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2007年8月の13件の記事

2007.08.30

シルク出資 カネヒキリの従弟にダートの夢を託す

インフルエンザ騒動の真っ最中だが、クラブ馬主は新規出資を募る季節。去年、入会したキャロットクラブはようやくパンフレットが手元に届いたばかりだが、 10年来、会員となっているシルクホースクラブでは、既に募集が始まっている。

今年、出資したのは1歳馬2頭。期待が大きいのは新種牡馬キングカメハメハ産駒の母シルバーバレーガールの牡馬(6-14)。総額2500万円、一口5万円での募集だ。セールスポイントは母が米・種牡馬シルヴァーデピュティ(ディバインシルバーやアタゴタイショウの父)、最優秀ダート馬・カネヒキリの母であるライフアウトゼアの全妹だということ。この北米の薫りが濃厚な母系に、キングマンボの直仔をかけたらどうなるか? もはやダートの鬼神とならんことを祈りたい。所属は美浦・尾形充厩舎が予定されている。この厩舎、放置プレイだけ勘弁してもらえれば。

もう1頭は渋めの仔を輩出するホワイトマズル産駒。母スニーカーの牡馬(6-14)。クラブ馬に最も求められる点は、健康で出走を重ねてくれること。ホワイトマズル産駒にはそうした期待に応えてくれるイメージがある。本馬の1歳兄のアグネスデジタル産駒、シルクパナシアにも出資をしているのだが、今月、札幌でデビューして5着と期待大の成績を残している。ソエが出たようで放牧に出されるそうだが、マイ一口ライフに6年ぶりの勝利の美酒をもたらしてくれるのではと心を躍らせている。弟は兄より300万円安い総額1500万円、一口3万円での募集だ。美浦・鈴木伸厩舎を予定している。

実は今年、私は代替出資証のみを使い現金での出資は控えることにした。出資した8頭連続して未勝利を勝てなかったこと以上に、3歳の夏前に申し訳程度に2走ほどしてタイムオーバーで引退するという、あまりに残念な使われ方が続いたことが大きい。相馬眼がなさすぎるほどない一口馬主のささやかな抵抗である。もちろん、クラブ側としては出走に漕ぎ着けるべく努力を払うのは当然のことだし、一方で出走させることで補償分を減らしたいという思惑も良く理解できる。だが、せめて馬群のなかでゴールするぐらいの仕上げでなければ、出走させてもらっても納得して引退を受け入れることは難しい。稼がせてくれとは言わない。直線半ばまで楽しませてくれまいか。

※代替出資証とは出資馬が未出走や未勝利だった場合に発行されるクーポン券のようなもの。一般的に未出走より未勝利のほうが補償額は少なくなる。

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2007.08.29

終息宣言なきレース再開 安全は確保されたのか?

馬インフルエンザ禍の収まらぬなか、一部には批判もあった中央競馬のレース再開。休止期間はわずか1週で済んだかのようにみえるが、地方競馬では感染が広がり続け、牧場などからの入厩制限も解除されないなど状況は予断を許さない。 だが、25、26日の開催は入場人員、売り上げとも前年比で減少したものの、例えば新潟の26日の総売り上げは94%程度の下落に留まり、主催者としては安堵した数字ではなかっただろうか。メインの新潟記念は後藤トップガンジョーの暴走で乱ペースになったものの、 2番人気の吉田豊ユメノシルシがきっちり人気に応えた。吉田の2年ぶりの重賞勝利をアシストしたのが後藤とは、やはり切っても切れない因縁か。全体的な傾向として特に荒れたという印象はなかったが、厩舎サイドがインフルエンザ発症の気配のある馬を出走させるわけがなく、人気通りに走る馬もいれば、凡走する馬もいるのはいつものこと。馬が走ってしまえば、公正競馬云々を議論する余地もなかった。

JRAは今週も出走予定の全馬に検査をすることで開催を行う構えで、このままレースを続けながら終息を待つようだ。先日来、メディアの議論は公正競馬を担保できるのかという点が中心だったが、レース結果で判断はつかず、現実としてJRAが開催を継続する以上、主観によるところの多い「公正」「不公正」を議論することは意味を成さない。今後、重きを置かなくてはいけない点は、開催を行うことで感染を拡大させないのか、終息を長引かせることはないのかといった防疫上の観点になる。症状が現れても陰性と診断される馬が多いことについて、新種のウィルスでワクチンが機能していないのではないかという見方も出ている(山野浩一氏)。また、競走馬と関係のない乗馬施設の馬にも感染は広がっており、人などにウィルスが付着して媒介になっているとの指摘もある。100%の安全が確保されなければ開催を行うべきではないとは思わないが、科学的な根拠に基づくデメリットが明示されなければ開催への賛否も難しい。

