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2006.09.29

革命の時は来た 世界を決する武豊のゴーサイン

8頭立ての少頭数で行われることになった凱旋門賞。これで内ラチ沿い5頭分に敷かれるグリーンベルトを通ることも、難しいことではなくなった。だが、"紛れ"の可能性が低くなったのとは裏腹に、ディープインパクトが折り合いを欠かずに競馬ができるだろうかという心配は大きくなった。あからさまなラビットの出走もなく、今年はスローペースに落ち着くことは必至だ。レースは一団となって進むだろう。ロンシャンの難コースで武豊はどうディープの折り合いをつけるのか、そして、いつディープにゴーサインを出すのか、勝負を決する最大の見所になる。

ディープはどんなペースでも折り合いをつけられるタイプではない。菊花賞で口を割って手綱に抵抗した姿は覚えているファンも多いと思うが、古馬になってからも気性的な問題は完全に解消されたわけではなかった。圧勝した天皇賞春のレースぶりを思い出してほしい。出遅れて後方2番手につけたディープはがっちりと手綱を抑えられたものの、1コーナー過ぎで持って行かれポジションをあげていった。そして、ラスト1000メートル付近、坂の上りから凄い勢いで加速していくと、ラスト800で先行集団に取りつき、4角手前では先頭に躍り出た。

淀の坂は「ゆっくり上って下る」のがセオリー。坂下から一気に仕掛けると、どんな強い馬でも残り1ハロンで脚があがってしまう。武豊はレース後、「3コーナー手前で一気にペースが遅くなり、どうしようか迷った」と述べている。定石ならペースに合わせて抑えるのだろうが、武豊は無理に手綱を引くことより、ディープの気分を害さずにロングスパートさせる選択肢を採った。これが暴走にみえたリンカーンの横山典は「もらった」と思ったそうだ。ところが、ディープはラスト1000を57秒を切る驚異的なレコードで快勝してしまったのだ。スタミナも心肺能力もこれまでの一流馬とは桁が違った。

天皇賞春の勝利は数字的にも史上最強馬と確信させる、超弩級のパフォーマンスだった。その一方、能力任せのレースこそ、ディープの潜在能力を最大限に発揮する術だと証明することにもなったのではないか。では、凱旋門賞で武豊はどうディープを操るのか。京都とロンシャンは形状が良く似ていることが知られている。だが、高低差は京都の倍以上の10メートル。深い芝と相まって、要するスタミナはずっと大きい。上りから仕掛けていくのは論外だし、坂の頂点からゴールまでも1400メートルある。ここは馬をなだめて、じっと動かずにおらねば勝負すらできない。

坂を下り終えると、待っているのがフォルスストレート(偽りの直線)。この偽りの直線で加速の誘惑に負けてはならない。馬なりで徐々に順位をあげるのが理想的だ。しかし、ロンシャン初体験のディープが、一息つかせたい鞍上の思惑に従うことができるだろうか。それまで抑えられてきたディープは擬似直線で加速しようとする可能性が高いと思う。その時、武豊は我慢させるのか、ロングスパートに耐えられると信じて手綱を放つのか。もし、天皇賞春で底知れぬスタミナはロンシャンでも通用すると感じたのなら、タブーとされるロングスパートに賭ける判断をするのではないかと思う。

ロンシャンの直線は東京より長い533メートル。真の攻防はラスト300メートルで繰り広げられる。ディープは初めて潜在能力を限界まで引き出すことを求められることになる。トップジョッキー・武豊にとっても、一世一代の大舞台。12年前、1番人気のホワイトマズルに騎乗して、何もできないまま凱旋門賞を終えた屈辱を晴らす最後のチャンスだろう。馬群に包まれるような、悔いの残る中途半端なレースだけはしないはずだ。スピードシンボリの挑戦から37年。日本のホースマンの夢であり続けてきた凱旋門賞制覇は、現実のものとなると信じている。革命の時は近い。

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