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2007年3月の12件の記事

2007.03.31

連載開始! 「たいようのマキバオー」に名作の予感

凱旋門賞馬と桜花賞馬を父母に持ちながら、ロバと見間違わんばかりのズン胴二頭身。そのサラブレッドは生き別れになった母親を探して牧場を飛び出し、様々な困難を乗り越え、強力なライバルたちとGⅠレースで戦いを繰り広げるまでに成長する。人々はそれを「白い奇跡」と呼んだ。ご存知、不朽の名作「みどりのマキバオー」だ。 94年から98年まで週刊少年ジャンプに連載されたマキバオーはアニメ化もされ、馬が人間と言葉を交わす独特の世界観で熱狂的な支持を集めた。そして、9年の雌伏のときを経て、再び続編がつくられることになった。新たなタイトルは「たいようのマキバオー」。今週、待望の連載が週刊プレイボーイでスタートした。

第一話「たった10年前のこと」は、単勝1.1倍の人気を集める無敗馬・フィールオーライが日本ダービーで二冠を達成するところから始まる。「お前こそ、史上最強馬だ」と圧倒的強さに酔いしれるファン。「確信が持てました。オーライより強い馬はいないとね!」と宣言するジョッキー。スタンドの片隅にいた酔っ払いだけがケチをつける。「ろくに馬が競っていねえのに競馬とは言わんでしょっての」「あんなものカスケードやマキバオーに比べたら…」だが、酔っ払いは「マキバオー世代、うぜぇ~」「懐古趣味」とファンに馬鹿にされてしまう。もちろん、オーライのモデルはディープインパクト、騎手は武豊。作者からディープブームへの強烈な先制パンチに俄然、期待が高まる。

今回、主役がいるのは華やかな中央競馬ではない。後半、物語は閑散とした高知競馬場へと舞台を移す。オーライがダービーを制する2ヵ月前、黒船賞の行われる直前だ(※注)。最後のコマ、パドックでマキバオーに瓜二つの馬が周回している。手書きの出馬表には「ヒノデマキバオー」とある。これが今回の主人公のようだ。第一話の情報では、マキバオーは種牡馬になっておらず、妹のマキバコの産駒が何頭か生まれている。素直に推測すれば、中央で「デビューすらできなかった」マキバコの最後の仔だ。廃止寸前の地方競馬から中央へ殴りこみ、オーライのライバルとなるのか? 一筋縄ではいかない作品だけに、あっと驚くような展開が待っていそうだ。

それにしても、ひとつひとつのセリフが実に味わい深い。高知競馬場では「おんしゃ、スロット派か?」と控え室でジョッキーが談笑し、パドックの馬は「今日も元気にかけっこしますか」とやる気なく大あくび。パチンコに客を取られて斜陽産業になり、出走手当てを稼ぐために頻繁に出走させなければならない現在の地方競馬の本質が見事に表現されている。やはり、上辺だけをなぞる競馬漫画ではない。冒頭のディープブーム批判もそうだったが、主催者、関係者に気を遣いすぎるほど遣わねばならない競馬マスコミでは、フィクションにこそジャーナリズムは存在しえるのかもしれない。新マキバオーがどんな活躍を見せてくれるのか、今後の連載がとても楽しみだ。

※作品では「3カ月前」だが、作者のブログで「2ヵ月前」に訂正されている。 (GE-HA NEWS)

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2007.03.29

展望・ドバイWCデイ 再び起きるか日の丸旋風

世界の祭典、ドバイ・ワールドカップデイの季節がやってきた。去年はハーツクライ、ユートピアが勝利をあげて日の丸旋風を巻き起こしたが、今年も日本代表の8頭が世界の強豪と対決する。既に枠順も発表されており、 31日夜(日本時間22時40分~26時30分)に行われる6レースが非常に楽しみだ。日本馬5頭を載せた貨物機が輸送トラブルのため、7時間遅れて到着するハプニングもあったが、これは恒例行事のようなもの。 JRAのリポートによれば、最終追い切り後、どの馬も好調さを維持していると報じられており、日本馬を中心に簡単なレース展望をしながら祭りの始まりを待つとしよう。
>>「ドバイ・ワールド・カップ・デイ」~出馬表~(JRA)