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2007.08.25

海外にも飛び火? 終息しない馬インフル危機

馬インフルエンザの感染は沈静化しつつあるとして、今週末の開催が決行されることになった中央競馬。 23日、JRAは出馬登録した1321頭の検査を実施したが、そのうち3%にあたる41頭が陽性反応を示したため、この41頭を除外した上で出走馬を確定させた。このなかには新潟記念で人気を集めると見られていたサンレイジャスパーや、キーンランドCに登録していたツルガオハヤテが含まれているようだ。今週の出走馬は出馬投票後の午前11時から午後8時の間に全頭検査を行い、陰性馬だけでレースを開催することになっていた。しかし、東京スポーツ(25日付け)によれば、函館から新潟に出発したラブカーナ、美浦から札幌へ向かったリキアイタイカンワイルドシャウトなどは決められた時間外に検査をパスするなど、現場まで完全にルールが行き渡っていない様子が伺える。レースには先週、出走予定だった馬が回ってきているため、多数の除外馬も出ている。それだけ質の高いメンバーが揃ったとも言え、意外と堅い馬券になるのかもしれない。

この出走予定馬に対する検査とは別に発表される「インフルエンザ発症状況」では、 22日集計分で新たに発熱馬40頭、うち陽性馬9頭が明らかになったという(スポニチ)。栗東では前日より発熱馬は増えていて、JRAの言うように目に見えて沈静化しているとは言い難いようだ。地方競馬では大井で91頭笠松で2頭園田で1頭の感染が確認された。金沢に次ぐ大量感染を出した大井は来月2日からの開催を控えており、全面的な中止か、JRAと同様の出走馬の全頭検査を行った上でレースを行うか、選択を迫られることになる。一方、オーストラリアでも感染が認められたという気になるニュースが入ってきた。世界各地からシャトル種牡馬が到着している検疫施設で、3頭に感染症状が出ている。マクゴーラン農業大臣は感染源について「日本から来た一頭が疑わしい」(北海道新聞)と述べている。同じ施設にいた79頭は隔離されているが、この中にはロックオブジブラルタルなどの一流種牡馬もおり、繁殖期の競馬産業に数百万ドルの損害が出る可能性があると言う。

日本ではJRAが開催を決行したことについて、賛否両輪が巻き起こっている。 JRAの対応に厳しいスタンスを取るスポニチは「競馬当日には陰性馬と陽性馬が入り乱れる可能性すらある」とし、どの馬が感染しているか情報も開示されなければ安心して馬券を買うができず、「とても公正競馬とはいえない」と指弾している。「『沈静するまで様子を見て、秋から再開すればいい』という厩舎関係者の声が少数意見ではない」とも付記する。一方、ホースニュース馬の辻三蔵記者は、こうした日刊紙の報道に強く反論している。「日刊紙には匿名関係者が話す無責任な記事ばかり」とし、自身が取材した「奥平、古賀慎、小島茂師は有事でも最善を尽くして、管理馬を出走させている」と主張する。水上学氏なども「都合のいい時だけファンの味方になるのは噴飯もの。普段は何の問題意識も持たないくせに」と感情を露にして日刊紙批判を繰り広げている。どちらが正しいとは私には判断しかねるが、厩舎関係者もマスコミも各々、スタンス、意見が入り乱れているのが実態ではないか。

須田鷹雄氏はnetkeibaのメルマガで「競馬は一体誰のもの? ファンを置き去りにしたJRAの対応」と題したコラムを寄稿。二重の検査を行うことで「不安に思わず馬券を買っていい競走」は実現できるとしながらも、 JRAは積極的に情報を発信してファンの理解を得ようという試みをしなかったと指摘している。だから、一部の「煽りまがい」の報道で「インフルエンザ本体とは別次元のリスク」、言い換えれば「ファンの不興」を買ったとする。この点、私も須田氏の論に賛同するが、 JRAが金科玉条にする「公正競馬」は陽性馬を除外することだけで担保されるわけではなく、ファンの信頼を得られた上で馬券を発売することが必要条件であることは銘記しておきたい。そのためには感染馬の情報開示は行うべきだ。普段の競馬でも故障や状態など正しい情報は伝えられていないから、今回も感染情報の開示は必要ないとの考え方があるとすれば、それこそ最善の状態で出走させようとしている関係者にも失礼だろう。非常事態であれば、気を遣いすぎるくらい公正性を慎重に扱ったほうが良い。

今後、開催を続けるに当たって焦点になるのは、牧場や育成施設からの帰厩をいつ、どのような事実をもって認めるかということになる。完全な隔離が不可能なトレセンに帰ってくれば少なくない馬が新たに感染するだろうし、トレセン外にいる馬にも感染が既に広がっているなら事態は長期化する。今週末の開催決行で口角泡を飛ばしているマスコミもファンも、願うところは一日も早く競馬が通常通りに開催されることだ。一部マスコミの過剰なJRA批判も、それに対する反駁も、次のステップへ移る時期だろう。中央だけでなく、地方、海外を巻き込みつつある危機をいかにソフトランディングさせるか。そのための方法論を議論しているのだという理解を忘れずにおきたい。厩舎関係者やJRA職員は奮闘をされていると思う。組織の一員として現場の人間が開催をめざす努力をするのは当然のことだ。それが故にも、監督官庁やJRAトップは大局的な見地から、感染防止の措置や開催是非の判断を行ってほしい。

