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2007年2月の11件の記事

2007.02.28

過熱する馬券コレクター 代行業者が初の摘発

ハズレ馬券は破り捨てられ、的中馬券は換金されるのが当たり前。いずれにしても手元には残らない。だが、世の中には馬券コレクターなる人々が大勢いるらしい。彼らにとっては、馬券は金に換えるものではなく、ファイルに保存して眺めるものなのだ。今月23日、コレクター相手に販売するため、京都競馬場で1000枚の単勝馬券を買っていた男が摘発された容疑は競馬法違反(勝馬投票券代行購入業)。男は数時間に渡って券売機を占拠していたため、JRAが府警に相談して摘発に至ったようだ。どちらかといえば業務妨害に近い気もするが、こちらのほうが立件もしやすいのだろう。

この男は数十人のコレクターから依頼を受けており、 1枚につき25円から50円の手数料を上乗せして販売していた。稼いだ利益は2年半で150万円。濡れ手に粟と言えるのかどうかは微妙な額だ。少し驚かされたのは、購入した馬券の多くが新馬戦のものだったということ。つまり、依頼したコレクター側も、純粋に好きな馬の馬券が欲しかったわけではなく、将来、GⅠを勝って高値で取り引きされる可能性のある馬を選んでいたことになる。これはある種、ギャンブルであり、投資である。趣味の領域から踏み出してしまっていると言えるのではないか。

かつて、ディープインパクトの新馬戦には10万円の値がついていたという。 150円で代行業者から買った人は大儲けできたわけだ。先ほど(28日)、ヤフオクを覗いてみると、最も高値で出品されていたのは 「ディープインパクト全14戦セット」。希望落札価格は9万8千円。実際に入札されていた最高価格は「01天皇賞秋の全13頭」の馬券で5500円だった。 専門の販売サイトもあるようで、シンボリルドルフのJCが9万8千円、ナリタブライアンの菊花賞が1万5800円、フサイチリシャールの萩Sが1万2800円など細かな価格設定がされている。

そうした中、ディープ二世と煽られていたオーシャンエイプスを巡って、ちょっとしたトラブルも起きていた(こちらでも紹介されていた)。きさらぎ賞の直前、デビュー戦の馬券が急騰していたのだ。しかし、4着に敗れ、その熱も一気に冷めることに。ヤフオクでは4000円で入札したファンがいたが、高値づかみだと感じたのか取り消しを申し出た。ところが、出品者は頑なに拒否。一方、入札者は「海外に行くから支払いは一ヶ月後」、「下の組員にでも対応させる」とヒートアップ。遂に出品者が謝罪して、自らのIDまで削除してしまった。ちなみに現在、同馬の新馬戦は2500円で出品されているが、入札者はいない状態だ。

実は私の手元にも、92年から98年の馬券が収められた名刺用ファイルがある。収集用の馬券は額面100円で、現地の競馬場で購入されたものしか価値はない。翻って私のものはホントのハズレ馬券ばかりだ。例えば93年の天皇賞春、メジロマックイーンの単勝は額面は4500円、しかもウインズ後楽園と刻印されている。おもいっきり勝負馬券である。「95日本ダービー ナリタキングオー2000円」は複勝だし、「エヌティウイナー」「ドイスボランチ」とかは、何故、保存してあるのか分からない。「95安田記念 エンペラージョーン」は名前が切れているところが味わいがあるが…。

しかし、馬券を眺めていると、当時の記憶が甦ってくるから不思議だ。プレストサンデーとかランニングヒロインとか、いけてなかったペーパー馬を応援しに行ったなぁかとか。ダイゴウソウルって、大崎の乗ってたステイヤー、大好きだったっけ。大学三年のクリスマスイヴはウインズ渋谷でアイリッシュダンスの単勝を買ってたなんて、ホントにモテないキャンパスライフだったなとか…。投資目的でなくとも、多少の思い入れのある馬券は取っておいたほうが良いのかもしれない。喜びも悲しみも、時間が経てば思い出に変わるのだから。