メインのドバイワールドカップ(ダ2000)にはエルコンドルパサーの遺児、ヴァーミリアン(ルメール)が参戦する。前走の川崎記念では一昨年のドバイWCで6着だったアジュディミツオーに6馬身差をつける圧勝劇。エル基地ならずとも期待は高まるが、今年は怪物2頭が大きく立ちはだかる。 BCクラシックを含めGⅠ4連勝を記録した米年度代表馬インヴァソールと、同馬に去年のUAEダービーで土を付けたディスクリートキャットだ。現地ではキャットが出走回避するとの噂も流れているそうだが(東スポ)、これはゴドルフィンがブラフをかけているだけだろう。このレースが歴史に残る、世紀の一騎打ちになるのは間違いない。ヴァーミリアンは7頭立ての少頭数を活かして何処まで食い込めるか。

ハーツクライが逃げ切ったシーマクラシック(芝2400)に挑むのは、メルボルンC2着のポップロック(ペリエ)。有馬記念でディープインパクトの2着、京都記念でアドマイヤムーンの2着と好走して、メルボルンCが決してフロックでなかったことを証明した。鞍上のペリエにとっても、ポップロックは愛着のある馬に違いない。若き日、ペリエは同馬の父、エリシオの手綱を取って凱旋門賞を制しているからだ。エリシオ自身はドバイWCのために現地入りしながら、レースが延期されたため出走を取り消した因縁もある。父の雪辱を果たすことができるか。シーマクラシックには南アフリカからスシサンという日本語っぽい馬が出走しているが、実はフジキセキ産駒。この馬の健闘も祈りたい。

今年、日本勢が最も金メダルに近いと言われているレースがデューティフリー(芝1777)アドマイヤムーン(武豊)、ダイワメジャー(安藤勝)の2頭が参戦する。去年の暮れの香港C、ムーンは凱旋門賞2着だったプライドに及ばず2着に敗れたが、猛然と追い込んでの短頭差は内容的には勝ち馬を上回っていた。もし、ここにプライドの名前があれば不動の本命だろうし、距離短縮はスピード能力の長けたムーンにとって大歓迎。あとは武豊の手綱次第か。天皇賞秋、マイルCSを連覇し、距離不向きの有馬記念3着に踏ん張ったダイワメジャーが最大のライバル。だが、日本馬ワンツーを願うのは贅沢すぎるか。 BCマイル馬のミエスクズアプルーヴァル、サンタアニタHを連覇したラヴァマン、ジェニュイン産駒のポンペイルーラーとライバルたちは骨っぽい。

ゴールデンシャヒーン(ダ1200)アグネスジェダイ(武豊)、シーキングザベスト(福永)の森厩舎の2騎だが、さすがに家賃が高い。このレース、ジェダイは去年6着と好走したが、今年はどちらかの入着があれば両手をあげて喝采しよう。 UAEダービー(ダ1800)は現地の前哨戦で2着だったビクトリーテツニー(武豊)が駒を進めた。相手関係はともかく、叩いた上積みはありそう。こちらも入着すれば御の字。ユートピアがあっと言わせたゴドルフィンマイル(ダ1600)にはフサイチリシャール(スミヨン)。相手関係は他のレースと比べると格段に楽に見える。京都金杯13着からの参戦となるが、型にはまったときの強さは折り紙付きで、気分良く行ければ好勝負になろう。クロフネの仔がドバイの砂を走るというのも感慨深いではないか。

