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2007年1月の12件の記事

2007.01.31

[イグJRA賞] 最優秀必殺技 全裸ヘッドロック

笑いと賞賛、時には皮肉を込めて授与されるイグ・ノーベル賞に倣い、競馬に関する出来事を対象にして授与される「イグJRA賞2006!」。すでにトレセンには多数のエントリーが寄せられているが、主催者のキルトクールの中の人を含めて、藤田伸二を推薦する声も強い。確かに自らを「男」と称して「特別模範男」なる自伝を出した直後、スナックの兄ちゃんを平手打ちして警察沙汰とは神認定されてもおかしくない。危うく「特別模範囚」になるところだったのだから。去年、男に関するエントリーを何度かした拙ブログとしても、藤田を推すべきだろうか。

だっけんども、と言おう。酔っぱらって店員を殴るなんて、チンピラ風情もいいところ。そんな三流の行為をした藤田に、栄誉ある賞を進呈するわけにはいかないのである。男が鉄拳を振るう時、それは男たる美学が傷つけられ、もう我慢ならんと命を賭して行動を起こした時なのである。去年、バイオレンスな競馬サークルにあって、処分を受けながら男をあげたジョッキーがいた。ベテランの田中剛(当時44)である。覚えておいでだろうか、調整ルームで江田照にヘッドロックをかけた正月早々の事件を。

新聞報道では、「田中剛は入浴マナーについて口論となり、ヘッドロックのような形をするなど暴力的な行為があった」とされる。報告を受けた裁決委員は田中剛を2日間の騎乗停止とした。ちょっと想像してほしい。現場は調整ルーム、しかも風呂場。いい年こいた小柄なオッサンふたりが、ヘッドロックしながら全裸で揉み合っている姿。興奮して肌はピンクに染まっている。熱い湯気が立ちこめる中、密着する状況で、それぞれの男と男がぶつかり合う場面もあったはずだ。これぞ、まさしく ハッテ

「ガチンコバトル」

では、なぜ田中剛は自ら手拭いをはぎ取り、全裸ヘッドロックに及んだのだろうか。ケツを洗わずに入ったというのか。否、そんな些細なことではチンコ、否、ガチンコバトルは起きるはずもない。この点、謎を解く鍵が匿名掲示板に書き込まれていたことが、当時、「今週の気になる馬」さんら、複数のブログで取り上げられていた。当該のレスを引用させてもらおう。

438 :名無しさん@ 実況で競馬板アウト:2006/01/09(月) 23:16:46 田中剛騎手(44)=美浦・フリー=が9日、他騎手に対する粗暴な行為で同日から14日までの騎乗停止処分を受けた。 同騎手は9日午前8時ごろ、中山競馬場調整ルームの風呂場で他騎手と入浴マナーについて 口論になり、粗暴な行為に及んだもの。江田照騎手が「今踏み切って~ジャーンプ!」と叫びながら湯船に飛び込んだところ、湯船内にいた田中剛騎手が激怒、「お前障害ナメてんのか」と掴み合いになり、暴力をふるった。

なるほど、私は膝を打った。男というものは、仕事に対する矜持を持たねばならない。田中剛と言えば、障害のトップジョッキーである。最年少天皇賞ジョッキーとはいえ、後輩に目の前で「踏み切って~ジャーンプ!」などとふざけたことをされては激怒されずにはおれない。世が世なら切り捨て御免である。しかも、想像するに江田照のジャンプは低かったのではないだろうか。湯船だから、せいぜい50センチ程度か。「お前、全裸で大竹柵も飛んでみろや」と首を絞めるのも自然な流れだ。

この件は裁決委員に付託され、処分を巡って激しい議論が闘わされた。「委員長、全裸でヘッドロックは前代未聞のチン事件。厳正な処罰が求められます」「いえ、その意見には反対です。これは騎手としてのプロ意識が強かったが故のガチンコバトルです。無罪に!」「まあまあ、チミたち。このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いてほしい。殺伐とした世の中で、みんな言葉には表せないトキメキみたいなものを感じてくれたと思う。その気持ちを忘れないでほしい」「…」「…」 こうして事件は一件落着した…、かに思えた。

しかし、田中剛が江田照に注入した「男エナジー」が暴れ回るのは時間の問題だった。 7月、エナジーを持てあました江田照は後輩の大野のケツを蹴り上げて、騎乗停止となってしまったのだ。レース中に不利を受けたことで、キレてしまったという。重要なのは、ここで男エナジーは江田照から大野に移動してしまったということ。その後、大野は一昨年の倍以上の31勝をあげる大活躍。男エナジー、恐るべし。男を下げた藤田も、大野にケツを蹴り上げてもらいたいと望んでいるだろう。 2006年、イグJRA賞には、田中剛が編み出した男エナジーを発する必殺技、全裸ヘッドロックを推薦したい。

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2007.01.27

夢の競演なる 引退版でダービージョッキーSが復活!