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2007.08.23

馬インフルは”沈静化” 陰性馬だけで開催決行へ

22日、JRAは危ぶまれていた今週末の開催について、馬インフルエンザは沈静化しており、「公正で充実した競馬の実施が可能であると判断」したとして、札幌、新潟、小倉の3場での開催を施行すると発表した。 20、21日に出走希望馬の2000頭余を対象にして行われた検査で、馬インフルエンザの陽性反応が出たのは181頭。検査頭数の9.9%だった。この割合は16、17日の検査時の19.4%に比べて半分以下に減少しており、 JRAは感染のピークは過ぎたと捉えたようだ。出走馬は陰性馬に限られ、発症していなくともウィルスを保有している馬は登録できない。また、調教師会の要望通り、出走馬は登録後に再度、検査を行うこととなった。発表に先立って開かれた農林水産省と中央、地方の主催者による対策会議では、開催を行う場合は全頭検査を実施することが求められた。今後は陰性馬を選別してレースを行いながら、馬インフルエンザの終息を待つという方向になりそうだ。

前日のエントリーで私は個人的な見解として、JRA施設以外との馬の移動が認められず、また地方競馬や牧場などで感染が広がっている状況においては、拙速なレース再開は控えるべきだと述べた。実際、新たに水沢競馬場で3頭、滋賀県内の数箇所の牧場で15頭が感染していることが明らかになった。岩手競馬で全頭検査が実施されれば感染馬の数字は増えるだろうし、検査キットが行き渡ってみなければ育成施設や牧場で、どれだけウィルスが蔓延しているかは分からない。移動の禁止解除がなければ継続して開催を行うことは不可能だが、この先、再び中止ともなれば競馬界はさらに混乱するだろう。もちろん、一競馬ファンとしては、このままインフルエンザが終息して、何事もなかったように秋のシリーズが始まるのが最も望むところだ。今回、JRAはあらゆるデータを分析して、開催にゴーサインを出したのだろう。その決断が正しかったことを祈りたい。

今週は通常日程通り、新潟記念、キーンランドCの2重賞が行われるが、メンバーは先週の札幌記念や小倉日経オープンからスライドしてきた組もあり、本命馬不在の混戦のレースになった。さらに全馬がきっちり仕上げられたとも思えず、予想はいつも以上に頭を悩ますことになりそうだ。また、インフルエンザの感染に関して個別の馬の情報は公表されていない一方で、キーンランドCのシンボリウエストのように、陽性から陰性に転じたことが報道で明らかになっている一部の馬もいる。人気にも微妙な影響が出るのだろうか。評論家の花岡貴子氏は自サイトで「パドックではインフルエンザの見分け方が肝になる」と皮肉交じりに述べ、須田鷹雄氏は「理事長の椅子に座れるとしたら、今週の開催は止めます」と言っている。レースが成立して馬券が売られても、ファン心理はすぐに通常開催といかないことは確かなようだ。

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2007.08.22

金沢でも117頭に陽性反応 開催強行の愚は避けよ

恐れていたことが現実のものになってきた。18日に3頭から馬インフルエンザの陽性反応が確認されて 19、20日の開催を見送った金沢競馬。 21日に在厩馬549頭に対して検査を行ったところ、2割強にあたる117頭から陽性反応が出たことが明らかになった。金沢競馬では22日に来週からの開催の是非について会議を開く。当初、金沢では8月以降にJRAから転入した13頭を検査し、そのうち1頭がインフルエンザであることを突き止めた。この1頭が感染源かどうかは分からないが、1頭から在厩馬全体に広がったのなら感染力の強さには驚くばかりだし、そうでないのならば先月以前の転入馬が感染していた可能性もあり、未だに解明されていない感染ルートに不気味さを覚える。

18日当日に開催中止を決定した大井競馬では、JRAが検査キットを独占しているため5セットを手に入れるのが精一杯だったことが報じられている。金沢でも10セット程度しかなかったが、発注して全頭検査に必要な数量を確保したそうだ。これまで発熱があったとしても、インフルエンザの検査を行うことはなかったということだ。金沢の例を鑑みれば、全頭検査を行わない限り、どの競馬場でも多数の保菌馬がいるのではないかという疑念が頭をもたげてくる。だが、時間差で波状的に感染が広がっているなら、大掛かりな全頭検査も一度では完全なシロ判定を下すことはできない。キットが不足しているなら、なおさら主催者は頭が痛いところだろう。