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2007.02.27

波乱のラストウィーク 誰か空気を読むものか

騎手、調教師が一斉に勇退する競馬のラストウィーク。ともすれば、不思議な力が働いて予定調和が演出されるケースも少なくない。しかし、今年のラストウィークはガチだった。それは主賓格としてスポットライトを浴びたのが本田優であったことと無関係ではない。空気を読まない騎手のラストライドに、周りが空気を読むなんてクソ食らえだ。ドキドキ、ハラハラ、唖然、騒然。隣で馬券を買ってる奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない。刺すか刺されるか。そんな殺伐としたラストウィークこそ、本田には相応しい。それは歴戦の調教師たちも同じだった。

土曜のアーリントンC、ファンが1番人気に支持したのは、本田騎乗のローレルゲレイロ。カワカミプリンセスと同じキングヘイロー産駒で、重賞勝利なら文句なしに盛り上がる最高の場面だ。直線で抜群の手応えで先頭をうかがうローレルゲレイロ。ところがだ。トーセンキャプテンの四位は譲らねえ。3着馬を4馬身後方に置き去りにして、ガチの叩き合い。しかも、差しかえして本田を負かしちまった。「おい、四位。これが河内祭りだったら殺されてるぞ!」ってなもんだ。日曜5レース、本田は4番人気の馬を大逃げさせて初勝利。マジにならなきゃ勝たせてくれない。

調教師だって、ご祝儀相場で1着が転がってくるほど甘くはない。土曜阪神、涙の中山大障害で有名になった瀬戸口-西谷の師弟コンビは、 1番人気に推されたものの、しっかり2着に降された。御大、伊藤雄にも容赦はない。名牝エアグルーヴの仔、イントゥザグルーヴ武豊を配した千里山特別。そんな洒落た演出は許さねぇと、絶妙のスパートでデムーロが叩きつぶす。毛唐はガチだって。もちろん、引退する調教師連中も引き下がれない。阪急杯は湯浅厩舎のエイシンドーバーが踏ん張りまくって1着同着! 阪神最終も瀬戸口&鹿戸幸のランデブーだ。

瀬戸口厩舎は競馬場の外でも大暴れ。障害に出走させたノボリハウツーだったが、レース中に騎手が落馬。空馬でゴールしたかと思えば、救急車を通すために開けていたゲートを潜り抜けて厩舎地区へ。さらに門を飛び出して、自動車が行き交う県道を疾走。ドライバーを唖然とさせた。そこへ立ちはだかったのが松元省師。偶然、同馬を見つけて、助手とともに取り押さえた。それにしても良く事故が起きなかったもの。何か起これば、引退式どころではなかった。オグリキャップに二冠馬2頭を手に入れた強運は健在だった。

引退する騎手、調教師たちが熱いバトルを繰り広げた、そんなガチンコ・ラストウィーク。だが、1人のジョッキーが虎視眈々と主役の座を奪い取ろうと爪を研いでいた。東のメイン、中山記念。いつにないロケットダッシュを決めたのは後藤と老雄ローエングリン。軽快に飛ばしまくると、直線半ばではセーフティーリード。そして、勝利ジョッキーインタビュー。「この馬のこと、僕は本当に大好きでした…。辛かったことも経験もしたけど、先生に恩返しができますっ…」涙を流す後藤ジョッキー。えー、そこでお前が持ってくのかよ。ホント、今年のラストウィークは下克上だったな。

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2007.02.25

いざ投票してみよう! イグJRA賞

笑いと賞賛、時には皮肉を込めて授与されるイグ・ノーベル賞に倣い、競馬に関する出来事を対象にして新設された「イグJRA賞2006!」。各方面の競馬ブログから多彩な27エントリーが寄せられた。今度はこの参加エントリーの中から、ファンによる投票が行われ、部門ごとの優秀賞、そして全エントリーの頂点に立つイグイグJRA大賞が選出されることになる。投票〆切は3月5日となっている。
>>イグイグJRA賞広場(投票会場)