かつてのダービージョッキーたちがターフで相見える、夢のようなレースが実現しようとしている。各種報道によれば、JRAは 4月の東京競馬場の新スタンド完成記念として、引退したダービー優勝騎手によるエキシビジョンレースを企画しているという。現在、引退して調教師になっているダービージョッキーは22人いるが、まだ調教で馬に跨っている元騎手もいる。彼らに岡部、大西らを加えれば、 8頭立て以上のレースが可能になる。馬券は発売されず、馬は競馬学校の練習馬になる予定だが、往年の名騎手がどんな手綱さばきを見せてくれるのか興味は尽きない。

今のところ、参加は可能だと見られているのは、岩元市三(バンブーアトラス)、岡部幸雄(シンボリルドルフ)、加藤和宏(シリウスシンボリ)、根本康弘(メリーナイス)、安田隆行(トウカイテイオー)、南井克己(ナリタブライアン)、大西直宏(サニーブライアン)、河内洋(アグネスフライト)ら。名前を眺めているだけでワクワクしてくる。柴田政人(ウイニングチケット)、伊藤正徳(ラッキールーラ) が参加すれば、岡部との花の15期生対決が実現するのだが…。あるいは「フトシーッ!」とか、「ゴウワンッ!」とか、競馬場で叫べたら最高だろうが、少し無理か。

以前、日本ダービー当日にはダービージョッキーSという現役のダービー優勝騎手だけが参加できる名物レースが組まれていた。残念ながら騎手が揃わなくなり廃止されたが、こうした形で復活されるのは大歓迎だ。また、過去にはダービースタリオンSというダービー出走馬や海外のダービー馬の仔が出走できるレースもあったように記憶している。正確な出走条件は忘れたが、ミスターシービーやカブラヤオーの仔が鎬を削っていた。キングカメハメハ、ネオユニヴァース、ディープインパクトらは多くの産駒に恵まれそうだから、そのうちダービー馬産駒限定戦も組めるかもしれない。こうした企画はダービーの価値を高めてくれるはずだ。

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2007.01.24

馬事文化賞『馬産地80話』 日本競馬を炙り出す

昨年度、JRA賞馬事文化賞を受賞した 「馬産地80話―日高から見た日本競馬」 。札幌大学経済学部の岩崎徹教授が記した異色の競馬書籍だ。学術書でもなければ、ノンフィクションでもない。その中間のスタンスに立ち、平易な文章で一章ずつ競馬を紐解いていく。著者は農業経済の視点から四半世紀に渡って、馬産地・日高を見つめてきた。この本が高い評価を受けた理由は、数々の統計資料とフィールドワークから馬産地の遍歴を振り返ることで、日本競馬の置かれている状況を炙り出すことに成功したからではないだろうか。

内容はテーマごとに80話に分かれ、どこからでも読み始められるようになっているが、競馬ファンが面白く感じるのは序盤の話が終わった19話以降だろう。競走馬経営、繁殖、育成、取り引きと、足を運んで得た日高の実態を客観的な事実を積み重ねて提示していく。例えば繁殖馬については、自己馬、仔分け馬、預託馬の3つの所有形態を図表つきで解説した上、その比率の経年変化から背景を的確に分析する。

二〇〇三年には自己馬七五%、仔分け馬九%、預託馬一六%となっています。 …自己馬の割合が増加したということは、生産者の「自立化」にもみえますが、仔分けや預託契約の解約により、結果的に自己馬比率が増えたという消極的要因のほうが強いとみてよいでしょう。…馬主経済の悪化により所有馬を手放すことが多くなったこと、外国を含めた市場で馬が簡単に手に入るようになったこと、厩舎側が「持込馬」(馬主主導で厩舎に持ち込まれる馬)を敬遠する傾向にあること、などの要因によります。