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2007.03.24

GⅠ→ JpnⅠ パートⅠ国入りの思わぬ代償

「パートⅠ国であることは、世界第一級の評価に値する競馬を行っていることを意味します」昨秋、JRAがそう高らかに歌い上げ、喜びを表現したパートⅠ国入り。だが、重賞グレードの呼称を巡って、思わぬ難題が持ち上がった。ICSC(国際セリ名簿基準委員会)から「国際的に開放されたレース以外でGを使ってはならない」と、呼称の変更を求められたのだ。 JRAでは84年のグレード制導入以後、GⅠ、GⅡ、GⅢと重賞を格付けしてきた。日本競馬に深く浸透している「G」は容易には変更できまいと感じていたが、JRAはあっさりと「G」を捨て去り、「Jpn」という新しい呼称を用いることを決めた。

何とも面倒なのは、「G」と「Jpn」が混在して使われること。外国馬が出走可能な国際レースは従来通り「G」、国内馬しか出走できないレースは「Jpn」となるのだ。JRAの重賞は121あるが、そのうち59がG、63がJpnになる。外国馬に開放されていないダービーなどのクラシックはGⅠではなく、JpnⅠへ変更される。今年、すでに行われたレースに関しても、1月1日に遡って適用されるという。国際ルールに従わねばならないとはいえ、極めて奇妙な二重構造であるし、商標の問題もあっただろうが「ジェーピーエヌ」とは発音しづらい。ファンの間ではサッカーと同じ「ジェーワン」と呼ばれるのだろうか。

春のクラシックに間に合わそうと、泥縄式に決められたJpn。あまりの違和感の大きさに、こんなことなら重賞は全て外国馬に開放して、Jpnなどという呼称は捨ててしまえという意見も出てくるかもしれない。一方、国際格付けを得ることは、GⅠに相応しいレベルを維持できなければ、「天皇賞春はGⅡへ」などICSCに降格される可能性も許容することになる。また、パートⅠ国入りはJRAだけでなく、地方競馬も対象になっている。「東京ダービー(南関東G1)」も使えなくなるのか? 一等国入りと浮かれてばかりもいられない。しばらくは混乱が続きそうだ。

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2007.03.21

御礼 イグイグJRA騎手賞受賞

時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて授与される イグ・ノーベル賞に倣い、ファンの手で競馬に関わる馬・人・モノを表彰しようというイグJRA賞2006。 このほど各部門賞と大賞の発表が行われた。 拙ブログは「最優秀必殺技・全裸ヘッドロック」をエントリーしたが、 ありがたいことに騎手賞を受賞させていただくことができた。 投票して頂いた方々に御礼を申し上げると同時に、忙しい中、こうした新しい試みにご尽力された キルトクールブログ、傍観罪で終身刑、トラセンのスタッフに感謝したい。
>>イグイグJRA賞広場

今回、何より素晴らしかったのは、記名、投票理由の付記が必須とされたこと。 これは無記名でも投票が許され、票を投じた理由も明らかにされない 本家・JRA賞を意識したもので、JRA賞へ競馬ブログ界隈からの建設的な改革案と なったのではないだろうか。投票理由を眺めていると、それぞれ投票者の思いが 伝わってきて興味深い。ただ残念だったのは、投票数が20票を超える程度に留まったこと。 普段、姦しいブロガーの方々(失礼)に、エントリーも含めて、もう少し協力していただきたかった。 さらなる来年の盛り上がりを期待したい。

>>大賞・男☆藤田!(キルトクールブログ)
>>騎手賞・最優秀必殺技 全裸ヘッドロック(馬券日記オケラセラ)
>>馬事文化賞・Pochiの-馬事文化賞(Pochiのお散歩日記)
>>迷人物賞・最優秀評論家賞 柏木集保(Enfix and xedos)
>>エトセトラ賞・もっと多くの新馬に出走して欲しかったで賞(競馬の思い出)
>>競走馬賞・坂路大賞(Ritto Underground)
>>選考委員ちょー賞・CLUBギーニョ(ミシエロの3年前は忘れた)

盾いただきました。ありがとうございました。

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2007.03.20

高知・黒船賞 名より実を取るリミットレスピッド◎!

