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2006.09.05

奇跡は二度起きず 船橋・厩舎火災で9頭死亡

3日午前1時、船橋競馬場内の及川肇調教師の厩舎で起きた火災によって、 9頭のサラブレッドの命が奪われた。ある調教師は「今まで聞いたことのない馬の鳴き声で目が覚めた。助けるため厩舎に向かったが、火の勢いが強く近づくことすらできなかった」 (スポニチ)と語る。命を落とした9頭の中には3年前、台風10号の濁流に流されながら生還を果たした馬もいた。スーパーハリケーン(牡4)という馬名は、その奇跡の体験に由来するものだ。父はヤマニンゼファー、母はイエローギャロップ (母の父サクラトウコウ)。これまでに南関東で2勝をあげていた。

03年8月に日高を襲った台風10号は死者・行方不明者11人と1000億円を超える被害をもたらした。場所によっては時間雨量が60ミリを上回る猛烈な雨が降り注ぎ、堤防が決壊して橋や道路、住宅が次々と川に飲まれた。新冠町の生産者、田端千代春さんの牧場では住宅、厩舎、放牧地が水につかり、25頭のほとんどが流されてしまった。田端さん夫婦は流された馬を必死で探し歩いた。 1キロ下流で胸まで水に浸かっていた1歳の牡馬が見つかった。 6頭の馬を失った田端さんは復興の願いを込めて、この馬をスーパーハリケーンと名付け、田端さんの父が馬主となってデビューさせることにした。

例え田舎の競馬場で走る馬であっても、1頭のサラブレッドを競走馬としてデビューさせるまでにはたくさんの人々の手を介さねばならない。だから、1頭の馬には人々から託された思いがあり。それは競馬の魅力そのものであると言えるかもしれない。台風10号が日高に残した爪痕は深い。田端さんの牧場でも牧柵や住宅の修繕費だけで2000万円以上かかった。それでも「生き残った馬たちのためにも、災害には負けられない」と再び歩み始めたばかりだった。スーパーハリケーンが田端さんの心の支えだったのは想像に難くない。心中は察するに余りある。

「死んだ9頭はいずれも特に優秀な成績を残していない」 (毎日)と一般紙で報じられたことに反発する声も散見される。サラブレッドは経済動物。こうした記述、一字一句に正面きって感情的になる必要はないと思う。GⅠを勝つような馬ばかりが物語を纏っているわけではないことは、競馬に思いを寄せる人しか感じられないことだ。むしろ「火災を乗り越えた馬としてPRしたいが、あまりに馬自体がマイナーすぎる。せめてスーパーハリケーンには生き残ってほしかった」と関係者のコメントを掲載したスポーツ報知には、メディアは事象を取捨選択する権利と責任があるということを申し上げておきたい。

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