ファンからは良く分からない取り引きについても、なぜ日本は市場ではなく庭先が中心になったのか、それぞれの問題点は何か、家畜商とはどのような人たちなのか丁寧に言及している。庭先の不透明さは良く指摘されることだが、市場についても特典義務を獲得するための不正や禁止されている直後の取り引き、家畜商の談合があり、セリ本来の姿になっていないと踏み込んでいる。セリ制度自体が先進国と比べ「未熟である」とは、関係者にとって耳の痛い台詞だ。

著者は市場取引の活性化が庭先取引を含めた全体の改善になると主張している。欧米のデータとの比較が興味深い。フランスでは生産頭数に対するマーケットへの上場率は50%を超える。そのうち7割は落札されている。翻って、日本は上場率は16%、実際に落札されるのはその3割に過ぎないというのだ。売却率が低ければ、市場は形成されるはずもない。そのため市場改革が必須となるが「生産者の経営基盤の弱さや厩舎制度の問題等とかかわっている」が故に、「日本全体の構造改革」が求められると言う。

この本を読み終えて感じたことは、日本社会と同様、馬産地でも格差が広がり続けているということだ。勝ち組の最たる存在は社台グループであり、レース賞金、競走馬取引、預託料、種付け料などで、総売り上げは200億円を上回っている。かたや、売れ残りが恒常化している状況下、負債を抱えながら高額な種付け料も支払わねばならない中小牧場は、リスキーな経営を強いられている。ついに4年前から1歳の平均市場価格は費用を割り込むようになってしまった。二極化の陰で、家族経営の「自己完結的生産」時代は終わりを告げようとしている。

馬産地は今、不況にあえぎ「馬が売れない」状態が続いています。より正確に表現するなら「既存馬主に馬が売れない」といった方がいいかもしれません。 …やみくもに牧場に行っても、どの馬が売りもの(第三者販売対象馬)なのかは分かりません。新規馬主は、つてがない場合が多く、「エージェント・家畜商・調教師」に頼むのが一般的です。この時の問題は53話でみた取引の不透明さです(とくに仲介手数料)。同時にこの不透明さは、馬主からみれば業界自体への不信感につながる恐れがあるだけでなく、牧場サイドからみても本当にお金を出しているのが誰なのかをわかりにくくしており、新規顧客の獲得の障害となる可能性も否定できません。

最終章で提言されているのは、馬産地からの新規馬主の掘り起こし。そのために、馬探しから資格申請まで一括して代行するエージェント制度を創設して解決すべきだと示している。「透明性と客観性を最大の課題にする必要」があるというのは、競馬サークルのあらゆる事柄に共通するものと言えそうだ。競馬を深く知りたいと願うファンにとって、本書は読めば読むほど味が染み出てくる一冊のように思える。

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2007.01.21

教えてGoogle先生! うちの上位表示ワードは?

ウェブ社会の最高権力者となりつつある知の権威、Google先生。彼らの検索システムで、いかに上位表示されるかがビジネスの命運を握ると言われています。 エライ人の話では15位以内に表示されないサイトはネット上に存在しないのも同じだそうですYO。拙サイトも、かつてはYahoo!社長から飛んでくる方が多かったものの、最近ではGoogle先生が圧倒的な割合を占めるようになりました。というわけで、拙サイトがどんな検索ワードで先生の上位ランクに入っているのか、ちょっとググってみました。

  • 1位 馬耳東風 小原靖博 浜木俊介 ドバイエクセレンス チベット競馬 
  • 2位 ミスターセキグチ ストームキャット ワカシラユキ 西田式スピード指数  
  • 3位 大塚栄三郎 野元賢一 安西美穂子 オリオンオンサイト 赤本まつり
  • 4位 田原成貴 フラムドパシオン バーバロ スピードマンテン モンタヴァル
  • 5位 吉沢宗一 ヘヴンリーロマンス エスケープハッチ ミスターピンク    
  • 6位 ハルウララ 競馬ブック 高崎武大 キャプテンベガ
  • 7位 谷川直子 アンテヴォルテ
  • 8位 吉永正人 岡潤一郎 高田潤
  • 9位 横山典弘 ミスティックベル 新高崎競馬応援団
  • 10位 藤田伸二 ファインモーション 内田博幸 岡部幸雄 ハリケーンラン

以下、12位JRA賞、14位グレインアート、15位オグリキャップetc…。まあ、「馬耳東風」は10年もやってますんでいただくとして、他のワードで1位になるのは難しい。有名な固有名詞はウィキペディアが真っ先に来ますからねぇ。現に1位の3単語はマイナー路線まっしぐら。ミスターセキグチ、ストームキャットの親子で2ゲット。フサローさん、申し訳ない! 騎手では3位大塚、4位田原、9位ヨコテン。藤田、内田博、岡部で10位は上出来かな。文筆業の方もチラホラと。高崎さん、メールの返事ください!

