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2007.02.23

本田優ラストライド 空気を読まない騎手の潔さ

今年も競馬界を引退する調教師、騎手たちのラストウィークがやってきた。 48歳の最高齢ジョッキー(平地)、本田優も今週で鞭を置く。カワカミプリンセスというお手馬がいるにも関わらず、本人はなんら未練ない引き際だと語っているから、素直におめでとうと申し上げたい。本田がデビューしたのは1980年。最多勝利新人騎手を受賞している。6年後、全国区に名前を轟かせたのがゴールドシチーとの活躍だった。尾花栗毛のグッドルッキングホースとのコンビで、阪神3歳Sで初めてのGⅠ勝ち。皐月賞2着、ダービー4着と健闘するも、ここで本田は敗戦の責任を取って降ろされた。コンビ復活は翌秋まで待たねばならなかった。サクラスターオー、マティリアルら「悲劇の世代」の1頭とあってか、どことなく陰を感じさせる人馬だった。

雌伏の時を経て、再び本田がGⅠの表舞台で輝きを見せるのは90年代に入ってから。私自身、初めて本田という騎手を意識したのは、ミスターアダムスの嵐山Sだった。この時、2着に降したのが次走で菊花賞を圧勝するメジロマックイーン。レースではマックに不利があったとはいえ、最強レベルのステイヤーを三千メートルで完封したのだから大したものだった。翌春の天皇賞、マック、ライアン、ホワイトストーンの単枠指定馬の三強対決で盛り上がった中、本田は7番人気だったミスターアダムスを2着に導く。本田は良くも悪くも「空気が読めない」ジョッキーと言われることがあるが、その原点はこの天皇賞にあるのかもしれない。

その後、チアズアトム(フェブラリーS '94)、レインボークイーン(クイーンS '96)で重賞勝利をあげ、 2000年に女傑、テイエムオーシャンと出会うことになる。堂々の本命馬として、阪神3歳牝馬S、桜花賞、秋華賞とGⅠ3勝。 02年の天皇賞秋では1番人気に支持されたが、シンボリクリスエスの前に13着に敗れている。本田は札幌のデビュー戦以来、全18戦に騎乗している。札幌3歳Sやオークス、エリザベス女王杯など節目のレースで負けたことは幾度もあり、通常ならリーディング上位騎手へ乗り替わりを命ぜられてもおかしくなかった。だが、本田にとって幸運だったのは、同じく苦労人だった西浦勝一がトレーナーだったことだろう。西浦は惜しみなく騎乗機会をベテラン本田に与え続けた。

西浦は看板馬、マイソールサウンドも本田に任せ、本田も期待に応えて重賞5勝を収めた。去年、そうして誕生したのが本田&カワカミプリンセスのタッグだった。データを嘲笑うスイートピーSからのオークス優勝、ぶっつけでの秋華賞制覇。さらには無敗の三冠達成から一転して降着となったエ女王杯。抗弁も異議申し立てもなく、「全部おれの責任」という潔い弁が話題になった。とにかく本田はこの年の牝馬戦線を掻き回してくれた。彼の前には社台や武豊など存在しないかのように…。ちなみにGⅠ1位入線馬の降着はマック以来だが、その時の被害馬は本田プレジデントシチーだった。以前も書いたが因果は巡るのか。

今週、本田は9鞍に騎乗する。メインレースでもアーリントンC(土)のローレルゲレイロ、阪急杯(日)のニシノデューが用意された。松永幹のようなラストライド祭りは本田には不要だろう。予定調和は本田の騎手人生とは相容れないものだからだ。私たちが想像もつかない驚きのラストライドで、「本田は最後の最後まで空気の読めない奴だった」と言わせてくれることを期待したい。なお、同じく騎手を勇退する鹿戸雄一、常石勝義は残念ながら騎乗なし。調教師では瀬戸口勉の16頭を筆頭に、伊藤雄二、湯浅三郎、山本正司、奥平真治といった名伯楽が管理馬を出走させる。

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