ファンの手でつくるJRA賞という意味合いから、従来のJRA賞へのアンチテーゼとして、「投票理由」も書くことになっている。投票者がどのような思いで一票を投じたのか、非常に味わい深い発表になることは間違いない。イグJRA賞を成功させて、モノホンJRA賞も動かしてみたいものだ。あなたの心に残ったイグイグは笑いか、涙か、感動か。ぜひ渾身のエントリーの数々に目を通して一票を投じて頂きたい。

※ちなみに拙ブログは「最優秀必殺技・全裸ヘッドロック」のタイトルで騎手賞に参加させていただいている。お目通しいただきたい。

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2007.02.23

本田優ラストライド 空気を読まない騎手の潔さ

今年も競馬界を引退する調教師、騎手たちのラストウィークがやってきた。 48歳の最高齢ジョッキー(平地)、本田優も今週で鞭を置く。カワカミプリンセスというお手馬がいるにも関わらず、本人はなんら未練ない引き際だと語っているから、素直におめでとうと申し上げたい。本田がデビューしたのは1980年。最多勝利新人騎手を受賞している。6年後、全国区に名前を轟かせたのがゴールドシチーとの活躍だった。尾花栗毛のグッドルッキングホースとのコンビで、阪神3歳Sで初めてのGⅠ勝ち。皐月賞2着、ダービー4着と健闘するも、ここで本田は敗戦の責任を取って降ろされた。コンビ復活は翌秋まで待たねばならなかった。サクラスターオー、マティリアルら「悲劇の世代」の1頭とあってか、どことなく陰を感じさせる人馬だった。

雌伏の時を経て、再び本田がGⅠの表舞台で輝きを見せるのは90年代に入ってから。私自身、初めて本田という騎手を意識したのは、ミスターアダムスの嵐山Sだった。この時、2着に降したのが次走で菊花賞を圧勝するメジロマックイーン。レースではマックに不利があったとはいえ、最強レベルのステイヤーを三千メートルで完封したのだから大したものだった。翌春の天皇賞、マック、ライアン、ホワイトストーンの単枠指定馬の三強対決で盛り上がった中、本田は7番人気だったミスターアダムスを2着に導く。本田は良くも悪くも「空気が読めない」ジョッキーと言われることがあるが、その原点はこの天皇賞にあるのかもしれない。

その後、チアズアトム(フェブラリーS '94)、レインボークイーン(クイーンS '96)で重賞勝利をあげ、 2000年に女傑、テイエムオーシャンと出会うことになる。堂々の本命馬として、阪神3歳牝馬S、桜花賞、秋華賞とGⅠ3勝。 02年の天皇賞秋では1番人気に支持されたが、シンボリクリスエスの前に13着に敗れている。本田は札幌のデビュー戦以来、全18戦に騎乗している。札幌3歳Sやオークス、エリザベス女王杯など節目のレースで負けたことは幾度もあり、通常ならリーディング上位騎手へ乗り替わりを命ぜられてもおかしくなかった。だが、本田にとって幸運だったのは、同じく苦労人だった西浦勝一がトレーナーだったことだろう。西浦は惜しみなく騎乗機会をベテラン本田に与え続けた。

西浦は看板馬、マイソールサウンドも本田に任せ、本田も期待に応えて重賞5勝を収めた。去年、そうして誕生したのが本田&カワカミプリンセスのタッグだった。データを嘲笑うスイートピーSからのオークス優勝、ぶっつけでの秋華賞制覇。さらには無敗の三冠達成から一転して降着となったエ女王杯。抗弁も異議申し立てもなく、「全部おれの責任」という潔い弁が話題になった。とにかく本田はこの年の牝馬戦線を掻き回してくれた。彼の前には社台や武豊など存在しないかのように…。ちなみにGⅠ1位入線馬の降着はマック以来だが、その時の被害馬は本田プレジデントシチーだった。以前も書いたが因果は巡るのか。