ざっと眺めてみると、善し悪しは別にして、自分のブログの傾向が見えてきますね。個人ブログで上位に来ているワードは、他人の書いてないニッチなネタか、あるいはしつこく書き連ねているネタだとも言えるわけですな。そう考えると、反省したり、しなかったり。一般的に検索エンジンでランクアップするには、更新回数、被リンク数、トラックバック数なんかが重要だと聞きます。でも、そんなものに縛られるのは先生の思う壺にもなりかねないわけで、淡々と心のままに書いていくのが良いかと。

※過去4ヶ月間のリンク元検索サイトはGoogle先生が1万、Yahoo!社長が1500程度。

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2007.01.20

準オープンが大混乱 ”勝てば昇級”で除外ラッシュ

去年の夏競馬から変更された中央競馬のクラス分けルール。以前のような「勝って同条件」ということはなくなり、「勝てば昇級する」のが基本原則になった。例えば、500万クラスでは『3歳500万円・4歳以上1000万円以下』という条件だったのが、『3歳以上500万円以下』だけになった。ルール変更の背景には、下級条件の除外ラッシュと準オープン馬の不足というアンバランスを是正したいとのJRAの狙いがあった。
>>"勝って同条件" なし クラス分けルール変更(2006.06)

ところが、今度は準オープン馬が増えすぎて、大変な除外ラッシュが起きている。 20日(土)、中山のサンライズSは18頭、京都の石清水Sでは13頭の除外馬が出た。特にダートの短距離戦は傾向が顕著で、年明けの門松S、ジャニュアリーSでは30頭が除外されたため、 JRAはダート1400メートルの羅生門Sを来月4日に急遽、行うことを決めた。しかし、こうした場当たり的な対応では問題が解決しないのは明らか。いつ使えるか分からない状態では、調教にも支障が出よう。何らかの見直し策が必要だ。

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2007.01.16

京成杯回顧 松岡正海が亡き師匠に捧げた好騎乗

松岡正海サンツェッペリンの鮮やかな逃走劇だった。ニュービギニングの2着だったホープフルSは後方からマクり気味に息の長い脚を使って好走していた。今回「他に行く馬がいなければ行く」つもりだった松岡は、切れはしないがジリジリと伸びる同馬の持ち味をハナに立つことで引き出そうと考えたのだろう。1000メートル通過は62秒3のスロー。 4角では後続とのリードがなくなりながら、直線坂下から二の脚を繰り出してメイショウレガーロに2馬身差をつけてゴールした。冬の中山の馬場が合う血統ということもあるが、それも考慮に入れた思いきった松岡の好プレーに収斂するレースだった。

昨夏のアイルランド武者修行から帰国後、重賞を2勝するなど好調だった松岡。だが、暮れの中山で輪乗りの際に他馬に蹴られて、右足腓骨(ひこつ)骨折で戦列を離れていた。その間、お手馬のプリサイスマシーンが阪神Cで2着するなど、馬に乗れない苛立ちを感じていたという。それだけに京成杯には復帰したい思いが強かった。松岡は厩舎の全休日、北海道の牧場へ飛んで調教に跨っているが、サンツェッペリンは育成場で素質を見出して斎藤誠師へ紹介した馬だった。思い入れは一際強い。正月は休み返上でリハビリに専念。京成杯はそうした松岡の執念が実ったと言えるだろう。

斎藤誠師は去年6月に開業したばかり。JRA通算5勝目が重賞勝ちとなった。もともと、斎藤師と松岡は一昨年に亡くなった前田禎師の下で働いていた。マイスタージンガー、ビーバップ、ミラクルタイムなどを管理していた美浦の中堅厩舎だった。ふたりは兄弟弟子の関係になるが、師匠に重賞勝利を捧げたいという気持ちで結ばれていたに違いない。去年、最も成長した若手騎手に贈られる年間ホープ賞で、松岡は60勝をあげた吉田隼人に競り負けた。遠征、騎乗停止などで勝ち鞍で劣ったのが理由だ。今年、最高のスタートを切った松岡が悔しさをバネにどんな活躍を見せるのか、注目していきたい。