ファンから寄付金を募り、賞金の一部にしようという前代未聞の手段で開催される今年の高知競馬・黒船賞。主催者は目標額を1000万円に定めていたが、レース前日(20日)、15時現在で 719万3502円(2098件)が寄せられている。私も雀の涙ほど振り込みをしたが、先日の記事にも書いたように、本来、主催者がファンにお願いすべきことは馬券を購入してもらうこと。今後、繰り返し同じ手を使えば、ファンから愛想を尽かされる危険性もある。ファンは地方競馬へのエールを贈る意味で善意を寄せたのだから、根こそぎ中央のエリートに賞金をさらわれないよう頑張ってほしい。

だが、第1回黒船賞をリバーセキトバが制して以来、地方馬は2着が1度だけあるだけで中央勢が8連勝中。 今年も中央勢の壁は厚い。とりわけ、高松宮記念を振って、黒船賞を選んだリミットレスピッドの勝負気配は充分だ。ダート1400メートルは去年の根岸Sを快勝し、暮れの兵庫GTでは後続を3馬身差で切って捨てた最も得意とする距離。岩田康誠との息も合うようで、58キロも全く心配がない。中心視せざるを得ない馬だ。他では6年連続出走となる11歳ノボトゥルー、女傑メイショウバトラーの走りも楽しみにしたい。地方勢では岩手の雄、メイセイオペラを父に持つジョイーレ、浦和記念2着があるキングスゾーンの食い込みに期待したい。

◎リミットレスピッド ○メイショウバトラー ▲ニホンピロサート
△ノボトゥルー、ジョイーレ、キングスゾーン

>>特集・黒船賞(netkeiba)
>>黒船賞に初代王者リバーセキトバ来場!(keiba.go.jp)
>>高知競馬ライブ中継(公式)

※発走は21日16時10分

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2007.03.19

速報:岩手競馬は存続 修正融資案を1票差で可決

 今夜(19日)23時頃、岩手県議会臨時議会に提出された新たな融資の修正案は1票差で可決された。これにより、廃止瀬戸際まで追い込まれていた岩手競馬は、一転して来年度の存続が決まった。この修正案は廃止を表明した知事の補正予算案に対抗して、競馬存続をめざす社民党系の議員らによって提出されたもの。15日に否決された融資案より、県の負担額は20億円減額されている。修正案には監査機関を設ける付帯決議もなされた模様だ。しかし、来月の知事選には廃止を掲げる有力候補も出馬するなど、先行きは不透明だ。存続が決まったとは言え、来年度も岩手競馬にとって茨の道には変わりなく、今後、どれだけ抜本的な改革を行って収支を改善できるかが、生き残りの鍵となる。

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2007.03.18

岩手存廃は再び議会へ 身の丈にあった経営を

17日、岩手県競馬組合は組合議会を開き、岩手競馬廃止について協議を行った。その結果、廃止に反対する盛岡、奥州市長から、負債整理のために両市が10億円ずつ新たに負担する案が増田知事に提案された。知事は「両市の負担分が増えれば、県の財政調整基金の取り崩しも少なくなり、災害対応もできる」と述べ、岩手競馬は存続の可能性が出てきた。しかし、知事は15日の融資案否決を受けて、 19日の県議会に岩手競馬廃止の議案を提出する予定。県議会に本気で廃止するつもりかボールを投げる格好になるが、ここで廃止案が認められれば、その後の新融資案は討議にも行き着かないことになる。

