うしかないのだろう。

我々がアラブと呼ぶ品種は、正確には純血アラブとサラブレッドの混血種であるアングロアラブである。アラブと認められるためには、アラブ種の血が25%以上なければならないとされた。もともとアラブは戦前の軍馬改良の一環として、繊細なサラブレッドを温厚で丈夫なものにしようと盛んに生産が行われるようになった。戦後は復興のため地方競馬が各地で開かれるようになり、馬不足のなか、短い間隔で出走を繰り返すことができて管理も比較的容易なアラブが非常に重宝された。しかし、タイムで劣る、メンバーが固定化している、サラブレッドすら余っている、血量を偽ったテンプラが横行しているなど、ネガティブなイメージが喧伝されて、サラブレッドより格下扱いされるようになると、ファンや馬主の人気は衰えていった。70キロの斤量も苦にしないアラブには独特の魅力があるが、そうした楽しみ方が受け入れられなかったのは不幸なことだった。

アラブ競走の全盛期には中央ではタマツバキ、セイユウ、シュンエイ、地方ではイナリトウザイ、ローゼンホーマなど、歴史に名を残す名馬が次々に現れた。戦後まもなく活躍したタマツバキは 83キロの酷量を背負って勝利するなど、そのタフガイぶりは今でも語り継がれている。厳しい斤量と闘う姿は大いにファンの共感を呼んだそうだ。1957年、アラブで無敵を誇ったセイユウはサラブレッドに挑戦。七夕賞、福島記念を連勝すると、セントライト記念に参戦して59キロの最重量をものともせず同世代のライバルたちを打ち破ってしまった。この時の2着馬は菊花賞を制するラプソデーだった。このセントライト記念がアラブによる初のサラ重賞制覇である。菊花賞は制度上、出走できなかったが、もし出ていればアラブのクラシック制覇の偉業を打ち立てていたかもしれない。

私が競馬を始めてからも、アラブ最強馬によるサラブレッド挑戦はファンの心を躍らす一大イベントだった。南関東アラブ三冠馬・トチノミネフジの中央参戦は記憶にある人々も多いのではないだろうか。1994年、6歳(旧表記5歳)時に隅田川賞で大井二冠ブルーファミリーを破って13連勝を飾ったトチノミネフジは、吾妻小富士オープンへ挑んだ。一時は1番人気に支持されるほどの過熱ぶりだったが、芝適性のなさ故か得意の先行力を活かせずに2番人気11着に敗れた。馬群でもがく巨漢馬の姿に、私は胸が熱くなったのを覚えている。中央・森秀行厩舎のムーンリットガールは何度も挑戦を続けた女傑だった。1994年の府中3歳Sでは勝ち馬ホッカイルソーからコンマ4秒差の5着に健闘。翌年のスプリンターズSでも大敗したものの、重賞馬ゴールドマウンテンらに先着した。アラブの血は後世には繋がらないが、長い間、競馬を支えた彼らの活躍は歴史に留めなくてはなるまい。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2007.09.23

神戸新聞杯予想 パーソロン系の血の継承に期待

先日、かしわ記念などを勝ったストロングブラッドが引退、乗馬入りすることが明らかになり、一部の血統ファンに落胆をもたらした。同馬は数少ないトウカイテイオーのG1産駒で、パーソロンの父系をつなぐ可能性のある牡馬として、わずかな期待がもたれていた。 1970年代に2度のリーディングサイヤーに輝いたパーソロンは、シンボリルドルフ、メジロアサマ、サクラショウリといった大物産駒を輩出して、日本競馬で黄金時代を築いた。個性派サンエイソロン、マティルアルもパーソロンの直仔だ。しかし、この世界の傍流父系を守ってきた日本でも、トウカイテイオーが高齢となり、後継種牡馬を出す可能性が低くなるにつれ、パーソロン系の血がつなぐことが難しくなってきた。