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2007.01.14

JRA賞 私が記者投票に”理由の付記”を求める訳

今週、発表されたJRA賞で、年度代表馬部門でダイワメジャーに票を投じた報知新聞・浜木俊介記者「私がディープを年度代表馬に選ばなかった訳」という記事を同紙に掲載した。このなかで浜木記者はディープを推さなかった理由として「スポーツの大原則である『フェアプレー』を守ることができなかった」と述べている。

競走能力を高めるために常用していたものではないにしろ「薬物違反」という事実は重い。私は、初めからディープインパクトを候補として頭に置いてはいなかった。 …競馬は馬と人がいて初めて成り立つものだ。もしも、馬には罪がないという理論が通用するのなら凱旋門賞も3着のままで、トレーナーのみ制裁を受ければいいという話になる。しかし、現実は失格。それがスポーツだ。…JRA賞の投票は、競馬界で最高の名誉を与える行為だ。手元にある国語辞典には、名誉とは「道徳的尊厳が他人に賞賛せられること」と記してある。(浜木俊介)

JRA賞の投票内容について、このような記事が発表されたのは極めて有意義なことだと私は考える。浜木記者の主張には多くの反論があるかもしれない。一度の失格でGⅠ4勝の価値を否定するのかといった感じ方は自然だろうし、それならば1位入線で失格になったカワカミプリンセスに投票したことと整合性を欠くようにも見える。だが、多様な主観の集合体こそが投票を行うことの真価である。私自身は浜木記者とは意見を異にするが、真摯な態度で一票を投じた結果は少数派ゆえにより尊重されるべきだと思う。ひとりひとりが自律的に導いた意見を自由に表明できない投票は、何ら意味をなさない。

10日の日刊スポーツ「ダイワメジャーは短距離馬? 失礼のような」も、記者の投票理由をテーマにしたものだ。"該当馬なし"とした水島晴之デスクは「秋の天皇賞を勝った馬に『短距離馬』の称号はかえって失礼ではないか。マイルの部門があればよかった」としている。ベテランの堀内泰夫記者はダイワメジャーに投じたが「マイルとスプリントを分けると、安易に最優秀短距離馬が生まれる可能性も無視できない」と水島デスクのマイル部門分離に疑問を呈している。短距離は何メートル以下を指すのか定義がないことに驚いたが、それぞれ記者の考え方があって投票したことは良く分かる。

そもそも、投票の信頼性が揺らいだのは、一部記者によるお粗末な行動が原因だった。近年では、父内国産部門でテイエムオペラオーに少なくない票が入ったり、混合GⅠを勝ったビリーヴが牝馬だと認識されずに古馬牝馬で選ばれなかったり、障害で相応しい実績を持った馬がいるのに多数の該当馬なしの票があったことが指摘されている。去年、ハットトリックを父内国産だと勘違いした二人の記者がいたことも有名になった。この他、担当厩舎へのゴマすり目的だとみられる一票も散見され、こうした浅はかな投票行動が、「JRA賞は現状ファンが競馬マスコミ人の見識をチェックする場」(昨日の風はどんなのだっけ?)へとしてしまったのではないか。

先般、バーバラ・バイヤー記者を引き合いに出したが、彼女が浜木記者らと同様、熟慮の末、「最優秀3歳牡馬はロジック」と結論に至ったのなら何らおかしくはない。しかし、思考過程が明らかでない以上、外側からは悪ふざけにしか見えない。だから、議論すべきは個々のモラルより、システムの信頼性をどう担保するかということになる。拙ブログでは4年前から事ある毎に「投票理由の付記」を訴えてきた。理由の付記は記者投票の信頼性、権威を強くし、JRA賞のエンターテイメント性も高めるだろう。さらに発表されたものは歴史的な資料として後世に残っていくはずだ。一行でも二行でも良い。競馬を生業とする三百人のプロが、一年間の総決算として競馬観をファンに披露するのは競馬界、マスコミ、ファンにとって素晴らしいイベントではないか。こんな簡単なことを何故やらないのか、不思議でしょうがない。

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2007.01.13

オグリキャップ産駒 イギリスで300万円で落札

netkeibaによれば、父オグリキャップ、母ワカシラユキの間に生まれた1歳牡馬が、去年11月に英・タタソールズのセールに上場され、1万2500ギニー(約300万円)で落札された。ワカシラユキは悲劇の名馬、テンポイントの一族で、その血を現代に復活させようと繁殖生活のためアイルランドへ移送された。この時、すでに受胎していたのがオグリキャップの仔だった。一昨年、この試みが明らかになった際には、一時代を築いたアイドルホースの結晶が生まれると、東京スポーツの一面を飾るなど話題になった。