15日に可否同数の上、否決された300億円の融資案は、反対した議員からも、存続そのものを否定しているわけではない、との戸惑いの声もあがっており、新たな融資案は可決される可能性が高い。議会には先の融資案が否決されても、これまで積極的に存続、再建を訴えてきた知事が、廃止へと舵を切るはずもないとの甘い認識あったのではないか。一方、知事にしてみれば、「融資案が可決されなければ廃止しかない」と訴え続けてきたわけで、おいそれと新たな修正案を出すわけにはいかない。少なくとも、頑ななポーズを取る必要はある。そして、 19日に県議会に廃止案を否決させれば、紛糾した存廃問題は政治的には知事の勝利にもなる。

政治の駆け引きには関心は低いが、結果的に新融資案で存続となれば、知事サイドの巧妙な政治手法が岩手競馬を救ったということになるのだろう。こうした楽観論は尚早だとしても、存続条件にはドラスティックな改革を伴わなければならないことを付帯すべきだと考える。年間300億円もの売り上げに恵まれながら、赤字を垂れ流し続けた高コスト体質は最大のガンだ。関連会社、指定業者へ市価を大幅に上回る額で発注を行う不透明な管理体制。無謀とも言える場外施設などへの過剰投資。OROパークが当初予算の倍の建設費に膨らんだのは何故か、官民もたれ合いの構図で利益を得ていたのは誰か、経営責任を再検証すべきだ。

私は市井のファンとして全国の地方競馬場の存続を強く望んでいるが、馬券を原資とする利益が、一部の人間の食い物にされている現状に強い憤りを覚える。かつて、宇都宮競馬の幕を引いたのは、有りもしない新競馬場の用地取得に100億円をつぎ込んだ癒着構造だった。高崎や中津を廃止に追い込んだのは行政と現場の危機感の薄弱さだった。もし、存続が許されるなら、岩手は二の轍を踏む愚は避けてほしい。委託業務や開催関係費の大幅な見直しから進めなければ、いずれ廃止は避けられない。今後、地方競馬が生き残る道は、身の丈にあった経営を行うことであり、ミニJRAを目指すことではない。主催者も現場も馬産地も、いつまでもお人好しのファンが馬券を買い続けてくれるとはゆめゆめ思わない方がいい。

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2007.03.16

融資案が1票差で否決 岩手競馬は今月で廃止へ

15日、岩手県議会は県競馬組合などへの297億円の融資案を1票差で否決、これを受けて増田寛也知事は盛岡市、奥州市と共同運営している岩手競馬今年度限りで廃止すると明言した。地方競馬の廃止は一昨年の宇都宮(栃木)以来で、最も大きな売り上げ規模を誇る競馬場の倒産となる。負債額の大きさからは、ばんえい競馬のような民間参入も難しく、今後、岩手競馬は盛岡、奥州両市による単独開催などに一縷の望みを託すが、起死回生策がなければ今月27日が岩手競馬最後の日になる。

かつて、岩手は競馬ブームに乗って売り上げを伸ばし、地方競馬の優等生と呼ばれていた。 91年度には売り上げは689億円に達し、民間的手法を取り入れた積極経営は高い評価を受けた。こうしたなか96年には盛岡競馬場を移転し、地方競馬としては初めて芝コースを持つOROパークを新設した。しかし、400億円を超えるOROパークの巨額な建設費が致命傷となった。この時、金融機関から借り入れた額は250億円。売り上げがピーク時の半分まで落ち込むなか、毎年6億円以上の利息に苦しめられ、経営改善の大きな足枷となってしまった。今となっては、なぜ身の丈にあった施設に留めなかったのか、悔やまれるばかりだ。

今回の融資案は、300億円まで膨らんだ負債を一括償還させることで、高額な利息の支払いから競馬組合を解放しようというものだった。今でも一日2億円を売り上げていること考えれば、リストラを進めて再建する道も決して非現実的なことではなかった。何より、廃止すれば400億円とも言われる処理費用が一気に発生することになる。だが、競馬廃止には同意しない議員も、統一地方選挙を目前に「赤字のギャンブルに金を貸すのか」といった有権者の反発を恐れて、融資案には反対票を投じざるを得なかった。賛否は22票ずつの同数、議長裁決は反対で議案は否決されることになったのだ。

