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2006.11.11

男・藤田の超攻撃的自伝 『特別模範男』

「俺の戸籍上の名前は、実は『藤田伸二』ではない。訳あってこの"芸名"を使っているけど、本名はちゃうんよね」 そんな驚きの事実を前書きでさらりと述べてしまう、男・藤田の自叙伝 「特別模範男」。今秋、出版されたこの本は、ゴーストライターが書いた紛い物でもなければ、競馬界に良くある奥歯に物の挟まった駄文を重ねたものでもない希有な一冊だ。金髪、ピアス、タトゥー。派手な外見とは裏腹に、 9年連続フェアプレー賞を獲得していることをご存じないファンもいるかもしれない。だが、意外性の男、藤田の生き方はシンプルすぎるほど明快だ。

見た目が気に入らないから乗せないという人はそうすればいい。そんな人間的に小っちゃいヤツの馬になんかこっちが乗とうないわ。ひねくれモンって言われようと構わない。俺は自分の気持ちに正直に生きてるし、全身を使ってプロとしての生き様を表現しているだけや。… 騎手というのは、一人ひとりが個人事業主。言うなれば社長。だから社外の人間からアレコレ言われるのは気に入らないし、逆に俺が"他人の会社"に干渉することもない。テメエのケツはテメエで拭く。これが徹底できていれば、誰からも文句を言われる筋合いはないと思う。

まるで粋がった中学生がそのまま大人になってしまったような男。村社会である競売界であれば、そうした生き方は決して得とは言えない。その点、藤田も「俺には敵が多い。馬主、調教師、騎手、マスコミ、競馬界の職員…。アンチなんていうかわいらしい表現では収まりきらないほど、俺のことを心底嫌っている人間は大勢いる」と述べている。伊藤雄二師や小島太師とトラブルになり、一時、騎乗させてもらえなくなったこともある。それでも、頑ななまでに"筋"を通すのが、無骨な魅力なのだろう。

そんな藤田だから、人間関係もはっきりしている。最初に所属した境直行師とも折り合いが悪かった。それでも馬に乗せてもらえるのは厩務員や助手との関係を大切にしているからだという。「テキは好かんかもしれへんけど、伸二に乗せたってくれんかな」と言わせれば、良い馬が回ってくる。藤田流の処世術だ。田原成貴についても、騎手時代に限っては「心の師匠」と言い切っている。トウカイテイオーの有馬記念での涙が演技だったこと、二人で関口房朗の自宅に出向いて土下座したことなど興味深いエピソードも尽きない。

4億5000万円の豪邸を新築した藤田は、毎月180万円のローンを返済しなければならない。「まだまだ頑張らねばならん」のだ。しかし、鼻っぱしの強さとは対照的に、パニック症候群と過呼吸という爆弾を抱えてもいる。新幹線を途中下車するために止めたのは有名だが、今年6月には開催中に騎乗を取りやめたこともあった。「限界を感じるまで、騎手という仕事を続けるだけ」という男・藤田。彼に共感するにしろ、拒否するにしろ、赤裸々な生い立ちも含めて、読んでみて決して損はしない一冊だ。

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コメント

はじめまして。なっちといいます。

先ほど、貴ブログをドリカムRSSに登録させてもらいました。
問題があれば、ご一報ください。

私のブログはPOG関連のブログですが、よろしければ、相互リンクをお願いできないでしょうか。
ご検討くださるとありがたいです。

投稿: なっち | 2006.11.12 17:07

>なっちさま お世話になります。亀レスすみません
http://hpcgi3.nifty.com/baji/navi/navi.cgi
でリンクを張らせて頂きました。
よろしくお願いします。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2006.11.17 11:10

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