当初、ワカシラユキの牡馬はマル外ホースとして逆輸入され、栗東からデビューすると報じられていた。しかし、残念ながら、日本で雄姿をみることはできそうにない。同馬を競り落としたのはジェレミー・グローバー氏。もともとの日本人の馬主はT氏としか明かされておらず、どのような事情で手放すことになったのかは分からないままだ。オグリキャップとテンポイント、その血の継承は風前の灯火となっているが、同馬が欧州でGⅠを勝って、ジャパンカップで凱旋帰国してくれることを夢見よう。

>>オグリ×テンポイント 夢のマル外ホースが誕生!(2005.7)

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2007.01.11

JRA賞 年度代表馬・ディープインパクトは満票ならず

2006年度JRA賞が発表された。毎年毎年、同じことをブログで書き続けるのも飽きてきたので、去年の文章をコピーしておく。ちなみに今年の投票内容の非公開希望者は、去年より1人少ない20人だった。

JRA賞は記者投票である以上、個人の主観によって賞に相応しいと思った馬に投票すれば良い。だから、未勝利馬に投票したって構わない。だが、「但し」と付け加えたい。権利を行使した責任を負うべきである。… なぜGⅠ未勝利馬を選んだのか、なぜ該当馬なしなのか、プロとして理由を明示してほしい。「私はディープインパクトしか観ていません。戦績を調べるのも面倒です」というのなら、潔く投票権を譲れば良い。…Gallopでは記者が投票理由を述べる特集記事が組まれたこともあるが、非常に興味深いものだった。こうしたものがオフィシャルにあれば、後世に受賞馬がどのような評価をされていたのかも資料として残る。投票権者の資質向上がなければ、JRA賞の格は落ちるばかり。まずは投票理由の付記から実現させてほしい。

さて、今年の受賞馬を見て行こう。年度代表馬はディープインパクト。ダイワメジャー(報知・浜木俊介)、該当馬なし(報知・高栁哲人)に一票ずつ入った。GⅠを何勝しようと薬物違反で失格になった馬に受賞資格はないとの判断か。それはそれで見識だと思う。ただ、その論理なら高栁は最優秀4歳以上牡馬でもディープを外すべきだったのではないか。最優秀3歳牡馬はメイショウサムソンが受賞。解せないのはスプリント戦である京阪杯勝ち馬のアンバージャックへの一票(会友・橋本邦治)。 91年に著書「話のかいば」で馬事文化賞を獲得したベテラン記者だが、当の短距離馬は該当馬なし、3歳牝馬でフサイチパンドラ、古馬牝馬でスイープトウショウと記している。少しお年を召しすぎたか。

最優秀4歳以上牝馬はヴィクトリアマイルの初代女王、ダンスインザムードが戴冠。キャッシュコールマイルで勝利し、秋も牡馬相手に善戦を続けたことを考えれば妥当な結果だろう。少数票はシーイズトウショウ、メイショウバトラー。趣味で入れているとしか言いようがない。玄人好みするタイプの牝馬ではあるが。最優秀3歳牝馬、最優秀父内国産馬はキングヘイロー産駒、カワカミプリンセス。エリザベス女王杯1位降着の幻の三冠馬で実質無敗は素晴らしい戦績だった。しかし、個人的には父内国産はメルボルンCを制したデルタブルースに進呈したかった。同レースは欧州の凱旋門賞、北米のBCに相当するもので、その偉業はもっと評価されて良いものだ。国内の成績が振るわなかったからと、特別賞さえ見送るというのは南半球蔑視も甚だしい。バランスオブゲームの1票(馬・菅原功)はニヤリとするところか。

最優秀短距離馬ダイワメジャーも順当な結果だろう。オレハマッテルゼに37票、シーイズトウショウに10票も入ったのは、短距離馬の響きがマイラーと一致しないためか、それともメジャーに中距離馬の印象が強すぎるためか。意外だったのは最優秀ダートホース。アロンダイト(143票)に文句はないが、カネヒキリの37票との差は大きすぎる。フェブラリーSを制して、ドバイWCで4着。GⅠの数だけなら3勝のブルーコンコルド(94票)だが、中央GⅠに価値を置くなら両馬は際どい接戦になって良い。今年の最大の見所が「年始めのレースは忘れやすい」という単純な理由で失われたとしたら惜しい。ユートピア1票は膝を打ったが、非公開では共感半減だ。タイムパラドックスも非公開。受け狙い票に入れるために非公開にするのだろうか。