交流のない時代に他地区へ殴り込みをかけたスイフトセイダイ、脚元に爆弾を抱えながらも41連対の日本記録を刻んだトウケイニセイ、地方馬として初めて中央GⅠを制したメイセイオペラ、 2年連続してNAR年度代表馬に選ばれたトーホウエンペラー…。中央ファンにも名前を轟かせる数々の名馬を生んできた地方競馬の巨人、岩手。今回の統一地方選では競馬存廃も大きな争点になるとされていたが、直接的な民意が問われる前に事実上の廃止が決まってしまうことは残念でならない。小さな競馬場で良いから、再出発の道が開かれることを祈りたい。

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2007.03.11

早くてうまい! ディープインパクトのプレイボーイぶり

3月、馬産地は忙しい種付けシーズンを迎えている。今年の新種牡馬で話題をさらっているのは、やはりディープインパクト。 51億円(8500万円×60株)という巨額のシンジケートが組まれたディープだが、すでに60頭以上に種付けを済ませており、順風満帆に第二の馬生をスタートさせたようだ。ディープは元日に中間種の乳母と試験交配なる筆下ろしをして、ファーストシーズンに備えてきた。ディープの所作は「早くてうまい」と、絶賛されているらしい。まるで往年の牛丼屋のキャッチコピーだが、一発1200万円では「はやいの、うまいの、たかいの~♪」と歌詞も変えざるを得まい。

天下の社台グループが全力でバックアップしているだけあって、繁殖牝馬も錚々たる顔ぶれが揃った。2月、初めてサラブレッドとしてお相手を務めたのはステイゴールドの母、ゴールデンサッシュ。19歳ということで、まずは手慣れたベテランからということだろうか。ディープも優しく手ほどきを受けたに違いない。 11日付け東京スポーツでは、ポトリザリス(ディアデラノビアの母)、ロッタレース(フサイチパンドラの母)、フェアリードール(トゥザヴィクトリーの母)、レディオブチャド(アフリカンビートの母)、スターバレリーナ(グランパドドゥの母)らと交配が終わったと報じられている。

また、社台グループ以外からも、メジロドーベル、レディパステル、スマイルトゥモロー、ヤマニンシュクル、ロンドンブリッジらが種付けに訪れたという。この他、過去の報道ではエアグルーヴ、ブルーアヴェニュー(クロフネの母)、マンファス(キングカメハメハの母)、スカーレットブーケ(ダイワスカーレットの母)、カーリング(ローエングリンの母)、ホワイトウォーターアフェア(アサクサデンエンの母)といった名前も交配相手としてあがっているが、8月の産駒連名簿に正式な結果は掲載されるようだ。ちなみに武豊が「いっしょに引退なんて、ディープと種付けするんですか?」と発言した「ワカツキチナツ」の名前があるかは定かではない。

ディープは6月のシーズン終了までに、150頭に種付けする予定。日本の名牝を独占してしまうのではないかと、他の種牡馬が心配にすらなってしまう。果たしてセレクトセールでディープ産駒に幾らの値がつくのか、恐ろしい限りだ。とんでもない競馬界のプレイボーイは、「午前9時、午後1時、5時、9時と最大4回まで」(東スポ)一日の種付け作業に勤しむのだという。もし、人間だったらと想像してしまいがちだが、どんな美女揃いのハーレムでも、毎日4度は身体が持つまい。英雄色を好むと言うが、サラブレッドの世界でも間違いではなかったということか。

