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2007.08.22

金沢でも117頭に陽性反応 開催強行の愚は避けよ

恐れていたことが現実のものになってきた。18日に3頭から馬インフルエンザの陽性反応が確認されて 19、20日の開催を見送った金沢競馬。 21日に在厩馬549頭に対して検査を行ったところ、2割強にあたる117頭から陽性反応が出たことが明らかになった。金沢競馬では22日に来週からの開催の是非について会議を開く。当初、金沢では8月以降にJRAから転入した13頭を検査し、そのうち1頭がインフルエンザであることを突き止めた。この1頭が感染源かどうかは分からないが、1頭から在厩馬全体に広がったのなら感染力の強さには驚くばかりだし、そうでないのならば先月以前の転入馬が感染していた可能性もあり、未だに解明されていない感染ルートに不気味さを覚える。

18日当日に開催中止を決定した大井競馬では、JRAが検査キットを独占しているため5セットを手に入れるのが精一杯だったことが報じられている。金沢でも10セット程度しかなかったが、発注して全頭検査に必要な数量を確保したそうだ。これまで発熱があったとしても、インフルエンザの検査を行うことはなかったということだ。金沢の例を鑑みれば、全頭検査を行わない限り、どの競馬場でも多数の保菌馬がいるのではないかという疑念が頭をもたげてくる。だが、時間差で波状的に感染が広がっているなら、大掛かりな全頭検査も一度では完全なシロ判定を下すことはできない。キットが不足しているなら、なおさら主催者は頭が痛いところだろう。

JRAでは今週末の開催に向けて、出走希望馬2000頭を月、火曜にかけて検査した。レースを成立させるだけの頭数が陰性だと確認されれば、開催を強行することも可能だと見込んでいるためだ。インフルエンザの潜伏期間は3日間。このため調教師会では開催する場合、木曜に再度、出走馬の全頭検査を行うよう求めている。そうすれば木曜の検査後に感染した馬でもレース当日は発症する可能性が低いため、競走能力に影響を及ぼすことはない。「インフルエンザに感染していた影響で負けた。不公正なレースだ!」というファンからの批判に反論できるというスタンスだ。JRAからは再検査実施には同意を得られていないものの、検査が受けられなければ調教師会は管理馬を出走させない方針を取っている。 JRAよりも調教師会のほうが再開には慎重な姿勢だ。

一方、調教師のなかでも、美浦の和田正道師は日刊スポーツの取材に対して、陽性反応があっても発症がなければ100%の力を発揮できるとした上で、保菌馬であっても健康に問題がなければ出走させることを認めて早期に競馬を再開すべきとしている。目の前で管理馬の元気な様子を見ていれば「(JRAは)きっちりファンに説明しないといけない」と苛立つのは当然だし、理論的には和田師の主張していることは間違っていないと思う。しかし、「公正競馬」はJRAの金科玉条。それを支えているのは一般大衆からの「信用」である。「陽性だが影響はない」と言っても、この疑心暗鬼の状況では聞き入れられまい。競馬はアマチュアの競技会ではなく、金の賭かるギャンブルなのだ。不信を持たれた賭場はやっていけない。

また、北海道・日高で7頭、滋賀・甲賀市の牧場で3頭の現役馬が感染していることが分かった。今後、検査キットが十分に流通するようなら、放牧中の感染馬の数も増えてくるかもしれない。現在、JRAは放牧されている馬の帰厩を認めていないが、在厩馬だけで開催をしていくことは困難で、帰厩を認めなければ程なく開催の継続は行き詰るだろう。レース再開は放牧先の馬の状況を見極めてからにすべきではないか。人の靴や車のタイヤに付いた泥などが媒介となって感染することもあるというインフルエンザ。トレセンから入れ替わりに退厩した馬が、馬産地にウィルスを撒き散らすことになれば目も当てられない。そうなれば、さらに再開は遅れるし、秋シーズンが全て台無しになることも考えられる。

先週、JRAは開催続行の方針を一夜にして覆す失態を演じてしまった。 JRAに同情しない部分がないわけではないが、同じことを繰り返せばファンの信頼をまた失うことになりかねない。今週、JRAがどのような判断を下すかは分からないが、やるかもしれないと期待させておいて結局やらない、そうした繰り返しだけは避けるべきだと思う。狼少年になるよりは、放牧先との馬の往来が可能になる目処までなど、一定期間、休止を宣言したほうが良いのではないか。例え今週の開催が強行されたにしろ、やるかどうか分からないレースに向けて調教された馬を揃えて、ファンから信頼は勝ち得るだろうか。感染ルートも解明されず、被害が全国に広がっていくなか、取るべき施策は目の前のニンジンに喰らいつくことではないはずだ。

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コメント

おっしゃる通りだと思います。

開催中止の打撃が大きい地方競馬が開催中止しているのに、中央が開催するというのも変だと。
「開催ありき」で物事を判断すると、インフルエンザの拡大に歯止めをかけれない事態に陥るかも知れない。

投稿: はやひで | 2007.08.22 19:26

>はやひでさま 開催してしまいましたね。かくなる上は、万全を期して終息させてもらうしかありません。地方のほうが切羽詰っているので心配ですが。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2007.08.23 02:55

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