今週、本田は9鞍に騎乗する。メインレースでもアーリントンC(土)のローレルゲレイロ、阪急杯(日)のニシノデューが用意された。松永幹のようなラストライド祭りは本田には不要だろう。予定調和は本田の騎手人生とは相容れないものだからだ。私たちが想像もつかない驚きのラストライドで、「本田は最後の最後まで空気の読めない奴だった」と言わせてくれることを期待したい。なお、同じく騎手を勇退する鹿戸雄一、常石勝義は残念ながら騎乗なし。調教師では瀬戸口勉の16頭を筆頭に、伊藤雄二、湯浅三郎、山本正司、奥平真治といった名伯楽が管理馬を出走させる。

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2007.02.15

ホウオーを脅かす 2頭のジャングルポケット産駒

意外にというと失礼かもしれないが、 2歳や3歳の早い時期からジャングルポケット産駒の活躍が目立っている。今年のクラシック世代がファーストクロップのジャングルポケットは、これまで32頭が出走して勝利を挙げたのが6頭。決して勝ち上がり率は高いわけではないが、父が早熟タイプではないことを考えると悪い数字ではない。むしろ、ダービー候補のフサイチホウオーを筆頭にして、 2勝をあげてオープン入りしている馬が4頭いることは特筆すべきだ。

このうちトーセンキャプテン(2戦2勝)とタスカータソルテ(3戦2勝)は底を見せておらず、ホウオーを脅かす存在は同じジャングルポケット産駒になる可能性も低くない。トーセンキャプテンは新馬、こぶし賞を連勝中。母はフランスで重賞を勝ったサンデーピクニック。その後、日本に帰って2勝をあげている。トーセンキャプテンは母父サンデー、祖母の父はノーザンダンサー系(カーリアン)。これはホウオーと同じ血統構成で、相性の良い配合なのかもしれない。正統派的な組み合わせで、奇をてらったものではないが。

タスカータソルテは初戦は大敗したものの、2000メートルの未勝利、福寿草特別を楽勝。クラシック級の大物感を漂わせている。母はスプリントで活躍したノーザンテースト産駒のブリリアントカット。タスカータソルテの姉にはトニービン産駒のジェミードレス(秋華賞6着)がいるが、本馬もマイルから2000メートルが適距離になるのだろうか。両頭は弥生賞で激突する予定で、勝ち名乗りをあげれば、皐月賞はジャングルポケット産駒が1、2番人気に推されるシーンも見られるかもしれない。

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2007.02.13

ディープロス症候群? エイプスが背負った異常人気

「ディープ継ぐスターだ。エイプス飛ぶ」 きさらぎ賞当日のサンケイスポーツ一面トップの見出しだ。「ディープインパクトが去った競馬界にニュースターが出現した」から始まる記事でも、「ユタカの手を経てディープから受け継がれる最強馬の勲章」「ディープインパクトの時代が終わり、オーシャンエイプスの時代が始まる」など、これでもかというぐらいにディープ二世とばかりの賞賛が続く。しかし、これは決してサンスポだけが特別だったわけではない。他の競馬メディアもディープと比較して、エイプスの能力の高さを喧伝していた。その余波か、ヤフオクでは単勝馬券が数千円で取引されている。

結果的にエイプスは4着に敗れたわけだが、わずか1戦というキャリアの浅さを考えれば、GⅠ級の素質を感じさせる立派なものだった。現に同じキャリア1戦できさらぎ賞で3着だったハーツクライは海外GⅠまで制している。私自身、エイプスの新馬戦での勝ち方にワクワクさせられ、フサイチホウオーの好敵手出現かと「天馬再来?」なるエントリーをあげた。「今週のデータ解析」でもデータを無視して◎。だが、単勝1.3倍は尋常でないオッズだった。それこそディープを持ち出せば、ジャパンカップと同じ支持率だったことになる。申し訳ないが、私は単穴にしたアサクサキングスの単勝を買わせてもらった。

