凱旋門賞 ディープの命運を握るロンシャンの馬場
今週末に迫ったディープインパクトの凱旋門賞挑戦。ここまで順調に追い切りをこなし、ほぼ万全の体勢でレースに臨めそうだ。去年、BCターフを勝ち、今年はフォワ賞まで3連勝を飾っているシロッコが最大のライバル。キングジョージでハーツクライを降したハリケーンラン、3歳馬必勝パターンのニエル賞勝ちレールリンクまでが優勝可能性を秘めた馬になろう。ディープとの力関係を推測するのは極めて難しいが、完調のハーツなら何とか負かせただろう今年のハリケーンランよりは上、シロッコと同等、と評するのは判官贔屓が過ぎるだろうか。確かに下馬評は百家争鳴。しかし、陣営も専門家もブックメーカーも、走ってみなければ分からないというのが本音のところではないか。
能力的な比較を除いて、最も勝負を左右するファクターは馬場だろう。凱旋門賞は道悪で行われるケースが少なくない。良と不良では勝ちタイムが 10秒以上の差がついてしまう、まったく異質な競馬場となる(仏は欧州では軽い部類だが)。レースレコードは97年パントレセレブルの2分24秒6(良)。いちばん遅かったのは 99年モンジューの2分38秒5(不良)。後者はエルコンドルパサーが2着に敗れたレースだ。もし、良馬場であれば、7年前に日本馬は最高峰に到達していたと私は思っている。長期滞在して馬場にあった走りを体得し、日本では道悪は得意だったエルコンでさえ敗れたのだから、ディープにとっても当日までの天気が命運を左右すると言っていい。今週のパリの天気は予報会社によってまちまち。できれば一滴も降ってほしくない。
もうひとつ忘れてならないのは、ロンシャンは凱旋門賞当日、初めて馬場が全面開放されること。内の仮柵を撤去するため、新しい芝生、いわゆるグリーンベルトが出現するのだ。今年の凱旋門賞は10頭立て前後。折り合いを欠くのが怖い武豊は、いつもと同じようにディープを後方につけるだろう。直線、運良く内が開くことを想定することはできず、外を回すのは覚悟せねばならない。逆にフォワ賞で2番手から競馬を進めたシロッコはグリーンベルトの利を活かせる可能性が高い。但し、速い時計の決着にシロッコが対応できるかは未知数だ。いずれにせよ、こうしたファクターを克服して勝ってしまえば、ディープは文句なしの世界チャンピオンであり、その可能性も充分にあると思わせてくれる。凱旋門賞のゲートが開くのが待ち遠しい。
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コメント
こんばんは。
いよいよ迫ってきましたね。私は明日(28日)、成田からパリへ入ります。
おっしゃる通り、本当に一滴も降って欲しくないというのが本音です。彼は本質的には道悪がダメ(というか能力減退の要因になる)だと思っている方なので。もし、降ったら現地でテルテル坊主でも作ろうかと思っています(笑)。
グリーンベルトを昨年のハリケーンランのように最大限に生かせれば良いのですが、恐らく無理だと思います。となると、外を回すということになりますが、もしそれで勝ったら、翌日のParis Turfには「我々はダンシングブレーヴに再び出会った」といった見出しが躍るのでしょうか。いずれにせよ、年甲斐もなくワクワクしています。
投稿: triomphe | 2006.09.27 03:52
>triompheさま 歴史的なレースを生で観戦できるのは本当に羨ましいことです。お気をつけて。観戦記も楽しみにしています。
投稿: ガトー@馬耳東風 | 2006.09.27 11:47