JRAでは今週末の開催に向けて、出走希望馬2000頭を月、火曜にかけて検査した。レースを成立させるだけの頭数が陰性だと確認されれば、開催を強行することも可能だと見込んでいるためだ。インフルエンザの潜伏期間は3日間。このため調教師会では開催する場合、木曜に再度、出走馬の全頭検査を行うよう求めている。そうすれば木曜の検査後に感染した馬でもレース当日は発症する可能性が低いため、競走能力に影響を及ぼすことはない。「インフルエンザに感染していた影響で負けた。不公正なレースだ!」というファンからの批判に反論できるというスタンスだ。JRAからは再検査実施には同意を得られていないものの、検査が受けられなければ調教師会は管理馬を出走させない方針を取っている。 JRAよりも調教師会のほうが再開には慎重な姿勢だ。

一方、調教師のなかでも、美浦の和田正道師は日刊スポーツの取材に対して、陽性反応があっても発症がなければ100%の力を発揮できるとした上で、保菌馬であっても健康に問題がなければ出走させることを認めて早期に競馬を再開すべきとしている。目の前で管理馬の元気な様子を見ていれば「(JRAは)きっちりファンに説明しないといけない」と苛立つのは当然だし、理論的には和田師の主張していることは間違っていないと思う。しかし、「公正競馬」はJRAの金科玉条。それを支えているのは一般大衆からの「信用」である。「陽性だが影響はない」と言っても、この疑心暗鬼の状況では聞き入れられまい。競馬はアマチュアの競技会ではなく、金の賭かるギャンブルなのだ。不信を持たれた賭場はやっていけない。

また、北海道・日高で7頭、滋賀・甲賀市の牧場で3頭の現役馬が感染していることが分かった。今後、検査キットが十分に流通するようなら、放牧中の感染馬の数も増えてくるかもしれない。現在、JRAは放牧されている馬の帰厩を認めていないが、在厩馬だけで開催をしていくことは困難で、帰厩を認めなければ程なく開催の継続は行き詰るだろう。レース再開は放牧先の馬の状況を見極めてからにすべきではないか。人の靴や車のタイヤに付いた泥などが媒介となって感染することもあるというインフルエンザ。トレセンから入れ替わりに退厩した馬が、馬産地にウィルスを撒き散らすことになれば目も当てられない。そうなれば、さらに再開は遅れるし、秋シーズンが全て台無しになることも考えられる。

先週、JRAは開催続行の方針を一夜にして覆す失態を演じてしまった。 JRAに同情しない部分がないわけではないが、同じことを繰り返せばファンの信頼をまた失うことになりかねない。今週、JRAがどのような判断を下すかは分からないが、やるかもしれないと期待させておいて結局やらない、そうした繰り返しだけは避けるべきだと思う。狼少年になるよりは、放牧先との馬の往来が可能になる目処までなど、一定期間、休止を宣言したほうが良いのではないか。例え今週の開催が強行されたにしろ、やるかどうか分からないレースに向けて調教された馬を揃えて、ファンから信頼は勝ち得るだろうか。感染ルートも解明されず、被害が全国に広がっていくなか、取るべき施策は目の前のニンジンに喰らいつくことではないはずだ。

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2007.08.20

歯止めかからぬ感染拡大 地方競馬にも打撃

馬インフルエンザ問題は収束する気配がない。陽性反応が出た馬が発見された地方競馬では、開催休止に追い込まれるなど影響は全国的な広がりを見せている。これまで開催を取りやめたのは大井、金沢、旭川、名古屋。このうち大井では結果的に陰性と診断されている。ただでさえ売り上げ不振から瀬戸際の経営を余儀なくされている地方競馬にとって、数ヶ月単位でレースが行えないとなれば存廃問題にも発展してくるだろう。財政基盤がしっかりしている中央競馬とは比較にならないほど、地方競馬の体力はない。在厩馬全頭に馬体調査を行い、1頭の感染馬が見つかっただけで迅速に開催中止を決めた名古屋などは、対策を誤れば競馬そのものがなくなるという危機意識が強く感じられる。とにかく、感染が広がらないことを祈るのみだ。

中央競馬では今週の開催に向けて、出走する希望馬の全頭検査を行うことが明らかになった。 20、21日に検査を行い、23日に開催を再開するかどうか判断する予定だ。 20日までに馬インフルエンザの陽性が確認されたのは合計151頭。但し、全在厩馬に検査が行われたものではなく、症状の出ていない感染馬は数倍はいるとみられている。こうしたなか、陽性と診断されたメイショウサムソンを含め、発症していないウィルスの保有馬は馬場で通常通りの運動が続けられている。未発症でも保有馬から感染は起きるため、トレセン内での感染に歯止めはかかっていないと考えられる。一方、元気な馬を馬房に閉じ込めておいたり、スペースの限られたトレセン内で完全な隔離を行うことは非現実的な面もあり、抜本的な対策はないのが実状だろう。今週末の開催は厳しい。