私が「天馬再来?」としたのは、同じ年明けデビューで春のクラシックを席巻したトウショウボーイの敬称を拝借してのものだった。ディープとエイプスの共通点は少ない。鞍上ぐらいではないか。とにかくディープと結びつければ売り上げがあがるという商業主義的な報道にはうんざりだし、もし世論がディープに代わる英雄を欲しているのなら目を覚ますべきだろう。 10年、20年に一度の逸材を求めて、デビューで大差勝ちする馬が出る度にディープ、ディープと一喜一憂しては身が持つまい。その反動か、たかだか2戦目で4着に敗れたぐらいで、「飛ばなかった」「敗因が分からない」など過度な落胆をしているのも合点がいかない。 まるでペットロスならぬディープロス症候群だ。

エイプスが無敗で三冠を制するチャンスはなくなった。しかし、だからどうしたというのだろう。新馬戦の内容が秀逸だったことは間違いないし、次走で権利を取れば有力な皐月賞馬候補の一角を占めるだろう。ふらふらとディープ二世の幻影を追い求めてばかりでは、過去の競馬に縛られ、奥深いはずの競馬の幅を狭めることになる。ディープは素晴らしい馬だった、凱旋門賞優勝の夢も見させてくれた。だが、ディープ二世が生まれることだけが競馬の面白さではない。ディープがいない時代にも、ファンは競馬に胸を躍らせ、感動し、涙していたではないか。祭はとうに終わっている。そろそろ日常に戻って、競馬を楽しんだらどうか。

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2007.02.12

佐賀記念 ”がばい馬”サイレントディールに期待

交流重賞、佐賀記念(ダ二千)。1着賞金3000万円は地元では破格、今年で34回目を迎える由緒あるレースだ。日程的には川崎記念とフェブラリーSの狭間にあるため超一流馬の参戦はないが、毎年、九州のお祭りレースとして大いに盛り上がる。今年、中央勢の実力は地方勢を上回っているとは言え、確たる軸として信頼できる馬には悩む。そうした中、ひさびさの重賞勝利を期待したいのがサイレントディール。ダートではフェブラリーSで2着、帝王賞で3着したほどの馬だが、芝も長距離もこなしてしまう器用貧乏さで損をしてきたように思える。もともとはクラシックで好走していた”がばい”(すごい)馬。ダート二千はベストのはずで、武豊の手綱なら頭から勝負したい。

◎サイレントディール ○クーリンガー ▲バンブーエール
△マイネルボウノット、ナムラハンニバル

発走・12日15時55分。

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2007.02.09

6億円馬の姉・アゲヒバリ 船橋でデビュー快勝

去年のセレクトセールで6億円の史上最高価格がついたトゥザヴィクトリー産駒(父キングカメハメハ)。 8日、その半姉が船橋の未出走戦(ダ千五)で初戦を快勝した。この馬はクロフネを父に持つ3歳馬、アゲヒバリ。トップトレーナー、川島正行師の管理馬だ。石崎駿を鞍上に単勝1.1倍に支持されたアゲヒバリは、内ラチ沿い4番手を進むと、直線で前が壁になる不利がありながらも、先に抜け出したダーレーの所有馬、ソレルをあっさり捕まえてゴールした。馬主はノーザンファーム空港の吉田俊介場長(父は勝己氏)。
>>レース映像(8日船橋6R・6番の芦毛がアゲヒバリ)

頭の高い走法で、道中は口を割る幼さも見せていたが、さすがにノーザンファーム産の超良血馬は南関東では素質が何枚も上だった。「直線は一つもハミをとってない」(石崎駿)という。サンデー産駒の母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯を勝ち、ドバイワールドカップでも2着した女傑。血統的な背景からも、その仔たちには大きな期待がかけられていたが、初仔(父クロフネ)の牡馬は競走馬になれず、アゲヒバリも育成中の事故から中央デビューを諦めていた。一部のブログでは顎を骨折するアクシデントがあったと記述しているところもある。 苦難を乗り越えての初戦だった。

