「薬物汚染」 「発覚隠蔽」 危うい世論のミスリード
一般メディアでも大きな騒ぎとなってしまったディープインパクトからのイプラトロピウム検出。前日も記したように、今、求められるのは投与にいたるまでの経緯を徹底的に調査することであり、結論が出るまで拙速な判断は避けなければならないと考える。最も怖ろしいのは、恰もディープ陣営がドーピングのために薬物を使用していたかのようなスキャンダラスなイメージが植え付けられることだ。
この点、幸いなのはフランスギャロが「不正の意図はなかった」と明言して、冷静に規則に沿って処分の手続きを進めていることだ。今後、ギャロは日本側と事実関係について書簡によるやりとりを行い反論を聴取することにしており、手続きには半月から1ヶ月かかる見込みだ。今回の検出はあくまで人為的なミスによるもので、ディープの戦歴や陣営の名誉を貶めることがないよう配慮されねばならない。だからこそ、誰もが納得できる事実を明らかにすることが必要なのだ。
一方、過熱する報道には、世論をミスリードする危ういものも少なくない。 21日、毎日新聞は「ディープインパクト 再挑戦が汚名そそぐ道だ」と題した社説を掲げた。「当代一の人気馬が薬物で汚染されていた」で始まる大新聞社の社説は、競馬ファンとしては極めて残念な内容だった。
関係者の重大な落ち度で日本の代表馬と日本競馬の信用を傷つけてしまった。ことが競馬だけの話にとどまればまだしも、野球、サッカーをはじめ多くの日本人スポーツ選手が海外に活躍の場を広げている中、「日本は薬物への対応が甘い」というイメージを世界に広めてしまった危険性だってある。…オーナーはレース後の11日、今年限りでレースから引退させると電撃発表して競馬ファンを驚かせ、また落胆させた。その引退発表と、今回の薬物検出とは何か関連があるのだろうか。… 今一度、クリーンな体で凱旋門賞にチャレンジさせてみてはどうだろう。ディープインパクト自身も望んでいるのではないかと思うのだが。(毎日新聞・社説)
そもそも気管支拡張剤の投薬期限が数日ずれていたことで、ディープは「薬物汚染」されていたと言うべきだろうか。薬物検出が発覚するのを恐れて電撃引退させたかのような疑惑を提示しているのも荒唐無稽な見方と言わざるを得ない。さらに「クリーンな体」で凱旋門賞に再挑戦させろとは、どんな展望を持って結論づけているのだろうか。その論拠が「ディープ自身も望んでいる」というのであれば、社説とは思えない無責任な放言に過ぎない。
もし、調教師やスタッフが過去のカフェイン投与などと同様、競走能力を不法に高めるために気管支拡張剤が与えたのなら、「薬物汚染」「クリーンな体ではなかった」と指弾されても仕方ない。だが、現段階でその可能性は極めて低く、調査を行っているギャロ側も否定している。事件をきっかけにして、競馬がダーティーなものと喧伝されたり、海外遠征を萎縮させるような結果になってはならない。そのためにJRAと競馬マスコミは正確な情報提供と事実の評価に心を砕いてほしい。
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コメント
競馬をよく知らない人が今回の事件について論評すると毎日の社説みたいになるんですかね。
悲しい気分になります。
投稿: 覇王 | 2006.10.21 13:19
毎日は、奈良の産科の件でも、適当なこと書いてたし…。
あれのおかげで冤罪が生まれかけてるというのに。
CTが必要なんて、すぐさま読売に否定EBMソース出される始末。
競馬の方でも、酷い記事書いたのか。
投稿: KAT | 2006.10.22 06:52
>覇王さま ファンとしては悲しくなりますね。 >KATさま どこの新聞にも限らず、正確な記事を期待したいですね。
投稿: ガトー@馬耳東風 | 2006.10.27 12:44