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2007.03.06

前哨戦で”凄み” ヒシアマゾンを彷彿とさせるウオッカ

先週、牡馬、牝馬とも今年のクラシックを占う上で最も重要な一戦となったであろうトライアルが行われた。土曜は下馬評から一騎打ちと目されていたチューリップ賞。 2歳女王ウオッカと有力牡馬を降してきたダイワスカーレットという、許されるなら桜花賞まで取っておきたかった直接対決だ。期待に違わず、直線はひさしぶりに凄いものを見せられた気分になった。 3着馬を6馬身も置き去りにして繰り広げられた2頭の叩き合いは、スローモーションを見ているかのような世界だったが、ウオッカに軍配が上がった。

ダイワスカーレットはマイペースの逃げ。直線、鞍上の安藤勝はライバルが来るのを待っていた。絶好の手応えでウオッカが並びかけると、安藤勝はムチを入れて追い出す。しかし、ウォッカの四位は慌てる素振りはなかった。必死に前へ出ようとするダイワスカーレットとは対照的に、ウオッカはムチも使うことなくクビだけ交わすと余裕を持ってゴールした。両馬は同じ馬体重だったが、筋骨隆々としたウォッカは一回り以上大きく見えた。男勝りという言葉が相応しい。ヒシアマゾンを彷彿とさせるレースぶりで、本当の楽しみは桜の後という気がしてならない。

弥生賞はインパーフェクト、サムライタイガースらが引っ張り、厳しいハイペースになった。道中も淀みがなく、底力が問われる展開になったのではないだろうか。そうしたなか、アドマイヤオーラは好位で折り合うと、早めに進出する正攻法の競馬。直線では外へよれる場面もあったものの、ココナッツパンチに抜かせない勝負根性で快勝した。これまでアドマイヤオーラはスローペースしか経験してこなかったが、厳しい流れを体験して勝利できたことは大きな収穫だ。皐月賞はフサイチホウオーと人気を分け合うことになろうが、中山二千ならアドマイヤオーラが先着する可能性も充分にある。

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2007.03.04

華麗なジャンプを再び 石山繁の快復を祈る

クラシックへ向けて、若駒たちが熱い闘いを見せる春。ホースマンたちは期待に胸を膨らませて、トライアルレースをみつめている。もちろん、真剣勝負であるが故、希望を打ち砕かれる敗者もいる。昨日、ウォッカが素晴らしいレースを披露したチューリップ賞で、 8年前、深い挫折を味わったジョッキーがいた。ファレノプシスに騎乗していた石山繁だ。デビューから3連勝で臨んだ同馬は1番人気。だが、出遅れ、直線で包まれるという失態を犯して4着に敗れた。石山は責任を取らされ降板。次走、ファレノプシスは武豊の手綱で桜花賞を快勝した。

辛い体験だっただろうが、デビュー4年目の若さを考えれば、将来の糧になると前向きに捉えることもできた。アローエクスプレスと柴田政人のように、乗り替わりの悔しさが騎手を成長させることもある。実際、チャンスはすぐに巡ってきた。翌年の暮れ、石山は素晴らしいスピードを持った牝馬と出会った。サイコーキララである。石山とサイコーキララは4歳牝馬特別まで無敗の4連勝を飾り、堂々の本命馬として桜花賞に出走した。ファレノプシスの雪辱を果たす絶好の舞台だったが、石山は消極的なレースをして4着という中途半端な結果に導いてしまった。

ファレノプシスもサイコーキララも、所属する浜田光正厩舎の管理馬だった。浜田師はビワハヤヒデに辛抱強く岸滋彦を乗せ続けたように、若いジョッキーを育てることに重きを置く、古き良きタイプの調教師だ。当たり前にように浜田師は石山にも有力馬を任した。しかし、そうした優しさは一度、歯車が狂うと悪い方へ悪い方へと回ってしまう。GⅠを席巻した浜田厩舎の勢いは影をひそめ、 2004年にはとうとう0勝にまで落ち込んでしまったのだ。翌年、浜田は主戦を上村洋行へと変え、皮肉にも厩舎の成績はV字回復していった。