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2007.08.18

馬インフルエンザ 一転して開催中止の大混乱

17日、JRAは馬インフルエンザ発症に伴う開催中止に関する記者会見を行った。前日の開催続行の方針が一夜にして覆った様子からは、JRAの混乱ぶりと事態の深刻さが伺われた。今週、出走が予定されていた馬のうち163頭を検査したところ、29頭に陽性反応があり、 1頭に発熱症状がみられた。この検査結果からウィルスを保有している馬がかなりの頭数にのぼると判断され、「爆発的な感染はない」とした見方を180度、転換せざるを得なくなった。 36年前の感染と違ってワクチンが義務付けられている現在、感染は比較的抑えられ、症状も軽く済むのは事実だろう。しかし、開催を行えば保有馬からウィルスが飛散するのは避けられず、 JRAの見通しの甘さを指摘する声は最もなところだ。開催中止は馬券の売り上げのみならず、厩舎関係者、馬主、メディア、周辺業者などへの莫大な経済的損失を与えることになる。JRAは混乱の中で希望的観測に基づいて拙速な判断をしてしまったように思える。

JRAは感染した馬の公表は行っていないが、凱旋門賞に向けて美浦で検疫を受けているメイショウサムソンから陽性反応が出たことは明らかになった。まだ発症したわけではないがフランス側が入国を認める可能性は高くなく、残念ながら遠征中止は避けられまい。また、道営競馬でも美浦から転厩してきた1頭が感染していることが判明した。同馬はすぐに隔離厩舎に収容された。感染は中央に留まっているのか、地方や牧場に在厩している馬はシロなのか。栗東ですら検査キットが足りずに21頭しか検査が行えなかったことを考えると、実態解明はこれからというのが本当だろう。さらに難しいのが競馬再開の時期だ。トレセン全体が感染区域になっている状況では何を持って終息とするのか、短期間で判断するのは容易ではない。移動が制限され、調教やローテーションに狂いが生じれば、再開してもすぐに元通りとはならない。今回の感染拡大の影響は長らく尾を引きそうだ。JRAは感染源、ルート、感染馬など、情報は開示していきながら事態の収拾に当たってほしい。

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2007.08.17

馬インフルエンザ 20頭感染も開催は予定通り

16日、JRAは東西のトレーニングセンターで美浦で3頭、栗東で17頭の合計20頭の競走馬が馬インフルエンザに感染していることを発表した。国内で発症が確認されたのは36年ぶりのこと。今回、感染源や感染ルートはまだ確定されていない模様だが、JRAは全馬にワクチン接種が義務付けられている現在では、前回のような爆発的な感染はないと判断。今週の開催は予定通り行うこととなった。咳による空気感染で広がる馬インフルエンザ。92年、同じようにワクチンが全馬に接種されていた香港では半数近い馬が発症した例があるだけに一抹の不安はあるが、専門家集団が開催にゴーサインを出したのであれば杞憂に過ぎないということなのだろう。

この騒動によって大きな利益を得た馬もいる。 16日に旭川で行われた交流重賞・ブリーダーズGCでは、JRA所属馬4頭がJRA施設からの移動制限を受けて競走除外の措置が取られた。そのため、レースは地方馬8頭によって施行され、道営所属のギルガメッシュが優勝して4000万円の賞金を獲得した。このレースで地方馬が優勝したのは1989年のフェートノーザン(笠松)以来、18年ぶりとなる。競馬にタラレバは無用だが、中央勢が出走していれば同じ結果になっていたとは考えられない。一方、中央では18日に札幌で予定されていた2歳500万条件戦が取りやめとなった。こちらは逆に地方馬が中央へ移動できず、2頭しか出走申し込みがなかったため。悲喜こもごもの結果になった。

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2007.08.16

東西トレセンで馬インフルエンザ? 開催にも影響か

ラジオNIKKEIが報じたところによれば、15日、美浦・栗東の両トレーニングセンターで、馬インフルエンザに罹患した疑いのある馬が確認された。現在、馬の移動は見合わされており、今週以降の競馬開催については監督官庁と協議の上、追ってJRAから発表されることになっている。1971年、日本で馬インフルエンザが大流行した際には、 2ヶ月以上に渡って関東地区で開催が中止される事態になった。それ以来、日本では発生は確認されていなかった。乗馬を含む軽種馬は年2回の予防接種が義務づけられており、 JRAでは予防接種を実施していない馬の施設内入厩は拒否し、防疫に努めている。

馬インフルエンザは発熱性を伴う呼吸器系の疾患で、人のインフルエンザと症状が良く似ていると言われる。感染も咳によって空気中に飛散したウィルスを吸い込むことで起きるため、感染力は極めて強い。1971年の流行はニュージーランドから輸入された 5頭の馬が感染源となったが、この時は瞬く間に全国で6782頭が発病。東京競馬場でもわずか11日間に在厩馬の98%以上にあたる956頭が発病した。また、1992年、香港では在厩馬すべてにワクチン接種を行っていたものの、24日間で42%が感染した事例もある。今後は流行を食い止めるため、人馬の移動制限と徹底した消毒作業が行われるものとみられる。