馬名はイギリスを代表する19世紀の作曲家、ヴォーン・ウィリアムズの協奏曲「揚げひばり(The Lark Ascending) 」に由来している。他の鳥と違って、ヒバリは大空に舞いながら大きな声で鳴きつづけるのが特徴で、なかでも地上から空に向かって昇る時のさえずりを「揚げ」と言うのだそうだ。川島師は「中央交流を使って権利を取ったら中央へ挑戦する」(サンスポ)と語っており、無事に行けば春には中央ファンでお披露目レースを迎えることになる。公営デビューのアゲヒバリ、GⅠという大空で高らかに啼くことができるだろうか。

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2007.02.07

天馬再来? 試される1戦1勝オーシャンエイプス

先週の共同通信杯で無敗の4連勝を飾ったフサイチホウオー。ディープインパクトの弟、ニュービギニングも相手にせず、今年のクラシックはこの馬で決まりとの雰囲気に包まれる強い勝ち方だった。だが、今週のきさらぎ賞で、現時点で唯一、ホウオーを実力で上回る可能性が残されている馬が出走する。先月20日、芝千八の新馬戦で8馬身差をつける圧勝劇を演じたオーシャンエイプスだ。父はマヤノトップガン、母父はノーザンテーストで叔父にゴールデンキャストがいる血統。派手さはないが、この世代では最も強烈な新馬戦だったのではないだろうか。

過去10年、きさらぎ賞にキャリア1戦で参戦して連対した馬は皆無だが、そもそも皐月賞前に1戦1勝で3歳重賞を制した牡馬自体が少ない。最近ではシクレノンシェリフ(毎日杯)、ビッグプラネット(アーリントンC)がいる程度か。2戦目で重賞を勝つというのは甘いものではないようだ。一方、年明けデビューの皐月賞馬はセイウンスカイ、ノーリーズン、古くはミホシンザン、トウショウボーイらがいるが、2戦目で重賞を使った馬はいない。ダービー馬も同様でフサイチコンコルド、アグネスフライトはオープン特別へ向かっている。オーシャンエイプスが、きさらぎ賞からクラシックを制すれば快挙。試される一戦となる。

今回、陣営が中2週で駒を進めてきたのは、重賞と言えどクラシック級のライバルがいない手薄なメンバーで、ここを勝って皐月賞の出走権を確保しておきたいと考えたからだろう。相手はラジオNIKKEI杯3着のナムラマース、同5着のアサクサキングス。ホウオーの軍門に降った両馬の後塵を拝するようなことになれば、夢は雲散霧消する。同じ年明けデビューで天馬と呼ばれたトウショウボーイのように、スターホースへの階段を駆け上がってほしい。ジャンポケ産駒のホウオー、タキオン産駒のアドマイヤオーラと、父内国産の三強で盛り上がれば、最高のクラシックになる。

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2007.02.04

現役外国馬導入の波紋 見え隠れするダーレーの影

大井競馬が海外の現役競走馬の移籍、出走を認可することを決めたことが波紋を広げている。これまで海外でデビューした馬の出走は地方競馬では認められていなかったが、大井はレベルアップと魅力あるレースを提供することができると内規を改める方針を打ち出した。但し、外国馬への門戸開放については、毎年の移入頭数を20頭としたり、馬主当たりの所有頭数の上限を3頭にするなど、一定の歯止めをかける予定だ。内規は4月には改定されることになっており、他の南関東3場もこれに追随するのか注目される。

一方、こうした動きに国内生産者らは強く反発している。 1日、生産者7団体は羽田空港内のホールで抗議集会を行い、現役外国馬導入反対をアピール。その後、大井競馬場へ移動して撤回を求める要望書を提出した(馬市ドットコム)。日本軽種馬協会の今原照之副会長は「あまり好ましくないが、全面戦争になる」(サンスポ)と述べており、生産者団体が主導するJBCクラシック、スプリントの大井開催の取りやめもちらつかせて徹底抗戦の構えを見せている。両者の意見は大きく隔たっているが、開放は既定路線になりつつある。