GⅠの勝ち馬が自動的に受賞することになる2歳馬部門は、ドリームジャーニーウォッカ。但し、牡馬はフサイチホウオーが76票も集めた。去年、ラジオたんぱ杯を勝ったサクラメガワンダーが1票だったことを考えると、いかに多くの得票を得たかが分かる。東スポ杯でドリームを降したことから、GⅠ馬に投票しない抵抗感も薄れたからだろう。ホウオーは古馬に混じって父内国産でも1票を得ている(大阪スポーツ・米原聡)。去年、米原は父内国産でサンデー産駒のハットトリックに投票して大恥をかいた。馬名からサッカーボーイ産駒と勘違いしたとのアホらしい噂もある。今年、ひとり敢然と2歳馬に投じた米原には「ちゃんとジャングルポケット知ってまっせ!」とアピールする強い意志を感じる。その気持ちを汲み取って差し上げたい。

最優秀障害馬は瀬戸口厩舎に恐らく最後のGⅠ勝利をもたらすことになったマルカラスカル。中山大障害の6馬身差圧勝も強烈だったし、西谷の涙のインタビューも印象深い。例年、該当馬なしの票も多い障害部門だが、マルカラスカルが206票の支持を受けたのには安堵した。最後になるが、ロジック、フィフティーワナー、テレジェニックなど、少数票ばかり投じたジャパンタイムスのバーバラ・バイヤー記者について。在日20年でアラン・ムンロの通訳を務めたこともあるというが、誰か記者投票の意味を知らせてあげる必要がありそうだ。なお、騎手大賞は武豊、最多勝利調教師は63勝の森秀行師。地方交流レース15勝をあげた鋭い経営感覚が、リーディングの座を射止めたと言えよう。

>>記者投票集計結果

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2007.01.09

新春恒例 2007年のダービー馬を占う!

2歳戦をもとにダービー馬を占う恒例記事も今回が4回目。毎年3頭ずつ候補をあげてきたが、キングカメハメハディープインパクトはチョイスできたものの、メイショウサムソンは漏れてしまった。ちなみに去年、選んだのはサクラメガワンダー、ジャリスコライト、ナイアガラ。何とも己の不明を恥じなければならない結果になってしまった。三冠のなかでダービー馬は「最も運の良い馬」と形容されるが、やはり一度でもアクシデントに見舞われると、出走自体は間に合っても優勝には手が届かない。2歳ナンバーワンと評されたマルカシェンクが典型だ。

順調なら東京スポーツ杯、ラジオNIKKEI杯を連勝中のフサイチホウオーが最有力候補。東スポ杯では気性の幼さを見せながら、素質の違いで朝日杯FSを勝つドリームジャーニーらをねじ伏せた。続くラジオNIKKEI杯は直線で寄れる場面がありながらも、中団からの競馬で折り合い面で進展を見せた。父ジャングルポケットと同じく府中向きなのは間違いなく、ダービーこそベストの条件だ。不思議なことにラジオNIKKEI杯の偶数年の勝ち馬はヴァーミリアンを除いて全馬、GⅠを勝っている。ヴァーミリアンも統一GⅠには手が届きそうで、ホウオーにとって心強いジンクスになろう。

ライバルはベタと言われようが、ディープインパクトの弟、ニュービギニングか。兄の引退レースの日に十八番を奪う最後方一気でホープフルSを快勝。ブラックタイドやオンファイアが怪我でクラシックを棒にふった印象が強いためか、あるいは調教が動かないためか、血統に見合った評価は受けてこなかった。陣営も半信半疑だったのではないか。だが、レース後、武豊が「少し飛んでくれた」とコメントしたのも、あながちリップサービスばかりとは言えまい。父がサンデーからアグネスタキオンに代わってスピード色が強くなった感はあるが、今後、人気を落としてもホープフルSの強さは忘れずにおきたい。

3頭目は期待料を込めて、まだデビュー前の馬に食指を伸ばしてみたい。管理する伊藤正師がゾッコンのエアシャムス。母はオークス2着など3歳GⅠで常にトップ争いをしていたエアデジャヴーで、エアシェイディ(ホープフルS)、エアメサイア(秋華賞)の弟になる。昨秋に入厩してから冬の府中デビューを目標にじっくりと乗り込まれてきた。皐月賞は捨ててダービー一本に狙いを絞った伊藤正師は、はやる気持ちを抑えてデビューのタイミングを図っている。新馬→500万→青葉賞→ダービーが理想だろうが、それに見合う素質を持ち合わせているかどうか、初戦が待ち遠しい。