トウカイテイオーとともに、パーソロン系の継承が託されていたのがメジロマックイーンだった。メジロアサマ、メジロティターンと、三代天皇賞制覇を成し遂げたマックだったが、残念ながら際立った産駒を残せないまま世を去った。残る産駒は少ないが、神戸新聞杯に出走するホクトスルタンはファンが一縷の望みをかけられる潜在能力を秘めている。前走、阿寒湖特別は休養あけながら古馬相手に危なげなく逃げ切り勝ち。北海道で3歳の夏を越して、力をつけてきたのは父を彷彿とさせる。母の父サンデーサイレンスとの配合が、眠っているパーソロンの能力を呼び覚ましてくれることを祈りたい。鞍上、横山典が手放さなかったのも素質の高さを感じたからに違いない。父も咲かせた菊の大輪をめざす。

◎ホクトスルタン ○フサイチホウオー ▲アサクサキングス
△ヴィクトリー、ドリームジャーニー、タスカータソルテ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.22

オールカマー予想 4番人気以内の先行馬が絶対条件

比較的、ペースの落ち着く中山2200メートル。過去10年を振り返ってみても、9年は4角で3番手以内だった馬が必ず連対している。また、上位人気馬で決着することが多いのも特徴で、連対馬20頭のうち何と19頭は4番人気以内に支持されていた。オールカマーは人気の先行馬から狙うのがセオリーということになる。休養明けの札幌記念をひと叩きされたマツリダゴッホの優位は動かない。中山2200はAJCCで5馬身差の楽勝劇を演じた相性の良いコース。前走は道中で走りすぎた分、直線は伸びを欠いたが、叩き2戦目で折り合いさえつけていければ大崩することはないとみる。鞍上の蛯名はセントライト記念の落馬以来の騎乗となるが、もともとお手馬だけに乗り替りの心配は不要だ。ライバルはインフルエンザ騒動で帰厩が遅れた馬が多いが、牧場で乗り込まれてきたサンツェッペリン、仕上がり早のネヴァプションあたりは力を発揮できるだろう。

◎マツリダゴッホ ○サンツェッペリン ▲ネヴァプション
△タマモサポート、エリモハリアー、シルクネクサス

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.19

旭川で3位入線馬失格 シンコウシングラー事件再び

18日、旭川10レース・ふらのにんじん特別で3位入線したハングオンが失格となる事件が起きた。理由はレース前後の検量において、 1.2キロの重量差があったこと。鞍上の三井健一騎手は公正競馬を害したとして10日間の騎乗停止処分が科された。負担重量が前検量と後検量との間で1キロ以上の差が生じた場合、出走した馬は失格となる。また、1キロ以内については騎手が制裁を科される場合はあるが、着順の変更はない。今回は200グラムの差で失格処分となったわけだ。なぜ重量差が生じたのか、詳細は発表されていない。問題は失格となった馬の的中馬券がパーになるばかりでなく、返還も行われないため、何の落ち度もないファンがトバッチリを受けることだ。

同様のケースで話題になったのが、99年のシンコウシングラー事件だろう。緑風Sで2位入線した同馬は1.7キロの負担重量不足が判明。レース後、しばらく経ってから審議となり失格になったのだ。鞍上は柴田善臣。原因は前検量が終わった後、重量調整用の装具が外れたのに気づかずに出走していたこと。騎手には20万円、調教師には50万円の過怠金が科された。00年には失格にはならなかったものの、 1位入線の柴田未崎が前検量の後、トイレに行ったため700グラムの負担重量不足で過怠金を科されたこともある。こちらはわずかなウンの差で失格を免れたわけだ。いずれにしろ、こうしたケースは瑕疵のある馬券をレース前から売っていたわけであり、関係者の過失はファンでなく主催者側の管理責任に帰するべきだろう。元返しの廃止も結構だが、ファンの信頼を失うつまらないルールは早く改善したほうが良い。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.15

3年ぶり出走コスモバルク 凱旋レースで故郷に恩返し

13日夜、3年ぶりに故郷、ホッカイドウ競馬で瑞穂賞(ダート二一)に出走したコスモバルクは1番人気に支持されたが、勝ち馬から2馬身離された3着に敗れた。海外G1馬となって初めて道営ファンの前での競馬だったが、凱旋レースを飾ることはできなかった。コスモバルクは6月の宝塚記念以来の休養明け。北海優駿を制した3歳ブルータブーがかかり気味にレースを引っ張るなか、コスモバルクも積極的に2番手を追走。ところが、道中で五十嵐騎手が先頭に立とうと手綱をしごいても反応は今一歩で、 4角では逆にブルータブーに突き放される苦しい展開。ゴール間際では再び差を詰めてきたものの、外から勢いよく伸びてきたギルガメッシュに差しきられた。 3年前、同じ旭川競馬場で行われた北海優駿も辛勝だったように、コスモバルクは地方馬ながらダートが苦手。物足りない内容だったことは事実だが、敗戦は想定の範囲内だろう。