生産者サイドは、内国産主体で運営されてきた日本競馬の根幹を揺るがすものになりかねないと危惧している。日本は外国産馬の輸入は認められているものの、香港などと異なり、生産と開催は一体不可分のものだとされてきた。そのため、わずかな頭数とはいえ、現役外国馬の輸入が認められれば、いずれ在籍枠が広げられて基本原則がなし崩しになり、生産者に打撃を与えると不安を持っているようだ。 JBCを人質に取るかのようなアピールが戦略的に正しいとは思えないが、なりふり構っていられない心情は推察できる。

去年、JRAはダーレーの馬主申請を却下したが、これには生産者団体の強い圧力があったと言われている。かたや、大井ではダーレーの良血馬が大活躍しており、今回の規制緩和も著名馬をダーレーが引っ張ってきてくれるのではないかとの期待が透けて見える。実際、外国資本が馬主登録を行うのに様々な障害がある状況では、高い輸送費を払って、わざわざ賞金の安い地方競馬に馬を入厩させる可能性があるのはダーレーぐらいしか思い浮かばない。大井は日本への本格進出を狙うダーレーをくすぐりつつ、売り上げ回復策に利用するつもりだろうか。

だが、マクトゥーム一族はずっとしたたかだ。大井が来年の売り上げ増を目論んでいるのなら、ダーレーは十年後に日本競馬を同社の世界戦略にどう組み込むか見越している。日高に生産拠点を築き、アルカセット、ファンタスティックライトら大物種牡馬も繋養するなど、巨額の投資は進行中だ。 JRAはパートⅠ国入りで外国馬主の認可を求められており、今年はダーレーの中央進出に抗しきれないかもしれない。生産者団体は一律の禁止を求めるだけではなく、譲歩できるラインを値踏みした上で、将来のヴィジョン、枠付けを提示したらどうか。内国産競馬を支持している大勢のファンを味方につける戦術も意識してほしい。

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2007.02.02

ドバイへの扉開く 亡き父の思い継ぐヴァーミリアン

31日に行われた川崎記念(ダ2100)はルメール騎乗のヴァーミリアンが逃げたアジュディミツオーに6馬身差をつける圧勝でGⅠ初制覇を飾った。ヴァーミリアンはスタートで大きく出遅れたものの、すぐさま行き脚をつけて2番手のポジションへ。 4角で先頭に立つと、直線では後続を突き放す一方で力の違いを見せつけた。同馬はこれで交流重賞4勝目。この他に芝のラジオたんぱ杯2歳Sを制している。 3歳時の不振から完全に立ち直り、この2走は本格化という表現が相応しい内容だ。次走は招待されれば、3月31日のドバイワールドカップ(ダ2000)へ挑戦する。

ヴァーミリアンはエルコンドルパサー産駒。父はわずか3世代のクロップしか残せなかったものの、アロンダイト(JCダート)、ソングオブウインド(菊花賞)の中央GⅠホースを輩出している。この他にもステイヤーのトウカイトリック、ダートの短距離馬ビッググラス、芝のスプリントを得意とするアイルラヴァゲインなど、幅広いタイプの仔が重賞レベルで活躍しているのも特徴だ。ヴァーミリアンもそうだが、エルコンドルパサーはレベルの高いサンデー肌馬との相性が抜群。返す返すも早世が惜しまれる。

今年のドバイWCは名実ともダートの世界最強馬を決めるレースになると言われている。去年の米年度代表馬でBCクラシックを含めGⅠ4連勝を記録したインヴァソールと、そのインヴァソールにUAEダービーで土を付けたディスクリートキャットが対決するからだ。アロンダイトが回避を宣言したことで、ヴァーミリアンは日本のエースとして両巨頭に挑むことになった。凱旋門賞2着と世界最高峰に手が届かなかった父の思いを息子が遂げることはできるのか。川崎記念の成長ぶりを観ると、ひょっとするとという期待もある。

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