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2006.11.17

寝ワラから薬物摂取 ”不注意”の大きすぎた代償

16日、凱旋門賞後に禁止薬物が検出されたディープインパクトの処分が、 フランスギャロとJRAから同時に発表された。ギャロ審査委員会は3着入線のディープインパクトを失格とし、池江泰郎調教師には1万5000ユーロ(225万円)の制裁金が科されることになった。賞金3400万円は支払われず、出走に関する処分は行われない。意図的な不正は否定されたものの、池江郎師に対して管理責任を充分に果たさなかったとして、調教師としての規律違反があったとされた。また、なぜ禁止薬物が検出されたのか、詳細な経緯も併せて明らかにされた。

  1. 9月13日、ディープが調教後に咳。日本人獣医師がフランス人獣医師に相談して、吸入治療を推奨される。
  2. 日本人獣医師の要望で21日から吸入治療を行うこととなり、日本人獣医師は仏人獣医師の処方により吸入治療に必要な「イプラトロピウム」を薬局で購入。
  3. 日本人獣医師は21日~25日、仏人獣医師から借りた吸入器を用い厩務員の手を借りて吸入治療を行った。
  4. 吸入治療中、ディープが暴れた際、装着したマスクから容器が外れ、霧状化したイプラトロピウムが馬房床に噴霧。こうしたことが2回あった。
  5. 馬房内に飛散したイプラトロピウムが寝藁や乾草に付着。それら敷料、乾草は入れ替えられなかった
  6. 26日、仏人獣医師の指示通り、吸入治療をやめて吸入器も返却。
  7. 競走前日(30日)から当日(1日)の間に寝藁などからディープが摂取。レース後に陽性反応。

池江郎師は治療に禁止薬物が使われたことを知らされず、馬が暴れたことも薬物検出後に報告を受けた。元来、ディープは咽が弱く、国内でも消炎剤や抗生物質を使用したことがあったと言う。今回、驚くべきことは、これだけ内外の注目を集めて、一挙手一投足が報じられていたディープに関して、スタッフからどのような治療を行っていたのか詳細な報告がなされていなかった点だ。万全を期すために池江郎師も厩務員も獣医師も現地に滞在して、毎日、顔をつきあわせていたのではなかったのか。

イプラトロピウムは「体内で24は時間でなくなる薬だが、敷料や干し草に付着した場合、日中さらしても1週間では変質しない」(西村啓二JRA馬事担当理事)という。獣医師は禁止薬物と認識しており、レースまで余裕をもって25日で治療をやめている。しかし、揮発性が低く、付着した薬物がすぐには消えてなくならないことは知らなかった。獣医師は「注意が足りなかった。責任がないと言う気はない」としている。いずれにしろ「フランスで禁止されている薬物を使った」ことを調教師に伝えなかった怠慢がトリガーになっているのではないか。

発表された事実が真実であるかどうか疑念を呈する声も散見されるが、これで薬物検出問題は決着を図られることになる。凱旋門賞3着という記録は抹消されるが、日本馬が1番人気となって世界最高峰のレースに挑戦したという事実は消え去ることはない。ディープの偉業を過小評価する必要はないが、不注意が発端になったことを思えば、払った代償は大きすぎたと言えるかもしれない。一方、日本競馬が今回の処分を冷静に受け止めようとしているのは、「凱旋門賞2着」の先例があればこそ。そう考えると、エルコンドルパサーに救われたという気がしてならない。

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コメント

なるほど凄い情報力ですわね。
これは新聞には掲載されていない情報ですもんね。
どこかのパクリ専門の馬鹿作家とは大違いですね。

投稿: ケン坂本 | 2006.11.17 14:59

馬鹿作家が涙目で反論してるよ(笑)

投稿: 通りすがり | 2006.11.17 19:10

>ケン坂本さま ありがとうございます。個人が表現活動を行う上で、一般メディアが報道している事実をもとに、私なりに感じたことを書いております。もし、著作権法上、問題があるという箇所があればご指摘いただければ謙虚に受け止めたく存じます。ちなみに本エントリーの時系列表はJRAの公式発表などをもとに作成しています。 >通りすがりさま コメントありがとうございます。私としては高崎さんには何の感情もありませんし、一般人のお茶目な冷やかしとでも思って頂ければ幸いです。ちなみにケン坂本さまは、高崎さん御本人ではないと思います。きちんとした所?からの書き込みでした。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2006.11.18 00:01

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