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2007.01.06

年末年始は売り上げ増 踏んばった地方競馬

この年末年始、存廃の危機にあった各地の地方競馬が踏ん張った。ハルウララ預金が底をついて、750万円の利益が出なければ廃止という崖っぷちに追い込まれていたのが高知競馬。大晦日と正月の開催で1650万円の収益をあげ、901万円の剰余金が出ることになった。黒字の原動力になったのが、大晦日の高知県知事賞を初めて南関東場外で発売したこと。売り上げは自場が8000万円、南関東が3200万円。私も大井競馬場のふるさとコーナーで一勝負させてもらったが、なかなかの盛況だった。年明け、エスケープハッチ、オースミレパードと高知のアイドルホースが出走したのも集客に結びついたようだ。主催者同士の垣根を越えた協力を今後も期待したい。

来年度からソフトバンク参入で帯広市の単独開催が決まっている”ばんえい競馬”も、 1、2日の入場者が4833人と前年の1.5倍となり、売り上げも13.6%増加した。元旦は砂川市長が自から鏡開きを行い、来場者には餅や甘酒が振る舞われた。かつて、私は帯広市民だったが、地元でもばんえい競馬を観たことがない人が多かった。廃止騒動で連日、大きく報道されて知名度が上がったことや、これからは帯広市が北海道遺産であるばんえい競馬の唯一の担い手となったことで、市民の関心を大きく呼び起こしたのではないだろうか。地元の文化は大切に守り育てる十勝の気風は、存続なったばんえい競馬の追い風になるはずだ。観光資源として売り込んでいってほしい。

一方、295億円の債務に苦しむ岩手競馬は、今年、再び岐路に立たされそうだ。 2月以降、岩手県、盛岡市、奥州市による330億円の融資案が各議会で可決されれば、これまでの債務を一括償還して新計画のもと単年度黒字をめざすことになる。しかし、議案が否決されるようなことがあれば廃止。仮に可決されても、単年度で黒字転換できなければ事業の継続は許されない。岩手競馬はコスト削減を行いながら経営を続けていきたいとしているが、地方共同法人か、大胆な民間委託か、抜本的な経営改革がなければ、行き詰まるのは目に見えている。ライブドア参入騒動から2年、モラトリアムは終わった。 地方競馬は変わらなくてはならない。2007年も試練の年には違いない。

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2007.01.01

謹賀新年 年の初めは健康長寿の縁起馬券!

新年あけましておめでとうございます。去年は馬券的には散々な一年でしたが、打ち納めとばかりに出かけた大晦日の大井では 270倍を的中するなど、上昇気運を感じながら競馬を締めくくることができました。その勢いのまま、今年の夢は大きく100万馬券をゲットする!ことにしたいと思います。どうぞ本年も馬耳東風馬券日記オケラセラをよろしくお願い申し上げます。

さて、日本の正月に「おせち料理」は欠かせません。一年の始まりを祝う品々、皆さんも箸を運ばれましたか? 「まめ(健康的)」に暮らせる黒豆、子孫繁栄の数の子、「よろこぶ」昆布巻き、 腰が曲がるまで丈夫にというエビ、財産を得る「金団(きんとん)」…。健康長寿を祈り、できれば富も得たいと願うのが正月。私たち日本人は縁起物が大好きなようです。いとをかし、愛すべき風情ですね。

そんな日本の競馬ファンにとって、この正月に縁起を担ぐのにピッタリの馬がいるのをご存知でしょうか? 2日、高知競馬第7レースに参戦するオースミレパードです。最高齢出走記録を更新し続ける同馬は年が明けて16歳になりました。南井を鞍上にスターマンと同じデビュー戦を走ったのが93年のこと。ナリタブライアンとも同期生です。以来、中央から高知へと移っても元気に駆け続け、去年も29戦して2着や3着に頑張っています。

地元ではレパードの馬券は健康長寿のお守りとして人気があるそうです。2007年、健やかに末永く競馬が楽しめるよう、レパードの馬券を買って願掛けしてみるのもいいかもしれません。実は高知競馬は大晦日から正月三が日の開催で750万円以上の収益がなければ廃止になるかもしれない危機を迎えています。レパード馬券で縁起担ぎ地方競馬応援の一挙両得、的中すれば一石三鳥なんて、最高のスタートになると良いですね。

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