凱旋門賞に挑戦するメイショウサムソンは出国検疫を受けるため、15日に美浦トレセンへ入厩している。 22日には渡仏するスケジュールが組まれているが、海外遠征にも影響が出るかどうかは定かではない。

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2007.08.15

100円元返しが消滅 一部レースで控除率引き下げも

9日、JRAは来年から指定したレースで売り上げの5%を払戻金に上乗せすることと、 100円の元返し馬券に10円を上乗せして払い戻すことを明らかにした。これは競馬法改正に伴って可能になったもの。これまでJRAの控除率は25%(単複は20%)だが、世界的に見て極めて高いテラ銭を取っていると批判されることもあった。サンスポの計算によれば、今年のダービーを例に取ると、単勝は1050円から1110円へ、馬連は5万4470円から5万8160円へ、3連単は215万5760円から230万1810円へアップするという。 JRAはダービーなど大レースに限って、控除率の5%引き下げを行う予定だ。配当が上乗せされるというファンへの心理的な訴えのほか、ネットにも広がるノミ行為の対策といった効果もあるのかもしれない。他方、経営難に喘ぐ地方競馬は追随が難しく、全レースに対象が及べば売り上げを食われることもあるだろう。

ファンの馬券作戦に影響を及ぼすのは、元返しが消滅する方かもしれない。こちらは来年早々から全レースで措置が講じられる。JRAは的中支持率が90.9%を超えた場合は元返しになると例外規定を設けているが、去年の的中支持率は88%が最高だった。去年1年間、100円元返しは単複とワイドで合計243回あり、この中にはディープインパクトの2度の複勝も含まれている。ディープには1.1倍の単勝にさえ多くの投票があったことを考えると、銀行レースに大量の資金を投じる富裕層は一定程度、存在するのだろう。 3連単導入が100円馬券ばかりを増殖させて売り上げ増に結びつかなかったことを考えると、格差社会の勝ち組に金を使わせようというJRAの戦略は的を射ている感もある。的中支持率90.9%超で元返しのケースも出てこよう。一方、種銭のない私のようなファンにとっては、オッズのあがる2、3番人気馬を狙う作戦で対抗するしかない。オッズ通りに決まらないのが競馬。貧しき者はいつの時代もゲリラ戦だ。

今回の改正は売り上げ減少に歯止めをかけたいという、JRAの本気の姿勢が伝わってくる。高配当は3連単、1.0倍の大本命は単複で。すべてのファン層の射幸心を煽る改革になったやもしれない。いずれにしろファンとしては大歓迎すべき英断であるし、将来的には全レース、恒久的な控除率の引き下げへと流れは向かっていくはずだ。控除率が低ければブックメーカー参入の外圧も和らげられる、そこまで考えての一手ではないとは思うが。

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2007.08.11

ウオッカが凱旋門賞断念 目標は秋華賞に

8日、ウオッカが凱旋門賞への挑戦を断念することが発表された。ウオッカは栗東トレーニングセンターで調整が行われており、順調ならば15日に検疫のため美浦に入り、22日にはフランスへと旅立つことになっていた。管理する角居勝彦師はメイショウサムソンの高橋成忠師とともに現地を視察して、3日に帰国したばかりだった。凱旋門賞は3歳牝馬にとって負担重量が軽量であること、ディープインパクトの敗戦を踏まえてステップレースを使うことなど、ウオッカのチャレンジはディープよりアドバンテージがあると見られ、大きな期待が寄せられていた。夢はメイショウサムソンに託されることになる。

ウオッカの右後肢に異常が認められたのは2日の坂路調教後のこと。診断は蹄球炎。蹄の後ろ側にある蹄球部が何か硬いものを踏んだり、ぶつけることで腫れて血がたまるもの。馬はチクチクとして痛みを感じるが、数日で症状は治まる一過性の外傷だ。血豆のようなものだとも言われる。ウオッカの症状も4日には治癒していたが、大事をとって4日間、馬場入りを控えたこともあって、前哨戦を使えないなどスケージュールに影響が出る可能性があるため、遠征は白紙に戻されることになった。ほんの些細なアクシデントだが、最も注目を集めているサラブレッドだけに大事を取らざるを得なかったのだろう。角居師の心中、察するに余りある。

前述したように蹄球炎は外傷性のものだ。屈腱炎や骨折のように疲労などの蓄積で起こるものではない。ところが、競馬記者のなかにも宝塚記念を使ったことに遠因があるような記事を書いている人がいるのは意外だ。もちろん、宝塚記念に参戦した是非は議論があるだろうし、私個人も凱旋門賞をめざすなら出走は控えてほしいと感じていた。しかし、その後もウオッカは元気に調教を積まれていたし、少なくとも今回の蹄球炎と因果関係がないのは明らかではないか。ウオッカは7日には引き運動を再開、今後は秋華賞を目標に調整が続けられる。穿った見方で人気が落ちるなら大歓迎だ。

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2007.08.06

最多出走記録タイ ヒカルサザンクロスが250戦!