一方、石山自身も年間1勝に陥るなど不振に喘いでいた。そうした中、石山は障害レースに活路を見出すことを決意する。コツコツと未勝利勝ちを積み重ねながら、 2005年、小倉サマージャンプではフミノトキメキとのコンビで、サイコーキララ以来の重賞勝ちも収めた。そんな時こそ気をつけなければならないのかもしれない。次走の阪神ジャンプSでは落馬。石山は骨折、フミノトキメキも一年間の休養を余儀なくされる。だが、挫折を乗り越えた男は負けなかった。今年1月、フミノトキメキとともに牛若丸ジャンプSで復活の勝利をあげたのだ。

障害レースで存在感を示しつつあった石山を、再び落馬事故が襲ったのは先月24日。着地の際に馬が躓き転倒。投げ出された石山は地面に頭を叩きつけられた。先週末、石山は尼崎市内の病院のベッドで、意識が戻らないまま30回目の誕生日を迎えた。病状は安定しているものの、今も昏睡状態が続く。厳しいプレッシャーに押しつぶされ、チャンスをものにできなかった若き日。しかし、どん底から這い上がった経験は、石山を強い人間へと変えたはずだ。必ず意識を取り戻し、ターフで華麗なジャンプを見せてくれると信じている。

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2007.03.02

ファンの寄付を重賞賞金に 高知競馬が禁断の一手

今月21日、高知競馬場で施行される交流重賞「黒船賞(G3)」。その賞金の一部をファンから募るという、前代未聞の呼びかけを高知競馬が行っている。黒船賞の優勝賞金は3000万円、総賞金は6000 万円にのぼる。このうち高知は3500万円を負担しなければならないが、ここ3年は赤字が続いており、今年も1000万円の不足が見込まれている。この不足分を全国のファンからの寄付金で穴埋めしようというのだ。去年ほど企業の協賛金も集まらなかったための苦渋の策だというが、レース賞金は競馬経営の本質に関わるものだけに今後への影響も少なくなかろう。

過去3年、黒船賞の赤字は1300万円、1800万円、2500万円。もともと高知は最下級の1着賞金が9万円と、全国でも最低レベルに設定されている。それだけ売り上げ規模が小さな競馬場ということだ。黒船賞当日は普段の倍以上のファンが押し寄せるものの、交流重賞のあまりの経費の高さに売り上げが追いついていない。ご存じのように、高知は新たな負債が発生した時点で即廃止という厳しい環境に置かれている。ハルウララ預金が底を突いた今年は、黒船賞で大幅な赤字が出れば致命傷になりかねない。

年末年始、やはり高知は「正月開催で750万円の利益が出なければ廃止になる」とアピールしたが、この時は南関東で売り上げを伸ばし、危機を脱することができた。私も場外やネットで高知の馬券を買わせてもらった。今回は馬券とは関係なく、寄付金を集めるというのだから、余程せっぱ詰まった状況とみるべきなのか。だが、こうしたことを繰り返せば、高知の訴えは狼少年の言葉に聞こえるようになってしまう。それに寄付金は廃止瀬戸際の禁断の一手。企業体として存続にも不可の烙印が押されてしまうことになりかねない。

本来なら、ファンには馬券を買ってもらうことで支援を請うべきだ。賞金が高すぎるのなら削減すべきだろうし、レースによって廃止に追い込まれる可能性があるのなら、笠松のように交流重賞を返上したらどうか。今回、存続を願う一ファンとして、私も志ばかり寄付をさせてもらおうと思う。しかし、心配なのは、こうした手段を用いることで、逆にファンや一般社会から信頼を失なってしまうことだ。最低限、高知競馬には寄付してくれたファンに向けて、収支改善の計画案と、来年度の黒船賞の取り扱いについて、改めて説明する責任が発生するのではないか。

>>高知けいば「黒船賞」へ緊急支援を!! ”かいばおけ支援金”

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