当初、陣営は毎日王冠などをステップに天皇賞をめざすプランを持っていた。しかし、馬インフルエンザ騒動で禁止措置が取られた地方馬の中央参戦解除の見通しが立たず、また今年の賞金獲得額も少なかったために瑞穂賞への出走を決めた。ホッカイドウ競馬はインフルエンザにより3日間開催中止となったことが響いて、売上額が目標に届かないでいた。13日は普段の倍の2200人が訪れ、売り上げも計画より5%多い1億8000万円に達したそうだ。なかなか地元には姿を見せるチャンスのない同馬だが、厳しい経営が続くホッカイドウ競馬に恩返しができたのではないだろうか。 1着のギルガメッシュはインフルエンザ騒動当初に中央馬が出走を取り消したブリーダーズGCを勝って、優勝賞金4000万円を満額獲得したラッキーホース。だが、今回のレースで単なる棚ぼたではなかったとアピールできた。

コスモバルクの次走は盛岡で今月30日に行われる交流競走OROカップ。こちらは地方競馬でも芝コース、1700メートルで争われる。得意の芝に戻って、万全の状態で天皇賞へ向かう予定だ。岩手競馬でも中央や他の地方競馬と競走馬の移動を禁止してきたが、 9日から感染馬が確認されていないため入退厩の制限を解除し、交流競走も再開することにしている。 出走馬が揃わずに少頭数のレースを強いられたり、ダービーグランプリがローカル重賞に変更を余儀なくされるなど、存続の危機にある岩手もインフルエンザの影響を強く受けてきた。コスモバルクの参戦でOROカップが大きな注目を集め、売り上げに貢献してくれることを期待したい。13日、農水省は「2開催連続して感染馬が確認されない」ことなどを条件にして、出走馬の全頭検査の終了を認める方針を打ち出した。一刻も早い通常開催への復帰を祈るばかりだ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.11

門別に開催集中 ホッカイドウ競馬のラストチャンス

"Too big to fail"、「大きすぎて潰せない」と言われてきたホッカイドウ競馬。大きいというのは借金のことだ。売り上げ不振から15年連続の赤字が続き、累積赤字は226億円に上っている。廃止した場合、北海道はこの借金に加えて、補償費や施設解体費など巨額の債務を処理しなくてはならなくなる。さらにホッカイドウ競馬が他の地方競馬と違って「潰せない」と言われる所以は、馬産地競馬であるという点だ。競馬は単に自治体財政を潤すものではなく、馬産という基幹産業を維持、発展させるための欠くべからざるものと位置づけられてきた。ホッカイドウ競馬の馬主の半分は生産者であり、出走馬の半数は他場へ転厩していく。売れなかった2歳馬を牧場名義で走らせて買い手を募るショーウインドであり、あるいは高額なJRA認定競走の賞金を得て牧場経営の支えとなるセーフティーネットであった。酪農や畑作に補助金が使われるように、競馬に税金が投入されるのも公共投資の一部という意見もなかったわけではない。だが、追い詰められた北海道財政の前で、そうした甘い考え方は許されなくなっている。

一昨年、高橋はるみ道知事は06年度から08年度までの3年間で、赤字額を半減させ、単年度収支が均衡する見通しを得ることが廃止を免れる条件だと示した。ホッカイドウ競馬は新馬券の導入、ミニ場外(Aiba)の設置、ネット販売の強化による商圏拡大など様々な努力を重ね、売り上げ回復の効果は現れ始めていた。だが、知事が求めた条件を満たし、納税者の理解を得るまでには至っていないのが現状だった。そうした中、7日、北海道地方競馬運営委員会は「北海道競馬改革ビジョン(素案)」を発表した。これによれば、現行の3場開催(札幌・旭川・門別)をやめて、来年度を最後に旭川から撤退。大半の開催は門別に集中させて、輸送コストや賃借料の軽減を行う。また、現行の運営機関である北海道競馬事務所を廃止し、新たに日高町に新公社を設立して運営を委託する。こうした施策によっても10年度までに黒字転換できない場合は、ホッカイドウ競馬を全廃する方針だ。これは道からホッカイドウ競馬と馬産地に突きつけられた最後通牒と見るべきシロモノだ。