5日、高知競馬のヒカルサザンクロス(セン14)が 250戦目の出走を果たして、アラブ系のウズシオタローが1987年に達成した記録と並んだ。ヒカルサザンクロスはハルウララで知られる宗石大厩舎の所属馬で、父はミルフォード、母はヨネマンナ、母の父はミスターシービーという血統。 1993年に美浦・田子厩舎から江田照を鞍上にしてデビュー。初戦は14頭立て8着だったものの、翌年4月に新潟ダート千七の未勝利戦で2着馬に1秒8をつけて大差勝ちを収めた。1997年に上山へ移籍すると、以後は金沢、高崎、高知と渡り歩いた。同期にはフサイチコンコルドやダンスインザダークがいる14歳馬だが、今年3月には勝利もあげている。

高知には無事是名馬で有名なオースミレパードも在籍しているが、ヒカルサザンクロスは2歳年下になる。宗石師は蹄鉄を替えて蹄の傷を治したり、飼い葉を1日4回に分けて与えるなど(日刊スポーツ)、様々な工夫を凝らしながら体調管理を行っているようだ。一方、高知の在籍頭数は10年前の半分になり、賞金も削減されたために頻繁に出走せざるを得ない背景もある。同馬の今年に入ってからの出走数は21回。月に3、4走とするなら、連闘か中1週で走り続けていることになる。但し、仕上げ方、スピード、馬場も異なる中央と比べて、ローテーションを非難するのは見当外れだ。コンスタントに出走させる難しさに着目すべきだろう。

ほとんどのサラブレッドは走ることでしか輝くことができないのなら、ヒカルサザンクロスは"アイアンホース"となって記録を伸ばしていってほしい。そして、高知競馬を盛り上げた功労馬として、第二の人生の場が与えられることを望みたい。最多出走の新記録が生まれるのは、来週11日か12日と見られている。
>>★ヒカルサザンクロス応援サイト★

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2007.08.01

悲劇の先駆者・道川満彦 自由を求めた不屈の生涯

今でこそ海外に出かけ、現地の競馬に騎乗することも当たり前になったが、 18年前、マレーシア、シンガポール、ドバイなど世界を股にかけて、アジアにその名を轟かせたジョッキーがいたのをご存知だろうか。 5年前に廃止された益田競馬場出身の道川満彦。道なき道をたった一人で切り開いていった国際派騎手のパイオニアである。益田でトップジョッキーの地位を築きながら、さらに大きな舞台に立ちたいと海外へ活躍の場を求め、自ら現地へ赴いて売り込みを図った。しかし、古き地方競馬界は若手騎手の「我がまま」を認めようとはしなかった。道川に海外移籍に必要だったクリアランス(無制裁証明書)が発行されるまで、実に7年もの歳月を要すことになった。それでも、決してあきらめようとしなかった道川の精神力には驚くばかりだ。道川は今年5月31日、白血病のため53歳でひっそりと息を引き取った。地方出身の岩田が中央リーディングを走り、国際化の荒波に揺れる今の日本競馬界に道川は何を思っていたのだろうか。

道川が島根県益田市で生を受けたのは1954年。第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を浴び、洞爺丸が一千人以上の乗客とともに転覆した年である。親戚が地方競馬の関係者でありながら、少年だった道川がめざしたのは中央の騎手だった。だが、14歳で馬事公苑長期過程の受験に失敗。その後、京都・加藤清一厩舎に入門したものの、やはり騎手過程に不合格となった。この時の同期生には河内洋がいた。故郷に呼び戻された道川は、20歳で益田競馬・高橋勇厩舎よりデビューを果たす。世間はハイセイコーブームの真っ只中だった。道川が才覚を現すのに時間はかからなかった。3年目には74勝をあげてリーディング争いに加わると、以後は益田を代表するジョッキーとして知られるようになった。しかし、年収300万円ほどの生活、日本一小さな競馬場のレベルに道川は満足できなかった。かたや、京都競馬場で轡を並べた河内は、アグネスレディーやカツラノハイセコをお手馬にして新聞紙上を賑わしていた。

オールカマーさえ地方馬に門戸が開かれていない時代。中央への移籍は到底、無理だと感じていた道川が目を向けたのは海外だった。 1981年、活路を求めて香港・ハッピーバレーを訪問する。日本の調教師が発行するクリアランスがあれば受け入れると言質を得たものの、益田で道川を応援しようという調教師は現れなかった。道川の行動は自己中心的な我がままだと、閉鎖的な厩舎社会は厳しく断罪したのである。それでも道川は香港やシンガポールに出かけて騎乗への道を探った。その執念に調騎会が折れたのは7年後。「他の地方競馬に移籍しない」ことを条件にして、ようやくクリアランスが発行された。そして、何度も繰り返し手紙を送ったマレーシアのK・L・チョン師から、専属騎手として受け入れるとの返事がきたのである。思う念力、岩をも通す。1989年、34歳にして道川は海外での活躍の場を勝ちとった。