97年、ホッカイドウ競馬は帯広、岩見沢から撤退を決めて、トレセンを改造して門別競馬場を新設した。札幌から高速バスで1時間半もかかる門別競馬場は、集客定員が500人。馬券は場外で買ってもらうことを前提にした競馬場で、門別本場の売り上げ比率は9%余り。一方、4000人以上を収容できる旭川はナイトレースが名物だったが、立地が悪いこともあって本場での売り上げは全体の6%に留まっていた。このため、賃借料などで年間2億円の経費がかかる旭川での開催を取りやめて、門別に開催を移行させるのは収支均衡には必須と判断されたのだろう。門別もスタンド改築を行って収容人員を増やす予定だというが、 Aibaや南関東での場外発売、ネット販売に依存すればするほど、各地を回ってレースを行う意義は薄れていくのが当然だ。しかし、ホッカイドウ競馬を基幹産業の一部として存続させることが第一義ならば、 "無観客競馬"になろうと些末な感傷に浸る必要はあるまい。

また、門別競馬場のある日高町に設立される新公社は、馬産地を抱える自治体や生産者団体にホッカイドウ競馬の運営を主導してもらおうという狙いがある。ホッカイドウ競馬がなくなれば、中小牧場も潰れる。両者は一蓮托生の運命だ。道から派遣されている役職員は本庁へ引き上げ、日高管内の自治体、生産者団体が新公社に出資。競馬実施のための業務は新公社が担うことになる。新公社は身の丈にあった、小回りの利く組織へ生まれ変わることが期待されている。一口に北海道と言っても、サラブレッドの産地は胆振、日高管内などに限られる。大部分の道民にとって、競馬の赤字はお荷物にしか感じられていないのが事実だ。「産地主導」と聞こえは良いが、競馬を続けたければ自助努力で行えと言われたに等しい。だが、今回の抜本的な改革の先には、不可能と見られていた黒字転換を達成し、馬産地競馬を存廃論議から救い出す明るい兆しが見えてはいないか。瀬戸際に立たされたが故に、ここまで思い切った案が実行できる。死中にこそ活路がある。ホッカイドウ競馬の再生を楽しみにしたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.08

POG最上位人気 アドマイヤテンカが安楽死 

今年の多くのPOGでドラフト1位に指名されていたアドマイヤテンカが骨折、安楽死処分となったことが明らかになった。アドマイヤテンカは父アグネスタキオン、母ビワハイジという血統で、全兄に弥生賞を勝ったアドマイヤオーラがいる。セレクトセールで近藤利一オーナーが 1億2500万円で落札した。同馬は6日、デビューに向けて調整が進められていたノーザンファームで右後肢を粉砕骨折。回復の見込みが立たないことから安楽死処分が取られた。冥福を祈りたい。

今春、管理する松田博師は「馬体もオーラより大きいし、柔らか味もある。器も大きいし、先々まで期待している」と述べていた。こうした悲劇は競馬にはつきものとは言え、デビュー前の素質馬が命を落とすのはファンとしても非常に残念なことだ。今年のドラフト1位候補と騒がれた良血馬では、新馬戦を圧勝したポルトフィーノ(クロフネ×エアグルーヴ)を除いては、期待されたような成績をあげてはいない。テンカの夭折でPOG戦線も予想がつかないものになりそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.07

有力馬が続々と帰厩 中央はインフルエンザ沈静化か

馬インフルエンザの拡大防止のため行われていた JRA施設と牧場との移動が限定的に解除されたのは4日から。 1日の入厩検疫頭数は美浦60頭、栗東50頭程度程度で、血液検査とインフルエンザの簡易検査が行われる。秋のG1戦線に向けてステップレースを使うには、リミット間近の移動制限解除だったのではないか。 3歳牡馬ではヴィクトリー、ドリームジャーニー、サンツッェペリン、牝馬ではローブデコルテ、ザレマらが7日までに帰厩した。古馬はダイワメジャー、デルタブルース、アロンダイト、カネヒキリといった看板馬の名も見える。来週中にはダーレー・ジャパンの服色で天皇賞秋に直行するアドマイヤムーンも戻る予定だ。トレセンでは陽性馬の割合が急速に減少しており、インフルエンザは終息へと向かっている模様だ。

中央競馬よりウィルスがもたらされたとみられている地方競馬では、数字を見る限りは多くの陽性馬が陰性に転じているものの、一方で新たな感染馬も次々と見つかっている。例えば、岩手では隔離した陽性馬が陰性に転じたことを確認した後、厩舎へ戻す作業を続けている。しかし、枠順確定後に陽性反応が出て多数の出走取り消しが出たり、 5日にも発熱馬2頭が陽性と診断されるなど、まだ非常事態解除とはいかない。また、日本からウィルスが運ばれた可能性を指摘されているオーストラリアでは、在厩頭数7000頭を超えるランドウィック競馬場で感染が広がっていることが確認された。州政府は馬だけでなく、ウィルスを運び手となる人の出入りも厳しく制限した。同競馬場でレースが再開されるのは早くて11月だと言う。

中央競馬では厳格な検疫体勢で入退厩を行えば、多少は新たな入厩馬に感染するものが出るにせよ、次第にインフルエンザ騒動は落ち着きを取り戻していくだろう。馬産地でトレセンほど感染が拡大していないというのが前提ではあるが。地方競馬は入退厩が頻繁でないだけ、在厩馬に感染が出つつも開催を行いながら、騙し騙し終息を待つ形になろうか。現在、陽性馬ゼロという浦和、福山、高知、荒尾に感染が広がれば、同じことが繰り返されることになり、経営状態の悪い高知などは致命傷になりかねないのは心配だ。今回、競馬界は改めて馬インフルエンザ禍の影響の凄まじさを痛感したはずだ。このようなことが再び起きないという保証はない。開催再開のタイミングはベストだったのか、検査や防疫措置に不十分な点はなかったか、感染はどのようにして拡大したのか、徹底した調査と検討を重ねて不測の事態に備えなくてはならない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.06

安田元騎手が逮捕 コンビニで「一千万円払え」と恐喝

「G1制覇の安田元騎手が恐喝」 Yahoo!トップページのヘッドラインを見てタマゲテしまった。あの温厚そうなトウカイテイオーの主戦、安田隆行が恐喝で捕まるなんて!? しかし、本文を読んで納得してしまったと言ったらおかしいか。安田元騎手は隆行でもなければ、富男でもなかった。メイショウドトウの手綱で宝塚記念を制した安田康彦(34)の方だったからだ。父に安田伊佐夫師をもち、ヤスヤスの愛称で親しまれた安田康は競馬学校の7期生。同期には去年暮れに飲食店の従業員を殴った藤田伸二、ジョッキールームで後輩に暴力を振るった郷原ジュニアらがいる。何とも荒くれ者が揃った7期生だが、この年だけ格闘技の授業を行ったとかいうわけでは決してないのだろうが。安田康は騎手引退後、消息が明らかでなかっただけに、こうした形で公に姿を現したことが波紋を広げている。

8月13日の早朝、安田康は京都市東山区のコンビニエンスストアでビールや缶チューハイなど 17点をレジに持っていった際、男性店員に「日曜に買った新聞が土曜のやった」と言いがかりをつけ、「1000万円払え、殺すぞ」などと脅迫。代金の約4600円を支払わずに立ち去った疑い。安田康は酒に酔っていたものの、「脅した認識はある」と大筋で容疑を認めている(asahi.com)。日曜に買った新聞が土曜のものだったとは競馬開催日は翌日までスタンドに並ぶようになった大阪(東京)スポーツでも買ったのだろうか。それにしてもヤクザ、チンピラとしか思えない行為で、開いた口がふさがらない。酩酊して早朝に酒を買いに行った状況からは、アルコール中毒の気配も感じられる。