マレーシア、シンガポールの競馬は欧州式だった。前半はスローで淡々と流れ、ペースのあがる後半で勝負が決まっていた。ここに道川は益田の競馬を持ち込んだ。抜群のロケットスタートでハナを奪うと、後続を寄せ付けずにあれよ、あれよという間に逃げ切ってしまうのだ。発馬の鮮やかさは「カミカゼスタート」と評された。移籍してわずか一ヶ月でテン・ゴールドCを勝って重賞初制覇を飾ると、その勢いは衰えず、年間54勝をあげてリーディングトップの座を射止めてしまった。道川の登場はジョッキーたちの騎乗スタイルを変えるほど衝撃的なのものだった。シンガポール外遊中の竹下登首相から激励を受け、現地ではCMに出演するなど、文字通りスタージョッキーへと伸し上がった。翌年もリーディング争いを続け、何もかもが上手く運んでいるように見えた道川。だが、絶頂期は長く続かなかった。突然の災難は日本国内で起こった。

1990年9月26日付けの東京スポーツは、一面の見出しで「発覚 八百長 競馬疑惑」と大々的に報じた。八百長の三文字だけが大きなフォントで、スタンドに折りたたまれれば「八百長 日本人騎手 海外で汚点」としか読めなかった。紙面には「地元○暴と黒い噂 国外追放へ」「目立つクサいレース」「日本復帰絶望」と、道川を犯罪者扱いする文字が躍っていた。シンガポール競馬場のトップの「ミチカワの身辺に黒いシンジケートの噂がある」というコメントも引用した。しかし、これは全く根も葉もない出鱈目だった。もともとは道川と些細なことで不仲になった日本人馬主が、悪口を現地で触れて回ったことにあった。このなかに八百長を持ちかけられたというものがあり、噂を聞きつけたサム・オカヤという日本人が東スポにネタを売り込んだ。情報提供の見返りとして東スポから支払われたのは8万円だった。オカヤが指摘したのは89年5月7日の第7レース。ところが、黒い疑惑とされたレースで道川は逃げ切り勝ちを収めていた。

八百長をしたと認められることは、騎手生命を絶たれるのと同じことである。急遽、道川は日本に帰って、東スポを名誉毀損で訴えることにした。競馬場トップの発言は捏造だということが明らかにされ、公判中に東スポはシンガポールに謝罪文を送付した。当然、道川の八百長の事実は否定された。1992年9月30日、東京地裁は道川全面勝訴の判決を下し、東スポに350万円の賠償金の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。東スポは控訴せず、裁判は結審した。しかし、この事件が道川に与えたショックは計り知れないものがあった。田舎では記事の内容を否定しても誰も信じてくれず、「妻子には辛い思いをさせてしまった」と道川は嘆いた。記事が出てから年末まで4勝しかあげられず、道川はリーディング争いから大きく後退した。以後、活躍の場をマカオ、ニュージーランド、インドまで広げるが、 2度の落馬事故もあって目立った成績をあげることはなかった。血の滲む思いをしてつかんだ地位は一本の捏造記事で切り裂かれた。

1992年から3回、道川は憧れだった中央の門戸を叩く。受験は認められたものの、国語、数学、社会、競馬法規の一次試験で3度とも落とされてしまう。当時のJRAは道川の受け入れはとても容認できる体制ではなかった。安藤勝己の中央移籍はこれから9年後のことである。 1997年、ドバイで日本人初勝利をあげた道川は、アブダビでムハンマド殿下の馬にも騎乗する。この年が道川のラストライドとなった。2005年、51歳にしてフィリピンにライセンス申請したほど、現役へのこだわりは強かった。もし東スポの捏造報道がなかったら、もし道川が10年遅く生まれていたら、競馬の歴史は変わっていたかもしれない。裁判所によって濡れ衣と認められた今でも、道川は八百長の三文字がセットになって語られる。その度にマスコミやファンは、道川の身の潔白と、不撓不屈の精神で海外へと飛び出した業績を声高に伝えなければならない。自由を求め続けた悲劇のジョッキー、道川満彦。語り継ごう、あなたの偉大さを。

※このエントリーは以下の文献を参考にしました。
>>競馬裏事件史 これが真相だ!!
  『"早すぎた天才"が受けた報道被害の一部始終』(宝島社)
>>競馬最強の法則(2007.8)『カミカゼ・ジョッキー 道川満彦』(KKベストセラーズ)
>>道川満彦(Wikipedia)
>>御神本騎手&道川元騎手対談(益田競馬ファンクラブ)

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