実は安田康には前科がある。2000年秋、北海道で34キロの速度超過で捕まったところ、酒気帯び運転まで発覚したのだ。逮捕されたのは朝の9時半ということで、調教を終えて一杯ひっかけて車を運転したようだ。2005年以降、安田康は奇行が多くなり、数ヶ月間、レースに騎乗しないこともあった。2006年4月、父が引退届けを出す形で騎手を廃業し、その後は行方知れずになっていた。今回、報道された安田康の職業は”自由業”。 ”ヤのつく”とは書かれていない。もはや競馬界とは関係ない人物だが、トウカイテイオーの復活劇が田原成貴のお陰で語りづらくなっているように、メイショウドトウらの歴史に泥を塗ったことが残念でならない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.03

出遅れ藤沢三銃士 ブランド厩舎の巻き返しなるか

今週から中山、阪神に競馬が戻ってきて、秋競馬が開幕する。馬インフルエンザの影響で牧場でスタンバイしていた2歳有力馬も、移動制限が一部解除されたことでデビューをめざして少しずつ入厩してくるだろう。今夏の2歳戦を振り返ってみると、POGドラフト前に人気を集めていた藤沢和雄厩舎の出遅れが目に付く。世界的な良血が毎年のように入厩する藤沢ブランドだが、今年こそ藤沢三銃士と呼ばれた3頭の評判馬がクラシックを席巻するのではないかと期待されていた。それどころか三銃士が年内に重賞を勝って渡米するとの噂が流れ、海外重賞のポイントをどうカウントするか議論が起きたグループもあったほどだ。しかし、これまでのところ、三銃士の1頭も勝利をあげることができず、「一勝より一生」が口癖の藤沢師も「馬によく言っておきます」と頭を悩ませているかもしれない。

三銃士の総大将と目されたのがダノンマスターズ。ラインクラフトの半弟、期待のシンボリクリスエス産駒ということが話題になり、セレクトセールで2億円の高値がつけられた。だが、7月福島のデビュー戦は単勝2倍で7着。先週の2戦目も20キロ増の調整不足が祟ってか殿負け。また、キーンランドセールで150万ドル(1億8000万円)で落札されたスパークキャンドルは母が米G1で11勝という馬だが、こちらもデビュー戦は2着と惜敗。首の低い走法はタイキブリザードを連想させてファンの心をつかんだが、短期放牧から帰厩できず予定が狂ってしまった。今年、半姉が102年ぶりの牝馬によるベルモントS制覇を果たしたカジノドライヴは調教中に青木騎手を振り落とし暴走する思わぬアクシデント。外傷とフレグモーネを負い放牧に出された。

他の2歳勢では函館の未勝利でスウェプトオーヴァーボード産駒という地味めのマイネルアテッサが5番人気で勝利をあげたものの、アルスマグナ、ネオスピリッツ、エールドクラージュら人気どころは期待に応えられていない。とはいえ、良血の宝庫には二の矢、三の矢がこれでもかと控えている。サイレントハピネスの仔、サイレントフォースは大型馬ながら順調のようだし、セレクトセールで2億5000万円だったデイズオブサンダー、レディブロンドの仔のジャングルビジット、 Kingmambo×スティンガーというタイガーファングなど、目の眩む馬ばかり。近年はクラシックを意識して早めのデビューを増やしてきた藤沢厩舎。先週、関東リーディングトップに立った勢いで、後手を踏んだ2歳戦線も巻き返すことができるだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.02

札幌記念予想 もう一度サクラメガワンダー◎!

馬インフルエンザの影響で2週遅れの施行となった札幌記念。函館記念でも本命にしたサクラメガワンダーを再度、狙ってみたい。輸送がまったくダメで、滞在競馬なら実力を発揮できる極端なタイプ。前走は荒れた馬場に脚を取られたのとポジションが後ろ過ぎた。それでも3着まで押し上げてきたのは自力のある証拠。リーディングトップの岩田も今度は同じ過ちを繰り返すことはないだろう。対抗には鉄砲が得意なマツリダゴッホ。AJCCのようなマクって一気に押し切る競馬ができれば、札幌は勝ちパターンに最も嵌めやすいコースではないか。いずれにせよ、各陣営とも馬インフルエンザで調整過程に狂いが生じている可能性もあり、パドックでの気配に注意して馬券は買いたい。

◎サクラメガワンダー ○マツリダゴッホ ▲アドマイヤフジ
△サイレントプライド、ファストタテヤマ、ディアチャンス

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »